というわけで、バレンタインのお話です。後、俺は走らせるの大好きです。
"ユウキ、そろそろバレンタインデーだね。"
──………ばれん………たいん???なんですそれ??
"…………え?"
──…………へ?
やぁ、シャーレで今日も働いている明楽ユウキだ。
先生が突然知らない概念を話題として振ってきてめちゃくちゃ混乱してっぞ!
ばれんたいんってなんだ??クリスマスとか正月とか……そういうのは分かるけど、ばれんたいんは知らないんだよなぁ……
"ユウキ、バレンタインを知らないの??『外』にいたことがあるのに!?"
──あ、はい。聞いたことはある気がしますけど………具体的なことは何も。
"…………ホワイトデーは?"
──知らないです。なんですそれ??
"……………まじか。"
先生は頭を抱えた。
ユウキがバレンタインを知らない。
それはつまり────その意味を理解できないのだ。
先生の頭の中で出た結論はと言うと。
ユウキがバレンタインを知らない。
↓
バレンタイン当日、ユウキがチョコを渡されても意味が理解できない。そもそもよく分からないので受け取らない可能性すらある。
↓
例え貰っても、ホワイトデーも知らないので「チョコを貰ったらお返しをする」という行動が取れない。
↓
ユウキが現状持っている関係に亀裂が入る。
↓
なんやかんやあって関係が拗れる。
↓
ユウキがボッチになる。
ここまで0.5秒。
先生はその未来までたどり着いてしまったのだ。故に、先生がこれからする行動は、全てキヴォトスの為であり、ユウキの為の行動である!
"────ユウキ、バレンタインが何なのかを教えて欲しい?"
──はい。一体その"ばれんたいん"がなんなのか全くわかんないんで。
"………なら、特別授業だよ。"
こうして、先生はユウキの頭にバレンタインとホワイトデーの概念をぶち込んだ。よくやったぞ先生!!
──はえ︎^〜……知らなかっただぁ………。
"ユウキは色んな人から貰うだろうからね!ちゃんと意味は考えるんだよ!"
──先生、多分それ先生もだと思うぞ?
"……………そう、かもね!(遠い目)"
──(あ、現実を見たくない人の目だ)
ユウキは悟った。先生は少なくてもバレンタインデーという行事に圧殺されるのだろうと。主に生徒の思いと数(物量)に。
そして、そのまま時間は過ぎていき………
バレンタイン、当日。
その日、シャーレに行こうとしたユウキは部屋を出ることができないと悟った。
まるで、いつの間にか背後を取られていたような悪寒の走る背中に、彼は恐怖したのだ。
──…………このドアを開けたら………オラは、どうなる………?
先日先生から聞いた"バレンタイン"の概要は以下の通りである。(あくまで、先生が外にいた頃の話)
・バレンタインとは、仲のいい人やお世話になった人、意中の人にチョコを渡ししてお礼を言ったり、告白したりするイベント。基本はお世話になった人に対する感謝の為のイベントである。
・ここキヴォトスでもその通りなのだが、ひとつ違うところがある。それは……
──『恋愛感情を抱いている相手にはチョコと一緒に"自分と同じモデルの銃"を渡すこと』……!!しかも、受け取れば告白を実質受けたと言っても過言では無い……!!
まさかまさかの風習であった……!!このままユウキが外に出て、迂闊にチョコと一緒に銃を貰えば………
──………やばい。なんか知らんうちに彼女ができる………!!?
もし先生から教えられた風習が本当ならば、それ即ち!告白を受けたことになるぅぅ!!ユウキとしては是非とも回避したい所存であった!!
──か、彼女が……出来てしまったら………………っ!!お、オラのプライベートが更になくなっちまう!!!
思春期がほんの少しだけ来てしまったユウキにとって、プライベートがないのはもはや考えられないことである!!
もしも、ユウキの意志と反して彼女ができようもんなら………彼の数少ないプライベートなんて木っ端微塵であるっ!!
へ?『さすがに、そこまで言うほどではないだろう?』
確かに、その通りである。
この家に『4人の女の子』がほぼ住んでいて、勝手に部屋に入られていなければな!!!
なんと、この家にいる4人はズカズカとユウキの部屋に侵入しては布団に潜り込んだり、ユウキが最近見始めた同人誌(自分とは似ていないかつエッ!!)を見つけたら処分して自分と似ているのを変わりに置いておくなど………ユウキのプライベートルームを勝手に荒らしているのだ。
なお、その犯行はほぼクロコかユメである。ホシノはベッドで昼寝する程度。
ミネに関してはそういうのを見ても「あ、ちゃんと欲を発散していますね。」ぐらいの感覚でしかなかった!!医療従事者を舐めてはならない。なお、その日は襲いに来るのだが……そこは置いておくとしよう。
ともかく!!
彼からすれば彼女なんて作ったら更にプライベートが無くなる気しかしないのだ!!
故に!!彼は今日部屋に籠ることにしたのであった!!
