怪物は、真面目な君に恋をした。   作:カブトムシの相棒

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レンノスケの姿を想像して描いてみたのですが、今迄、絵を描いた事が少ない私には到底理解できないイラストが完成されてしまいました。

絵、描ける人……マジで凄いですね。



では、本編です。



城ヶ崎レンノスケの一撃。

 

 

 

 

 

 

▼レンノスケside

 

 

 

 

 

 

 

 

────俺は裏社会で育った。何処で生まれたのかは知らない。ゲヘナかトリニティか、ミレニアムか、それとも百鬼夜行か?山海經もあり得るし、もっと違う場所で生まれ、ブラックマーケットに捨てられたんだと、今でも時折考えてしまう。

 

 

アリウスは、何処か俺と似ていると思った。いや……辿った道が違うか。

一人でも何とかなった俺の環境と、話す仲間が居てもどうしようもなかったアリウスとは、比べるのは少しお門違いかもしれない。

 

 

でも、酷似している部分はあった。

 

 

────大人たちによる、目上の人達による理不尽な暴力。

 

────ずっと孤独で空腹だった。故に、食料は少ない。きっと奪い合いは向こうでは世の常なのだ。

 

────寒さを凌ぐ為に新聞紙や段ボールを工夫して生活していた。

 

 

……俺は空腹がこの世で一番嫌いだ。

 

 

どんな暴力、暴言でも人は耐えようと思えば耐えられる。そんなの無視すれば良いから。

 

だが空腹、飢餓は違う……あれはダメだ、人間が感じて良いモノじゃない。

 

特にガキが……幼い子供が経験していいモノじゃない……其れが許される世の中なんぞ、極めてふざけてるッ。

 

 

 

────生きる意味が分からなくなった。

 

 

 

これはアイラが言っていた言葉だ。俺も……少し前に、そう言っていたな。

 

あれを聞いた瞬間、俺は血が昇る感覚に襲われたな。

 

アイラ、あの子はまだ幼い。その幼いガキが、言う発言ではない。

俺が8歳の時なんて”生きる生きる生きる!!”と云った感じで、生に貪欲だったのを覚えている。

 

……あぁ、同情したな。可哀想だって、辛くもなった。

 

悲しかったな……俺が居た場所と、何ら変わりない。それが……ショックだった。

 

同情したのは、それを俺も経験した事だから。

 

正直、俺が3才のガキの頃の時からそれは感じてはいた。昔から生に執着していたから、今でも生きてはいるが……。

 

だが、だからこそ、これ以上アイラが苦しまない様に、俺は此処に来た。

 

 

 

 

────アリウスに赴いて、俺は息が詰まりそうになった。

 

 

 

 

考えても見ればそうだ。アイラがアレなのだ、アリウスの現状何て察するに容易い筈……だったのに、俺は心の何処かで否定していた。

 

しかし現実は残酷だった。アイラと同じ、いや……更に小さく、幼い子供が沢山居るではないか。

 

お腹を空かせ、泣き、怯え、辛くて苦しんでいる子供が……俺の目の前に居た。

 

例え様のない激情が、俺の心を支配する。

 

ガキは一番泣かせてはいけない。喜びなら兎も角、苦しみや飢餓を起こさせ悲しみに泣かせるなんて事、断じて許される訳が無い。

 

 

故に、ベアトリーチェは殺さなくてはいけない。

 

 

どんな事情が有ろうと無かろうと、そいつは幼き子供たちを苦しめたことに変わりはない。

 

アイラやシキ、子供達が言うそのベアトリーチェと云う腐れ外道は生きるに値しない、消すしか道は無いのだ。

 

 

 

だから……首ィ洗って待っていると良い。

 

 

死よりも恐ろしい痛みを、お前の身体に刻んでやるからな……ッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────アリウス自治区・旧校舎。

 

 

 

 

 

「────危険なものは、私が没収する」

「え!?」

「な!?……先生!?」

 

 

 

現在、先生は『ミカとサオリの殺し合い』を止めるべく、倒れた柱の裏側へと走り、到着していた。

 

 

あらすじを具体的に言うと………ミカの介入による、大幅な時間ロスを頂いてしまったのだ。

 

先生とベアトリーチェの対話あの後、先生とアリスクは敵を先生の指示の元、殲滅していた。

その最中────アリスクを狙うミカがもう一度襲撃を行った。だが、先生の指示には敵わず、ミカは一度ヘラッた後、逃亡。

 

そして、先生とアリスクは先に進み、少しの休憩を挟み、アツコが囚われている【バシリカ】へと進んだ。其処は、アリウス自治区の旧校舎であり、サオリ達も一度も行った事がない様な場所で、中に入って見ればそれはそれは圧巻の一言だ。天井は抜けて星が見える綺麗な夜空……此処は地下なのに、どうして夜空が見えるのか。

 

そのまま不思議な感覚を覚えながら進むと────……一本道の左右に建てられていた大きな柱、その柱が先生とアリスクに襲う。

 

それは、ミサキとヒヨリ、先生を表側に、そしてサオリのみを綺麗に裏側へと分断させる。

 

それを行った犯人は────聖園ミカ、その人だった。

 

サオリは先生とアリスクに後を託し、ミカは念願のサオリをぶっ殺せる事に歓喜した。

 

