現代ごちゃまぜファンタジー掲示板   作:よくメガネを無くす海月のーれん

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ここ最近の更新止まってたのは単純忙しいのとまったく疲れが取れなかったというね……。急に夏始まってビックリ。


外伝 迷宮攻略者異能組親善試合「遺産鑑定士兼相続人スメラギ ヨヘイ 対 実像学派所属レコンキスタ女史」

「そいえばさ。新しく異能組増えたじゃん」

「増えましたわねぇ~」

 

 ちょっと野暮ったいファッションに気を遣う事が無くなった大学3年生のような風貌の男とそんじゃそこらの女性じゃ太刀打ちできないレベルの気品を持つ女、普通であれば交わる事のないであろう二人はとある一つの共通点によって結びついていた。

 

 それは転生者であるということ。

 

 別に本名はあるのだがインターネットにどっぷりつかり込んでいた人間の性か渾名呼びが定着した二人、迷宮魔物使いと異能バーバリアンお嬢はたまの休日を盛大にエンジョイしていた。かたや自身が使役する魔物のトリミング(金属加工)や清掃(研磨)に余念がなく、かたや動物に癒しを求めてきたお嬢が魔物使いの使役する犬(三つの頭があり、それぞれ炎、氷、雷の属性を持つ)を撫でまわしていた日の出来事であった。

 

 魔物使いは【ステリオンの黄銅鳥】の羽を整えて(砥石6000番)いる時、ふと思い出したように口にした。

 

「なんか異能ってもっとこう……超常的な感じを思い浮かべてたんだよ。それこそお嬢みたいなやつ」

「あぁ。わたくしのはどっちかというとジ〇ジョに近い異能ですわね」

「そうそれ」

 

 そう言いながらお嬢が片手を軽く振るう。

 まるで目の前の蚊を払う仕草をすれば、ガオンッという音が鳴りそうな空間のねじ曲がりをもって水入りコップが引き寄せられた。その水を一口飲んだお嬢は手首のスナップを利かせてコップを放ると、またもやガオンッという音が鳴りそうな空間の歪みをもってコップが元の位置に戻された。

 

「便利だよなソレ」

「実際便利ですわよ。慣れるとコップの中身だけを引き寄せたりできますし……それで?」

「あぁそう。でよ。他も同じようなもんを考えてたんだよ。で、出てきたのがアレじゃん?」

「……言わんとすることはわかりますわ」

 

 そういって指し示す先には新たに加入した二人の転生者達の姿だった。二人はそれぞれ別の世界から迷宮攻略に参加した者達であり、異能バーバリアンお嬢と同じく魔法とも違う異能と呼ばれる力を持っている。尤も、上記の会話が示す通りその内訳は全く違うものだった。

 

 そこに一人の男がいた。

 軍帽に軍服といった様相の二十代後半の男は片手に持ったライフル銃とバ〇オでよく見るアレことクランクを持っている。両目を貫くような縦の傷痕が目立つ男はニヤリと笑った。

 

「特務少尉兼遺産鑑定士 スメラギ ヨヘイ。参等級世界遺産が一つ『夢見クランク』の相続人であります」

 

 スメラギ ヨヘイ。

 異能がある世界でも非常に珍しい世界遺産に超常的な能力が宿るという世界観出身の転生者である。転生特典は前世の世界遺産一つを選択し取得する【固有遺産】、奥の手として扱う壱等級世界遺産『富士身薬』を持つ秘密警察である。

 

 スメラギの世界は世界遺産そのものが超常的な力を持ち、それが軍事利用された世界だ。世界遺産を道具に封入するという技術が見出されて以降、適性のある者は世界遺産の『相続人』として選ばれ、その力を扱う事が出来る。また、世界遺産を等級に分け道具に封入する者を『遺産鑑定士』と呼び、国家でも数人程度しか居ない。そんな中、世界遺産の『相続人』であり、『遺産鑑定士』のスメラギは非常に珍しい人間だろう。

 

 そんなスメラギも迷宮に潜るのは理由がある。それはスメラギの世界ではとっくのとうに本編的なものが終わっているのだ。特務少尉として認められてからは国家に反逆する相続人や敵対国家との激闘を果たし、こうして生き残ってきた歴戦の猛者である。このたび、その名誉から幾ばくかの休暇をもらい、バケーション代わりに迷宮に潜っているのだ。ちなみにだがスメラギの世界では迷宮そのものが誰にも道具に封入出来ない特異的な世界遺産として認められていたりする。

 

 それに相対するは一人の女。

 片手に古めかしい本を持った文学少女といった出で立ちは見た目のわりに妙な気だるげと色香を纏っている。ふぅっと吐かれるため息は艶めかしく、そして隠し切れない退屈があった。うんざりしたように告げる。

 

「実像学派所属 レコンキスタ。『サンツァ式思考実験』にて論文を執筆した文学……いや思想哲学者だ」

 

