個性『弾幕』という名のUNDERTALE 作:絶対正義=可愛い
あきらめては いけない……
―――!ケツイを
ちからに かえるんだ!
〜〜〜♪
〜〜〜〜♪
〜〜〜〜〜♪
真っ暗闇の中。
俺の眼の前にある黒板程の大きさの画面。
どこからともなく流れている、軽快な曲。
真っ黒な画面の中に、GAMEOVERの文字とその下に続く文字列。
その光だけが、この闇の空間唯一の光源だ。
「………セーブロードの力…か」
嫌な予感はしていた。
幼少期から俺の頭の中で流れるアナウンス。
『ケツイがみなぎった』という文言。
大抵はとりとめない事を理由にケツイを抱く、酔狂な文字列。
だから、前々から予想していた事だ。
でも。
じゃあ。
だからといって。
それを現実として叩きつけられて、まったく動揺しない程、俺は“ニンゲン”をやめたつもりはない。
セーブ&ロード。
UNDERTALEの主人公やごく一部の存在だけが使えた、物語の根幹とも言える能力。
ケツイの力で時間と空間を巻き戻し、やり直す力。
その力があったから、主人公は物語を進められた。
その力があったから、主人公は地上へ出られた。
その力があったから、主人公は全てを救えた。
その力があったから、主人公は全てを殺せた。
その力があったから、主人公は真実を知った
その力があったから、小さなお花は全てに退屈した。
その力があったから、彼の心は報われた。
その力があったから、最弱は諦めた。
その力があったから、最弱は夕日を見られた。
その力があったから、最弱は立ち塞がった。
その力があったから、彼女はニンゲンに復讐できた。
その力があったから、彼女は蘇った。
その力があったから、
その力があったから、
人生をやり直したいと、思った事はないだろうか。
もしあの時、別の言葉を紡いでいたら。
もしあの時、別の道を歩んでいたら。
もしあの時、別の選択を取っていたら。
誰もが一度は考えた事があるはずだ。
そんな、“もしも”“If”“たられば”を現実にする力。
―――素晴らしい力だ。
「へへっ……ウソはよくないぜニンゲン」
後ろ。
すぐ後ろ。
聞き覚えのない声だ。
当たり前だ。
俺はその声を聞いたことがない。
当たり前だ。
あくまでも俺はその人物を知っているだけなのだから。
「黙って後ろを向いて握手しろ」
振り返る。
暗闇の中ではその全貌が影にかかったかのように、真っ黒だった。
差し出された手を、握る。
ぶぅ〜〜〜……ぶぶぶっ。
「へへっ……手にブーブークッションを仕込んでたんだ。つっても、アンタはどうやら知ってたみたいだけどな」
その全貌が顕になる。
青いパーカーを身に纏い、短パンとスリッパを履いたずんぐりむっくりな低身長の骸骨。
特徴的な笑窪を浮かばせた口元は弧を描き、真っ暗な眼球部分には、白い光があった。
「……はじめましてかな、サンズ」
「……自己紹介が省けて助かるぜ、ニンゲン」
サンズ。
UNDERTALEにおいて、骨の兄弟の兄として登場し、主人公の旅の手助けをしてくれる友にして宿敵。
俺が“弾幕”として使う【骨】と“ガスターブラスター”は、彼の持つ力だ。
「それにしても、サンズ。手が随分硬いね」
「オイラの手が骨張ってるって?骨だけに!」
ツクツクテーン!
「………それで、俺の前に現れたのには……何か理由があるんだろ?」
「オイラの渾身のギャグをスルーかニンゲン……。だけど、話が早くて助かるな。……単刀直入に言うぜ」
――その力……おまえは何に使うつもりだ?