 

……其処からは憎悪と贖罪の戦いだった。

 

 

サオリは持ち前の戦闘技術と多彩な武器を用いて、ミカは自前のフィジカルで。

 

大きな戦闘、破壊的な戦闘だった。

 

 

────結果はミカの勝利で終わった。

 

 

ミカはサオリを殺す為に此処まで来た。しかし、サオリの最期の言葉を聞いて……その想いは、憎悪は、大きく崩れる事に為った。

 

ミカは泣き、自分はもうどうすればいいのか……そう思っていた時、分断された先生とアリスクが戻って来たのだ。

 

これが、今である。

 

 

 

 

 

「先生、何で此処に……姫を助けに行ったんじゃ……」

「勿論行くわよ────サオリ、貴女と一緒にね」

「な、あっ……!?」

 

 

 

先生は魅惑的な笑みでサオリにそう告げる。

 

服は汚れており、足や頬には微かだが傷が見受けられる。相当無理して、此処まで来たという事が分かる風貌だった。

 

同時、サオリを呼ぶ声が耳に入った。

 

 

 

「リーダー!」

「無事……ではないけど、生きているね」

「ッ!……ヒヨリに、ミサキまで……」

 

 

 

振り返れば、ヒヨリとミサキも其処には居た。

 

息を弾ませながら、倒れているサオリの元へと駆けて行く。

 

 

 

「ごめんリーダー……説得はしたんだけど、止められなかった」

「うぅ、リーダー……無事で良かったです……あ、いえ、傷が一杯で無事ではないですね?でも、兎に角、良かったです……」

「お前達……」

 

 

 

サオリは瞳を瞬かせる。目の前の家族と、またこうして会えるなんて、思っても居なかったから。

 

驚き、そして……嬉しくも思う。

 

 

 

「……ミカ」

「ぁ……う、せ、先生……」

 

 

 

先生はアリスクから振り返り、後ろに佇むミカを見つめる。

 

愛銃を手に持ち、俯き、心底居心地が悪そうな彼女の顔を覗きながら、先生は……頭を下げ、謝罪する。

 

 

 

「────ごめんね、ミカ」

「せん、先生!?な、なんでっ、謝って……!?」

「私が……言葉足らずだった。もっと貴女に真摯になるべきだった」

 

 

 

誠心誠意の謝罪を、ミカに行う。

 

先生の声質には、深い、大きな後悔の念が込められていた。

 

先生として、大人として……生徒に寄り添えなかった自分を呪う様に、頭を下げていた。

 

 

 

「そ……そんな事ないっ!!わ、悪いのは私でしょう!?そ、それ、それなの、に……どうして……っ」

「生徒の命が懸かっているから、サオリの手伝いをしているんだ」

「ッ………」

「だから、アツコを助けたら────私と、一緒に帰ろう。ナギサやセイアの居る”トリニティ(居場所)”に」

「────ッッ!!……どうして」

 

 

 

ミカは愛銃を握りしめる。

 

それは、心からの歓喜からくる悶えだった。

 

こんな、どうしようもない自分に、何故この大人はこんなにも……優しくしてくれるのか。

 

でも、先生から指し伸べられた手を、ミカは掴めない。

口元が歪み、苦しそうな表情を作りながら、ミカは告げる。

 

 

 

「そんな事したって、何も変らないのに……私は、退学が決まってて、セイアちゃんも……私の、所為でッ……」

「私が手伝う」

 

 

 

先生のその言葉は、ミカの顔を上げさせるには……十分すぎる力だった。

 

 

 

「私が何とかする、私がミカを助ける。どんな状況でも、貴女が望む事でも……私がミカに手を差し伸べる」

「……!!」

「────ミカがどんな子なのかは、私はちゃんと知っているからね」

 

 

 

先生の顔を見る。あぁ……何て綺麗で、輝かしい笑みだろうか。

 

心が温かくなる。どんなに冷え切っても、彼女が居れば寒く何てないだろう、それ程の熱を、先生は持ち合わせていた。

 

でも尚……ミカは否定的だ。

 

 

 

「あはは……何を言っているの?先生。なーんか勘違いしてない?私が────どれだけ沢山の罪を犯したかっ!こんな姿している、私の事……見えてるの?」

「………」

「私は────【魔女】なんだよ?」

「そうだね、ミカは悪い子だ」

「え?」

 

 

 

まさかの肯定、だが、先生が続ける。

 

 

 

「だけど、【魔女】なんかじゃないわ」

 

 

 

それだけは、否定する。

 

 

 

────人を騙し、己を偽り。

 

────人を傷つけ、己も痛めつけて。

 

────そんな事をしておきながら、結果を受け入れる事が出来ずに泣いてしまう────そんな子だ。

 

 

 

「ッ……」

 

 

 

正論に次ぐ正論。

 

ミカは何にも言えなかった。

 

 

 

「でも……和解の手を差し伸べようとする優しさを持ち合わせているし、嫌われる事を自傷してしまう不安定なこどもでもある」

「せ……先生……」

 

 

 

先生がそう告げ、最後に────。

 

 

 

「もう一度言わせて……ミカは【魔女】じゃないよ」

「う、あ……」

「ミカは人の言う事を聞けないだけの不良生徒だ」

 

