ホシノが先生と過去のアビドスに行く話   作:ツキ0912

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第16話 襲撃

沈んだ気持ちでユメ先輩を送って家に帰る。

今日はユメ先輩と2人で水族館に行って楽しく過ごすはずだった。

はずだった...。

先生とソラノ先輩を見るまでは。

別に2人の事は嫌いというわけではない。

ソラノ先輩は苦手だがその言葉にはやけに重みを感じて納得できることが多く、無視できない。

先生も嫌いな大人ではあるが...他よりは信用できる。

もう一度言うが嫌いではない。

むしろ先生に対しては...

いや、これは関係ない

......関係なくはない。

先生は信頼できない大人なはずだ。

それでも...私は心動かされてる。

私やユメ先輩の相談に真摯に向き合う姿。

くだらないことも汚れなども気にしないで私達と楽しむ姿。

間違ったときはちゃんとそれを指摘して正しい方向へと導こうとする姿。

銃弾1つで死ぬこともあるのに危険を顧みずに私達のために動く姿。

信頼できないとは言いつつも、その姿を見て信頼している自分がいるのはもう自覚していた。

それは別に問題じゃない。

...問題は...いつしかそんな先生に惹かれている自分だ。

先生を好きになったと言ってもいい。

だが、これも問題と言ってもそこまで大きなものでもない。

初めての恋でまともにアプローチも出来てないが...

だが、一番の問題はソラノ先輩だ。

ソラノ先輩が先生を見る目は全幅の信頼を置き、慕っているものだった。

ぽっと出の私にはわからない経験と積み重ねがそこにはあるのだろう。

それは先生も同じだ...私には絶対向けないであろう目をソラノ先輩にしているのがわかった。

だからわかってしまう...この恋は決して報われないと。

この2人に私が入る余地がないことを。

それは今日のデート姿を見て確信に変わった。

 

ホシノ(過去)「初恋が失恋...か...」

 

暗くなり始めた空を見上げ私は呟く。

辛かった。

今まで苦しい思いはたくさんしてきたが失恋とはこんなに辛いのか。

そんな沈んだ気持ちの中、歩いていると背後から気配を感じた。

 

ホシノ(過去)「...私に何の用?

一体今日はどこから来たお礼参り?」

 

私が後ろを振り向いて声を掛けると見知らぬ兵士が立っていた。

 

兵士「ひでえな、小鳥遊ホシノ...この前散々うちの会社で暴れてくれたくせに忘れるなんて」

 

ホシノ(過去)「興味ないから覚えてない

それに...私が暴れたってことはアビドスで悪いこと企んでるからそうなるんでしょ...自業自得じゃん」

 

私は銃を向ける。

お礼参りがくることはよくあることだ。

今日はユメ先輩に来ないあたりまだマシな部類だ。

面倒なので早めに片を付けて帰ろう...

そう思っていたが。

 

兵士「おいおいちょっと待て

今回はお前に見せたいものがあるんだよ...」

 

ホシノ(過去)「...なに?」

 

私は動きを止め、兵士がニヤニヤと嫌な笑い方をして近づいてくる。

兵士は携帯端末を取り出して1枚の画像を見せる。

 

ホシノ(過去)「......先生?」

 

そこに写っていたのは先生だった。

ただ何の変哲もない道を歩いている先生の画像だった。

だけどこれは...

 

兵士「小鳥遊ホシノ...最近どうやらこの"先生"ってやつにずいぶんとお熱のようだな?

...さて、お前をこれから拘束させてもらう

それから我々の指示に従え

さもなくば...わかるな?」

 

つまりは先生を人質に取られたようなものだ。

普段であれば私はこの兵士をすぐさま倒して、先生の護衛に行く。

だが...できなかった。

先生にはそもそもソラノ先輩が付いている。

だから心配はないはずだったが...嫌な考えばかりが頭をよぎる。

ソラノ先輩の強さは分かっている。

私と同じ...もしくはそれ以上の強さを持っている。

例えこいつらの仲間全員が襲い掛かっても瞬く間に制圧するだろう。

だけど...もし、ソラノ先輩が気づかずに先生を狙撃されたら?

ソラノ先輩を信頼していないわけではない。

それでも、ソラノ先輩だって人間だ...いや、ソラノ先輩に限らず私だって狙撃に気づかない場合もある。

それがもし起きてしまったら先生はどうなる?

先生は銃弾1つで死ぬ危険がある。

そう思うと私は...動けなかった。

私は先生を守る力がある。

それは護衛をしているソラノ先輩もだ。

だが、様々なもしを考えた途端...恐怖した。

先生を失うことに...

だから私は...

