特に理由のない幸せが男子生徒を襲う   作:ガチャ石は貯めない

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ユウキ「────今まで、世話になったからな!」

はい、別に最終回でもなんでもないけど、回収しておきたいから書いてた最終章です。

今回は、色々と詰め込みすぎて長いので、よろしくお願いいたします。


男子生徒とありったけの幸せを

シロコ*テラーを撃破した。

 

………それはいいが、不穏な空気を漂わせている。

 

……そして、どうやら地上では戦いが再び起こっているようだ。………多分、俺が来たのと同時ぐらいからだろう。

 

………時間をかけていられるのはここまでだ。

 

ここ、アトラ・ハシースの箱舟で、今俺と先生、としてシロコがいる場所はナラム・シンの玉座………であれば、おそらく俺も色々と存在があやふやになっているはず………

 

………確か、あの時に────

 

 

 

 

 

『あなたがこれから戦う相手の、正体は───』

 

 

──正体は?

 

 

『───別世界線軸の先生とその生徒です。』

 

──!?………いや、俺が過去に行った時もあるし、別世界から来てもあんまし問題はないか。シロコも別世界線軸の奴なんだな?

 

『その通りです。…………として、別世界の先生という事は────あの力を使うことが出来ます。』

 

──…………"大人のカード"

 

『その通りです。………もし、別世界の生徒を倒しても油断しないでください。』

 

 

 

 

『────"大人のカード"………そして、シッテムの箱がある以上…………』

 

 

 

『例え、その肉体が死に至っていても、使うはずです。』

 

 

 

 

──そう、易々と倒れてくれるわけない……か。

 

 

そうユウキが呟くと、シロコ*テラーが再び立ち上がる。

 

今度は、シロコ*テラーの周りに光が漂っている。

 

その光は………プレナパテスの"シッテムの箱"から出現していた

 

──先生、シロコ、最終ラウンドだ。

 

 

 

 

 

すると、(来た時に気がついてなかったが)プレナパテスの近くにいた白い髪の………

 

──………そうか、アレが………

 

シッテムの箱の、"メインOS"………何やら、色々と起こっているようだ。

 

『警告。「アトラ・ハシースの箱舟」の「自爆シーケンス」が準備中。該当シーケンスが起動した場合、爆発後の船内における生存率は0.0003%以下です。』

 

『砂狼シロコ、砂狼シロコ、"命名不詳"の生徒、先生。全員死亡と予測します。至急、対処法の設計が必要──』

 

そう言う少女に、シロコ*テラーは立ち上がり、返事をした。

 

………そうか。ま、そうだろう。俺が居るとは思ってなかったさ。………シロコ*テラーは知ってるみたいだけど。

 

「………そっか。そう………時間稼ぎ。」

 

「────みんながやり遂げるって信じていたんだ。」

 

シロコ*テラーは、無機質にそう言った。

 

"みんなを、信じているからね"

 

「そう──私が勝てなくてもいい。」

 

みんな(・・・)で勝てばいいから。」

 

先生とシロコは、どうやら知っていたのだろう。………いや、単純に、ここに着くまでに通信機なりを渡してたのかもしない。

 

…………俺、実はお邪魔??

 

「みんなで、ね………」

 

シロコ*テラーが少し、悲しそうにそう呟いた。

 

"うん。もうすぐみんなが来てくれる"

 

「対策委員会が───そして「シャーレ」が。」

 

シロコが、そう言う。自信満々に。………間違いなく、来るだろうな。今も、気配が近づいてきている。

 

"それまで阻止するよ。────伝えたい言葉があるから。"

 

「伝えたい言葉………」

 

そこに、少女から報告が上がってきた。

 

『対処法を計測中。解決策は存在します。これより、別ルートでウトナピシュテムを───』

 

その報告に、シロコ*テラーがピシャリと言い切った。

 

「───いや、必要ない。」

 