 

 

────だから、ちゃんと話を聞かせて欲しいな。

 

 

 

最後に先生はそう言って、笑った。

 

それを機に、ミカから涙が流れる。先生の指に触れて、優しく握り、温度を感じながら。

 

 

 

「……そのまま、振り向かないで行ってくれれば、良かったのに……っ」

「ミカ……」

「先生は、どうして私をこんなに苦しめるの……?こ、こんな、事……まだ私にチャンスがあるって、信じさせてさ……」

「あるわよ、ミカ。貴女には幾らでもチャンスがあるの」

「え……?」

「チャンスが無いのなら、また作ればいい」

 

 

 

先生はミサキ、ヒヨリ……サオリ、ミカを見渡しながら、発語する。

 

皆から見て先生の瞳は温かく、素敵に見えた。

 

 

 

 

 

────失敗したとしても、何度でも。

 

────道が続いている限り、チャンスは何回だって生み出せる。

 

────ミカ、サオリ。

 

────人は、一度やニ度の失敗で道が閉ざされるなんて事はないんだよ。

 

 

 

先生は朗らかな笑みを浮かべ、強く、告げる。

 

 

 

「君達の生きる、此の先の未来には────”無限の可能性”があるんだよ」

 

 

 

何度でも、そう告げよう。

 

誰にでもミスはある、失敗を恐れ、動き辛くなる事はある。

 

だがそれは、未来への投資なのだ。

自分が経験したその失敗を、糧にする成長なのだ。

 

だから、まだ若い子供たちには、無限大な可能性を秘めているんだ。

 

何にだって、成れるんだ。

 

 

 

「チャンスがなにのなら、私が作る────生徒が未来を諦めるなんて事、あってはならない」

「………」

「先生……」

 

 

 

先生は全員を見渡して、告げる。

 

 

 

「そういう事は、大人であり……先生である私に任せて」

 

 

 

その言葉は、薄暗い回廊に……勇ましく響いた。

 

 

 

 

その、直後だった。

 

 

 

 

 

『────戯言はそこまでになさい!』

 

 

 

それを否定する大人が居た。

 

薄暗い回廊に、ユラユラと揺れ動く、ホログラムの様に正体を現した大人が居た。

 

 

 

『よくもまぁ、私のパシリカでそんな戯言を言えたものですね』

「────ベアトリーチェっ…!」

 

 

 

名を、ベアトリーチェ。

 

彼女はミカとサオリの悲劇を『見せ物と称して』喜色満面と眺めたいた。

 

だが、それは先生によって終わりを迎えた。しかも、ベアトリーチェにとって最悪の言葉を吐いて。

 

 

 

『興が覚めました。見世物は此処までにしましょう』

 

 

 

扇子を閉じ、ベアトリーチェは声高々と発語する。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?いいえ、私はただ見守っていただけ』

「………」

『こんなつまらない余興はもう終わりに致しましょう。さぁ、今から私の全力を持って貴女達を相手してあげましょう』

 

 

 

先生達を見下し、ニヒルな笑みで……ベアトリーチェは告げる。

 

 

 

『────これより、儀式を始めます』

 

 

 

冷徹な声が、回廊に響き渡る。

 

其れと同時に────身体全体が極寒の地に降りたかのような、そんな殺気が全員に襲う。

 

 

 

「っ!?」

「あ、アツコちゃんっ!」

「そ、そんなっ!まだ時間は、太陽は上り切っていないのにッ!」

 

 

 

アリスクが絶望の表情を浮かべる。

それを嬉々として見下ろしながら、ベアトリーチェは告げる。

 

 

 

『全く、何を勘違いしているのですか?』

 

 

 

アリスクと先生を嘲笑い、見下す。

 

 

 

『私が陽を昇るまで待つとでも?その気になれば儀式は何時でも出来るのですよ。それそらも理解できないとは、何とも、愚かな……くくっ、遊びは終わりです。ロイヤルブラッドのヘイローは間も無く破壊されるでしょう。そして────その神秘性の欠片を通じ、私は【高位の存在】と成るのです』

「や、やめろッ!姫!!アツコっ!!!」

 

 

 

”ウオォォォオオン……”

 

 

 

瞬間、アリスクと先生、ミカの前に現れる敵が居た。

 

 

 

「ひえ!?」

「ッッ……アンブロジウス……だけじゃ、ない……アレはッ」

「な、なんだ、コイツは……ッ!」

「………何て、圧っ」

 

 

 

アリスク、ミカは目の前の強大な存在に、息を呑む。

 

 

其れは────【ユスティナ聖徒会】……その中でも最も偉大な聖女『バルバラ』が、現れる。

 

 

群を引き連れて現れたバルバラは、確かに標準をアリスク達に定めている。

 

 

 

『さて、では幕引きといきましょうか?せ────』

 

 

 

先生。

 

ベアトリーチェがそう言い切る前に、何か、感じた。

 

例え様のない悍ましい気配を、ベアトリーチェは感知した。

 

それは、バルバラもそうだった。

 

いや……その場に居る全員が感知した。

 

先生達の……己達の後ろに、絶大で、果てしない……ドス黒い【殺意】を────その背に感じた。

 

 

 