 

ホシノ(過去)「...わかった...それで、どうすればいいの?」

 

兵士「いい子だ...まずは武器をすべて渡せ、そのあとは拘束して付いてきてもらう」

 

私は...初めて戦う前に負けることを選んだ。

 

電話口でユメ先輩が慌てているのがよくわかる。

尋常じゃない慌て方だ。

ユメ先輩が慌てるのは少なくはないがここまでなのはそうそうない。

 

"ユメ、とりあえず落ち着いて

今から私達がそっちに向かう...詳しくはその時に聞くよ"

 

ユメ『わ、わかりました

待ってますから早く来てくださいね!』

 

そう言うとユメ先輩は慌ただしく電話を切った。

 

ホシノ「...何事だろうね」

 

"わからない...ホシノ、出れる?"

 

ホシノ「...なんとか」

 

未だに体に上手く力が入らず...謎の苦しさがある。

それでも一応は戦闘も可能だが...

 

ホシノ「正直に言うね...今の状態で戦えるのは全力の大体4割が限度かも

必要な時はそれを頭に入れて指揮お願い」

 

私の全力は出せて4割。

それがこの状態で出せる能力だと想定した。

 

"...わかった"

 

先生もそれに頷いて軽く支度して私達は隠れ家を出る。

家を出た瞬間、違和感を覚えた。

...囲まれている?

 

ホシノ「先生、敵がいる...一旦家に入って」

 

少し驚きながらも先生は私の指示に従って一度家に戻る。

 

"敵って..."

 

ホシノ「お礼参りだろうね

にしてもちょっとおかしいかも...敵の数が多すぎる...本気の度合いがちょっと違うのを感じる」

 

"...どうする、ホシノ....戦闘可能?"

 

ホシノ「大丈夫、こいつら後で合流されると面倒くさそうだし、ここで倒しちゃお

...うん、ちょっと隠れながら行くかな...前みたいに正面突破は控えよう

先生は家の中から指揮して、今日はなんか狙撃手が...」

 

"ホシノ...?"

 

言ってて気づいた...そう狙撃手が多い。

相手もバカじゃない...私が遠距離狙撃でどうなる存在なのかはこの前の戦闘でわかってるはずだ...

ならなぜこんなに狙撃手を多く配置したのか。

答えはすぐに分かった。

 

ホシノ「先生を狙っている...?」

 

そうなると合点が言った。

ざっと把握した敵の配置、明らかに先生を狙った配置だった。

 

ホシノ「なんだかきな臭くなってきたね

先生、狙撃手が多いから指揮お願いね」

 

"ホシノはどうするの?

隠れながらって言うけど今家から出たら..."

 

先生の言葉を遮るように私はベッドをずらす。

その下には隠し扉があった。

 

ホシノ「昔言ったでしょ、ここは隠れ家だって

なら隠し通路ぐらい作ってあるよ」

 

私は微笑みながら扉を開けて通路に入る。

通路を歩き、出た先で丁度敵を見つけた。

まだこちらには気づいてない。

そのため、背後から気配を殺して近づく。

十分な距離に近づいて背後から手早く武器を奪い、首を絞める。

敵は急な攻撃に焦って手足をじたばたさせている。

やはり敵の練度は低いようだ。

声を挙げることも許さず、ひたすら意識が落ちるまで首を絞め続ける。

敵は焦りながらも背後の私に向けて肘打ちをする。

そんなもの、効かないのに...

 

ホシノ「...うっ...!?」

 

そう、思っていたが甘かった。

体に鈍い痛みが走る。

おかしい...これくらいは普段なら何ともないはずなのに...

痛みに顔をしかめつつも首を絞める手は緩めず、敵はそのままその場に崩れ落ちた。

 

ホシノ「先生、聞こえる?」

 

インカムで隠れ家にいる先生に連絡を入れる。

 

"聞こえてるよ、そっちの状況は?"

 

ホシノ「今通路出たら丁度敵がいてさ、とりあえず倒したよ

運よく狙撃手だったね

あとは...狙撃手が2人でもう3人が普通の突撃兵かな...残りの敵は

けどけっこうきついかも...いつもより耐久力も低下してるみたいだから時間かかるけど慎重にいくね

ユメ先輩にも遅くなるって連絡入れておいて」

 

先生とインカムで話してると別の声が聞こえてきた

 

『アルファ4、どうした...応答しろ!?』

 

どうやら敵の無線による連絡のようだった。

そして最悪なことに連絡相手は私が落としたので応答しない。

 

ホシノ「タイミング最悪...先生、敵に襲撃がバレた!