「試したところで、同じ結果が繰り返されるだけ。先生なら、また危機を乗り越えるだらうね。」

 

「みんなと力を合わせて立ち向かう───確かに、これは脅威だね。」

 

まるで、確信して───否、確信している物言いで少女の提案を拒否した。

 

そして、瞬時に合理的な判断を下す。

 

「───なら、最初に「先生」を始末すればいい。」

 

「そうしたら、箱舟の自律も、サンクトゥムの顕現も……いくらでもまたやり直せる。」

 

「先生がいなければ。」

 

「──そう。先生さえいなければ………全部、崩れるから。」

 

そう、シロコ*テラーは無機質な声でそう言った。

 

「だから、わたしたち力を全てぶつける。」

 

そう言うと、プレナパテスはタブレットを操作し、少女がその支持内容を言う。

 

『……指示を確認。「シッテムの箱」の演算支援を中止。戦闘モードに切りかえます。』

 

その瞬間、辺りが一変する。

 

………おそらく、全ての機能を戦闘に注ぎ込むためだろう。

 

『これより、私の能力を全て戦闘支援に割り当てます』

 

…………あ、ふっつーにやばいかも。

 

"私にも、超有能なアロナちゃんがいる!!"

 

"アロナーーーーーーッ!!"

 

そうすると、シッテムの箱から声が聞こえた。

 

『はい!!今からスーパーアロナが、先生をお手伝します!!』

 

最初っからしててくれ定期。いやまぁ、してたんだろうけど

 

『相手が誰であろうと、先生に悪さをする人は、このアロナが許しません!!』

 

「ん、先生を傷つけさせない。」

 

シロコがそう言い、先生の前に立つ。俺も立つ。

 

「そう、きっと、お互い同じ気持ちだと思う。」

 

「でも、先生。同じ条件だと思わないで。私がしてきた戦いは、あなた達のソレとは規模が違う。」

 

「例え、そこの男子生徒が居ても、「シッテムの箱」が同等の性能でも、経験の差は埋まらない」

 

"……………"

 

先生は、おもむろに懐から"大人のカード"を取り出す。

 

…………けれど、

 

「………そうだね、先生にはソレがあったね。確かにそれなら、手札を全て無視してでも勝利を得られるかもしれない。」

 

「でも………忘れたわけじゃないでしょう?先生。」

 

「あなたの前に居るプレナパテスが、誰なのか」

 

そう、先程の戦いでも、使っていた。

 

"大人のカード"を。

 

 

黒ずみ、汚れているが確かに、それは"大人のカード"だ。…………先生が持つ最初で最後のチート。

 

『せ、先生………!?ぷ、プレナパテスも、何かを取り出しました……!!』

 

『あ、あれは………!?』

 

『………!?』

 

それを見せたプレナパテスに、先生は驚く。……確かに、先程の戦いでは、見せずにバレないように使っていた。………ほんの少しだけ、回復する程度だ。見せる必要もなく使えるのだろう。

 

「"大人のカード"対"大人のカード"………」

 

「その場合、どちらの"カード"が勝つんだろうね?」

 

………確かに、このぶつかり合いは、興味がある。

 

 

─────だけど

 

 

──悪い、先生。

 

俺は、先生の手に俺の手を重ねて、カードを下ろさせた。

 

"ユウキ………?"

 

俺は────

 

──それを、使うのは本当にヤバくなってからだ。最後の切り札ってやつだ。

 

 

──行くぞ、シロコ。プレナパテス。

 

「戦闘、開始」

 

 

 

 

 

 

景色が変わり、アビドスの砂漠へと変化する。

 

俺はお構い無しに突撃し、ぶん殴る

 

それを、謎のバリアがシロコ*テラーの周りに現れ、攻撃を阻む。

 

──界王拳────200倍

 

(先生にああいったのだ。せめて、使わせないように、このシロコと渡り合うなら──!!)

 

"…………………!?"

