怪物は、真面目な君に恋をした。   作:カブトムシの相棒

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アンケートについて。


前回のアンケートの件ですが、あれ20文字しか書けず情報不足でしたので、此処であらすじを記してからもう一度アンケートを取ろうと思います。




:とある組織の薬でショタになったレンノスケ


・文字通り、とある組織の薬でショタ(5歳)に成ったレンノスケがヴァルキューレやミレニアム、ゲヘナやトリニティ組と何かするお話になります。とある組織はゲマトリアか薬子サヤのどちらかにします。身体は小さく、記憶も5歳から、しかし傷は痛々しく残る形です。初手は曇らせ案件ですが、最初だけですので御安心。後は各自治区がてんやわんやします。愛されですね。





:16歳組によるバレーボール同盟


・完全なギャグ回です。あらすじとして、シャーレにて書類整理を手伝っていたレンノスケがとある雑誌を見つける。それはD.U.にて開催される『バレーボール大会』だった。最初こそ余り興味は湧かなかったが、優勝賞品を見ると、そこには『賞金600万クレジット』、そして『何でもコスプレ一着無料券6枚(主催者の趣向)』だった。これは参加して優勝するしかないと決めたレンノスケ(不純)は、参加してくれる仲間を集めて優勝を目指す話です。

メンバーですが、イチカとイオリは参戦予定です。残り3名も決めてはいますが、まだお出ししません。是非、予想してみて下さい。






:レンノスケとキリノの二人旅


・レンノスケとキリノが二人で旅をするほのぼの回です。旅行先は百鬼夜行か山海經に絞っています。途中難ありですが、究極の純愛を執筆したいと思います。






:レンノスケの過去編


・文字通りレンノスケの過去編。城ヶ崎レンノスケがこの13年間、一体何を想い、何を経験し、何を得たのか……を、ゲマトリア技術で何とかしてレンノスケの関係者の皆さんに『人生上映会』的な感じで観せるお話です。
メンバーは未だ未定ですが、先生とヴァルキューレ組、三大校のトップ層は出ます。
笑いは無しです。読む地獄として最初から最後までシリアス全開でいきます。

テーマは「死んだ方がマシな世界」です。




:掲示板


・レンノスケが『城ヶ崎レンノスケだけど質問ある?』的な事をキヴォトスの掲示板で投稿する話です。





正直、投稿が早いか遅いかの順番ですので気軽に投票してください。



では、本編です。



引っ越しと日常。そして、怪物はとある少女と出会う。

 

 

 

 

「────俺の今後?」

「えぇ、そうです」

 

 

 

シャーレ居住区、キリノの自室にてキリノがレンノスケにとある話を持ち掛ける。

 

時刻は一日の終わり頃、既に時間は9時を回っている。

いつも通り執務室で勉強をして、軽く先生の手伝いをして……いつも通りの生活をした。

 

強いて言えば、もう一人で巡回に向かった事だろうか。レンノスケが其処らを歩くだけで悪巧みをする者達は怖気づいて逃げていく。本当の抑止力に成りつつあった。

 

そんな、何手ことのない幸せな日常に、少しの曇り模様。

 

キリノの部屋でぐうたらしていると、キリノが話しかけてきたのだ。

 

キリノが持ち出した話題は、後3日で終わるレンノスケの監視の事。

 

 

 

「レンノスケはあと3日後にはもうシャーレとヴァルキューレの監視から外れる事に為ります。これは御存じですね?」

「あぁ、無論それは知ってはいるが……それがどうかしたのか?」

「つまり、本官はその日でシャーレから退去する事になるんですよ」

「……え?」

 

 

 

鳩が豆鉄砲を食ったようとは、この事を言うのだろうか、レンノスケが素っ頓狂な表情を作る。

 

キリノの言っている事の意味を理解する。しかし、それは……。

 

 

 

「って事は、だ……俺は、キリノと会う所か、共に暮らす事が無くなると云う事か……?」

「はい、そういう事に為ります」

「な……なにッ!?」

 

 

 

席を立ちあがり、信じられない事実を前に驚愕の表情を作る。

 

 

 

「ちょっ、マジでか!?それじゃあ毎朝してる『キリノのおっぱい枕からの乳〇吸いからの朝セッ〇ス』や『毎夜キリノが俺の耳に甘い愛の囁きをしながらキリノ優勢から始まる粘り気の液体が絡まる様な熱い夜のセ〇クス』が出来なくなるって事か!?!?いやだぁぁぁ!!!」

「なっ!!なに何言っているんですかぁぁ!!!?」

 

 

 

そしてレンノスケの悪い癖である爆弾発言が、執務室内に響き渡る。

 

なんか早口言葉みたいな速度で噛まずに言い終えたレンノスケが酷く悲しそうな顔でキリノを見つめる一方、突如として口に出された羞恥の数々を突如として浴びせられ顔を真っ赤に染めるキリノの180度違う反応は見ていて面白い。

 

 

 

「む?なんか変な事言ったか?」

「すっごく言ってますよ?!?!もう!レンノスケ!ほ、本人の前でそんな、変な事を言わないくださいよっ!」

「本人の目の前でなら良いんじゃないか?誰かに話すより」

「誰にも話さないなんて当たり前なんですよ!ましてや言葉にするなんて……もうーっ!」

「す、すみません……」

 

 

 

ぷうすかと怒るキリノには触らぬが如く、レンノスケは一応謝った。

 

 

 

「あ、あの……つまりはアレか?キリノは俺の監視期間が終わったら、もう此処には居られないって事か?この部屋にも?」

「はい、そうなりますね……レンノスケは、どうしたいですか?要望が御座いましたら、もう少しだけ期間は設けられるかもしれませんが……」

「ふーむ……まぁ、俺も出るかな」

「それは……本官がシャーレから退去するから、ですか?」

 