急いで隠し通路からこっちに来て合流して!」

 

"わ、わかった...今行くよ!"

 

少し慌ただしい声が聞こえ、先生が歩く音が聞こえる。

もう通路には入ったのだろうか...敵部隊の1人が隠れ家に入る様子が見えた。

 

ホシノ「...大丈夫だよね、先生」

 

心配しながら先生を待つ。

その時間はやけに長く感じたが通路の扉が開いた。

念のため警戒したが、先生1人が出てきた。

 

"おまたせ...相手の様子はどう?"

 

ホシノ「1人が家の中に入ったね

きっと今頃私達を探してるよ

そいつが戻る前に狙撃手はあともう1人倒しておきたいね

じゃなきゃもっと警戒されて結構きついや」

 

"了解、そうしよう

一番近い敵はここで...ルートはこうしようか"

 

ホシノ「わかった、それでいこう

先生、結構駆け足で行くから頑張ってついてきてね」

 

先生にそう指示すると私はバレないようにかつ、迅速に移動を開始する。

指示されたルートをなぞり、移動していくがバレる様子はなく、敵の背後に到着した。

私は一度振り向き、先生に仕掛ける旨をアイコンタクトで伝え、接近する。

先程のようにすぐに武器を奪って...

 

「うおっ...お前らは!?」

 

あともう少しのところで気づかれた。

 

「こちらアルファ5、アルファ0応答せよ!

対象がこちらに来ていた!

至急応援を...がっ!?」

 

敵が無線で連絡しているうちに私はその隙に接近し、その腹に複数の銃弾を叩きこむ。

敵は呻き声をあげて倒れ込む。

 

ホシノ「先生!」

 

私は叫ぶ。

それと同時に発砲音が聞こえてきた。

私は狙撃ポイントと先生の間に入り、狙撃を防ぐ。

 

ホシノ「先生、無事!?」

 

"ホシノのおかげでなんとか...

ホシノ、狙撃手の正確な場所見つけたから行ってくれ!"

 

ホシノ「先生はどうするの?」

 

"私は物陰に隠れてる

私抱えながらだとホシノも動きづらいでしょ

だから行ってくれ"

 

ホシノ「...わかった

じゃあ私の盾持ってて...その方が私も身軽になって早く行けるから

それとスモークグレネードも渡しておくね...危険だと判断したらすぐに使って」

 

"わかった、ホシノも気を付けてね"

 

先生に盾を渡して、私は走り出す。

4割ぐらいの力しか出せないと言ったが...今は8割ぐらいは出している気がする。

射線に身をさらすのをためらわずに私は最短ルートを走る。

走りながらも銃弾は飛び交う。

その都度、私は体を動かして銃弾を避ける。

しかし、銃弾は避けきれず体をかすめて微量ながらも傷が増えていく。

万全なら当たらないのに...

 

「なんで...なんで当たんないんだ!?」

 

だが、もう敵は目の前だった。

敵はひたすら銃弾を躱し、接近してくる私に怯えていた。

そんな怯え切って相手の銃を蹴り上げる。

 

ホシノ「捉えた」

 

冷たく言い放ち、的確に銃弾を撃ち込む。

相手は情けない悲鳴を上げてそれから沈黙した。

 

ホシノ「先生、狙撃手は全員倒したよ

...今から合流...はできないかな」

 

気付けば残りの3人に囲まれていた。

リーダー格と思われるのが1人と...雑魚が2人。

この雑魚2人はすぐに対処できそうだと感じたが...

 

「あ、アルファ0...狙撃班のアルファ3、4、5が全員倒されました、どうすればいいですか!?」

 

アルファ0「狼狽えるな、それくらい見ればわかる

やはり最大の障害は貴様だな...小鳥遊ホシノに似た人物...戦闘力もそっくりと来たか」

 

リーダー格のアルファ0と呼ばれた男だけは別だ。

とはいえ、この男もそこまで強くはない。

だが、今の私の状態に疲労度合からしてめんどくさいというのが正直な感想だ

 

アルファ0「さあ、小鳥遊ホシノに似た者よ...じっくりとこの戦いを楽しもうじゃないか」

 

...寒気がした。

やけに芝居かかったその態度に痛々しさを覚える。

少なくとも私は戦いを楽しむタイプじゃないのでそのまでスモークグレネードを投げた。

スモークグレネードを投げて辺りが白煙に包まれ、雑魚2人が狼狽している様子がすぐにわかった。

 

「だ、だめだ...俺もう怖い...逃げるぞー!」

 

「お、俺だって!」

 

ホシノ「逃がさないよ」

 

後々逃がしても厄介だと思い、私は逃げる2人を背後から撃ち、倒す

そのついでにアルファ0にも数発ショットガンを放つ。

だが、手応えはない。

 

アルファ0「流石だな...あっという間に私以外全滅か...おっと!」

 

躱されたのは分かったのでスモークが晴れないうちに私は格闘戦をアルファ0に仕掛ける。

だが、それも防がれる。

歯がゆかった。

今の攻撃もさっきの攻撃も...何もかもが全て足りない。

スピード、重さ...etc...