 

「………え……?」

 

(俺の限界を超えて、コイツと"大人のカード"の両方と渡り合えばいい───!!)

 

俺は、難しいことは分からない。

 

けど、コイツらが苦労してきたことは分かる。嫌な経験をしたこともわかる。

 

プレナパテスが既に死んでいるのだとか、このシロコが殺したのとか………俺にはあの青髪の生徒に聞いた話を元に考えても、よく分からない。

 

─────ただ、悪いのはコイツらじゃない。

 

こいつらは被害者だ。だから────!!

 

 

──(助ける………!!せめて、いい別れができるように───!!)うらぁぁあぁぁ!!!

 

 

俺は、シロコ*テラーが纏っていたバリアを破壊する。

 

──シロコォ!!いくぞぉ!!!

 

「──ん!!!」

 

最後の戦いが始まる──!

 

シロコ*テラーは一度離れる。その目には、信じられないものを目撃したような動揺が現れていた。

 

200倍………体にかかる負荷と反動は、この後やろうとしていることに関わってくるから、攻撃の瞬間にのみ使う。

 

俺は随時、50倍で動き、200倍で攻撃する。

 

シロコ*テラーの攻撃は苛烈を極めているが、うちのシロコに神秘のバリアを貼りつつ、俺は最前線で回避しながら戦う。

 

遠距離武器は、その重さ故近距離でぶん回せれば脅威となるが………

 

──遅い!!

 

身体能力の全てが底上げされた俺には届かない。

 

シロコ*テラーのミニガンを手のひらで受け流しつつ上に乗り、顔に蹴りを入れる。

 

盾を構えられたら、ショットガンも使ってくるのでシロコを抱えて範囲外に逃げる。

 

ヘリが出てきたら即破壊する。

 

ドローンはシロコのドローンに任せる。

 

─────相手の攻撃方法を、潰していく。

 

そうすることで、次第に追い込まれていくシロコ*テラー

 

そのまま大人のカードを使用した支援を受けずに、シロコ*テラーに攻撃をしかけ続ける。

 

が、プレナパテスのカードによってそれを阻まれる。

 

そして、プレナパテスはシッテムの箱による回復を行い、シロコ*テラーは復活する。

 

…………アビドスから、元の風景に戻る。

 

どうやら、最後の火力の押し合いだろう。

 

この押し合いで、勝てば決め切れる。

 

 

シロコはドローンと銃でバカスカ撃ちまくる。

 

シロコ*テラーも、持てる全ても使い反撃してくる。

 

───俺は、両手を腰に近づけ構える。

 

──……………終わらせる!

 

 

そういい、エネルギーを貯め、放つ───!!

 

 

 

──これで、最後だ────ッ!

 

 

そのエネルギーは、シロコ*テラーをプレナパテス事包み込み──吹き飛ばした。

 

 

………戦いは、俺たちの勝ち。

 

プレナパテスは、沈黙。

 

シロコ*テラーは倒れた。

 

「はぁ………はぁ…………」

 

『か、勝ったのでしょうか……私たち』

 

そう先生のアロナがそう言うと、シロコ*テラーがおもむろに答えた

 

「そう、みたいだね………」

 

「どうして………私の方がたくさん経験を詰んだハズなのに……戦って、藻掻いて、生き抜いて……なのにどうして……こうなってしまったんだろう」

 

「まだ………足りなかったのかな………。」

 

何かに後悔するように、シロコ*テラーはつぶやく。

 

………そこに先生は近づいて行った。

 

「先生……」

 

その前に、シロコが立つ。まぁ、敵に近づくとか普通にやばそうだし。

 

………それに、心配だろうし。

 

"大丈夫。あのシロコに伝えたいことがあるんだ"

 

「うん………」

 

シロコは先生の言葉を受けいれ、そこから引いた。

 

「ああ………そうだった。」

 

「伝えたいことがあるって、言ってたよね、先生」

 

「何を───」

 

"それじゃあ今度は教えて欲しいんだ、シロコ"

 

「………何を?」

 

"一体、「何」があったの?「何」が起きたの?"

