すべてを喰らう、その日まで   作:アズライト

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むっちゃ筆が乗ったので投稿。

みんなアミッドさん大好き過ぎでは?

私?私は、銀髪がね……刺さるんや。

フィーナ・ファム・アーシュライトに性癖を壊されたおっさんなんでね。





ソラを1番よく知っている聖女さま

 

「それで、そのベル・クラネルという子を弟子にした訳ですか」

 

「弟子まではいかないんじゃないかなー、冒険者の基礎を教えてるくらいだし」

 

ゴリゴリと乳鉢で次々と材料を砕いていくアミッドを、俺はソファーでぐたぁと横になって眺めながらここ最近あった事をアミッドと話していく。

 

ここ、ディアンケヒト・ファミリアにあるアミッドの私室なんだけど……何の薬なのか知らないけど、なんでアミッドは私室で調合をしているのだろうか?

 

まぁ、アミッドの仕事が休みなのか確認せず約束なしで来たのは俺なので文句は言えないのだけど。

 

ファミリアの調合室とかだと他の団員も利用するから込み入った話とかは出来ないし、入院患者の容態が不安定なら容赦なく俺を帰すのがアミッドなので、追い返さないということは今日はそんなに忙しくないのだろう。

 

いま話題に出たベルくんと豊穣の女主人で出会ってから数日が経った。

 

あの日、戦い方を教わる気ある?という俺からの誘いに躊躇いながらも食いついたベルくん。

 

フィンとロキを連れて彼のホームである廃教会に向かいフィンたちがヘスティアに謝罪と補償の話し合いをした後、ベルくんに冒険者の基礎を教える許可をヘスティアにもらった。

 

ヘスティアが「ソラくんならいいよ!ベルくんは危なっかしいから是非とも教えてあげて欲しい!!」と全面的に同意する姿を見たロキの顔が結構面白かった。

 

「なんでドチビとそんなに仲が良いんや!?」ってキレてたけど、ヘスティアはじゃが丸くんの店でバイトしてるから、そこで訳あって何度か話した事があっただけやぞ?

 

まぁ、訳と言ってもヘスティア・ファミリアのホームである廃教会は表向きはヘファイストスの土地になっているのだけど、前に土地と廃教会をヘファイストスから俺が買い取ったので、本当の持ち主は俺でありヘファイストスには管理をお願いしているのだ。

 

ちょっと前に、ヘファイストスから「ヘスティアがあまりにもぐーたらだから追い出す予定なのだけど、しばらく廃教会をヘスティアのホームとして貸していいか?」と言われたので、地主としてヘスティアがどういう神なのか探りを入れたことがあるので、その関係でヘスティアとは顔見知りなのだ。

 

ちなみに、表向きヘファイストスの土地にしているのはLv.7ともなるとくだらない嫉妬とかを買うので、廃教会にちょっかいをかけられないよう表向きはヘファイストスの土地にしている。

 

で、主神から許可も貰えたので最近は早朝にベルくんに座学と実践を叩き込んでいる。

 

今日も鍛錬が終わった後、ベルくんは少し休憩してからダンジョンに向かうとのことだったので、俺はベルくんの鍛錬に使うポーション等を買いにアミッドの所に来たのである。

 

まぁ、最近あんまりアミッドとプライベートで会えていなかったので……会いに来たというのもあるが。

 

「しかし、珍しいですね」

 

「ん、何が?」

 

材料を砕くのがひと段落ついたのか、砕いた材料を秤にかけて小分けにしていく。

 

「貴方が男の子にそこまで親切にするのが、ですよ」

 

「その言い方だと俺が女の子にばかり親切にする女たらしみたいに聞こえるから止めて」

 

「否定できますか?」

 

「…………黙秘します」

 

出会った女性を片っ端から口説いてる訳ではないし、普通に過ごしているだけなのだが何故かやたらと俺に引っかかる女性が時々出て来たりする。

 

Lv.7で金も名誉もあるからわからなくもないんだど……本当に謎なんだよな。

 

そのまま持って帰って手を出したことはないのでセーフだと思うのだが、そういう場面を傍からみたら女たらしにしか見えないんだろうなぁ。

 