「な、なに……この、圧……ッッ!!!」

「お、おも、いぃ…!?」

「ッッ……ぐ、うッ!」

「ちょっとちょっと……これ、後ろにもっとヤバいの居たりするッ!?」

「────ま……まさかッ!」

 

 

 

アリスクとミカが、まるで肩に何か重しが乗っかったかのような、急に重力を喰らったかのような姿勢に成る。

その殺気は、その圧は、その気配は……この場に居合わせる者の呼吸を、止める。

 

しかし、先生は違った。感じた事のない殺気、しかし、この気配には覚えがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”コツ、コツ、コツ、コツ、コツ………”

 

 

 

回廊に響く、怒気を含ませた足音。

 

ヒヨリが、ミサキが、サオリが、ミカが……先生が、その重力に逆らう様に、そっと後ろを向く。

 

其れは、その人物は────先生にとって、アリスクにとって、最高とも呼べる人物だった。

 

 

 

 

 

 

 

「────ふぅ……やっと追い付いたぞ、先生」

「は、ははっ……レンノスケッ!」

 

 

 

そう、その正体は……数時間前に通話し、此処に合流すると伝えた『怪物』。

 

────城ヶ崎レンノスケ、其の人であった。

 

アリスクとミカが先生の反応に若干反応できないで居たが、レンノスケの姿を見て、直ぐに驚愕の表情を作る。

 

 

 

「じょ、城ヶ崎、レンノスケッ!?え、あの、怪物がッ!?」

「まさか……冗談でしょう………本当に、此処まで来て?」

「────本当に、来てくれたのか……」

「あわ、わわわ……」

『────は?』

 

 

 

全員、上手く言葉に出来ない。

 

その気配は、その圧は、今己達の目の前に居るバルバラよりも、格段に違う。

 

だというのに、彼は先生sideの、つまり味方なのだ。

それが分かった瞬間、一気に希望の光が見えた。

 

一人、ベアトリーチェは……絶句する。

 

 

 

「レンノスケッ!レンノスケ!ほんっとうに良いタイミングで来てくれたっ!」

「お、先生……うむ、大きな怪我はないな。良かった」

「うん!私は何処も────……そ、そうだ!レンノスケ、君は!?レンノスケは【ヘイロー破壊爆弾】を喰らったって、それで────」

「あぁ、別に大した事ねぇよ。ちょいと背中が痛いが……そんだけだ。アイラってガキ……アリウスの子供も無事だ」

「そ、そっか……よかったぁ……っ」

「アイラ、アイラが……城ヶ崎レンノスケを……────」

 

 

 

ふと、サオリがそう呟くと、聞き逃さなかったレンノスケがサオリの方を向き、発語する。

 

 

 

「そうだ、なぁ、錠前って……もしかしてお前?」

「え?え、あ、あぁ……そうだ」

「そうか。さっきの電話ぶりだな。錠前」

「あ……あぁ」

 

 

 

レンノスケの身体、顔を視認したサオリは、その巨体と傷があある強面の顔、その身に宿す重すぎる圧を肌に感じ、顔をこわばらせ緊張する。

 

レンノスケはボロボロのサオリを一望し、先生をチラリと見て、告げる。

 

 

 

「────お前も、被害者……だったんだな」

「────え?」

「……いや、こっちの話だ。忘れてくれ……錠前、お前を信じて正解だった」

「え、あぁ……此方としても、あんな無茶な話を信じて貰って、感謝しかない。しかも、こうやってお前程の強者が来てくれる何て、夢にも思わなかったから……ありがとう」

「か……勘違いするな。お、俺は、アイラとガキ共とシキの想いをしょったから此処に居る。別に、お前等の為じゃない」

「そ……そうか。すまない……」

 

 

 

一通りサオリと話し、レンノスケは素っ気ない態度でプイッとそっぽを向く。

 

先生とミカ、ヒヨリとミサキは「えぇ……」と、妙な感覚に陥るが、レンノスケが周りを見渡し、発語する。

 

 

 

「で……先生と錠前、後は全員アリウス・スクワッドで良いのか?」

「……私だけ違うよ」

 

 

 

レンノスケの方に向いて、そう告げるはミカ。

 

レンノスケはミカの方を向いて、告げる。

 

 

 

「む?そうなのか。確かに、お前は確かに綺麗だし、高貴だもんな(?)名前は?」

「(え……?)み、聖園ミカ……だけど」

「聖園か。よし……じゃあ、お前等二人は、アリウス・スクワッドなのか?」

「そ、そそ、そう、です……え、えへへ」

「……うん」

「成程、名は?」

「つ……槌永ヒヨリです!」

「……戒野ミサキ」

「槌永に戒野か。じゃあ錠前に聖園に槌永に戒野、俺は城ヶ崎レンノスケだ、宜しくな」

 

 

 

────???