 

シロコ*テラーの目が、一瞬見開いて……言葉を紡ぐ

 

「どうして………そんなことを、聞くの………?言ったでしょ……私は、世界を滅ぼす存在……世界を滅亡に導いて……先生を殺して………「箱舟」を利用して、今度は、別の時間軸の世界までも滅亡させるためにやってきた、と………。」

 

「そんな私に、「何」があったか……聞く、の?」

 

まるで、信じられないような顔をしている。………でも、先生だぞ?

 

「なにか、事情があると、思ってるの?世界を滅亡させようとする………私に。」

 

その言葉に、先生は何かを思い出したように、黙りしている。

 

「どうして………先生はどうして、そんなに……」

 

そう言うシロコ*テラーに、先生は一言、物申した。

 

"先生が生徒を信じないと、何も始まらない……大人だから、みんなを信じたい"

 

…………その言葉に、シロコは唖然といている。………けど、その目には、ほんの少しだけ光が差し込んだ気がした。

 

そこに、アビドスの生徒たちがやってきた。

 

『先生!お待たせしました!』

 

「助けに来ましたよ!」

 

「急いで!そろそろ爆発するわよ!」

 

「先生、シロコちゃん………大丈夫?」

 

次々と声をかけてくる生徒たちに、シロコも反応した。

 

「ホシノ先輩に、みんな……」

 

「シロコちゃん、お待た………ん?」

 

小鳥遊ホシノは、シロコ*テラーを見た。

 

「君は……」

 

シロコ*テラーは、何かが決壊するように、

 

「う………ううっ…………っ………!!」

 

 

「うあああぁぁぁぁあああ───!!!」

 

泣き出した。

 

 

 

否、それはもはや叫び

 

 

「あああぁぁぁぁあああああ───!!!!」

 

 

「ああぁあぁぁぁああああ────!!!!」

 

 

 

シロコ*テラーは、そこから、叫ぶように、泣きながら、後悔の言葉を紡いでいく。

 

「何」があったか、話していく

 

「わ、たし………わたし、の、せい、なの……!わたし、が、いるから、せかいが………滅亡、した………そんな、こと、望んで、ないのに……こんな結末、望んで、なかった……」

 

───それは、決してそうではないのに。

 

確かに、砂狼シロコの神秘には、その側面もあるだろう。

 

───だが、その引き金は、回避できるものだった。

 

「先生を、殺したく、なかった………!」

 

──例え、回避できなくても、世界が、滅ぶことはなかっただろう。

 

「ごめん、なさい……わたし、は、こんな……最後、まで、やり通せもしない、意気地なしで、ごめなさい。でも、私は、もう………だめ……むり、だよ、もう………」

 

───ある者の、好奇心に、研究心によって、彼女の力は色彩を通して覚醒し、ここまで来たのだ。

 

「わたしの、せい……すべて、は、わたし、がアビドスに、いたせい………わたし、が、いなければ……わたし、さえ、いなければ──!!」

 

…………だが、その行動をしたのは彼女であり、こうなるもの、致し方ないのだろう。

 

彼女は、色彩に魅入られ、全てを終わらすために行動したのだから……。

 

 

「ごめんなさい……先生を殺して………世界を滅ぼして……ごめんなさい……先生が………色彩に、飲み込まれて……私を、ここに呼んだの……すべての世界を、消すために。」

 

「私………わたし、は………」

 

 

その言葉に、助けに来た生徒たちが動揺する。

 

『………!』

 

「ど、どういうことなの……!?」

 

「…………ま、まさか。」

 

「……別の時間軸の私が経験したこと、みたい。」

 

シロコの、簡素で、でも最も理解を促せる説明が入る。

 

それによって、アビドスの生徒たちが理解する。

 

『はい……?』

 

「なっ………それって……!」

 