 

 

これは聞かなくてはいけない。幾ら恋人だからって理由で自分も自分もと云ったヒヨコの様な身体になってしまってはダメだからだ。

己がずっとレンノスケの選択の自由を奪ってしまえば、それは彼の身にもならない。確りと退去する理由を聞かなくってはいけないのだ。

 

レンノスケは無表情のまま、告げる。

 

 

 

「まぁそれもあるが、確かあれだろ?俺がシャーレにこのままずっと居るってのは、それもまた妙な問題になりかねんって話だったよな?」

「そう、ですね……ですが、先程お伺いした通り何かしらの理由を付ければ、まだシャーレ居住区には住む事は可能ですよ?」

「そうか……だがぶっちゃけた話、俺自身ずっとキリノや先生の世話に成りっぱなのは少し嫌だったんだ」

「え……い、嫌、ですか……?」

 

 

 

心がキュっとなる感覚に陥る。先生や自分が今まで彼にして来た事は、彼は実は嫌だったのか?と、変に考えてしまったから。

 

しかし、レンノスケが慌てた様子で言を投げる。

 

 

 

「あー待て、すまない、少し言い方を間違えた。世話に成りっぱなしな俺自身が嫌だったんだ。俺は昔は一人でも生きてはいけたが、今じゃ己の無力を自分で補える程、俺は強くはないと知ってしまったからな……だが、世話に成りっぱなしなのも、また申し訳ないから、だから俺は………俺、は………あー、つまりだな、何て言えばいいか」

「………」

 

 

 

キリノは静かにレンノスケの言葉を待つ。

 

 

 

「……ごめん、キリノ。情けない話だけど────……また一人は、寂しいよ」

「────ッ!」

 

 

 

レンノスケが酷く申し訳なさそうな顔を作って、俯く。

そう捉えられても仕方ない話だった。

 

違う、こんな顔をさせたかった訳じゃない。

こんな、思いを、昔を思い出してほしかった訳じゃない。

 

キリノの心がキュっと締まる感覚に陥る。苦しく、辛くなる。

 

 

 

「また何処かで一人暮らしをする事に為る、それは此処シャーレに来た時から理解していた。これは飽く迄も監視、俺の新たな住処ではない……でも、ごめん。此処での生活は、今迄の生活よりもずっと、ずっと心地良くって、幸せで………あー、その、だな。また一人で暮らすって思ったら、その……ちょっと、怖くなってしまって」

「……レンノスケ」

「え……」

 

 

 

たどたどしく言葉を並べて、精一杯今の己を伝えるレンノスケを、見ていられなくなったキリノは話を折ってレンノスケに抱擁する。

 

身長差がある分、キリノがレンノスケの胸元に顔を埋める形になるが、顎を突き刺す感じでキリノはレンノスケを見上げる。

 

唐突な抱擁にレンノスケは温もりを受けて少し落ち着いたか、息を整えてキリノの言を待つ。

 

 

 

「ごめんなさい、レンノスケ……貴方に、嫌な記憶を蘇らせてしまいましたね」

「あ、い、いや……その、違っ……っ」

「……レンノスケ、貴方の考えは分かりました。貴方のお気持ち、確りと承りました」

 

 

 

キリノが意を決した表情を作り、告げる。

 

 

 

「レンノスケ、今から私が言う事は……少し、吃驚するかもしれません」

「び、吃驚……?」

「はい。ねぇ、レンノスケ────もし仮に、これからは私がずっと一緒に居るってなったら、どう思いますか?」

「……え?」

 

 

 

その発言は、余りにも唐突で、衝撃的だった。

 

それが意味する事は……。

 

 

 

「貴方さえ良ければなのですが……監視期間が終えたら、()()()()()()()()()()()()()()()()

「────ううぇッッ!?いいのか!?」

「はい!本官が住んでいるマンション、2LDKの広めの間取ですので、レンノスケが来ても問題はないかと思います!」

「……願ってもないんだが、良いのか?そんなアッサリと、これって言わば同棲だろう?俺はそういうのを全て理解している訳ではないが、大変だと聞く……キリノの負担に掛かってしまう事は、もっと慎重に決めた方が……」

え?ずっと私の部屋や貴方の自室に入り浸り一日の半分を此処で過ごして夜はここ数週間ずっと共に寝ていて何も不自由や負担を感じていないのに何を言っているんですか?私は此処での生活で急激に縮んでしまった貴方との距離感を何とかある程度に保とうと必死だったのに、貴方と云う人はずっとずっとずっと、ずっと!本官にべったりで恥ずかしい言葉を何の羞恥も感じないで囁いて来ては愛してくれて、私が嬉しい事をずっとしてくれて、それで……え、エッチして……ねぇ、レンノスケ?私にこんな事までしておいて、貴方はこんな些細な事で狼狽えているのですか?

「さ、些細な事じゃないと思うけど……あ、いえ、何でもない、うん」

 

 

 

思ってた以上の凄まじい圧を下から受け、少し狼狽するレンノスケ。

 

しかし、キリノがここまで考え、思いを語ってくれた事は、凄く嬉しかった。また共に過ごせる事もそうだが、何より自分に負けず劣らずの愛を大胆に言ってくれたからだ。

 

キリノが自分からレンノスケに好きという事は対して珍しくない。ちょくちょくキリノからも好意の意を伝える場面は普通にある。

 

しかし、それはどれもレンノスケがアクションを起こしてからが多かった。こうしてふとした時に自分から伝えてくれた事は指で数える程度、それもこの様な重さの愛を伝えてくれた事は余りなかった、だから嬉しかったのだ。

 

 

 

