いつのまにか童話をモチーフにした死にゲーの主人公になってた   作:通りすがりの馬鹿

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3話

 

『どうも』

 

「どうも?」

 

『いやぁ、初めてですよ。こんな短期間で私の所へ戻ってくる人』

 

そんな事言われても此処が何処だか分からないし、目の前の人物が誰かも分からないのだから。適当に誤魔化す事しか出来なかった。のだが、その反応が気に食わなかった様で。

 

『まぁ、此処が何処だか分からないんですよね。どうせ、ええ。まぁ、そんな事はどうでも良いので。大事な事だけ話しましょう』

 

眠そうにあくびをした少女は今の俺の状況を端的に話してくれた。あまりにも端的なせいで、理解出来たのは俺は死んだと言う最悪な事実確認だけだった。二回目って言うのが分からないが、後で聞くか。

 

『それもまたどうでも良いんですよ。どーせ生き返しますし、忘れて貰って構いませんよ』

 

「生き返れるのか!?」

 

『そう言ったじゃないですか、面倒臭い。と言っても今生き返らせても意味が無いので……』

 

彼女は、空を握り手を開いた。そしてゆっくり手を開いたと思ったら彼女は本を持っていた。ただ、ライトノベルと言うには暗く黒ずんでいて、ダークネスノベルと言うには明る過ぎる。そんな中途半端な物だった。

 

「何だそれ……」

 

『チュートリアル《裏》と行きますか。あ、これ負けたら死にますからね』

 

質問には答えてくれない様だ。そう言うと、彼女の周りにモヤの様な物が囲った。

 

『良いですか?めんどくせーので、一回で覚えて下さいねー?』

 

その言葉が合図の様に、彼女の周りにいたモヤが形を作り始める。ゆっくりと人の形を作り、まず現れたのは。

 

《何だ、此処は》

 

狼だった。またかよと思ってしまったが、良く見るとハングリーウルフとは違う狼らしい。痩せ型で狡猾そうな顔、そして足に白い粉を纏っていて声は意外にも高く、まるで小鳥が鳴く様な声をしていた。

 

『……』

 

《おい貴様か?折角、この私が考えに考え抜いた作戦を実行する直前にこんな場所へ呼んだ馬鹿は!》

 

そう言って俺に当たり散らして来た。全くと言って良いぐらいお門違いなので、俺は狼の後ろにいて我存じぬを貫いているあの女を黙って指差した。

 

《あの女か……おい、女。元の場所へ戻せ!私は腹が減っているんだ。メインディッシュの子ヤギ達の前に、此処にいる奴らを今にもペロリとつまみ食いしてしまいそうなぐらいには……な》

 

それを聞いた俺は、何かを思い出しそうになった。うーん何だっけ。そもそも、御伽話って纏めると狼は割と出てるんだよな。その前に此処何処だよって話だ。ゲームにこんな場所は無かったぞ?まぁ、それは後で絶対に聞こう。

 

あの狼は恐らく敵だ。あの女が呼び出したからそれは確定で、問題はどの作品の出身かだ。それによって奴の動きが分かる。いや、子山羊って時点で決まっていたのか。アイツは……。

 

『お腹が空いてるのなら目の前の人を食べなさい。"狼と七匹の子山羊"の狼』

 

俺が思い出したのとそれを聞いたのは皮肉にもほぼ同時で、狼はもう我慢の限界だとばかりに俺に襲いかかって来た。それを何とか避けたが、間髪入れずに二回目が来た。

 

流石にそれは避けきれず、狼の手が肉を貫きそこから血が流れた。手についた血をペロペロと犬の様に舐める狼と、強く痛む傷口がこれを現実だと教えてくれた。泣きそうになりながら、泣いたって何も解決しないので必死に考える。此処で死んだらこれが本当の泣き寝入りかなんて言うクソみたいな冗談は捨てて置く。

 

まず、俺が素手で狼と戦う。

 

無理だ、俺は普通の成人男性で軍隊あがりでも無いし何処かの武術を学んでる訳でも無い。勝てる訳が無いでは無く、絶対に勝てない。なら、次だ。

 

誰かに助けを求める。

 

一番使えそうな方法だ。と言っても、誰にと言う話になるが。あの女は無い、狼は敵。となると……。もういない。なら、頭を下げて媚び諂って命を買うしか無いか?どうにか有効価値をアピールして。

 

どうせ、どっちにアピールしたって死ぬのは変わらない。そう思った俺は。

 

「助けて下さいっ超絶美少女の女神さまぁ!!!!」

 

まだ人の姿をしている少女の方に生き延びる可能性を賭けた。

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