「世界が滅亡……?先生が………?」

 

「………。」

 

「何」が、あったのか………想像してしまう。

 

"シロコは………ずっと、苦しんでいたんだね"

 

そう言う先生の傍ら、小鳥遊ホシノが少し考えるそぶりの後、口を開いた

 

「…………そっか。」

 

「おじさんさ、「シロコ」の眼差しが、ずっと気になってたんだよね…」

 

「でも、今の先生の言葉を聞いて、やっとわかったよ。」

 

「あれは………「シロコちゃん」は絶対にしない眼差し。」

 

「でも、どこかで見たことがあって……懐かしい感じがしたんだ。」

 

「誰だったかな………似てる人が、いたんだよね」

 

「うーん………ああ………思い出した。」

 

 

そして、少し間が空いて

 

「………私と同じ。」

 

「見覚えがあると思ったんだけど……それもそうだよね。アレは、私と同じだったんだよ。」

 

「………。」

 

そのホシノの言葉に、ノノミは黙ることしかできなかった。

 

そんな中、アヤネがシロコに話しかける

 

『………え、ええっと………こちらのシロコ先輩は、別の世界から来た、んですよね?』

 

「うん、そう。」

 

シロコは、アヤネの質問にそう返す。

 

『箱舟の「多次元解釈」の能力で………?あれ、それでは……』

 

「で、でもそういうことなのよね……!?」

 

「この「シロコ」は、私がそうなる可能性の一つ……」

 

そう話していると、不意にシロコ*テラーが起き上がり

 

「……マフラー」

 

「あなたは、まだ持ってるんだね。私は………どこにやったんだっけ……思い出せない……いつ、それを失くしたのかも……もう、分からない。」

 

「すごく、大切だったのに、どうしてだろ……ホシノ先輩が、死んだ後だったっけ……セリカが行方不明になった時……?それとも、アヤネが生命維持装置を外した時?ノノミが、アビドスを離れて「そうなった」と連絡を貰った時?それとも──先生が、もう蘇生の可能性がないと連絡を、もらった時?」

 

 

「いつ、だったかな──私……」

 

 

 

すると、突然、プレナパテスが起き上がる。

 

『「アトラ・ハシースの箱舟」の全エネルギーが………プレナパテスに、集中しています!』

 

『先生!プレナパテスを止めないと……!!』

 

『現在プレナパテスの「シッテムの箱」はダウンした状態です!無力化するなら、今です!!』

 

 

──……だよな、生徒を守るため………シロコを守るために、アンタは立つよ。「プレナパテス先生」。

 

"───!!ユウキ!!"

 

──………ああ。"助ける"よ。

 

すると、「アトラ・ハシースの箱舟」が急に揺れだし、各地から爆発音が鳴り響く

 

──………そうか、自爆機能があったんか。

 

そして、生徒たちも続々とここに来ている。

 

……その一人は倒れていたが、一瞬でどこかに行ってしまった。

 

………脱出装置も、そらあるよな。

 

──先生、生徒たちを全員避難させてくれ。俺は最後でいいから、頼むぞ。

 

"………待って、リンちゃんから連絡が来た。…………了解。"

 

──なんて?

 

"リンちゃんが「ウトナピシュテムの主砲」で火力支援をしてくれるみたい。けれど、ロックオンから発射まで時間がかかるから、それまで耐えて欲しい……って"

 

──………そうか。

 

 

…………間もなくして、主砲が発射され、プレナパテスは倒れる。

 

そして、次々と生徒たちが避難していく。

 

脱出シーケンスは、残り二つとなった。

 

どうやら、俺の分として残していてくれたようだ。

 

───ならば

 

──先生!

 

"待って、プレナパテスが……伝えたいことがあるみたい。"

 

 

──悪い、プレナパテス。それは、地上で言ってくれ。

 

──先生、シロコを。そして先生も脱出するんだ。

 

"───!?"