 

 

 

思ってたよりもフレンドリーな人間だった事で、先生以外の全員が困惑する。

 

レンノスケの思っていた人物像が剝がれていき、何処か親和性の高い人間なんだと、そう感じた。

 

 

 

「情報が欲しい。とりあえず……────あの『雑魚共』は敵で良いんだな?」

 

 

 

そう言って、レンノスケはユスティナ聖徒会を睨み、発語する。

 

あの悍ましい気配を放つユスティナ聖徒会を『雑魚共』と発したレンノスケを全員が目を見開くが、先生が賺さず告げる。

 

 

 

「うん、あの幽霊みたいなのは漏れなく全員私達の敵だよ」

「そうか……なぁ、すまないが誰か〈ナイフ〉とか持ってないか?」

「え?な、ナイフ?」

「あぁ、出来ればでいい。持ってないか?」

 

 

 

レンノスケがこの場に相応しくない単語を告げる。

 

だが……あの怪物がソレを所望しているのは何か大きな意味がある。

 

それを即座に察したヒヨリが直ぐに「あ、あります!」と、己の大きなバックを漁り、そして……シキが持っていたナイフよりも〈刀身が僅かに長く、頑丈〉なナイフをレンノスケに渡した。

 

 

 

「ナイスだ、槌永。すまないが少し借りるぞ」

「あ、ど、どうぞっ!」

 

 

 

レンノスケがヒヨリが差し出すナイフを左手で掴む。

 

 

レンノスケが何故ナイフを所望したのか、全員には全く分からない。

 

でも、きっと、それなりの理由があるのだと理解はした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『………ありえません』

 

 

 

ふと、ベアトリーチェの震えた声が漏れる。

 

映る姿を見れば、彼女は……信じられないモノを見る様な、それに対して怯えている様な、そんな表情を作っている。

 

 

 

『あ、あり、えません……ッ!!ありえません!!!』

「ひぇぇ!!」

「……………あ゙ぁ?」

 

 

 

怒号が回廊に響く。

 

ベアトリーチェの表情が急激に強張る。

 

 

 

『なぜ、なぜ!!貴様が此処にッ!?……い、いえ、それよりも何故!!生きている!?貴様は確かに、私が手を加えた〈改良版のヘイロー破壊爆弾〉で、確かにアイラ共々葬った筈ですッッ!!』

 

 

 

ベアトリーチェは牙を向いてレンノスケを見つめる。

 

恐ろしくて仕方なかった、だから暗殺を命じた。

 

サオリよりも気配遮断が長けている『天丈アイラ』に、そう命じた。

 

ベアトリーチェは黙るレンノスケに立て続けに告げる。

 

 

 

『シキが見せた映像越しで確認済みですッ!アレは、あの距離で、ヘイローを持つ者が生きていられる筈がありませんッッ!!!────アイラ、あの小娘……何と愚かなッ!』

 

 

 

”ピキイッッ!!!”

 

 

 

「……愚か、だと……?」

 

 

 

しかし、アイラと云う名が出た瞬間、レンノスケが反応する。

 

ベアトリーチェのその先の発言は、到底感化できる言ではなかった。

 

 

 

『────ただの無駄死にですかッ!?アイラ、何て使えない子供……ッ!』

 

 

 

”プツンッ────”

 

 

 

その発言だけは……してはいけなかった。

 

 

 

────おいッ

 

 

 

”ゾゾゾゾゾゾゾゾゾッッッ!!!”

 

 

 

回廊、いや……最早、この『アリウス自治区全土』を覆い尽くさんばかりの【殺意】を、ホログラム越しのベアトリーチェに放つ。

 

それはユスティナ聖徒会にも放たれる。

 

巻き込む感じに、アリスク、ミカ、先生までも、その殺意の欠片をその身に受ける。

 

 

 

「テメェが、ベアトリーチェか……言われなくとも分かる。その性根が腐った目、クズらしい発言、そのブスな顔────はっ!俺の予想を遥かに上回るバケモンだったとはな」

『は……な、なにッッ!?』

「……ガキ共を殺戮の道具にした挙句、極度の飢餓状態にさせやがって……クズが」

 

 

 

レンノスケの身から放たれる殺意のオーラ。

 

先生も、アリスクも、ミカも、ベアトリーチェも………立ち尽くすユスティナ聖徒会、バルバラも、レンノスケの一挙手一投足を注視する。

 

 

 

「────お前には、死んでもらう」

 

 

 

それは、裏社会を3年もの間、恐怖で震撼させ続けた者が発した『明確な殺害宣言』……それが為す意味は────最早逃げられないと云う事。

 

 

レンノスケが先生とアリスク、ミカを押しのけ、ユスティナ聖徒会とホログラムの様に映るベアトリーチェの前に立つ。

 

そして……重圧な殺意と敵意、その混合したモノを威圧的に発する。

 

 

 

 

「クソ野郎────楽に死ねると思うなァッッッ!!!」

 

 

 

 

”ズアァァァァッッ!!!!!”

