すべてを喰らう、その日まで 作:アズライト
二話目です
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「なるほど、遠征中に
「新種と思われる芋虫型のモンスターに武器を溶かされてしまった団員も大勢いてね、お陰で今回の遠征は大赤字になりそうだよ」
そんな言葉をフィンに交わすソラの姿を見て、アイズは胸の奥にある重く濁った感情を抑えつける。
フィンだけでなく、リヴェリアやガレスと話をしているソラに自分も話がしたいと思うが、何を話せばいいのかがわからない。
そもそも、自分にソラと話す資格などあるのだろうか?
そんな疑問すら湧いて出てくる。
アイズ・ヴァレンシュタインにとって、ソラ・ハザマという青年に抱く想いには複雑な物が多過ぎた。
ロキ・ファミリアに所属した当時、両親を奪ったモンスターへ復讐する為の力を欲したアイズは、大人達の言うことを聞かず毎日のように朝から晩までダンジョンに潜っていた。
無論、幼い子供が命を投げ捨てるような無茶を続けている姿を見た大人たちがアイズを叱ったが、自分のやりたい事を大人達が認めてくれないと感じたアイズは、それはもう荒れに荒れた。
当時は闇派閥がまだ活発に活動していた為、大人達はその対応に忙しくしていたし、リヴェリアがアイズの教育係をしてくれていたが、時間が中々取れないので詰込み型の座学が多く、勉強よりもダンジョンで実際にモンスターと戦う方が重要だと思っていたアイズには多大なストレスを与えていた。
そんなアイズと歳が近かったソラは、荒れていたアイズからどれだけ暴言を吐かれても見捨てることなく根気強く関わってくれていた。
また、勉強が嫌で逃げ出した際には教育係のリヴェリアからアイズを庇い、ダンジョンから戻れば軽傷だからと放置していた傷を手当てをし、雑に扱ってばかりで痛みが激しかった武具の整備を手伝ってくれたりと、まるで兄のようにアイズと向き合い続けてくれた。
だが、そんなソラを幼かった当時のアイズは邪険に扱った。
自分の家族は父親と母親だけなのに、ソラがアイズに家族のような優しさを持って接する度に、アイズの中に残る家族の温もりが薄れて消えていくように感じてしまっていたから。
成長した今になって思えば、なんと理不尽な八つ当たりをしていたのだろうかと思う。
そして、7年前のあの日。
私は、また間違いを犯した。
それまでの自分の言動を謝罪し、少しずつロキ・ファミリアの団員が新しい家族であると受け入れ始め、ソラとの間にも絆のような物を感じられるようになっていたのに。
私が、全てを壊してしまった。
何もかもが終わった後、ランクアップを果たしたソラが何度も引き留めるリヴェリアを振り切りホームから出て行った。
ロキやフィンに何度事情を尋ねても「仕方がなかった」、「ファミリアを脱退した訳ではない」、「定期的にホームに顔は出す」としか答えてもらえず、ガレスもリヴェリアもソラがホームから出て独りで暮らさなきゃいけなくなった理由を教えてはくれなかった。
あの日から、ソラとまともに話せていない。
いまも、ソラは私の目と鼻の先にいるというのに……私はソラに声をかけられないし、ソラも私に声をかけてはくれない。
ソラは、私の事をどう思っているのだろう?
怒っている?恨んでいる?それとも……会話をする価値すらないと、興味すら無くされたのだろうか。
「………………ソラ」
無意識にこぼれ落ちた声は、ソラに何を求めていたのか。
アイズ自身にも、わからなかった。
なんか、アイズがすげぇ悔しそうな顔しながら離れていったけど……そんなにあのモンスターを倒したかったのだろうか?
確かにモンスターの横取りは冒険者にとってタブーだし、あの芋虫キメラの身体が大き過ぎたせいで
ギリギリ戦闘前だったみたいだしフィンは団員の損耗が避けられたし、捨てていくはずだった荷物を回収出来るのはありがたいって感じで気にしてないみたいだけど、アイズに謝った方がいいのかね?
Lv.5のアイズだと経験値が手に入るモンスターとの戦闘って結構貴重だっただろうに、俺が横取りしたような感じになるからな。
でもなぁ、アイズにやたら避けられてんだよなぁ。
アイズがファミリアに入った直後は荒れてたからともかく、俺がホーム出て独り暮らしするまではそこそこ仲が良かったはずなんだが、やっぱ避けられるのって俺が持つスキルが原因なのか?