 

──聞こえているだろ!?シッテムの箱のOS!!先生とあっちの世界のシロコを転送しろ!!

 

『うえぇ!?──わ、わかりました!!』

 

そう言い、二人は転送されていく。

 

 

そして、俺とプレナパテスが残った。

 

──悪いな、プレナパテス先生。いや、長いからプレ先でいいか。

 

──多分、これで全部いい方向に行くと思う。あんたは、アンタのところのシロコさんのところに転送する。………ああ、ちゃんと喋らせるようにするから。………言いたかったこと、いえなかったこと、いっぱい、悔いなく言い切ってくれ。………それぐらいなら、間に合うから。

 

プレナパテスは、何をしようとしているのか理解が追いついていない様子だった。

 

──…………"死者蘇生"。本来なら代償なしに使える、蘇生カード。…………けど、さすがにこの世界ではナーフされててな。…………俺の存在は、ここで終わると思うけど、アンタの時間を、少しは伸ばせるはずだ。

 

ユウキはありったけの神秘を死者蘇生のカードに注ぎ込み、プレナパテスに向けて放つ。

 

プレナパテスの肉体は、再び活動を開始する。

 

…………そして、ユウキがもう一つ、カードをプレナパテスに向ける。

 

──"スキルドレイン"。これで、暫くは色彩の影響を無視できる。…………最後だ。"異次元からの帰還"。さぁ、行け!

 

プレナパテスの背中を押して、異次元からの帰還のゲートに放り投げる。

 

異次元からの帰還は、そのままだ。ここは色々と存在があやふやになっている。なら、"異次元"と仮定しても問題は無いだろう。

 

─────そして、俺は、天にカードを掲げる。

 

 

 

 

──三幻神、力を貸せ!!今、この地において、神をたばねる!!────光の創造主ホルアクティ!!!!

 

 

 

あらゆる無法が、ここでならまだ使える。ほぼ崩壊したアトラ・ハシースの箱舟で、最後の最後に使用出来る、奇跡

 

 

 

── 消え去れ、色彩。お前の出番は、この世界には存在しない。

 

 

 

 

 

ユウキは、己の神秘を全て使い、神を召喚した。

 

その神は、彼の願いを聞き、色彩を光の中で包み込み、そして、そのまま消滅した。

 

 

 

──………さよなら。………ありがとう、俺に、夢を見せてくれて。ちゃんと色々終わったら帰ってやれよ、連邦生徒会長様よ。

 

 

 

 

そのまま、ユウキは流星となり、消滅した。

 

その流星を、誰も見ることは、なかった。

 

 

 

 

 

その後の話。

 

プレナパテスは、己の世界のシロコと、メインOSである白い髪の子を託して、あの世に旅たったそうだ。

 

───ちゃんと言いたいこと、言えなかったことを、言えたようだ。

 

その後、かの先生の墓が作られたそうだ。

 

───良かった。

 

 

 

こうして、この世界は救われた。

 

…………特に、目立った犠牲もなく(・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、先生は色々あったそうだ。

 

オラ?…………もちろん────

 

 

──ここ何処だよ!?

 

どこかの世界に飛ばされてました☆

 

そんなふうに頭を抱えて嘆いていた時、ふと横を見ると──

 

──……!?あれは………シロコ……さん?っ!?あの黒い姿は……って事は……!?

 

 

そこに居たのは、今にも攻撃されそうな先生と、シロコ*テラー

 

………テラーって言ってるけど別に勝手に言ってるだけなんよなぁ………まぁいいか。

 

……なんか、肉体は弱くなってる……?でも、神秘は使えるし!行くか!!

 

不意打ちの───!!

 

 

──界王拳20倍!!!

 

バキィぃ!!!

 

 

「───っ!?」

 

"………君、は?"

 

──吹っ飛べ!!

 

そのまま神秘の塊をぶつけてシロコ*テラーを吹き飛ばす。

 

──(戦闘でカードはねぇし、エンジニア部の武器もない………なら、直接!!)