「あぁ、えっと……じゃあ俺は、キリノが元々住んでいたマンションに住んでも良い、って事なのか?」

「そうなりますね。レンノスケが宜しければの話ですが」

「そんな、本当に有難いし、嬉しいよ。キリノからこんな夢みたいな提案を頂ける何て、正直まだ心が追い付いて居ない……ありがとう、キリノ」

「ふふっ!いいえ、此方こそ」

 

 

 

互いに向き合い、礼をし合う。

 

レンノスケの其処には重い想いが込められていた。

腐った人生を13年間あの暗黒街で住み、1ヶ月弱を全てが完備されている施設で送り、そして次は愛しい人の住処で共に過ごす。

 

あの地獄が幻かと思う程、今の己は幸せだった。余りにも出来過ぎて、何かを疑ってしまう程に。

 

 

 

「キリノ……もう少し強く抱きしめても、いいか?」

「……今更、何を仰いますか」

 

 

 

問う、返って来たのは向こうからの強い抱擁。

 

華奢な体躯のキリノの抱擁は、レンノスケには苦しくはない強さ。だけど、凍った心を溶かすには十分な温かさを秘めていた。

 

 

 

「あぁ、温かい……いつも抱きしめているのに、何時までもこうして居たい」

「それは少し困りますが……でも、気持ちは分かります。貴方の身体に触れると、本官も落ち着きますから」

「キリノ……その、俺の身体は少し硬いと思うが、痛くはないか?」

「うん?いいえ、痛くはないですよ。寧ろ………えへへ、えいっ」

「ん、おっ…?」

 

 

 

”ドサッ……さわ、さわ……”

 

 

 

「んくっ!ぅぁ……キ、キリ、ノ……ッ」

「レンノスケ、また大きくなりました?胸筋や腕とか」

 

 

 

キリノがベットにレンノスケを押し倒し、胸や腕をいやらしく触る。

 

くすぐったいか、レンノスケは頬を赤く染め息を漏らす。

 

 

 

「そ、そうか?ッ、余り、実感は湧かないが……」

「いえ、絶対そうですよ!腕や胸、腹筋も初めて会った時よりも逞しくゴツゴツして……身長も、少し伸びてますし」

「んぁ?身長?」

「気付いていませんでしたか?レンノスケ、ちょっと身長が伸びているのですよ?明らかに初めの時よりも視線が違います」

「え、マジで?それこそ余り実感が湧かないんだが……」

「後でもう一度測ってみましょうか。もしかしたら2mいってたりするかもですし!」

「これ以上デカく成んのかよ、俺……」

 

 

 

キリノを上に乗せ、見上げる形でキリノを見つめるレンノスケ。

 

こうして密着すれば、確かに己の面積が分厚くなった気がしなくも無い。

衛生的に良い食料面での効果もあるのだろう。シャーレのトレーニングルームや射撃訓練場で鍛えてはいた。それがこうして他者に気付かれるまでに成長していると分かった。

これ以上身長がデカく成るのかと、少し旋律はしたが。

 

そんな事を思っていると……キリノが、レンノスケの制服を脱がそうとする。

 

 

 

「……んッ!?キ、キリノ??!」

「何ですか?」

「い、いや、何してるんだ……?」

「何って……制服を脱がしているのですよ?」

「み、見れば分かる。いや、どうして俺の制服を……?」

「いえ、レンノスケが中々に疑心暗鬼ですので、本官が直々に貴方の身体の成長を説明しようかと思いまして!」

「う、うん???」

 

 

 

時折、本当に時折、キリノはレンノスケですら理解が出来ない事をしようとする。

 

 

 

「そうこうしている間に────せぇぇいっ!」

「いやぁぁぁんっ!!」

 

 

 

悲報:レンノスケ、上半身裸にされる。

 

キリノにされるがまま、レンノスケは制服、Yシャツ、そしてインナーを全て脱がされそのゴツイ身体が露になる。

 

 

 

「うぅ……恥ずかしいのよぉ」

「いつも見せている癖に何を今更……」

「もう、お嫁にいけない……」

「お嫁は私の仕事です。いや先ず、また変な知識を付けてきましたね貴方は……全く」

 

 

 

そんな会話をしていると、キリノがレンノスケの身体に触れる。

 

裂傷、火傷痕……幾多の戦歴から刻まれた傷跡が、痛々しくも勇ましく有った。

 

 

 

「うん……筋肉、やっぱり大きく成ってますよ」

「そうか?ふむ……そう言われると、やはり嬉しいな」

「……凄い傷跡ですね」

 

 

 

レンノスケの身体に刻まれている数多の傷の跡は、それはもう全身に在って。

 

その中で大きく存在感を出しているのは、先の大事件……ヘイロー破壊爆弾によって受けた背中の火傷痕だろう。

 

未だ少し赤く、大胆に背中の面積の半分を刻んでいる。

 

 

 

「ふっ……知ってるかキリノ。男の傷は勲章ってヤツなんだぜ」

「それ、前も言ってませんでしたか?」

「あれ?そうだったか?」

「そうですよ、ちょっと違いますけど……貴方が入院していた時、コノカ副局長がお見舞い品で渡して頂いた漫画の”モモピース”読んでいた時、急に貴方が『今‼疼くのは、この傷だ…!!!』って急に上裸になって言った時はどうしたもんかと思いましたよ」

「その後アイラに聞かれて死ぬほど謝ったよな」

「あれ以上肝が冷えた場面は中々ありませんでしたね……」

 

 

 

レンノスケのバカに一人の少女のメンタルがぶっ壊れかけた話で盛り上がっていると……。

 

 

 

「……気にしているのなら、それは杞憂だぞ、キリノ」

「ッ!……貴方にはお見通しでしたか」

「まぁな。キリノは視線や表情で分かり易い」

「……すみません」

「いいや、寧ろ感謝だよ。気にしてくれたってだけで、俺は嬉しいからさ」

 

