とある孤独の魔神転生 作:変態魔術師
タイトルの『境界崩し』は『
形態や呼び名は何でもいいが、とにかく今我々が認識している現実と似通った現実が、無限に並列して存在していること。
可能性が幻想ではなく、無限に存在する世界の可能性が実体を持ち、確かに実在していること。
……しかし、可能性は本当に『無限』で打ち止めなのだろうか?
おかしなことを言っていると思われるかもしれない。実際おかしなことだ。
『無限』とは限りが無いこと。それを超えることなど出来ない極限。
とある世界ではそれは、『魔神』という形で実在していた。
しかしもしも、無限に無限を乗ずることが出来たら。数学的には意味不明な挙動だ。世界の法則はこんなことを想定して作られていない。だが数学や法則を超越した力によってなら、それも起こせる。
無限に枝分かれた世界のそれぞれが、また無限に枝を分かっていく。
ミツマタという植物をご存知だろうか?
枝が必ず三つに分かって育つ植物だ。そして分かった枝の先からさらに三つ、枝が分かっていく。その先からさらに三つ、三つと。
この『三つ』を『無限』に置き換えたのが、並行世界なのだ。
微細な粒子の振る舞い一つで可能性の重ね合わせなんてのが起こってしまう繊細な世界は、一つの選択で無限に枝分かれし、これを繰り返してしまう。
ゆえに並行世界は無尽蔵に増えていく。
……長々と何を語っているのかって? これは半分現実逃避なんだ。この状況という現実からの。
「おい」
「ひゃい」
「貴様、何故私そっくりの姿をしている。返答次第では今すぐ首をはね飛ばすぞ」
「うひょ」
『新天地』に行くヒントを得るために並行世界を覗きまくってたら、ある世界線のオティヌスに『こちら』を察知されて押し入られましたでござるの巻。
…………もしかして俺、今日死ぬの?
「答える気はない、ということだな」
言うが早いか、並行世界のオティヌスさんは空間を割って『弩』を俺の眼前にぶちこむ。
数の概念を無視して無限にも等しい質と量を備えた弩が終わりなく降ってくる様は、まさに終末の時を思わせるが、俺も肉体だけなら『オティヌス』には違いないわけで。
『弩』の術式に少し介入して、その半数を操ってもう半数とぶつけて自壊させる。
これには流石に『向こう』のオティヌスも面食らったようで、次は早くも切り札の『槍』を出す。
既にこの世界の位相は隠世などを除いて全て消え去っているが、世界の破壊が起こらないだけで、世界の破壊を起こしただけの威力はこの『黒』を伝播する。
尋常ではないダメージが肉体に及ぶ。
「げべがふッ」
モツ鍋みたいな情けない声を上げつつ、すぐさま痛みを和らげ、肉体を修復する。
久しぶりの全力戦闘に精神が軋み、存在自体にヒビが入るが、耐えてなんとかこのオティヌスにお帰りいただくための布石を打つ。
────やるしかない。ぶっつけ本番を。
『新天地』解析のため用意していた霊装。
世界に一つだけの、俺のオリジナル。
『理想送り』のように新天地には行けないが、位相ではない異界へ対象を送り込む魔術を備える、苦節数億年をかけて作った霊装。
一度使えば自壊してしまう、一回こっきりの霊装。
「使いたくねえ~~~けど、使うしかねえ~~~」
「何をごちゃごちゃと……」
不味い。次は本気のやつだ。慌てて俺は偽・理想送り霊装をオティヌスに向ける。
そして使う。ブライスロードの秘宝のパクリみたいなそれは正常に作動し────並行世界からの来訪者を、おそらくは元の世界線に送り返した。
ちなみに筆者はとある世界に並行世界は実在するという前提でこの話を書いています。
根拠はSEGA公式動画「『とある魔術の電脳戦機』って何!?~小萌先生の補修授業~」0:34~より。
小萌先生が「
それから本編世界も無限に存在する並行宇宙の内の一つとしてタングラムに観測されているはずですので、本編世界とタングラムが全く無関係ということもないはずだと捉えています。
単にバーチャロンが存在する方の学園都市の方が遊びに行きやすいから通っているというイメージです。
余談ですが上条さん、オティヌスさん、タングラムさんのトリオがバーチャロンでひたすら遊びまくる話とか原作サイドに改めて作ってほしいなと思ってます。
何年も前の、しかもコラボで権利関係が面倒臭い作品の新作となるとかなり絶望的だと思いますが。