「まぁいいです、信じていますので。それで、本当はどういった理由でベル・クラネルを鍛えようと思ったので?」

 

本当の理由か、まぁアミッドは俺の事情を知ってるから言ってもいいか。

 

「あー、アミッドは知ってるから言うけど」

 

「あの子、俺と同じでゼウスとヘラの系譜の子でね。直接的な血の繋がりはないけど、俺にとっては弟みたいな存在になるんだ」

 

「……………は?」

 

アミッド、秤に乗せてる材料が机に零れてるからこっち見る前に手元を見てくれ。

 

「ゼウスとヘラの系譜って、本当ですか!?」

 

「『静穏』のメーテリアさんのお子さんだよ彼。父親の方はゼウス・ファミリアのサポーターで黒竜討伐で戦死してる。ベルくん、瞳の色以外はメーテリアさんの面影が強く出ていたよ」

 

『静穏』のメーテリア、ヘラ・ファミリアのLv.3の眷属。

 

生来の病気持ちで、病弱で何かあると体調を崩していたのでダンジョンには潜れなかったが、ファミリア内での訓練と名の付く運動だけでランクアップを2回も行った異才。

 

神々から超絶(ハイパー)残虐(ウルトラ)破壊衝動女神(ヒステリー)と恐れられていた主神のヘラと、当時の世界最強であったLv.9のファミリアの団長である『女帝』を含めた幹部クラスを軒並み正座させ説教してガチ泣きさせたことが2回分の偉業として認められたらしい。

 

ちなみに、説教した理由はメーテリアさんが本当に楽しみにしていた甘味を酒が入ったヘラや幹部がメーテリアさんの物だと気づかずに食い荒らしたからだとか。

 

彼女の二つ名となった『静穏』も「普段はヘラの眷属とは思えないほどお淑やかで穏やか。だけど、ブチ切れたら相手が誰であろうと逆らうことを許さず、ただ黙る他ないような雰囲気を出すので」という理由で命名されたらしい。

 

「お会いになったことが?」

 

「母さんがメーテリアさんたち()()の専属の治癒師だったらしくてね。ヘラ・ファミリアがオラリオを追放されてからのことだけど、ベルくんを出産する際に母さんがメーテリアさんの専属の治癒師だったから手伝いに呼ばれたのよ。当時3歳か4歳くらいだった俺を置いていくことも出来なかったから一緒に連れて行かれて、そのときに」

 

前世の記憶を思い出す前で俺も幼かったからあんまり覚えていないけど、本当に幸せそうに生まれたばかりのベルくんを抱いていた儚い雰囲気をしたメーテリアさんの姿だけが印象的で、今でもはっきりと覚えている。

 

「ちなみに、メーテリアさんは『静寂』のアルフィアの妹さんだから、ベルくんは『静寂』の甥っ子さんとなります」

 

「それ、大丈夫ですか!?あの『静寂』の血縁であると知られたら大変なことになりますよ!?」

 

まぁ、それはそうなんだけどさ。

 

あれから7年ほど経つけど、当時の大抗争で失われたモノは多い。

 

元凶の片割れである『静寂』のアルフィアの血縁であり、ゼウスとヘラの団員の遺児であるというのは知られたらそれなりに騒ぎになるであろう。

 

「ベルくんから少し話を聞いたけど。彼、両親や血縁のことはほぼ何も知らない感じだったからベルくんから情報が流れることはなさそうかな。だから彼の血縁まで知ってるのは俺と、いま話したアミッドくらい?」

 

なんだけど……不安要素があるんだよなぁ。

 

「ただ、両親を早くに亡くして村では義理の祖父に育てられたって言ってたけど……祖父を名乗ってベルくんを育ててたのゼウスっぽいんだよね」

 

そんな目で見ないでくれアミッド。俺も信じられないけど、ベルくんの話を聞くとそうとしか思えないんだから。

 

「英雄譚が大好きだけど、それ以上に女が大好きで。ジジイなのに村の若い女の人を片っ端からナンパして、さらに夜這いをかけようとしてたアグレッシブなジジイってゼウス以外に考えられる?」

 

そんな奴が他にいるなら教えて欲しい。

 