 

 

 

瞬間、レンノスケの筋肉が隆起する。

 

身の丈に合ったヴァルキューレの制服がピッチリとキツくなり、レンノスケの大きな筋肉が肉眼でも分かる様に成る。

 

 

その時────ナイフの刀身に()()()()()()

 

それは其の場に居る全員が視認する、不可思議な力。

 

息を呑む。全員が、レンノスケに注目する。

 

先生が、ミサキが、ヒヨリが、サオリが、ミカが………ベアトリーチェが、レンノスケを見つめる。

 

瞬きすら許されぬ、その瞬間を────黙って静観する。

 

 

 

 

 

 

「────とりあえず、テメェらもっかい死んどけェッッ!!」

 

 

 

 

刹那────レンノスケがナイフを持つ左腕を()()()()する。

 

 

 

 

”キイイィィィィィィィィン―――……………”

 

 

 

耳鳴りの様な、何処か響きの良い鉄を叩く様な、そんな音が回廊に響き渡る。

 

 

そして、その場に居る全員の────……思考が、止まる。

 

 

 

 

”ズゥゥゥゥゥン………”

 

 

 

 

 

 

『────あ……は?』

「え……いや、いやいやいやっ!」

「なんだ、これ…っ」

「……冗談でしょ……ッ!」

「ひ、ひえぇぇぇぇ…………」

「……凄い」

 

 

 

全員の目の前に起きた事象は────人間が出来る芸当ではなかった。

 

 

 

『ユスティナ聖徒会が────バル、バラが……()()()()?』

 

 

 

そう、アリスク、先生、ミカの前に佇み、圧倒的なオーラを放っていた【ユスティナ聖徒会】は…………まるで『横に真っ二つに斬られた』かの様に、下半身だけ立たせて、上半身を地面に倒したのだ。

 

しかし、不可思議だ。どうやって刀身が短いナイフで、あの群衆を斬ったのだ?

 

 

 

答えは簡単だ────()()()()()()()()()()

 

 

 

「いや………いやいや、は?」

 

 

 

ミカの素っ頓狂な声が出る。

 

最早、言葉にすら出来ないのだ。意味が分からないから。

 

 

 

『ぎ、ぎッ……か……怪、物ゥッッ!!!』

 

 

 

ベアトリーチェの恐怖交じりの圧が言に出される。

 

認めたくない、認められない理不尽の塊が起こした凶刃は、ベアトリーチェの遥か上を征く強さだった。

 

 

そのままユスティナ聖徒会は”シュゥゥゥーー……”と、蒸発するように、バルバラとアンブロジウスとその他の群衆は消え去った。

 

1秒も掛からず、レンノスケは────ユスティナ聖徒会を全滅させて見せたのだ。

 

 

 

「ベアトリーチェ……」

『っっ!!!』

「俺が其処に行くまで、よぉく考えておくんだな……お前がッ」

 

 

 

 

レンノスケがホログラムに映るベアトリーチェに向け、重圧を放って、告げる。

 

 

 

 

 

「一体誰に────喧嘩を売ったっかって事をなァッッ!!!」

 

 

 

”ブツンッ!!”

 

 

 

その言を最後に、ベアトリーチェのホログラムが消え去る。

 

それは、ベアトリーチェが自分から消したのではない────レンノスケの膨大な神秘が、ベアトリーチェが有する権能を遥かに上回り、飛散させたのだ。

 

 

 

「……無茶苦茶、じゃんね……ッ」

「これが、この男が────」

 

 

 

 

 

”────裏社会、最悪の怪物”

 

 

 

 

 

 

ミカが、サオリが……レンノスケを、果たして自分達と同じ人間なのか、分からなくなって来た。

 

特にミカは人一倍そう思うだろう。彼女は祈るだけで天空から隕石を落下させる超常現象を起こす事が出来る。普通の生徒が真面に喰らえばかなりのダメージが入るミカ特有の攻撃だ。

 

しかし、レンノスケの出斬した攻撃を見て、彼女は『真の意味での死』をその目で見た。

 

あれを、普通の生徒が喰らってしまえば……恐らく、いや────確実に死んでしまう。

 

それをミカのみならず、アリスクも……先生ですら、そう思ってしまう程の攻撃だったのだ。

 

 

だって────レンノスケがユスティナ聖徒会に向け放った斬撃は、最早その先が見えないから。

 

 

水平線の様に、アリウス自治区に大きな横一文字の斬撃を、回廊に残している。

 

 

 

「(ッ!ナイフが、壊れない……?なんで……いや、今はいい…)……ふぅ」

「レンノスケ……」

「ん?どうした、先生」

 

 

 

先生はレンノスケの方を向き、告げる。

 

 

 

「今の斬撃……生徒の、誰かに向けて放ったりとかは、してない?」

 

 

 

それは、先生ならではの問いだった。

 

聞くしかなかった。彼を信じていても、今のを見てしまったら、問う以外に選択肢はなかった。

 

 

 

「生徒にはない。だが……カイザーの鉄クズの様なオートマタ共には、何度かある」

「ッ……そっか」

 

 

 

生徒には無い。それだけで、大きな不安は解けた。

 

でも、大人、カイザーの様な悪徳の組織達にはあるという事。

 

それが意味する事は……この世の禁忌だ。

 

 

 

「改めて、来てくれてありがとう、レンノスケ。お陰でユスティナ聖徒会を何の被害も出さず全滅出来て……いや、ほんと、ありがとう!」

「構わない。それが俺の仕事だ。まぁ俺的に、早くこの事件を終わらせたいしな」

「?」

「ふふっへへ……後で話す」

 

 

 

気色悪い笑い声をしながら、レンノスケは前へ前へと進む。

 

そして「あっ!」と、何かを思い出したかのように、レンノスケが懐から紙を取り出す。

 

 

 