 

 

レンノスケがキリノを抱きしめる。

キリノもレンノスケを抱きしめる。

 

明るく振舞い、全く気にしていなくとも、やはり気になってしまう。

 

身体の傷は全て永遠モノ、レンノスケは男だから、そんな事で括ったりは出来ない程、レンノスケの傷跡は数が多すぎる。

 

本気で心配しているキリノに、レンノスケは……。

 

 

 

「キリノ」

「え?ぁ……んっ」

 

 

 

────キスで、安心させる。

 

 

 

甘い、優しい口づけ。それは今のキリノにはピッタリな優しさだった。

 

 

 

「っ、はっ…………もう」

「くははッ、隙アリだぞ、キリノ」

「っ!ふふ……一本取られましたね、これは」

 

 

 

火照る。身体が熱くなる。

互いの視線が蕩ける様に交じり合い、段々と顔が近づいていく。

 

 

 

”ちゅっ、ちゅるっ……じゅるっ、ちゅっ”

 

 

 

「んっ、ぅぅ……っ」

「ふ、っ………」

 

 

 

今度は、舌を入れ合い混じり合う。

深いキス。レンノスケの腕が腰から、お尻へと向かう。

 

 

 

「んっ!んぁ、ぁ……んくっ…」

「ふはっ……さっき俺の身体の話になったが、キリノ、貴女の肉体も中々大きく成っているんだぞ?」

「ひゃっ!ぁ、そ、そんな、事……っ」

 

 

 

もみもみと、キリノの豊満な尻を揉みしだく。

柔い臀部は、レンノスケの大きな掌でも余る程に大きい。

 

 

 

「そんな事?何を言っている、貴女のケツと胸は以前よりも確かに成長している。俺好みにな」

「へ、変態……貴方が、延々と揉むから、大きく成っているのですよ……っ!?」

「え?そうなのか?てっきりキリノが太ったからだt……あででで」

「………おばか」

「じょ、冗談だよキリノ。くははッ、だがそういう事なら………朝まで寝れるとは思うなよ、キリノ」

「あうっ……お、お手柔らかに………ん、んぅぅぅっ…!」

 

 

 

その後、シャーレの居住区から何やら甘美な声が夜中に響いたとか………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後、午前11時。

 

 

 

 

「────結局、レンノスケはお前のマンションの一室で同居する形に落ち着いたのだな」

「はい、そうなりました」

 

 

 

シャーレ執務室。

 

其処には珍しくカンナとネルが来訪していた。

カンナは最後のシャーレ監視の件として、ネルは当番として来ていた。

 

 

 

「テメェ……マジで、ど、同居すんのかよ」

「まぁな。すげえだろ美甘」

「いや別に」

「え?」

「あ、あはは……」

「……先生も、二人の決定に言い分は無いと?」

「まぁね。この件に関して私は深く踏み込む意味がないから。二人が話し合って決めた事なら、それで良いんじゃないかな」

「そうですか……貴女がそう仰るのなら、私からは何も言えませんね」

 

 

 

カンナと先生が話し合い、各々の想いを綴る。

二人はこう言うが、無論思う所はある。子供で同居、しかも異性での共暮らしだ。

 

加えて恋人同士……まぁ、先生やカンナと云った保護者目線からすれば心配にはなる。

 

しかし……レンノスケの過去を一部知る二人だからこそ理解出来るものもある。

13年もの間ずっと孤独で生き戦って傷付いてきたレンノスケの心情は図れない。一体どれ程の地獄か、どれ程の苦痛か……自分達には、到底理解はできないだろう。

 

キリノが言っていた、彼は一人はもう嫌だと、そう告げていたと二人は聞いた。

 

胸が裂けそうな想いに成った。

 

 

 

「ふぅ……レンノスケ、キリノ」

「あぁん?」

「はい、カンナ局長」

「お前達が話し合って決めたのは分かった。我々としてもお前達の決定には尊重する。だが……約束はしてほしい」

「約束?」

 

 

 

カンナが続ける。

 

 

 

「先ず、お前達二人が恋仲に成った事の秘事は、これは継続だ」

「………なぁ、思ったんだが、そりゃ一体なんでなんだ?別に隠す事でもないだろ」

「いいや、あたしもそれは隠した方が絶対に良いと思うぜ」

「美甘まで、なんでだ?」

「……キリノ」

「本官は全く気にしておりません、これは……えぇ、仕方のない事ですから」

 

 

 

カンナ、ネル、キリノの3名が秘匿の継続を強く肯定する。

 

レンノスケ自身、別に、言いふらすとかするつもりはないが、こうもあからさまに隠し通す事に何の意味があるのか理解できないでいた。

 

するとカンナが非常に申し訳の無い表情を作り、告げる。

 

 

 

「────弱点だからだ」

「あぁ?」

「ふぅ……────ふッ!!!」

「ッ!シィッ!!!」

 

 

 

”チャキッッ!!”