本調子ならもう制圧が終わってるであろう雑魚に毛が生えた程度の奴に苦戦している...

その事実焦りと苛立ちを生み出し、私の動きはより精細を欠いていた。

こんなはずじゃ...もっと速く...!

 

アルファ0「隙だらけだぜ、小鳥遊ホシノに似た者よ!」

 

ホシノ「くっ...!?」

 

その焦りからか、私は銃を叩き落された。

慌てて拾おうとするもそれも叶わず、頭にアルファ0の銃を突きつけられる

 

アルファ0「がっかりだな...この前見たときはもっと強かったのに...お前、弱くなったな

まあいいよ、命令に従ってお前をここで倒す...悪く思うな...」

 

ホシノ「...確かにおじさん、弱くなったよ...おじさんでも原因はわかんないけど急に力が入らなくなったんだ

...でもさ、なにか忘れてない?」

 

私の質問にアルファ0は怪訝そうな顔をする。

その瞬間、再度スモークグレネードが投擲される...私からではなく、アルファ0の背後からだ。

 

アルファ0「なに!?」

 

突然のことで狼狽えるアルファ0の銃をすぐさま奪い、地面に押し倒す。

 

アルファ0「ま、ま...まて、まってくれえ!」

 

ホシノ「...邪魔」

 

先程の気取った態度とは違い、情けない命乞いに私は聞く耳を持たずに冷たい声で応答しながら弾が尽きるまで撃ち続けた。

銃弾が尽きる頃にはアルファ0の意識も落ちて、襲撃部隊は制圧が完了した。

 

"ホシノ、大丈夫だった!?"

 

ホシノ「なんとかね...助かったよ先生...あのスモークグレネード、ナイスタイミング」

 

駆け寄ってきた先生にお礼を言う。

先生の身を守るために渡したスモークグレネードがまさか私を救うために使われるとは思わなかった。

 

"ホシノ...怪我が..."

 

ホシノ「ああうん、大丈夫

ちょっとした打撲とかすり傷だから」

 

"本当に?"

 

ホシノ「本当だよ

まだまだ戦闘は続きそうなんだし...大きな怪我は避けてるよ」

 

"そ、そうか..."

 

私の怪我が軽微なものを確認して先生は安心した。

 

ホシノ「先生、一度隠れ家に戻ろう

結構私の体の不調がきついや

万全な準備してから行こう」

 

"わかった"

 

先生を連れて一度隠れ家に戻った。

隠れ家は少し荒らされていて、荷物が散乱していた。

散乱していた荷物の中をかき分けて装備を集めていく。

ここ数か月、現代で私が使っていたものに近いものをこつこつと集めていたが...使うときが来るとは...

 

"...やっぱその姿は頼もしいね"

 

ホシノ「おじさんはあんまり好きじゃないんだけどね...なんせこれで色々暴走してたし...

でも先生はこの姿でもそんな風に言ってくれるんだね...ありがとう

だけど、いまのおじさん結構弱体化してるから助けてね」

 

"もちろん、全力でサポートするよ"

 

先生の頼もしい言葉を背に、私は支度を終える。

今度はちゃんと...守るために戦うんだ。

そう決意して、家を後にした。

 

ユメ「あっ...先生、ソラノちゃん!

よかった...遅くなるって連絡来てから全然こなくて心配してたんですよ!」

 

支度を終え、私達はユメ先輩の家に着いた。

道中に敵はおらず、ユメ先輩の家にも特に怪しい存在もいなかった。

 

ユメ「って...ソラノちゃんどうしたの!?

怪我してるじゃん!?」

 

ホシノ「襲撃に逢いました...ですがそこまで大きなけがはありません

それより話を聞かせてください...ホシノちゃんがどうしたんですか?」

 

ユメ「そうなの...ホシノちゃんが誘拐されちゃったの!」

 

私と先生が顔を見合わせる。

昔の私が誘拐された?

正直信じられなかった...

今まで負けたこともない私がどうして...油断だって基本しないはずなのに...

 

ホシノ「あの...それ本当ですか...?

悪戯とかじゃなくて...?」

 

ユメ「でも...画像が送られてきたの...」

 

ユメ先輩がスマホを見せてくる。

確かにそこには傷だらけで拘束されてる昔の私がいた。

でも...誰がどうやって...

