ブルアカに降って湧いた人型人外ちゃん   作: 奥床式住居

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 R-15かなぁ?これ。
 今回、2話目にしてグロ注意です。苦手な人はブラバし下さい。
 ネタバレすると、自殺未遂で血がドハドバです。
 筆が乗っちゃって……


第2話:赤く染まった人型人外ちゃん

「ん、んぅ……?」

 

 こうやって気絶から目覚めるのは何度目だろうか?そんな意味の無い問いかけわ反芻させながら瞼を開ける。

 

「知らない天井だ……」

 

 そもそも。記憶を失っている私からすると知識としての天井は知っていても、実際にちゃんと天井を見たのはこれが初めての経験だ。

 ともあれ、ここはどこなんだろう。俗に言う死後の世界なのかと期待して首を動かして辺りを見回すが、窓ガラス越しに見える空には相変わらず巨大なヘイローが悠々と浮かんでいた。

 

 キヴォトスにおける一般常識と一般教養の大半は問題なく持っているのだが、どこかでそれに違和感を感じている自分もいる。

 

 銃を持ち歩くのは当たり前の筈なのに、それが変だと感じる。

 生徒が国家と同義である学園を統治し政治を行う事に対しても、それが変だと感じる。

 

 当たり前の筈なのに、当たり前じゃ無い感覚。

 

 まあ、これから私は死ななきゃいけないからこんな違和感は掃いて捨ててしまおう。

 

 寝かされていたベッドから起き上がって床に足をついたものの、ずっと何も口にしていないせいかフラフラと足取りがおぼつかない。

 近くにあったサイドテーブルに寄りかかると、そこには1枚のメモ書きが置いてあった。

 

目が覚めたら、机の上にある物は食べても良いよ

 

 字が汚いからかホラーとかそういった要素を感じる。

 

 メモに書いてあるのはあの部屋の中央にある机の事だろう。たしかに、お粥等の消化に良さそうな物が並べて置いてある。

 なんでお粥とかのドロッとした飲む系の食べ物が多いのにナイフとフォークと箸があるの?

 

 どうでも良いか……使えそうだしこのフォークにしようかな。あんまりこの部屋を汚したく無いし、洗面所かお風呂場を探そう。

 

 この期に及んでまだ生きてしまっている私は、自分の死に場所を探して家中をユラユラと彷徨う。

 何度か立ち眩みでこけてしまったものの、目当ての風呂場を見つけて中へと入る。

 元々そんなに広く無い、アパートの1室にある為なのか必要最低限のシャワーだけの小さなシャワールームだった。

 

 脱衣所まで汚してしまっては流石に忍びない為、きちんと扉を閉める。

 

「せっかく助けて貰ったのに、面倒な掃除を任せてしまって本当に申し訳無いなぁ……」

 

 ナイフを喉元まで持ってきて、一息に突き刺す。

 

「ごはッ?!ごほっごほっ!かふっ!」

 

 喉を細長くて薄いもので思いっきり叩かれたかの様な、刺されたのとは違う衝撃が加えられて咳き込んでしまう。

 

「そっ、いえばっ!ごほっごほっ……キヴォトスの人間には生半可な攻撃は利かないんだった。」

 

 意思が足りないんだ、意思が。本当に死のうと思うんだったら、もっと本気で全力で刺さないと。

 

 私を殺す私を殺す私を殺す私を殺す私を殺す私をコロす私をコロすワタシをコロすワタシをコロすワタシをコロすワタシをコロスワタシをコロスワタシヲコロスワタシヲコロスワタシヲコロスワタシヲコロス

 

 自分を俯瞰視点で想像して、その喉元をナイフで刺し貫く。駄目だ、刺した程度じゃ死ねない。なら掻き切るのは?……いける。これなら刺すよりもより早く、確実に殺せる

 

「今度こそ、ワタシヲコロス。」

 

 何故か体からなけなしの力が抜ける様な感覚と共に、手に持つナイフが淡く極彩色に煌めく。

 思わず美しさに見惚れてしまいそうだが、これならワタシヲコロセルと確信する。

 

 今度は一息、二息と整えてから喉を横に切る。

 

「ごぼごぼ、ごぽっ。」

 

 痛みよりも先に熱さを感じて、思わず呻き声をあげようとするが出てくるのは血の泡だけ。

 倒れ込んだ衝撃で頭を打ったからか、はたまた出血多量か、何が原因かは分からないが段々と視界が狭まっていく。

 

 最後に目に移していたのは、シャワールームの床に広がる自分の血だった。

 

──────────────────────

 

《これが『バグ』ってヤツなのかな?》

 

《う~ん、俯瞰視点で自殺をしようとしたことによる認識と暗示の齟齬?》

 

《だから完全に塗りつぶす事が出来なかったのかな?まあ、そもそも完全に塗りつぶされようと不完全に罫線を引かれようと不具合であることには変わり無いか。》

 

《死なれたら困るから、兎に角今はこっちだったね。》

 

 胸の中心を裂く様に(あか)(あか)(あか)い花束が咲き誇る。

 枝の様な蔓の様なソレは、壊れた喉をぐちぐちと縫合していく。

 

《ふぅ、後は時間経過かな?暫くはマトモに発声は出来ないけどしょうが無いよね。》

 

《だって怪物(ワタシ)を否定して拒絶してるんだもん。治したくても治せない。》

 

《非常に興味深いから、是非とも長生きして欲しいな~。これからどう生きてどう苦しむのか、最高に知りたいね。》

 

《───そして最後には、『先生』の事も。》

 

《おっと時間だ、ワタシは観察に戻ろうかな。》

 

──────────────────────

 

「ただいま。」

 

 いつも通り、際だった特徴の無い部屋にひとりごつ。

 

 ただ、今日はそんないつも通りじゃ無い。

 

「あの子、目は、覚めた、かな?」

 

 返事は帰ってこなかったが、逸る気持ちを抑えつつ足取り軽くリビングへ戻ろうと靴を脱いだ時に……ようやく気づく。

 

「他の部屋の、扉が、全部、開いてる……」

 

 砂漠の端っこに倒れて極度の脱水症状だった彼女がもう動き始めたのか、とその回復速度に関心していると。

 

「脱衣所の、扉だけ、閉まってる?シャワー、浴びてるのかな?でも、音が、聞こえない。」

 

 自他共に認める(自称)IQ500のスパコン並みの脳が弾き出したのは、着替えが無くて困っている面の良い彼女の裸体だった。

 

「これは、服を、届けるだけ。何も、やましい、気持ちは、無い!」

 

 なんの躊躇も無く、脱衣所とシャワールームの扉を開け放ったのを彼女は後悔した。

 

 そこにあったのは、床に落ちた血塗れのナイフと口から血の泡を吐いているそれまた血塗れの面の良い彼女だった。

 

「救急車ッッッ!!!」




 ずっと家主ちゃんに迷惑掛けない様にしてるつもりなのに、自分が死ぬという1番の迷惑を考えてない人型人外ちゃんは可愛いですね。
 死体残されても邪魔なだけだよ?
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