 

 

 

突如、ネルがキリノに己の愛銃【ツイン・ドラゴン】を突き立てる。

それに即反応したレンノスケが颯爽とキリノとネルの間に割り込み、ベレッタをネルに突き立て殺気を放つ。

 

 

 

「……冗談じゃ済まされねぇぞ、おい」

「……後ろ、どうなってるよ」

「あ!?……ッ……おい、あんたもか、何の真似なんだお前等ッ」

「………」

 

 

 

レンノスケは後ろ、護るキリノの更に後ろのカンナの気配を察知し……怒りに震える。

 

カンナも、キリノに銃を突き立てている。

何の脈絡もない脅し行為、レンノスケは最優先にキリノの安全確保に動こうとした時……カンナが発語する。

 

 

 

「これが答えだ、レンノスケ」

「は?………ッ!」

「気付いたかよ、この意味を」

 

 

 

気付いた。気付いてしまった。

 

好きが無い最強の怪物の唯一の弱点……それは。

 

己の命よりも最優先である『中務キリノ』と云う存在だった。

 

だけどそれは……限りなく、最愛の人を傷付けてしまう。

 

 

 

「ふざけるなよ……これが、お前等の言いたい事!?こんなん只のキリノに対する侮辱じゃねぇかッ」

「だが事実だ。この事実がある以上、知らされてしまえば最悪な未来が訪れかねん」

「おい、あたしもカンナもんな事ァ言いたくねえのを百も承知で言ってんだ。いいか?テメェの実力と影響力はキヴォトスでも最高峰だ、それは1ヶ月経った今でも波を知らねぇ。テメェがブラックマーケットを脱するまで悪化しまくってたキヴォトスの治安が今じゃ見る影もねぇ」

「レンノスケ、連邦生徒会長が失踪する前の治安と何ら変わりない今のキヴォトスが在るのは、紛れもない先生とお前自身の貢献だ。一人の人間が持つには余りにも偉大で凄まじい事象を知らぬ内にお前をもう為している。以前のお前だったら何処にも弱点の無い存在だった、だから【裏社会の怪物】と謳われ、7億の首であろうが何だろうが、出会い生き残ろうとする事さえ無謀と民衆に言わしめたのが昔のお前だ」

「だが今は違ェ。今のお前は、戦闘力は上がっているかもしれねぇが、昔よりも明らかに【覇気】がねぇ。甘く、丸くなったとも言えんな。それはいずれクソ共にバレるぞ……お前を恨む奴は多い、どれだけ無謀であろうが何時か絶対にチャンスを見つけて襲撃に掛かってくる────城ヶ崎レンノスケを攻略する鍵が一人の女ともなれば、どうなる事か位お前にも分かるだろう」

「…ッ」

 

 

 

カンナとネルの言葉に、レンノスケは何も言えなくなる。

 

それもこれも正論だ。痛すぎる程の事実だ。

 

 

 

「”大いなる力には、大いなる責任が伴う”……古くからの格言でこの様な言葉があるが、今のお前にはピッタリだ、レンノスケ」

「……別に、言いふらすとか、自慢とかしようとは思っていなかった。聞かれたら別に答えても良いとは思っていた……だけど」

「想像以上の問題だったって訳だ。やーっと理解しやがったなぁ?この野郎」

「………」

 

 

 

理解した。しかし、レンノスケにとっての不安要素は己の背中に居る愛し人だ。

 

キリノは強さと平穏を求めている。己が強くなり、警備局に入る事を希望している子だ。

 

しかしキリノは、身体能力は兎も角、射撃能力は芳しく良くない。同時に、いざ本番になるとテンパって更なる二次被害を招いてしまう事も多々ある。

 

それを身に染みて理解しているのは、紛れもなく本人だ。

 

 

 

「レンノスケ、本官は大丈夫ですよ」

「ッ……キリノ」

「本官が貴方の弱点になってしまう……えぇ、これに関しては、本当に申し訳ないと思います。本官が貴方の足を引っ張らない程度の戦力を持っていたら、こんな問題は発生しなかったのに」

「……キリノ、俺は…っ」

「なので本官は、本官が出来る事を精一杯します」

 

 

 

キリノがレンノスケの片手を両手で持ち、目を合わせて告げる。

 

 

 

「レンノスケ!貴方は強いです!えぇ、とっても!貴方は誰よりもお強い!貴方の在り方は本官の自慢です!どうか貴方はその力を、本官と市民の皆さんを守る為に、思う存分使って欲しいです!」

「ッ!」

「ネルさんの言う通り、貴方は丸く、甘くなりました。でも本官からすれば、それは非常に喜ばしい成長だと思いますよ!だって、それってつまりもっと人に優しく出来る様に成ったって事じゃないですか!」

「キリ、ノ……」

「それに、単純な話本官がもっと強くなれば良いんですよ!だって本官には貴方と云う凄く頼もしいパートナーが居るので!射撃や戦闘訓練など、色々と教えてくれるのでしょう?」

「それは、そう、だな……」

 

 

 

思わず目を瞑りそうになる程、キリノの表情や言葉は眩し過ぎた。

 

キリノとレンノスケの戦闘力は天と地の差がある。それに生じるは最悪の展開。

 

普通だったら、レンノスケの足枷に成ってしまう己を卑下する場面でもあるが、キリノと云う女は圧倒的光属性、向上心の塊、最強のメンタルを持ち合わせたビッグな少女だ。

 

例え現状がレンノスケの弱点であろうと、克服すれば良いと豪語する胆力がキリノにはあった。

 

 

 

「ふぅ……くはっ!キリノには、夜しか勝てないな」

「夜でもたまーに本官が勝ちますよ?」

「あんまり吠えるなよ?一昨日の続きを今日の夜にしてもいいんだぞ?」

「ふふっ……えっち」

「どの口がそれを言う……泣かすッ」

おいコラお前等ふざけんなよテメェ等おいコラあぁぁぁぁん!!!?

よくもまぁ私達の前でそんな粘っこいイチャコラが出来るのものだなァ!?