「急がなきゃいけないな。早く『アイラのお姉ちゃん』を助けなきゃ、殺されるんだろう?錠前」

「ッッ!そうだ!早く行かなければ!」

「よし、じゃあコレをお前に渡す」

「え……ッ!!こ、これは!」

「ふっ……聞いて驚くな、これは姫乃が寄越してくれたバシリカへの道だ」

「ッ!レ、レンノスケッ!こんな、いいのか!?」

「くはっ!良いって事よー!姫乃に感謝だなっ」

 

 

 

レンノスケのバシリカへのサオリが喜び、レンノスケは誇らしげに腕を組む。

 

しかし……他のメンバーは呆れた表情を作る。

 

 

 

「……え、いや」

「バシリカって、地下へとちょっと降りて、そのまま真っ直ぐじゃなかったっけ?」

「……地図、もういらなくない?」

「ミサキ!しーっ……」

 

 

 

そう、別に此処から先バシリカの至聖所まで迷う事はない程の一本道なのだ。

 

その事にヒヨリ、ミカが困惑の表情を見せ、ミサキがツッコムが、先生がそれを制止させる。

 

 

 

「よしっ!じゃあ、先生!」

「う、うんッ!それじゃあ!アリウス・スクワッド────出陣っ!」

 

 

 

サオリが先頭に立ち、ミサキ、ヒヨリが武器を持って前へと進む。

 

レンノスケが先生の前に立ち、先生はタブレットを手に持って進もうと前に向く。

 

しかし……一人、何も出来ない女の子が居た。

 

 

 

「………」

「ん?おい、行くぞ聖園」

「え……っ、わ、私はッ……ど、そうすれば……」

「ミカ……」

「は?……はぁぁ?」

 

 

 

そう、ミカのみ、行動出来ないでいた。

 

先生とレンノスケは即座にミカの異変に気付き、立ち止まって、レンノスケが問いただす。

 

ミカは────迷っていた。

 

自分は、どうすればいいのか……サオリを傷付け、先生に迷惑を掛けて、

 

こんな自分が、先生と行動していいのか。

 

 

 

「チッ……ボケが────行くっつってんだろうがァッ!」

「え、きゃあっ!?」

「わあっ!?」

 

 

 

”ガシッ!”

 

 

 

レンノスケはトップスピードでミカに近付き、そのまま『肩にミカを乗せ、ケツを触って抱える』持ち方をする。

 

ついでに先生も空いてる肩に持って。

 

 

 

「え!?な、なんで私も!?」

「ちょっ!!!?ちょっ、ちょっと!?な、何するじゃんね!?」

「ウルセェ!テメェがごちゃごちゃ言ってる間に『アイラの姉ちゃん』はぶっ殺されるかもしんねえんだぞ!テメェ強ぇだろうがッ!黙って俺たちに着いて来やがれッ!」

「はぁぁ!!?ひ、人が真剣に悩んでるのにそんな言い草ないじゃん!……ってか、何処触ってるの!?変態ッ!!ぶん殴るよッ!?」

「やってもいいが、無意味だ。お前如きのパンチなんか蚊が刺す程度の痛み、俺には効かん。黙って俺に着いてこいッ!」

「あはっ!?そう!?じゃあ遠慮なく────破ッ!!」

 

 

 

”ドスッッ!!!”

 

 

 

怒れるミカはレンノスケに体制が悪くても頬に大きな一撃を喰らわせる。

 

しかし、レンノスケは飄々とした顔でミカを睨む。

 

 

 

「ほう、いいパンチだ。やっぱあのアリウス兵はお前がやったのか」

「くっ!ぜ、全然効いてないッ……!」

「ねぇ、なんで私も担がれてるのっ!?レンノスケ!?」

「よし、錠前、先頭頼むぞッ」

「あぁ!任せてくれッ!」

「え?無視!?ってかサオリは何で疑問に思わないのッ!?ヒヨリ!ミサキ!」

「む、無理です……」

「私達が怪物を相手にそんな堂々と手出し出来る訳がなくない?」

「そ、そんなっ!!」

「降ろせーーっ!!」

 

 

 

最早、誰もレンノスケとサオリの天然ボケに敵わない。

 

 

ヒヨリもミサキも二人の行動に「あぁ……」と、諦めの姿勢を見せる。

 

 

そして────先生とミカを担いだレンノスケとサオリを先頭に、メンバーはアツコが囚われているバシリカ至聖所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

▼バシリカへの道中。

 

 

 

 

 

 

「……っ、はぁ、はぁ……」

「おい、大丈夫か錠前」

「ッ!…あぁ!」

 

 

 

サオリのスピードに合わせて並走するレンノスケ。

 

しかし、どうやらサオリは怪我の具合が人一倍酷い。

 

故に、レンノスケは新たな行動を取る。

 

 

 

「ねぇ……私、自分で走れる位には元気だからさ?降ろしてくれないかな?後お尻触った事、絶対に許さないからね」

「黙れアホ。まぁ確かに、お前結構丈夫そうだもんな────よいしょ」

「は?────へぶっ!!」

 

 

 

レンノスケは右肩に持つミカを乱雑に落とし、そして……。

 

 

 

「え、ん、なにをっ?!」

「スピード上げたい。錠前、お前は俺の肩で少し休め」

 

 

 

入れ替える様に、レンノスケはサオリを右肩に担ぐ。

 

先生は未だに左肩に担がれたままだが。

 