ポセイドン?あいつは他の場所でファミリアの主神やってるのが確認取れてる。

 

「だから、ゼウスのパシリやってるヘルメス辺りならベルくんの事を知っててもおかしくはないかなって」

 

「神ヘルメスですか……彼の神なら確かに知っていても不思議ではないですが」

 

俺、あいつ嫌いなのよね。

 

とにかく胡散臭いし、やたらアスフィをハニトラさせようとするし。

 

国を出て冒険者になったとはいえ、アスフィは元お姫様なんだから多大な苦労をかけないであげて欲しい。

 

前にヘルメス・ファミリアの連中と飲んだときに、「私がこのままヘルメス様の面倒を見続けたせいで行き遅れたら、貰ってくれますか?」って、アスフィから濃い隈が出来て疲れ果てた顔で言われた時はマジでどういう返事をすればいいか困ったんだからな。

 

「それはそうとして」

 

「ん?」

 

とすんと軽い音を立てて、アミッドが俺が横になっているソファーに座った。

 

そのまま少し不機嫌そうな顔で俺の顔に手を伸ばし、頬を掴まれぐにぐとされる。

 

「いま、私が目の前にいるのに他の女性のことを考えませんでしたか?」

 

す、鋭いですねアミッドさん。

 

「く、薬の調合は終わったの?」

 

「今日は休日なのでいまやらなくても問題ありません。それと、誤魔化さないで下さいねソラ」

 

むにぃと掴んだ頬を不機嫌そうな顔で引っ張られる。

 

「あー、前にヘルメス・ファミリアの連中と飲んだ時にアスフィがやさぐれてたなーって思い出して」

 

「ふぅん……それだけではなさそうですが、信じてあげます」

 

俺の顔を両手で挟むと、柔らかな唇が重ねられた。

 

お互いの息が顔に当たり、静かに呼吸をする音だけが響く。

 

じっくり味わうように重ねられていた唇が離され、くすっと笑う顔が見えた。

 

「次の日が仕事だと嫌だったんじゃないの?」

 

「えぇ、ソラは加減をしてくれませんから……ですが」

 

アミッドの顔には聖女の二つ名にふさわしい、優しく慈愛を思わせる笑みが浮かんでいた。

 

「私から誘っていますし、ソラを信じてはいますが」

 

こつんと、俺の額とアミッドの額が重ねられる。

 

目の前にある薄紫色のアミッドの瞳は、聖女の二つ名にふさわしくない悪戯な表情をしている。

 

先程まで浮かべていた慈愛に満ちた表情何処に行ったたんだと聞きたい。

 

「私がソラの最愛であり、私の最愛がソラであることを、いい機会ですから、しっかりと刻んでおこうかと」

 

「あー、そのー。お手柔らかに?」

 

「嫌です」

 

Lv.7で都市最高峰の冒険者になった俺であっても。

 

こうなったときのアミッドには何があっても勝てない。

 

本当に、そう思った。

 

 

 





メーテリアさんの設定は独自設定ですわ。


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ソラくんの母親は某超絶残虐破壊衝動女神のLv.4の眷属でした。

海の覇王討伐後に妊娠が発覚した為に黒竜討伐は不参加、ソラくんの父親も冒険者で黒竜討伐戦で戦死してます。

ファミリアでは後方支援担当で、経口摂取した物を深く解析出来るというスキルを持っていたので薬師や治癒師をしていました。

妊娠中に主神や団長の反対を押し切り「小さく欠けた黒い鱗」を摂取したり、オラリオ追放後は同じファミリアの病弱少女の出産に産婆としてソラくんを連れて手伝いに行ったりしてましたが……過去に摂取した物の影響で幼いソラくんを残し亡くなりました。

オラリオ在住時には、病弱少女が好きだった場所に行く際に忙しい病弱少女の姉の代わりに付き添ったりもしていました。

なお、病弱少女とソラくんの父親と同じファミリア所属のやたら逃げ足の速いサポーターの男を唆した事があったりもする。


ソラくんは、母親の日記で上記の内容を知っています……フィンは薄らと察していますが、ロキ・ファミリアの面々には知らせてません。

アミッドさんは今回の件を含めソラくんが色々と話したのでだいたい知ってます。

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