「はぁぁ………もう」

 

 

 

 

その後、レンノスケとキリノはシャーレで先生の仕事を手伝った。

 

カンナは用事を済ませ、ネルは当番は午前中のみだったから共にシャーレから帰宅。

 

 

 

 

 

 

 

▼そして日は流れ、数週間後……。

 

 

 

 

 

 

☆キリノside

 

 

 

こんにちは、中務キリノです。

 

レンノスケの監視期間が終えて、もう数週間が経ちそうな頃合いです。

1ヶ月の監視期間……長い様で短かった、そんな感じでした。

 

レンノスケと会ってまだ1ヶ月とちょいしか経っていないのが本官からすれば中々にカルチャーショックです……あの人との生活の日々が濃すぎてなんか半年は一緒に居た感覚ですもん。

 

……とまぁ、そんな私達ですが────今では同棲を始めました。

 

未成年で同棲、中々に攻めた行為ですが、レンノスケの過去を知る者として、彼をまた一人で過ごさせるのは彼自身としても嫌だと告げていた事が今回の同棲に繋がった感じですね。

 

カンナ局長や先生の注意事項を耳が痛くなる程聞かされて、今は安心安全に彼と過ごしています。

 

レンノスケとこうして密着した感じで過ごして分かったのですが……レンノスケ、かなりの確り者でした。

 

 

 

何て言えば良いのでしょう……その、本官は業務とプライベートでONとOFFを確りしているのですが、レンノスケはずっと…………。

 

 

 

『キリノ、皿洗い終わった。それと洗濯物もたたんだし風呂の掃除も終わって丁度いま沸き上がった頃だから先に入ってきて良いぞ』

『あ、は、はい。ありがとう御座います』

 

 

 

ずっと、テキパキ動いたりして……。

 

 

 

『キリノ、今日の特別技術試験な!満点だったんだ!射撃、身体能力、状況把握能力、空間把握能力を測ったんだ。自動オートマタを数百体稼働させて放たれる弾を避けたり弾いたり、位置を把握して時間以内に全員ぶち壊すって感じの試験だったんだがな?カンナの野郎酷いんだぜ?やるからには全部本気だからさ、思い切り本気でやったら会場ぶっ壊しちまって、カンナってボス犬にクッソ怒られたんだ、酷くね?』

『あ、あはは……まぁでも!これで晴れてヴァルキューレですね!レンノスケ!』

『あぁ!所属局は一人だが、基本的に巡回をメインでやるらしいから一緒にパトロ―ルしような!』

 

 

 

目標に走る、凄く格好いい人になって……。

 

 

 

『キリノ、身体を穏やかに、力を抜け……そう、そのまま』

『んっ、ぅぅ……あ~~~っ!そこ、とても、いいですぅぅ~』

『くはは、少し張ってるからな。頑張っている証拠なのだろう……よし、次は腰のマッサージだ、キリノ』

『はいぃぃ~』

 

 

 

こう、本官を極端に優しくしてくれたり……。

 

 

 

『キリノ、今日はキリノが夕飯の当番だったけど、暫くは俺が担当しよう。キリノ、今日からあの日だろ?そういう時は無理せず、身体を冷やさない様温めて、ゆっくりして居てくれ。何かしてほしかったり、欲しい食べ物はあるか?何でもいいぞ、遠慮なく言ってくれな』

『あ……ッ、ありがとう、ございます』

 

 

 

女の子の日の本官を頬が蕩けそうな程に甘えさせてくれたり……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”「────いや、凄く素敵な彼氏じゃん」”

「────そうなんですよー!凄く素敵な彼氏なんですよーっ!!」

 

 

 

それを、本官は生活安全局の方々に話しています。

 

現在、ヴァルキューレはお昼休憩中なので、こうして局内で本官はお昼ご飯を食べながら質問攻めに遭っている訳です。

 

因みにですが、本官とレンノスケの関係性はヴァルキューレには諸バレています。

思ってたよりも噂が回るのが早く、レンノスケの目立った発言もあって普通にバレていました。

 

ですが皆さん良い人達でして、本官を応援したり心配したりと、良くして下さっています。

 

それに……皆さんとこうして恋バナ(無理矢理)するのも、何だかんだ楽しいですし。

 

 

 

「あの堅物そうな見た目からは想像できない甘さ……」

「確か、アリウスの子供達を助けたのがあの人なんでしょ?あんなに懐かれてるのを見たら、まぁ分かるけど」

「いやマジどんな優良物件だよ」

「未だ嘗て見た事も聞いた事もないぞ、そんな良くしてくれる彼氏なんて」

「高身長、筋肉質(過分)、イケメン、強い、優しい、子供に甘い、意外と面白い……何だこれ、神が作った何か??」

「言葉にすれば城ヶ崎レンノスケさんが如何に凄まじいかが際立つわね……」

 

 

 

生活安全局員の皆さんに本官が見せているのは、レンノスケのベストショットの写真(アイラちゃんと目線を合わせて話し合う図)を見合いながら言を紡いでいます。

 

凄く良い写真です。

 

 

 

「だけどキリノは何か不満そうだけど?」

「ふ、不満なんかじゃ……でも、少しだけ、はい……」

「え、え!?」

「これの何処が不満!?」

 

 

 

フブキの言葉から始まり、総ツッコミを受けるほんかんですが……本官には、少し想う所があるんです。

 

 

 

「彼には、その……本当に良くして頂いて、感謝しかないのは事実です。ですが……何て言えばいいか、彼は休むのが極端に下手というか、その……本官が家で少し気を抜けば直ぐに物事を一人で片付けてしまうんです」

 

 

 

そう、本官には一つの懸念点があるのです。

 

それは────レンノスケのワーカーホリックです。

 

レンノスケがヴァルキューレに入り、早い事で数週間が経ちました。

彼のお陰で治安は一気に安定化したはいいのですが……それでも事件は発生します。

 

特に大きな問題が発生しやすいゲヘナや闇に消される事件が多々あるブラックマーケットなど、彼が対処に当たる場面はどれも危険度が高い事件が多いです。

 