──………よし、とりあえずドアの鍵を閉めて、カードを使ってクソ強化しまくった。
その結果、並の生徒でも傷は付けられず、ホシノレベルでも5時間は耐えられるヤバい扉と窓に付与して、ベッドに寝っ転がった。
──………一応、非常食あるし………お湯沸かし機があるし、小さめだけど冷蔵庫も設置して中に食材なりあるから……今日1日程度なら問題は「ユウキー、起きてる〜?」ない………できちゃった……!
ユウキは勢いよく後ろを振り向いた!
そこに居たのは我らが暁のホルス!
ユウキ、絶対絶命の危機である!!
「うへへ〜………(ピーされる)覚悟はいいね?私は出来てるよ。」(臨戦ハイライトオフモード)
──待って!?止まれ!!!
「丁重にお断りするよ。私の恋は止められないからね〜!!!」
──よし、逃げる!!
「逃げるなー!!」
ユウキは迫り来るホシノをドアを開けて回避しつつ、家の中での追いかけっこが始まった!!
しかし、ユウキは理解している。
──(家の中でホシノ達に勝てるわけない!!そも、数で挟み撃ちにあって死!!つまり───!!!)
そう、ユウキが生き延びてかつ、この場を切り抜ける方法はひとつしかない。
「逃がさないって言ってるよね!?もう皆にも連絡してるからね!!」
──生憎、オラは諦めが悪いことはよく知ってるだろ!!
「そう、だから罠くらい張ってる!!」
──無駄ァ!!レッド・リブート!!
「は??」
ユウキが繰り出したのは「レッド・リブート」のカード。その効果は一時的な罠の停止。言ってしまえば、ホシノ達の張った罠はこの時より
「っ……(罠が起動しない!!なら、この場で捕まえる他ない!!)」
──それじゃ!
「え、ぁっ…!!」
ユウキは一瞬動揺したホシノの僅かな隙をついて瞬間移動を行った。そう、これが唯一ホシノから逃げ切る最初で最後の方法であった。
これにより、ホシノはほぼ確実にユウキを捕捉する事は叶わない。
「…………やられた。最近のユウキはああやって、カードを使わなかったから忘れてたよ。」
「………次は、必ず…!!」
ホシノは、手に持った
ショットガンを持っている手を見ると、いつの間にかチョコがなかった。
────
「……………え、へ!?うへぇ!?どこに落としちゃったの!?」
ホシノは急いで探し始める。しかし、いくら探しても見つからない。
「……………」
ホシノは自分の不手際でチョコをなくした事実に泣きそうになりつつ、ユウキの部屋に入ると……
空になったチョコの箱が置いてあった。
「……?」
それは、ホシノが持っていたはずのチョコ。何故か空箱になったそれを手に持つと、中に紙が入っていることに気づいた。
その手紙には
『美味かった。』
の一言が綴られていた。
「……………ユウキ。帰ってきたらお仕置だからね?」
ホシノはそう言いながら、ユウキの布団にくるまってお昼寝を始めたのであった。
──………ホシノのチョコ美味すぎるだろ!と、言いたいんですけど。
"そっか!!なら助けてくれないかな!?"
現在、ユウキは先生とともに走っていた。その後ろには────
『待てぇぇえーーー!!!!!逃げるなぁあーーー!!!!』
──いやー人気ですね先生は。さっさとチョコを受け取ればいい物を。
"ははは!!チョコと一緒に銃も渡されそうになってるんだよ!?無理だよ!?受け取れないよーー!!?"
──オラはともかくよォ……先生が受け取っても良くない??
"ダメだね〜…ダメよ…ダメなのよ〜……受け取ったら最後、私は社会的に死ぬのだから!!"
──先生、こういうのはダメだと思うけど……先生のプライベートと尊厳はないようなもんですし、いっその事全員受け入れた方が収まり良いのでは?
"やめようか!!私はまだゲームオーバーになりたくはないんだよね!!"
──もう先生のプライベート兼尊厳に関しては手遅れだと思う。
"あー!!聞きたくない!!聞きたくない!!!"
──現実から逃げることは出来ない。
"ユウキ、人の事言えないでしょ?"
──ははは!笑うしかないけど、先生よりマシです。
"そっか〜………それより、後ろからの圧が強まってない?"
──ですね〜
"だよね〜"
くっそ軽いノリで後ろを見た2人は、無言で全力ダッシュを始めた。
もはや、軽口を叩く暇はなかった。軽口を叩ける暇なんてないこと、心の底から思ってひたすら逃げ出した。
なぜなら、生徒たちの目からハイライトが完全になくなっており、生徒たちが走ってきて来た場所は、どこもかしこもえぐれ始めていた。
もはやその有様は正しく軍勢の進軍と言えるものであった!!2人は、心の底から思った。
((死にたくないぃぃーーーー!!!!))
捕まれば、おそらく先生は生きているだろうがグチョグチョにされるだろう。
ユウキ?あの中にはアリウス達や家にいなかった"彼女達"が居るとだけ言っておこう。
(──それ!!俺に死ねと申すのか!?)