 

──神秘を叩き込んで、色彩を追い出す!!

 

「………?…………誰かは、知らないけれど」

 

シロコ*テラーは立ち上がり、武器を持ち構える。

 

「邪魔をするなら───グゥ……ッ!?何を、したの!?」

 

だが、突然膝を着く………チャンスだな……!

 

──セイヤーーー!!!

 

バギィ!!

 

シロコ*テラーの頭に拳をぶつける。………あと20回かな?やるか

 

──オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオオラオラオラ!!!!

 

何度もシロコ*テラーを殴りつけ、その拳を振り抜く

 

──オラァッ!!!

 

神秘を含んだユウキの拳は、色彩を追い出すことはできないが、その繋がりを破壊した。

 

────まぁ、良し!

 

「────」ドサッ

 

シロコ*テラーは気絶した。………まぁ、殴りつけられまくったから倒れるよね。

 

"えっと………?"

 

未だに状況を理解できない、傷だらけの先生を治療して……と。……ん?あ、カードあるやん。………まぁ、数枚しかないけど。回復系は………お、いいの発見!

 

──………ふう!それじゃあ始めるか!

 

"えっと………何を……?"

 

(力もない、神秘のそこそこ、カードは………よし!)

 

──まずはこのカード───!!

 

 

"──!?何が……!?"

 

 

──ソウル・チャージ!!!

 

その瞬間、ユウキの持つソウル・チャージのカードが光る。

 

そして、キヴォトス全体が光り輝く──!!

 

 

(ありったけの神秘を、俺の命はどうでもいいから!込めるだけ込めてやれ!!!)

 

"な、何を!?"

 

そうして、あらゆる場所に人が蘇る──!

 

──……はは、成功……!よして、死者蘇生!!先生、あんたはほぼ死んでるからな。これなら全然問題ない。……よし。回復したな。

 

"う、うん。………いや、それより!?"

 

──………お、そろそろお別れだ。俺のことは………まぁ、ちょっとハッピーエンドが好きな、旅人とでも思ってくれ。………さよなら!

 

ユウキは、肉体が消滅した。

 

まるで、嵐のように消えていった。

 

…………この世界の人たちが、どんどん蘇っていく。それに際限はない。

 

きっと、この世界は再び輝く希望と共に、動き出すだろう。

 

 

 

 

 

 

 

ユウキは、再び電車の中にいた。

 

今度は、肉体すらないが。

 

(…………雑に助けちまったな。まぁ、いいか!)

 

「そうですね………まさか、たまたま迷い込んだとはいえ、新たな世界線を作ってくるとは………。」

 

(………あまり、褒められたもんでもねぇけどな。)

 

そう。世界線を作るのは、あまり褒められたものではない。世界線を無闇に増やせば色々と弊害が起こったりするのだ。

 

例えば?全く知らん世界線が作られるとか。

 

「私が許しますので、大丈夫ですよ。………では、そろそろお時間です。」

 

(………ああ。それで?今度の選択肢は?)

 

前に生き返った時のように、ユウキは連邦生徒会長に選択肢を聞く。

 

………が、連邦生徒会長は選択肢を示さない。電車は、駅に着いた。

 

「それは、行ってからのお楽しみ、です!」

 

そう笑顔で言う連邦生徒会長に、ユウキは謎の納得をした。

 

(……そうか。なら、行ってくる。)

 

ユウキはふよふよ浮きながら駅のホームに向けて動く。

 

そして、ドアの向こうに行く時に───

 

「行ってらっしゃい!」

 

 

そう、笑顔で送り出されたのであった───。




はい、という訳で、最終章はこれにて終了。

次回からは、またグダグダギャグを書いていくので、よろしくです。

後、あらすじ変えました。指摘されたし、俺も思い出したら普通にあらすじの意味がなってなかったので。指摘してくれ人、ありがとう!

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