最近では、ゲヘナで『温泉開発部』のビル爆破事件や『美食研究会』の飲食店爆破事件をレンノスケ単独で解決していましたね。

ゲヘナ風紀委員長であるヒナさんがレンノスケにお礼をしていたのを見た時は、何だか泣きそうになりましたね~……。

 

加え、彼は家でも働き者です。過剰な程に。

 

 

 

「成程ね、所謂カンナ局長みたいなタイプか」

「そうですね……それに、質が悪いのが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんですよー……」

「────は?」

 

 

 

フブキ、生活安全局員達の思考が止まる。

 

本官の言っている事の意味が分からなかったからでしょう。フブキが冷や汗を掻きながら本官に問い掛けます。

 

 

 

「え…?昨日って確かレンノスケ先輩、午前はブラックマーケットで悪徳企業を10社位壊滅させて、午後はゲヘナや色んな自治区に飛んでは事件を解決に周って、指名手配犯をどうやったか知らないけど見つけて捕縛していなかった???」

「……はい」

「それで疲労を感じていないって事?」

「そうですね……」

”「バケモンかな??」”

 

 

 

酷い言われようですが、実際そう思うのは仕方がない話です。

 

レンノスケは先程フブキが供述した問題を経った一日で完結させているのですから。

 

 

 

「キリノの前でこう言うのもアレだけどさ……とんでもない人がヴァルキューレに入ったモンだよねぇ」

「あ、あはは……色々と規格外な人ですからね、彼は」

「まぁ城ヶ崎レンノスケの事を語れば語る程、ヤバすぎる事件が出て来る位には凄まじい人物だからね~」

 

 

 

こうして皆さんと談笑できるのも、レンノスケに対する懐疑や恐怖が抜けたからでしょう……レンノスケ自身、皆さんとは仲良く接していますし。

 

 

 

「……ところで何だけどさ、キリノさんや」

「え?」

 

 

 

フブキが……いや、皆さんが急激に眼光を鋭くし、ニヒルな笑みを浮かべて詰めてきます。え?なんです?なんなんですか!?

 

 

 

「ずーーーっと気になってたんだけどさぁ~……その首の跡?なに?」

「へ??……っっっ!?!?!」

 

 

 

”バッ!”

 

 

 

本官がフブキの言葉の意味を理解し、即座に隠しますが……それは無意味に終わります。

 

 

 

「あ、あぁあぁ、あの!こ、これは、そのっ!!」

「おや~?どうして顔を赤くしているのかな?」

 

 

 

フブキがニヤニヤしながら、本官の事をからかってきます。

 

 

 

「あはは~、随分とお熱なんだねぇ?キリノ」

「い、いやぁ!?そ、それは、そうですけど!?」

「おぉう、認めちゃったよ」

「顔が真っ赤っかで茹蛸だ」

 

 

 

ま、マズいです!只でさえ皆さんに本官とレンノスケの恋の話を聞かされているだけでも恥ずかしいのに、こんなデリケートな話までバレる何て……ッ!

 

 

 

「あ、あの!皆さん!これはですn────ん?」

 

 

 

”コンコン、コン”

 

 

 

本官が必死に弁明しようとしていると……ふと、生活安全局内のドアにノック音が響きました。

 

近くに居た局員の方が「どうぞー」と言うと、ドアが開かれました。

 

ドアの先、其処には────。

 

 

 

「────失礼する、特殊捜査局の城ヶ崎レンノスケだ」

「────はへぇ?」

 

 

 

話の渦中である。レンノスケが居ました。

 

 

 

「え?あ、あ……」

「其処の人、すまないが、キリノは居るか?」

「へ?あ、はい!い、いい居ます!よ、よび、呼びましょか??!」

「ん?あぁ、ありがとう」

 

 

 

近くの局員にレンノスケが本官の所在を聞きます。

 

場は一気に緊張状態に入ります。渦中の存在であるレンノスケの突然の来訪、今迄の事もあって、場は静寂に包まれます。

 

本官はお弁当を置き、レンノスケの元へと足早で駆けます。

 

 

 

「レ、レンノスケ?!」

「む?おぉキリノ。休憩中にすまないな」

「い、いえ、それは大丈夫なのですが……きゅ、急にどうしたのですか?」

 

 

 

先程の会話もあって、本官は少しどもって話しかけてしまいます。

 

少しだけ不思議そうな顔をするレンノスケですが、彼は続けて用件を言います。

 

 

 

「いやなに。さっきトリニティで巡回している時に、不良のカス共がお菓子屋さんを襲撃していた所をシバいたんだが、その後にお店の人から御礼としてシュークリーム20個入りとドーナツ20個入りを無償で貰ったんだ。だから、差し入れでキリノ達にやろうと思ってな」

「え……わ、わわっ!コレ、期間限定の品物じゃないですか!!」

 

 

 

レンノスケの右手を見ると、大きな箱が入っている袋を掛けていました。

 

キヴォトスが有する高級店のお菓子屋さんが販売するお菓子が、今、レンノスケの右手にあるのです。

 

レンノスケの言葉に、皆さんが釘付けになります。

全員がレンノスケの袋を凝視、滅多に見れない高級店のお菓子が、目の前にあるのですから当然でしょう。

 

 

 

「へぇ、そうなのか。まぁ何でもいいが、取り合えずコレ受け取ってくれ」

「え、ぁ、ちょっ!?」

 

 

 

レンノスケがほぼ強制的に本官にその袋を渡します。

 

 

 