 レコンキスタ。

 再征服の名を冠する女史は、人間の思考が現実に影響を及ぼすという異能性質を持つ世界観出身の転生者である。その中でも実像……視覚による認識を主眼とした学派に所属しており、その名の通り奪われた国土を単身で再征服したクソヤバい女である。転生特典は【長考】。深く息を吸うことで思考速度を速める特典は世界観との相性が良く、また本人も前世が文学者であった事もあり、思考実験を苦としない性格が再征服を成し遂げたのである。

 

 レコンキスタが迷宮に潜る理由は大したものではない。単身で国土回復を成し遂げた実力を危険視された同派閥によって指名手配され、逃走の末に合流した経緯を持つ。派閥の為に頑張ったというのに迫害されたという事実は大きな傷を与え、若干自暴自棄になっているものの、他の転生者達の懸命な対話の末社交力を取り戻しつつあるのだ。

 

 そんな世界観は違えど異能に分類される力を持つ二人、スメラギから提案された交流を深める親善試合は同じく異能を持っているバーバリアンお嬢や他の転生者達も興味あるのか観客としてちらほらと集まっている。

 

 正直なところ、レコンキスタ女史は戦闘があまり得意な方ではないのだが、条件さえ当てはまれば対象を問答無用で無力化できるので実力的にはトントンである。それに、女史の異能は思考実験の側面もある。ようは論文を書くのと同じように異能を扱うのだ。そのため、異能を自由に使えるというのは好きに論文を書ける時間という事であり……端的に言えば様相とは裏腹にやる気は十分だった。

 

 そしてそれはスメラギも同じである。もとより軍人気質が強い彼は鍛錬という弐文字を大事にしており、機会さえあれば筋トレをしているタイプの男だ。相手が女性とはいえ、自分の実力を出せる機会を渇望している彼にとって親善試合は渡りに船だったのだ。

 

 双方、十二分なほどにやる気をもって対面する。

 

 審判を務めるのは休日だというのに駆り出されたNTRの人だった。その機械腕に持っているのは相撲でよく見る軍配であり、それを掲げて声を上げる。

 

「これより親善試合を始めます。両者、準備はよろしいですね?」

 

「大丈夫であります」

「実験準備はOKだよ」

 

「……では、異能組親善試合、スメラギ ヨヘイ対レコンキスタ。はじめっ!」

 

「参等級世界遺産『夢見クランク』……【夢幻城】」

 

 先手を打ったのははスメラギだった。

 バイ〇でよく見るクランクを自身の胸に突き刺すとグルグルと回転し始める。すると背中から後光のように広がっていくは豪華絢爛な城塞だった。スメラギの世界特有の世界遺産【夢幻城】、効果は分身、幻覚、不可視化といった認識阻害に特化した世界遺産はその力を発揮する。

 

 霧のように虚空に溶けていくスメラギを眺めていたレコンキスタは深呼吸の後、ぼそり、言葉を諳んじた。

 

「『ただし、盲点は考えないものとする(スコトーマ)』」

 

 それはとある実像的思考実験において盲点の存在を認めないもの。転じて視界内に存在するのに見えないものを暴く()()()()。空気抵抗を考えないことで計算の煩雑化を防ぐのと同じように、思考実験における煩雑化を防ぐための前置きはスメラギが持つ世界遺産と致命的に相性が悪かった。

 

 人の死角に入り込み、不可避の銃撃を必殺とするスメラギはすぐさまその姿を暴かれる。自身の天敵であることを認めたスメラギはすぐさま接近戦へと移る。見た目から自身よりも非戦闘員であるという思考は遠くからの銃撃よりも近接格闘による制圧を選択させた。

 

 近づきながらも躊躇いなく撃たれるライフル銃に対して、レコンキスタは顔を傾ける。適切な角度、適切な姿勢でもって死角に追いやられた銃弾は()()した。

 

 スコトーマ、心理的盲点の名を冠するソレは皮肉なことに実像学派において思考の邪魔として認められないものだった。よってその前提条件に追いやられたスコトーマはある性質を持つ。盲点を無くす力だ。視界内に存在するのに居なくなったスメラギを盲点として暴き、盲点に追いやられた銃弾を消失させる。

 

「『思考実験、二色しか存在し得ない世界で三色目を認識することは出来得るか』」

 

 続く言葉、女史の身体から染め上げられていく白黒の世界は濃淡のみで世界を色づかせる。途端、女史はスメラギの真横に移動していた。それは二色しかない世界において、三色目という概念が生まれるかどうかという題であり、その世界は白と黒の濃淡のみで構成される。

 

 色の濃淡のみに支配された世界は色の近似が距離の近似となる。スメラギの濃淡に限りなく寄せることで距離を無視した女史に対して、スメラギは一切の手加減を捨てた。

 

「壱等級世界遺産『富士身薬』……【富士山】」

 