ミカは顔面から落ち、そのまま直ぐに立ち上がって、レンノスケと並走する。

 

額に、多数の青筋を浮かばせながら。

 

 

 

「ねぇ!?ねぇねぇねぇ!??!なに?なに今の?ほんっとどうかと思うよ?!」

「あぁ?一々五月蠅い女だな……騒がしいの見た目だけにしろよ」

「あは☆女の子に言う発言じゃないね!……マジで殺すよ!?」

「おう、やってみろ。アホ」

「あは!あははああはっ!……もう許さないじゃんねぇ……ッッ!!!」

 

 

 

何故かミカに対し挑発的なレンノスケに、ミカ含め各々が戦慄するが、ハッと、サオリが己の現状を理解し、レンノスケに向け発語する。

 

 

 

「お、おい!城ヶ崎レンノスケ!わ、私は自分で走れるっ!お、降ろしてくれ!」

「いいや、駄目だ。お前は見るからに傷が多い。先生に応急処置して貰ったとはいえ、疲労は残る。お前が万全じゃなければ『ベアトリーチェ』には勝てないぞ」

「……え」

 

 

 

しかし、返って来た言葉は、その場に居る者全員を困惑させた。

 

だって、レンノスケが居るではないか。あの斬撃を出せば、ベアトリーチェには勝てる。見たモノ全員がそう思ったから。

 

だが、レンノスケが告げる。

 

 

 

「言っておくが────ベアトリーチェはお前達『アリスク』と『聖園』で倒せ」

 

 

 

それは、つまり。

 

 

 

「俺は、何もしない」

「なっ!?」

「は?」

「……レンノスケ、君は」

 

 

 

サオリが、ミカが

困惑の表情を見せる。

 

ミサキもヒヨリも、レンノスケがどうしてこんな発言をしたのか理解できないでいた。

 

しかし先生は、その意図を即座に読んだ。

 

 

 

「────お前達が倒さなきゃ、意味がないんだよ」

「ッ!!」

 

 

 

その発言は、言葉は……確かな意味があった。

 

 

 

「俺は、あぁは言ったが、ベアトリーチェに特別『恨み』はない、あるのは怒りだけ。だが、お前達は違う。積年の恨みと憎悪がある」

「っ………」

 

 

 

レンノスケはアリウスの生徒と交流し、その現状を知って把握した。

 

皆、ベアトリーチェに確りと恨みを抱いている事に。

 

故に、これは己がすべき事じゃなく、アリウスの代表と成って戦いに挑もうとする『アリスク』が為すべき所業なのだと。

 

そう、理解したのだ。

 

 

 

「それに聖園、俺は……お前の事は分からん。なんで此処に居るのかも……だが、あのクズのクソ野郎を見るお前は、何処か憎そうにアイツを見ていた。お前にも……アリウスに似た何かを、アイツに受けたんじゃないのか?」

「それは……っ」

 

 

 

ミカも、元を辿ればベアトリーチェが元凶でこんな目に遭っている。

 

実行したのはサオリ率いるスクワッドだ、だが、命令したのはベアトリーチェ。それはミカも分かっている事なのだ。

 

 

 

「────アリウスの『恨み』は、アリウスの『者』が晴らせ」

 

 

 

全員が何も言わず、レンノスケの言葉を聞く。

 

それは、レンノスケがベアトリーチェを倒すのを『譲る』と云う事。

 

 

 

「だが勘違いするな。バックには俺が付いてる。お前等がやられそうになったら、即、俺がベアトリーチェを殺す」

「レンノスケ……!」

「それで、いいな?先生」

 

 

 

レンノスケの言葉は、願ってもないものだった。

 

先生は担がれながら、レンノスケの意見に同意する。

 

 

 

「うん、うん!分かったよ、レンノスケ!」

「良いよ。俺は、既にあの幽霊たちを殺したし、やる事はやっただろ?」

「うんッ!いやもう、大大、大活躍だよぉ!レンノスケー!」

「え!いやぁそんな……照れるぜ先生」

 

 

 

先生はレンノスケの頭を頑張って撫でる。

 

レンノスケは久しぶりの先生の撫で撫でに、若干驚くも、即座に嬉しそうに頬を緩める。

 

 

 

「…………ずるい」

 

 

 

ミカはいじけた。

 

 

 

「錠前」

「な、なんだ?」

「────勝つぞ」

 

 

 

その言葉に、サオリは……

 

 

 

「────あぁ!」

 

 

 

声高々と、その身を震わせ、レンノスケに疎通する。

 

 

 

 

 

 

────ベアトリーチェが○○〇れるまで、後……僅か。

 

 





実はプロットを変えました。

最初はベアトリーチェをレンノスケに完膚なきまでにボッコボコにさせるつもりだったのですが、やっぱ、ベアトリーチェはアリウス・スクワッドが倒してこそだよな~と、そう思ったので、レンノスケにはユスティナ聖徒会をぶつけました。一瞬だったけど。


此処で、アリスクと共にミカをベアトリーチェにぶつけます。


頑張って執筆するぞー!



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  • レンノスケ、配信者に成る。
  • 16歳組によるバレーボール同盟
  • キリノと二人旅
  • 提示版(レンノスケだけど、質問ある?)
  • レンノスケの過去編
  • 本編:カルバノグの兎編
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