ブルアカに降って湧いた人型人外ちゃん   作: 奥床式住居

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 連載作品は結構久しぶりです。
 やる気のある内にストックを溜めました、エタら無い様に頑張ります。

 人外生徒って、“良い”ですよね。


第1話:目覚めた人型人外ちゃん

「ん、んぅ……?」

 

 目を覚ますと、そこは人気の無い路地裏。

 暫く放置されているのであろうゴミが溢れているゴミ箱と、我が物顔で走り回るネズミ。極め付けには空飛ぶゴキブリ。

 

 ……ゴキブリ?

 

「キャァァァアア!!!ゴ、ゴキブリィ?!!!」

 

 思わず飛び上がって、自身の愛銃を乱射しようとして手が空をきる。

 

「あれ……?私の銃は?」

 

 一旦落ち着いて自分の現状を確認して見ると、一糸まとわぬ姿の素寒貧だった。

 咄嗟に赤裸を両腕で隠して周りを確認するが、相変わらず人っ子一人も居ない。近くに服が落ちてないか確認しても布きれすらも無く、あえなく撃沈。

 

 私だって年頃の女の子だ、こんなよく分からない所で裸で転がされていたと考えると自身の貞操についての不安が次々と脳裏に浮かぶ。

 しかし、ネガティブな事をあれこれ考えて居ても現状は何も変わらないので不安は奥へと押し込む。

 取り敢えず、この路地裏の外を確認するしか道は無いので警戒しながら首だけを出す。

 

 誰も居ないどころか何も居ない……

 

 パッと見、なんの変哲も無い街の跡地の様に見えるのだが1つだけ特徴があるとするならばあちらこちらに砂の山が出来ているという所だろう。

 

 暫く観察していると、突然強い風と共に砂が飛んできて思わず目をつむる。それとほぼ同時に顔に衝撃があり、呼吸が苦しくなる。

 

「~~!~~~!!ぷはァ!これは、カーテン……?」

 

 私の顔に飛んできたのはボロボロになったカーテンだったらしい。衣服の替わりと言うには心元無いがしょうが無い、街中を全裸で歩き回るよりはマシだと思おう。

 

 破ったり、括ったりして少しは服の様な見た目になった(元)カーテンを身に纏い廃墟群へと繰り出す。

 …………足下は1枚の布である関係上、太股までのスカートだ。下に何も履いていないからか、スゴく風通しが良くてスースーする。たったの布1枚なだけあってさっきまでの全裸よりも少し背徳感を感じて何か変な気分だ。正直、ちょっと楽しい……

 

 気を取り直して、人が居ないか気を付けながら廃墟群を回ってみるが本当に廃墟以外は殆ど何も無い。物を見つけても時々吹く砂の混じった風に飛ばされてどこかへ行ってしまう。

 しかも廃墟群をぐるっと1週回った事で、この廃墟群が地平線まで続くような砂埃の舞っている砂漠に囲まれているという事が分かった。

 余り良いとは言えないけれど、情報が無いよりはマシだろう。

 

 今日は大分体力を使ったし、明日に備えてもう寝よう。夕方に、しかも路地裏で寝るのは中々に変な気分だけれど扉付きの廃墟はどれも鍵が掛かっていて入れないししょうが無い。

 取り敢えず、お休みなさい。

 

──────────────────────

 

 おはようございます!良い朝!今日も空元気で体を動かしていこう!

 

 昨日言い忘れて居た事だけど、私は何故だか動物に嫌われて居るらしい。

 ネズミから名前を言うのも憚られるGまで、幅広く。

 取り敢えず、これから先の為にも食べ物を探しに行こう。缶詰とか、非常食とか色々残ってるかも知れない。

 

 

 

 シャッターが閉じられている廃墟に目星を付けて、鍵が掛けられていない事を祈りながら上へと持ち上げる。

 ガラガラガラと音をたててあっさりと開いたそれは元々クリーニング店だった様で、会計の奥にはハンガーラックなどが幾つか置いてある。

 しかし、そのどれもに服は掛かっておらず次に向かおうと振り返った時に入り口からはちょうど死角になっている場所にこれまたボロボロのロングコートが掛けられていた。

 

 流石に今の格好のまま人と会ってしまうと私の尊厳が大変な事になってしまうので、私よりも少しオーバーサイズなロングコートを拝借する事にした。

 

「ロングコートって初めて着るけど、思ったよりも着心地良いな……あっ、代金は……今払えないのでまたお金を手に入れたら返しに来ます。」

 