 懐から取り出した小瓶を飲み干したスメラギはモノクロの世界に熱を灯す。富士山の伝承として有名な不死の妙薬は服用者に対して限定的な不死を与える。また、宿す熱はマグマであり、溶岩となって自在に操る事も出来る。

 

 銃床に纏わせた溶岩でもって殴りかかるスメラギをすんでのところで躱しつつ、女史はさらなる思考実験を続ける。

 

 

 凡そ異能バトルというにはあまりにも規模感がデカくなった親善試合を眺めながら、魔物使いは感慨深げに言った。

 

「スゲェな。異能」

「アレ等と一緒にされるのはちょーっと、いやかなり不満ですわよ。わたくしのはフツー、フツーですから」

「いや、ジョ〇ョのザ・ハ〇ドはあっち寄りだろ」

「あんな領域展開バトルみたいなのじゃないですわ!!」

 

 そんな会話をよそに親善試合はさらなるフェーズに入った。

 

「天敵に相まみえようとは!いやはや、合縁奇縁とはこのことですな!」

「対応されるとは思ってなかったけどね。ギア、上げるけど良い?」

「心配無用!全力で迎え撃つ所存……!」

「元気だね……じゃあ『思考実験、赤紫が単体で存在し得る場合の世界認識』」

「ほぅ……では(それがし)も。遺産鑑定士スメラギ ヨヘイが以てこれらの遺産を単体の遺産として認める。『遺産群、不死の夢』……【富士夢幻城】」

 

 展開するは赤と紫の色を認識した際に起こり得る色の()()

 単色として存在し得ない赤紫がもし単色として存在するならば……というIFの世界を引っ張り出すソレは全く違う世界法則を呼び出す。

 

 それに対するは遺産の再定義。

 遺産鑑定士かつ相続人、それも弐つ以上の遺産を持つ相続人のみが出来る複合遺産は、遺産同士の相性を要求するが非常に強力な能力となる。【富士夢幻城】の能力は至ってシンプル、不死の複製。夢幻より(いず)るスメラギの分身は不死の力により実体を得る。尽きせぬ不死身のエネルギーが夢幻(ゆめまぼろし)に形を与える。

 

 互いに一切の手加減を排した本気と本気のぶつかり合いをしようとする姿に眺めていた魔物使いはやっぱりといった風に言った。

 

「異能って……スゲェな」

 

 一緒にしないで欲しい。

 

 空間を操る異能を持つお嬢は口に出さず、心の底からそう思った。




転生者紹介
【スメラギ ヨヘイ】
種族:人間 性別:男 年齢24歳
転生特典「固有遺産:壱等級世界遺産『富士身薬』並びに展開される世界遺産【富士山】」
概要
 世界遺産が超常的な能力を持つ世界の転生者。軍服軍帽ライフル銃持ちの古き良き?軍人スタイル。転生特典とは別にその世界特有の世界遺産『夢見クランク』と展開される世界遺産【夢幻城】を持つ。好きなものはざるそば。元ネタはゴールデンカムイの杉本だが、世界観的にはシヴィライゼーション6が混じっている。世界遺産を他の国に取られた時に思いついた。私のピラミッド返せよ……!

 世界遺産を道具にして軍事利用する世界で国家に反逆する革命家や敵対国家と戦ってきた歴戦の軍人。秘密警察でもある。迷宮に持ち込んだのが特典と『夢見クランク』だけで他にも世界遺産を所持している。他に蒐集した世界遺産は国家に帰属しており、特別な任務時に貸与される。特に自然遺産『鏡霊キリコ』並びに展開される自然遺産【鏡霊峰】が貸与された時は【富士山】との複合により、分身したスメラギが死んでも肉体と霊体に分かれて襲い掛かってくる(不死身の能力と幽霊として動く事が出来る能力が悪魔合体した結果)

 本編が終わって休暇を出されたため迷宮エンジョイ中。戦闘狂の気質があり実力者ばかりの迷宮攻略勢にワクワクしてる。いやぁ~!より取り見取りでございますな!

【レコンキスタ】
種族:人間 性別:女 年齢31歳
転生特典「長考」
概要
 思考実験が現実に影響を及ぼす世界観出身の転生者。所属していた学派に裏切られて傷心中であり、心の傷を癒すために迷宮へ旅に出ている。転生特典は深呼吸することで思考速度を速めるというもの。速めるだけであり、それをどう扱うかは本人に依存する。

 実像学派と呼ばれる視覚による存在の認識をテーマにした思考実験を行う。特に『サンツァ式思考実験』は彼女が編み出したもの。元々前世で文学の大学教授をしていた為、そういった造詣が深いこともあり、メキメキと実力を付けていったがそれが嫉妬の対象となり追いやられることになる。

 能力はそのまま論文タイトルだったり前提条件だったりする。なのでレコンキスタの世界で戦うことは討論と言われている。

裏話的地の文回(非掲示板回)について

  • 増やしてほしい(二、三話以上)
  • 現状くらいがちょうどいい(一、二話)
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