…………。
何に……か。
サンズが聞いているのは、きっとセーブとロードの力だけじゃないんだろう。
つまりは、“個性”『UNDERTALE』をどう使うつもりなのか。
それを聞きたいのだろう。
……俺が何のためにその力を振るうのか。
改めて考えてみる。
けど。
そんなもの考えるまでもない。
「俺は、俺のためにしか力を使わないさ」
「…………っ!」
サンズがポケットに手を突っ込みながら、白い骨を喉元に突きつけてくる。
それでも変わらず、俺は続ける。
「俺はさ、サンズ。平和に“普通”に過ごしたいだけなんだ」
「………なに?」
怪訝な顔で俺の瞳を覗き込むサンズの瞳を見つめ返す。
「普通の企業に入社して、普通に働いて、休日には本を読んで、友達と会って遊んで、たまにイヤな事があって、挫けて泣きそうになって、辛いことも楽しい事も、全部…全部飲み込んで一生を過ごして……いつか誰かと共に骨を埋める」
「…………………」
骨を突きつけながら、サンズが無言で続きを促す。
「でもさ、この世界はそれを許してくれないんだ。そんな“普通”を俺が享受するには、この世界はあまりにも危険に満ちすぎている」
いつ命を落とすか分からない世界だ。
ヒーローと敵なんて、人の命のやり取りを、まるでTVに映るコメディのように見る群衆。
集団としての人間の形が崩れ、個としての人間が幅を利かせる社会。
“個性”という、人が持つにしては“過ぎたる力”を個々が持っていること。
犯罪率は高く、街の何処かでは必ず敵が悪事を働く。
ただの一般人が、その光景を容易に見られるという異常。
「俺の大切な人達が成すすべもなく理不尽に傷ついて、呆気なくその命を散らす」
「………っ」
許せるか?
理不尽を許容して、奪われて。
善人が悪党に踏み躙られる。
「そんな理不尽……見たくない。そんなもの絶対“普通”じゃない」
「…………ああ…わかるよ。
俺の人生に関わらない、赤の他人が傷つくのは別にいい。
でも、そこに俺の大切な人達が入るなら、話は別だ。
俺はソレを許せない。
「けど、俺は力を使う理由を他者に委ねないよ。俺が力を使うのは、そういう……“普通”を享受したいっていう俺のエゴのためだ」
「…………………………」
サンズが静かに目をつむり、 喉元に突きつけていた骨を消す。
「へへへっ……悪かったなニンゲン。オイラとした事が、ちょいと早とちりしちまってたよ」
「いいや、俺も誤解を招くような言い方をしたし、どっこいどっこいだよ」
「…………ま、それを聞きたかっただけなんだ。悪いな時間を取らせて」
サンズがいつものニヤニヤとした表情を浮かべている。
「別にいいよ。それより俺は、ここにサンズが現れたことの方が驚きだった」
「へへっ………オイラの後ろ、見てみろよ」
「?」
スイッと体をそらしてサンズの背後を見る。
けどやっぱり闇しか広がっていない。
「おっと……、
「どういうこと?」
「こっちの話しだよ。それより、アンタはいいのか?そんなところにずっとボーンと立っていて。骨だけに!」
ツクツクテーン!
「………それよりサンズ」
「華麗にオイラのギャグをスルーするなアンタ」
「俺の“個性”って、なんだ?」
「…………そいつは
そっか。
サンズは俺の個性について何か知っているのか。
それを知れただけでも良いかな。
「すまないなニンゲン。オイラも結構忙しいんだ。そろそろオイラは行くぜ?」
「そっか。また会える?」
「……たぶんな」
「そう。……じゃあまたなサンズ」
「………っ。……へへへっ……またなニンゲン」
俺はGAMEOVERの文字が書かれた画面に向き直る。
そのまま画面に手を触れて、ゆっくりと沈み込む。
俺の視界は一瞬で暗転した。
「………こっちはオレに任せろ。あのクソガキは、こっちで抑えとくから」
「ほお……?随分と私の相棒に肩入れするじゃないか、サンズ」
「…………じゃあ行くぜ」
今回は短い。
伏線を張れるだけ張ったため、次回から脳無に対して無双します。
ご期待。
ネタバレ有り(注意)
幕張決意
個性UNDERTALE
UNDERTALEのキャラクターをその身に宿し、力を引き出している。
その身にはGとPの記憶を持つ異なるキャラクターが存在している。
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