ブルアカに降って湧いた人型人外ちゃん   作: 奥床式住居

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 人外要素どこ……?ここ……?


第6話:はたらく人外ちゃん

「よろしく~」

 

 現場監督の現場入りの声に会釈で返す。

 

 今日の私はお金を稼ぐ為に初めてバイトというものにやって来ていた。

 ヤオさんやロングコートなど、私は今の所借金塗れだ。善意の施しに甘んじて何も返さずに暮らすのは人間として駄目だと思うし、誰かから「受けた恩は倍にして返せ」と聞いた気がする。

 

 そういう事で今日やる仕事は、ブラックマーケットの瓦礫の撤去だ。

 ブラックマーケットでは、それはもう毎日あちこちで爆発音が聞こえる。

 聞くところによると、その数はゲヘナに勝るとも劣らないらしい。

 

 ……なんで1つの学園がブラックマーケットと並んで、しかも追い越してるんだ?

 

 閑話休題。そんな爆破されたりして崩れ、壊れた建物の瓦礫を撤去するのが今日の仕事の背景だ。

 

 瓦礫を撤去した土地は撤去した人のものになるという暗黙の了解があるようで、そこら辺でのいざこざもびっくりするほど起こらない。と、ヤオさんが言っていた。

 

 現場監督からの注意事項などの一通りの話を聞いて、遂に仕事スタート。

 

 実は私もそこそこ程度にはスタミナがあるので、沢山働いていっぱいお賃金を貰える様に頑張ろう。

 

 まずはこの瓦礫から……

 

「……!…………!!………………!!!」

 

 はぁ、はぁ、はぁ、駄目だ。全然持ち上がらない……

 

 何が駄目なんだろう?やっぱりもっと下半身に力を入れるとかかな?

 

 

 それから何回か試してみたものの、瓦礫を持ち上げる事は出来ても運ぶことは出来ない。

 どうしようかウンウン唸っていると、突然背後から声がかけられる。

 

「えっと、さっきから瓦礫を持ったりして悩んでるみたいだけどどうしたの?大丈夫?」

 

 現場監督以外から声をかけられたのに驚いて、声も出せず(元から声は出ないけど)固まっていると……

 

「あ~っと、そんなに見つめて来て本当にどうしたの?私の顔に何か付いてる?それとも熱中症?今、冬だけど……。頭ボーッとしたりしてない?」

 

 誤解をさせてしまった。熱中症などでは無いため、急いで首を横に振る。

 

「違うんだ。なら良かった。それで、何を悩んでたの?」

 

 胸ポケットから手帳と万年筆を取り出して、筆談で一応悩みを伝えてみる。

 

『この瓦礫がなかなか運べなくて、どうすれば良いのか悩んでました。心配をおかけしてすいません。』

 

「筆談……声が出せないの?それとも会話が出来ない位のコミュ症?まあ、そんな事はどうでも良いか。」

 

 コミュ症、では無い筈なのだが……なかなかどうしてキッパリと否定出来ないのか。

 

「そうそう、瓦礫だったわね。まず前提として、こんなに大きな瓦礫を1人で運ぶなんてそれこそキヴォトス最強クラスでも無いと無理ね。」

 

 直径7mの瓦礫ではあるが、そこまでなんだろうか?

 

 だって、私程度でも持ち上げられたんだ。案外誰でもいけるだろう。

 

「こういう大きな瓦礫を撤去する時は、大抵複数人で運ぶものなの。どうしても自分1人で運びたいって言うのなら、爆破して瓦礫をもっと小さくするしか無いわね。」

 

『そうなんですか、親切にありがとうございます。今の大きさでも持ち上げる事は出来たので、言われた様に爆破して小さくしてみます。』

 

「ちょっと待って???半分位冗談だったんだけど?私が手伝ってあげるから、一緒に運びましょ?ね?流石に爆破は不味いわよ。」

 

 なるべく人に迷惑をかけない様に、何事も1人でやろうと思っていたのだが……確かに、爆破するのは危ない。それに爆薬なんて持って来ていないし、大幅なタイムロスをする所だった。

 

「それじゃあ、同時に持ち上げるわよ?」

 

 こくりと頷き、親切な彼女の反対側を持つ。

 

「いち、にの、さん!うおぉ!?貴女、力強いわね。これならここにあるどの瓦礫でも、2人で楽に運べそうね。」

 

 楽とは言っても、『いつもより』が付くけれど。と彼女は付け加えた。

 

 でも確かに、1人でやっていた時よりも格段にやりやすい。

 やっぱり、1人でやるよりも他の人の手を借りてやった方が効率が良いか……

 もしよければこの後も手伝って貰いたいな……いや、悪いかな?悪いよね……

 

 考え事をしながら運んでいると、重機の近くまで運び終わってしまった。

 

 やっぱり1人でやろう。人に迷惑はかけちゃ駄目だもんね。

 

「なにボーッとしてるの。本当に熱中症?それならしっかりと水分補給しなさい。そう出ないなら次行くわよ。」

 

 えっ

 

『私と一緒に、やってくれるんですか?』

 

「嫌だった?」

 

『いえ、全然。むしろ』

 

 嬉しいです。

 

 つい書きそうになってしまって、慌てて筆を止める。

 

「むしろ、何よ?」

 

『なんでもありません。次、行きましょうか。』

 

「気になるじゃない、書きなさいよ!」

 

『センパイ!行きましょう、次!』

 

 

 

 その後、新しく仲良くなったセンパイとモモトークを交換してその日のアルバイトは無事に終わった。

 家に帰ってヤオさんに聞いてみると、ちゃんとヤオさんの通牒にお金が振り込んであり、その日の夕飯はお赤飯になった。




 センパイちゃんの性格、最初は『内気』って書いてあったのに『面倒見の良いセンパイ』キャラになってた……謎だ。
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