そうだが?
──助けてくれ、先生。作者にグチョグチョにされる。
"あはは!諦めなよユウキ。君は捕まればそのまま結婚エンドになるだけだよ。
──軽口言ってる場合かよ!?
「そうだぞ先生。ユウキ。」
ユウキと先生は、後ろを振り向いた。そこにいたのは美甘ネルが居た。
「「ネルゥゥ!!?」」
「よう2人とも!チョコ居るか?」
──走りながら言うことかよ!?
"私たちが逃げてるだけだけどね!?"
──それはそう。
「要らねぇのか?」
「「いる。チョコだけは。」」
「そっか!とりあえずユウキの机に銃は置いとくな!」
──はぁ!?ズルくないですかねェ!?
「大丈夫だって!手渡しじゃないと意味ないからな!!それはそうとお前の二刀流とか使うし二丁拳銃みたいな事してみろよ!」
──悪い、オラ銃はちょっと……
「逃げるのはダメですよユウキ!!その性根は"救護"しなければなりません!!」
──無理なのは無理なのにぃ!?
ユウキの傍には、本気になったミネが飛んできていた。ユウキはその様子に慣れたように対応しつつ、更に全力で逃げ始める。
先生?
ワカモとイズナに挟み撃ちにされ、ユウカとノアと(待ち伏せていたであろう)トキとリオによって詰将棋の如く追い詰められていた。
しかし、ユウキにはどうしようもない。助けに入ることはできない。
──南無。
「南無。」
ユウキとネルは同時に手を合わせて走り出した。先生はきっと助からないかもしれないが、助かることを祈った。
──いい加減にしてくれないかなぁ!?ネルロットォ!!
「先生には渡したけどな!!お前は止まらないせいだろうが!!」
──止まれば死なのに?
「うーん、それはそうなんだよなぁ……」
「いい加減に止まって受け止めれば良いのでは?」
ミネとネルはユウキにチョコは渡したので比較的楽になったようだ。しかし、ユウキの元にもまだ追いかけてくる奴らは居る。
「はよう受け取らんか!!戯け!!」
──おう、そのチョコだけは受け取るよ!!
「何を言うか!!妾と同じ銃を受け取れい!!妾と共に行けれるのじゃぞ!?」
──言い方が完全に圧政を強いる国王のソレでは?
「知らぬわ!!(ヤケクソ)」
「「ヤケクソになってる……」」
キサキが参戦してきたのだ。ユウキは更にスピードを上げて逃げようとする。が、そもそも既に体力なんてほとんど残っていないので、逃げ切ることが出来ないのは明白だった。
ので、最後の手段を使うしかないのである!!
──フッ!!
「「「飛んだァ!?」」」
ユウキは舞空術でさっさと空中に逃げたのである。ちなみに、舞空術はユウキしか使えないし、教えてもないので真面目に追いかけっこなら切り札級に昇格している。凄いですね……
「舞空術ですか………チョコ以外は受け取る気はないようですね。」
「ま、そもそもこの風習のせいで逃げてるんだしな。チョコは受け取ってもらえるんだしそれで良くねぇか?」
「むぅ……仕方あるまい。ほれ、妾からのチョコじゃ!受け取るが良い!」
──なら遠慮なく。
こうして、他にも追いかけてきたウタハ達エンジニア部や、アリウス達からチョコを貰い、アズサからも受け取った。
──…………虫歯にならないようにしよ!
「歯磨きは必ず朝と夜にしてくださいね?」
──はい………。
こうして、ユウキのバレンタインデーは過ぎていく。とりあえず、これから何をお返しするか考えながら………
一方先生はと言うと……?
"わ、私………まだ、先生で居たいんだけど……?"
「うるさいですね♡先生は私たちとピーーしてピーーするまで帰れませんよ?♡」
"い、嫌だァァーーー!!!まだしにたくなぁーーーい!!!"
「なら、あとは任せて」
"へ?"
先生は、ユウカ達から貞操をめちゃくちゃ狙われたが、クソ強ゲヘナ風紀委員長こと空崎ヒナによって救出された。
さすがのワカモ達でも、フルパワーヒナちゃんの前には無力なのであった。
後日………
ユウキと先生は貰ったチョコを全て食べた。しかし、ユウキはちゃんと歯磨きをしていたので虫歯にはならなかったが、先生は仕事の合間や休憩中もバリバリ食べていたので虫歯が出現。
歯医者さんの所に通う羽目になったという……
読者のみんなも、ちゃんと歯磨きはしておくんだぞ!特に奥歯と歯と歯の間!!
作者は虫歯に何度かなってその度にガリガリサレテルゾ!麻酔打っても効果がなくなったら普通に痛いからならない方がいいゾ!
真面目に歯医者なんて行かなくていいなら行かなくてからな??ただ、定期的に通って虫歯ないか確認した方がいいとは思う。早期発見出来たらそれはそれで助かるし、ないならないで助かるので。
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