まぁ、そうじゃなかったとしても今じゃアイズも年頃の女の子だし……思春期真っ只中って事で色々と思うとこがあるのかもな。
さて、そろそろフィン達も撤収準備も出来たみたいだし、俺も帰りますかね。
「一緒に戻らないのかい?」
キャンプの撤収を進める団員を一瞥し、上階へ向かう道に歩き出したソラにフィンは声をかける。
「Lv.7の俺がいたら奴らは俺を頼る。それが無意識にでも根付けば死ぬことになる」
「はっ!誰がテメェみたいなクソ野郎を頼るか。オレをそこらの雑魚共と一緒にしてんじゃねぇよ!!」
ソラの言葉が聞こえていたのか、気に入らないとばかりに噛み付くベート。
「狼から犬に成り下がっただけあって、よく吠える」
「ぶっ殺すぞテメぇ!!」
ベートが殺気を込めて叫ぶが、下位の冒険者なら失神するような殺気もレベルが2つも上であるソラには響かない。
煩わしそうにベートを見るソラの視線は、同じファミリアの団員を見るには冷たく路傍の石を見るかのようであった。
「群れを率いることも、配下を守護することも辞め、孤高に生きることもせず、吠えるだけとなった犬が現状の貴様だろうが」
淡々とベートに向け言葉を重ねるソラに反発するかのように、ベートの殺気が強くなっていく。
「俺に噛み付くならせめて
「殺がっ!!」
ベートがソラへ脚を動かそうとした、その瞬間にソラはベートに詰め寄り腹に拳を沈めていた。
ソラの動きはLv.6のフィンですら目で追うのが精一杯であり、Lv.5のベートでは反応すら出来ず、身体をくの字に曲げ地面へ崩れ落ちる。
「殺す、ね」
「あまり強い言葉ばかり使うなよ……弱く見えるぞ?」
痛みにうめきながらもソラを睨むベートを嘲笑うように言葉を投げ捨て立ち去ろうとするソラにフィンは心底疲れたように息を吐く。
「はぁ…………あまり、
「知らん。ロキ・ファミリアに入って腑抜けた奴が悪い」
「相変わらず、厳しいね君は」
「ロキを筆頭に甘やかす奴のが多いからな」
話は終わりだと言うかのように、今度こそ上階に向かうソラの姿にフィンは再び深く溜め息を吐く。
そんなソラの姿に自分に無礼を働いたとティオネが絡むが無視され、ソラは上階へと消えて行った。
ソラの言いたいことも理解できるが、ソラが感じている危機感を共有出来るヒトがほとんどいないのもまた事実だ。
ソラにとっては自分や、同じLv.7であるフレイヤ・ファミリアの『猛者』オッタルでさえ怠惰に映っているのだろう。
「…………黒竜の討伐か。わかっているつもりではあるんだけどね」
自分の野望を優先しその先に黒竜の討伐があると考えている自分と、黒竜を討伐した先にしか未来も野望もないと感じているソラでは、致命的に合わない部分が存在している。
「わかっている
フィンからしたらソラは生き急いでいるようにしか感じないが、ソラは生き急がないと間に合わないと感じているのだろう。
「何とももどかしいね、これは」
オラリオの二大派閥の片割れの長である自分では、いまの流れは変えられない。
自分を信じてついてきてくれている団員たちを放り出すことなど出来ないし、自分が動くことで混乱を起こせば被害を受けるのは団員だけなく都市に住む一般市民にまで広がってしまう。
これまでに背負ってしまった物が多すぎる。それを投げ出してしまえばこれまでの全てが無駄になってしまう。
「何か、些細であれきっかけがあれば……駄目だなこの考えは。こんな様だからソラが罵倒に近いことを言わなきゃいけなくなっているというのに」
「団長、撤収が終わりました」
「わかった、すぐに行くよ」
団員からの報告を受け、フィンは一旦ソラに関する考えを止める。
そして、遠征から無事に地上に帰る為に団員に指示を出し始めた。
ソラの口が悪いのは半分くらいはわざと、あと前世がオタクだったので隙があれば何かの名台詞を使って内心でドヤ顔してる。
ソラがロキ・ファミリアのホームから出て行ったのはランクアップの際に発現したスキルせい。
下記のスキルではないけど、発現したスキルがソラとアイズに悪影響を与える可能性が高かったのでロキとリヴェリアがめっちゃ反対したけど、ソラが自分から出て行くことを選択した。
ちなみに、ソラは自分がホームを出て行った理由をアイズも知ってると思ってる。
ソラくんのスキルの一部。
【
・心装を用い生物を斬り裂いた際、魂を捕食する
・捕食した魂を経験値へ変換する
・対象が強者である程効果が上がる
・対象が強い意志を持っている程効果が上がる
【
・ステイタスの自動更新
・経験値を使用し、傷病を治癒する
・経験値を使用し、状態異常を無効化する
【
原作ソウルイーターとほぼ同じ感じ。
魂は寿命とかではなく、生命力なイメージ。
普通に戦った分の経験値+魂の捕食分の経験値が手に入る。
経験値取得効率は高いけど、ベルくんの【
【
ステイタスの自動更新はランクアップやスキルの発現には対応してないので、ランクアップ等は主神に更新してもらう必要がある。
傷病治癒と状態異常無効に関しては、魔力とかではなく経験値が必要。
経験値を使うので普通に腕とか欠損部位も生えてくるし、なんなら心臓とかも再生する。
ソラくんを亡き者にしたいなら、経験値を使い切るほど再生させ続けるか、全身を一撃でミンチにするか、心臓を潰した上で首を刎ねるくらいしないと死なないけど、ソラくんは耐久を上げる為に定期的にゾンビ戦法をするから耐久がくっそ高いし、Lv.7の経験値を使い切らせるのは実際ほぼ不可能なので怪人より不死身する。