とある孤独の魔神転生   作:変態魔術師

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とある孤独の自己鍛練

 

 新天地。新約とある魔術の禁書目録で登場した概念。

 人間どころか『魔神』すらも、上里の『理想送り』の餌食になるまで知らなかった世界の余剰領域。

 主神の槍を手に入れたパーフェクトなオティヌスすら及ばない真のグレムリンの魔神でも自ら行ったり来たりすることは難しいと考えられる神域。

 

 そんな世界に足を踏み入れることは、当然並大抵の方法では不可能だ。

 無限に等しい魔術の研鑽を積んだはずのオティヌスすら若輩扱いできるような、数学や時間の概念を超越した魔術の使い手すら干渉しがたい領域なのだ。

 俺ごときがちょいと魔術を練習したら行けるだなんて思わない方が良い。

 

 じゃあどうすべきか?

 

「ふんぬおおおおーーーーーッッ!!!!」

 

 今、俺は全力で死にかけていた。

 別に何もかも嫌になったから自殺するわけじゃない。

 ただ、魔術を研鑽して魔神の域に至ることについて、過去に俺はとあるファン考察を見かけたのを思い出していたのだ。

 『魔神は皆、一度「人間としての死」を迎えることで魔神となっている』。

 あくまで仮説だが、今の俺はこれを藁にもすがる思いで信じていた。

 

「ふんぬぬぬぬぬぬッッ!!!! あっブチブチって言ったなんか千切れちゃいけないの千切れた死ぬッッッ」

 

 要はニンジンの名を冠する超野菜人が活躍する某漫画と同じ理屈だ。

 あれは作中で『超野菜人を超えた超野菜人』、超野菜人ツーという存在にレベルアップしていた。

 同じことが魔神にも言えるはず。

 一回死ねばそれで終わり? ノン! そんなことあるはずがない! 人間の成長に限界はない!!

 

 不死の魔神が死ぬくらいの痛みを自らに与えれば刺激で何か覚醒しねーかな、という希望的観測である。

 半分冗談半分本気の方法だったが、あながち間違いでもなかったらしい。

 不死の(オティヌス)が死ぬくらいの弩や主神の槍を自分にぶちこんだ。それはもうぶちこんだ。

 不死が死ぬとはどういうことかと思われるかもしれないが、そんな矛盾も実現するのが魔神である。

 そうしてなんやかんやとあって──────

 

 なんか並行世界が認識できるようになった。

 

 ……………………ごめん、並行世界(そっち)のスキルツリー、今は要らないの。

 

 

 

 ──────────

 

 

 

 あれから精神時間でだいたい一年は経ってそうな頃。

 あんまり嬉しくないスキルツリーの解放に伴い、某電脳戦機の世界から時空因果律制御機構(ゲストのタングラム)さんがこっちを認識して話しかけて来るとか、本当に色々あった。

 並行世界を認識、干渉できる程強大な存在は限られているからか、タングラムさんは結構な頻度で遊びに、というかお話しに来た。

 知り合った当初は「いっそタングラムに頼んで世界を直してもらおうか」とも思ったが、いくら何でも出来るからといっても他所からのお客さんに頼るのは気が引けたのでやめておいた。

 

 とはいえあの子は意外と強情でお節介な所もある。

 仮にこの『黒』を見せたら俺が何を言わずとも善意で世界を元に戻しにかかるだろう。

 なのでこちらの世界に誘ったり、この世界の惨状を見せたりはしていない。

 同じ並行世界に干渉する力を持つ者の縁ということで繋がったテレパシーのようなものでたまに会話しているだけだ。

 

「だけど糸口は掴めた。並行世界とは違うけど……それでも『こことは異なる世界』という条件は同じだ。

 ここからさらに『新天地』への理解を深めることは出来るはずだ」

 

 『新天地』はまだ遠い。

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