昔の私ならユメ先輩を人質にしても構わずに戦っていた...なのに...

 

"...もしかして...私?"

 

先生がそんなことを言う。

 

ホシノ「どういうこと?」

 

"さっきの襲撃...私を狙っての襲撃だって言ったでしょ?

その狙いは私を人質にするためだよ"

 

ホシノ「先生を人質に...?

でもなんで...いつもはユメ先輩なのに」

 

"いつもユメで効果がないからじゃないかな

私はユメよりも弱い...銃弾1つで生死をさまようからね"

 

ホシノ「たしかに...人質でって言えば先生の方が都合がいいかも...

でも、それくらいでホシノが素直に捕まるかな...護衛に私が傍にいるのも知ってるはずだし...」

 

言ってて愚問だと思った。

同じ状況になれば私はどうするか。

強い護衛がいても必ずというわけではない。

想像してしまったのだろう...最悪を。

私なら動けなくなる...

それは、年齢は違えど同じ人を好きなったであろう...同一人物ならなおさらその行動はわかるものだ。

 

ホシノ「......先生の言う通りかも...」

 

"...とりあえず急ごう...この怪我、かなり酷い

早く助けて治療しよう"

 

先生に同意を示すため返事をしようとするが再度謎の息苦しさが襲ってくる。

 

ユメ「ソラノちゃん...どうしたの...?」

 

苦しそうな私を見てユメ先輩が心配そうに私に声を掛ける。

 

ホシノ「大丈夫です...ちょっと...体調不良で...」

 

安心させるためにそう声を掛けた瞬間、自分の手が透けていることに気づいた。

 

ホシノ「先生...ちょっと来て...」

 

慌てて手を隠しながら私は先生を呼んで、ユメ先輩から離れる。

 

"ホシノ、どうしたの...?"

 

ホシノ「結構状況、やばいかも」

 

私は透けた手を先生に見せる。

 

"えっ...透けてる!?

ホシノ...これって..."

 

ホシノ「もしかして、昔の私が死にかけてるのかも

それで、この調子でいくと死んじゃうかもしれない...

そしたら未来の私が消えちゃうってことかも...

だからこうやって体が透け始めちゃったのかな」

 

先生は唖然としていた。

そりゃそうだ...今まで妨害はあれど、私を消そうとするほどの妨害はなかった...

これでは修正ってレベルではない

もはや見えない意思が怒って歴史を歪めているレベルだ。

 

",,,ホシノ、怖い?"

 

気付けば手が震えていた。

...冷静さを装ってみるがやはり怖いものは怖い。

以前勝てない見えない意思である歴史の修正力が本気で牙をむいてきて私を消そうとする。

そんなもの...怖くないわけがない。

 

ホシノ「...まあね...そりゃ怖いよ...死んじゃうかもしれないし

でもさ...もっと怖いのは捕まってるほうの私だと思うんだよね」

 

私は、それでも微笑んだ。

きっと大丈夫だ...そんな確信があった。

 

ホシノ「確かに怖いけど...こっちには先生が着いてるからなんとかなると思ってるよ」

 

"そこまで言われるとあれだけど...大事な生徒を...ホシノを死なせることなんか絶対にさせないよ"

 

2人での会話も終え、心配そうにしていたユメ先輩の元に戻る。

 

ユメ「ええっと...」

 

ホシノ「大丈夫です、ユメさん...ホシノちゃんは私達で一緒に助けましょう」

 

ユメ「ソラノちゃん...!」

 

ユメ先輩は嬉しそうに手を取った。

 

ホシノ「ただし、ユメさんにも働いてもらいますよ

先程も言いましたが私はかなりの不調です

かなりきついと思いますが、大丈夫ですか?」

 

ユメ「いつも危険を顧みずに私を救いに来てくれてるんだよ?

今回は援軍もいるのに...弱音なんか吐いてられないよ!

待ってて、今準備するから!」

 

頼もしい言葉を言ってくれたユメ先輩はへの奥に行きバタバタと慌ただしい音と共に準備をし始めた。

 

ユメ「お、お待たせ...」

 

準備が終わったユメ先輩はよたよたと大量の装備を体にくっつけて出てきた

 

ユメ「こ、これなら私もソラノちゃんの役に...ひぃん!?」

 

盛大に顔から倒れた。

自力で立てないのか、じたばたしているだけだった。

 

ホシノ「...装備はいつもの銃と盾だけにしてください...気持ちはありがたいですが...そっちの方が役に立ちます」

 

ユメ「はい...」

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