とある孤独の魔神転生 作:変態魔術師
鎌池先生のようなセンスある章題を付けたい
────『隠世』
髪の毛一本ほどの隙間が無限の広さに等しくなり、さらにそれが無限に連なるという、人間の想像を遥かに超えて広大な領域。
通常、世界にあるべき時間や空間の概念が存在しないこの場所に平然と存在し、あまつさえ拠点として利用するのは、世界の運命をその気でなくとも思索一つでねじ曲げてしまう力を持った、これまた桁外れの者達。
そう、件の超存在────『魔神』である。
「まさかオティヌスがあのような状態に陥るとはな。上条当麻も正体不明の異界へと吸い込まれてしまった」
「ま~っさか、あのオティヌスがチェリーボーイみたいに顔赤らめて自分の身体を恐る恐る眺めたり触ったりするのを見ることになるなんてねえ」
「いずれにせよ、私達の求めていたモノがどこか遠くへ行ってしまったことは大変に遺憾だわ」
「まったくだ」
乾ききったミイラのような老体の魔神。血色が悪い顔をした幼女の魔神。包帯以外に肌を隠すもののない褐色美女の魔神。
特徴的すぎる神がここに三人。
変わり果てた『オティヌス』と謎の異界に追放された『上条当麻』について、頭を悩ませていた。
「しかしどうするべきかの。そもそもあのオティヌスは今どういう精神状態にあるのか」
「普通に考えるなら頭でも打っておかしくなったとか、急に二重人格モドキを発症し始めたとかそーいうのっぽいけど?」
「気になるのは彼女……いえ、『彼』の発言ね。転生や前世がどうとか、おかしくなったにしては『設定』があまりに具体的で凝りすぎているような気がするのよ」
「ふむ。仮にあやつがオティヌスに取り憑いた別人の魂だとするなら、無理矢理にでも剥がしてやるべきかの」
「それは危ないんじゃな~い? 見た感じオティヌスの人格が全然浮上してこないし、下手したらあれ元の中身消えてるかもしれないよ」
「そこまでは流石にないと思うけど、今の人格が表に出ている間の『元』の人格がどうなっているかが私達には把握できないから、迂闊に手は出せないのは同意ね」
「…………うむ」
「じゃ、経過観察はゾッコーってこと?」
「そういうことになるわね」
推測に推測を重ねるしかない異常事態ゆえ、さすがの魔神達もこの状況には手を出しかねた。
最終的に全てを強引に修正できるだけの力があるとはいえ、やはり積んできた経験の年数は伊達ではないということか。異常事態には違いないが、それでも冷静に物事を見据え、現状維持こそ最適と見定めた。
そんな『魔神』達の観察は続く。