 ちなみに、ロングコートを羽織っても股下の風通りは良かった。

 

 その後も廃墟の探索は続けてみたものの、食料や水等のめぼしい物は何も無くロングコートだけを戦利品として持ち帰ったのだった。

 

 それはそれとして。

 

「どうしよう……」

 

 目が覚めたのが日が昇り始めの早朝だった為、問題なく行動出来ていたけれど今となっては太陽がギラギラと廃墟を照らしている。

 昨日よりも眩い光のせいで探索を切り上げる事になってしまった。

 

 最初の路地裏が日陰になっていてそこに避難したのに、余波だけでも十分熱い。

 

 探索で、体力も殆ど使い切ってもう動ける気がしない。

 

 水が飲みたい……お腹空いた……

 

 

 

 

「チュウ」

 

 鳴き声が聞こえて目線を下に向けると、そこにはネズミがいた。

 

「チュ!チュウ!」

 

 まるで、ボクを食べてくれ!と言っている様に聞こえて口の中で突然唾液が分泌され始める。

 

「チュウ!チュッチュウ!」

 

 もう駄目だ、我慢出来ない。ネズミもこう言っているんだし、食べても良いよね?

 

 ネズミを大事に、丁寧に両手で捕まえる。

 

「ありがとう、せめて苦しまない様に1口で食べるね。」

 

 ガパッ

 

「いただきます。」

 

 そっと、優しく、左眼を中心に花のように開いた肉の花弁でネズミを包み込み咀嚼した。

 

──────────────────────

 

 「うッ!おえぇ!」

 

 あれから気を失っていた様で、空はとっくに星が輝く夜空になっていた。

 

 「ひゅー、ひゅー、ひゅー、おぇええ!!」

 

 3度目の目覚めで最初に感じたのは、本能からの絶対的な多幸感。次に感じたのは理性からの圧倒的な不快感だった。

 何?何?何?さっきのは一体何?

 

 私は何をした?

 

 私は……

 

 ()()()()()()()()()()()()を食べた。

 

 頭の中には私の顔が左眼を中心に花のように開いて、そのままネズミを食べる……いや食べられるネズミ目線の記憶がある。

 丁寧に咀嚼されて命が終わるその瞬間までの記憶が。

 

「なんでッ?なんで食べたネズミの記憶が頭の中にあるのッ?私ってなんなの!?もう、訳が分かんないよ……」

 

 今更になって思い返してみたら自分の名前も、年齢も肉親や交友関係も何一つ思い出せない。絶対に居たのに、絶対に居るのに、私の中には『空っぽ』しか残って無い。

 

 その日は、また気絶する様に眠った。

 

 次の日の早朝には目を覚ました私は、夕方まで悩んで考えた結果どこか何も無い、誰も居ない様な場所に行くことにした。私みたいな訳の分からないバケモノなんて居ちゃいけないんだ。

 

 それからは、歩いて歩いて歩いて歩いて吐いて歩いて歩いて歩いて歩いて吐いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩い吐いてて歩いて歩いて吐いて歩いて歩いた。

 

 もう限界だ、ここまで来れば誰とも会わないはず。

 

 ネズミは小動物だったけれど、私は人間にも同じ事をしてしまうのだろうか。今回はネズミだっただけで、もしかしたらまた私が親しくなった人を食べてしまうかも知れない。

 ネズミを食べた時は、今思い返しても自分じゃ無い何かが私の体を使っている様で怖い。もう嫌だ……

 

 こうやって、誰にも会わずに……死ねるなら……

 

──────────────────────

 

「ん?おい!誰か倒れてるぞ!」

 

「なに?別にたまにいる遭難者じゃ無いの?放っておけばいいじゃん。」

 

「でも、銃も、何も、持ってない。」

 

「装いもみすぼらしいし、財布とかの所持品もゼロ。どうした物かな……」

 

「…………好きにすれば?」

 

「!ワタシの、舎弟に、したい。」

 

「どうしたの?急に。」

 

「コイツ、面が、良い。私の、好み。」

 

「またかよ、でも今回は遭難者だぞ。お前が拾うのか?」

 

「ワタシの家で、面倒、みる。」

 

「私は好きにしたらって言ったからね、責任取らないわよ。」

 

「ふふふ、アナタは、ワタシが、死なせない。」




 自分の人間の部分と人外の部分の乖離に苦しんでいっぱい吐いてほしい。
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