「キリノが欲しいヤツで良かった。人助けで手に入れたには少し頂き過ぎかもと思ってはいたんだが、キリノの嬉しそうな顔が見れたから万々歳だな」

「なっ……何言っているんですか、もう」

「くははッ!確かにな、いつも貴女の可愛い顔は見ている。本当に、ずっと見ていたい素敵な表情だ……キリノ、好きだぞ」

「ッ……~~~ッ!!み、皆さんが居る前では、ダメって言いましたよねっ!」

「む?ふっ、そうだったな。それは失礼した────あぁそうだ、キリノに言わなきゃいけない事がある」

「え?何ですか?」

「俺、午後はゲヘナへ巡回に行ってくるから、もしかしたら遅くなるかもしれない。多分大丈夫だとは思うんだが、ゲヘナは事件が起き易いからな……念のため、遅くなる感じになったら連絡するよ」

「ん、そうですか……分かりました。では遅くなりそうでしたら連絡してください」

「あぁ、悪いな」

 

 

 

レンノスケが微笑んで、本官に少し離れます。

 

 

 

「じゃあ、俺は渡すモンは渡せたし、言いたい事は言えたからお暇させて貰う。味は問題ないとは思うんだが、良かったらその菓子の感想を聞かせてくれな」

「えぇ、勿論です!本当にありがとう御座いますレンノスケ!一応伝えておきますが、勿論レンノスケの分は残しておきますからね?」

「む?いや、別に全部食べても良いぞ?」

「だーめーでーすっ!貴方が得た手柄なのに、どうして貴方がその報酬を頂かないのですか!レンノスケの御厚意は大変嬉しいですけど、やり過ぎはダメですよっ!分かりましたか?」

「むぅ……それもそうだな。分かったよキリノ」

「それで良いのです!それに……今回は仕方がないですが、お時間がありましたら、本官と皆さんとで御一緒にドーナツやお菓子類をお話しながら食べましょう?交流は大事ですからね!」

「キリノ……あぁ、次に空いている時間が有ったら、良ければ邪魔させて頂こう────……む」

「え?……はへ!?ちょっ、れ、レンノスケ!?」

 

 

 

そう言って、レンノスケは少し離れていた本官との距離を少し縮め、顔を近づけてきます。

 

まさか、キス?そう思った本官は少し慌てた様子でレンノスケに注意喚起を施そうとします……が。

 

 

 

「ジッとして居ろ、キリノ……大丈夫だからな」

「は、ぅ……」

 

 

 

レンノスケの低く、しかし安心してしまうカッコいい声で囁かれ、本官は固まってしまいます。

 

彼は何をしようとしているのか……それは、彼が起こした次の行動で分かりました。

 

 

 

”シュッ……”

 

 

 

「……え?」

「うし、取れた。さっきからキリノの肩甲骨付近に埃が乗っかっててな、ずっと取りたかったんだ」

「ほ、埃が……あ、ありがとう御座いますっ!」

「いいや、これこそ気にしないでくれ。想い人のゴミを取る、恋人なら当然の行為だろ?」

「そッ……そう、ですけど」

「よし、じゃあ俺はそろそろ行くよ」

 

 

 

レンノスケが出入口のドアに手を掛けます。

 

 

 

「れ、レンノスケ!午後の巡回、頑張って下さいね!無理はしちゃダメですからね!」

「ん?あぁ、勿論だ。ありがとうなキリノ。キリノも午後は大変だろうけど、無理はしないで頑張ってな。んじゃーな!」

 

 

 

”バタンッ……”

 

 

 

「……行っちゃった」

 

 

 

そう告げ、レンノスケは去って行き……。

 

 

 

”ガチャッ”

 

 

 

「え?」

「悪い、もう一個伝え忘れてた」

 

 

 

ませんでした。

 

レンノスケが本官の眼を見て、ふっと微笑みながら告げます。

 

 

 

「今日のキリノが作ってくれた弁当、最高に美味しかった。全部美味しかったんだが、特に卵焼きが俺は最高だと思った。キリノのお陰で、俺は今日も頑張れている。いつもありがとうな、キリノ。じゃあ、また連絡するからな。愛しているぞ、キリノ」

 

 

 

”バタンッ……コツ、コツ、コツ────………”

 

 

 

ドアを閉め、足音を鳴らしながら今度こそ生活安全局を離れていくレンノスケ。

 

……あぁ、あぁあぁ、もう!

 

 

 

「っ……っっ~~~!!!」

 

 

 

耐えられなくなって、本官はその場でしゃがみ込んじゃいます…。

 

最後に……最後の最後で、あの人は…ッ!

皆さんの前ではそういう発言は控えてって言ったのに…ッ!もう!もうー!

 

……あ、だめ、にやけちゃう……顔が、っ、ダメです……嬉しすぎて、にやけちゃう…っ!

 

 

 

「……すっごい」

「いやぁ……あんな堂々と見せつけられちゃったら、こっちもニヤケちゃうわい」

「あぁヤバい。胸がドキドキする…っ!」

「あれが、男女の恋愛……す、すごい…っ」

 

 

 

何やら本官とレンノスケのやり取りを見ていた方々がコショコショ話をしていますが……本官は今それどころじゃありません。

 

だって………彼が教えてくれたから。

 

本官も、彼の支えになれていると、教えてくれたから。

 

些細な事でも、彼の力になれていると知れたから。

 

だから、顔がニヤケてしまう。

皆さんの前では駄目と言ったのに、叱らなきゃいけないのに……今は只、嬉しくって、嬉しくって……顔が綻んでしまう。

 

 

 

「……キ、キリノ?」

「ぁ……ぁぃ」

「声小っちゃ!ああいや、その……凄かったね?大丈夫?色々と」

 

 

 

フブキが本官の元へ近づき、敗北した本官を慰めてくれます。

 

フブキ自身恥ずかしいのか、顔を赤く染めて心配してくれます。

 

それが嬉しいのに、恥ずかしい……複雑な気分です。

 

 

 

「……羞恥の極みです」

「そ、そうだね……うん、見てるコッチが恥ずかしくなったよ」

「す、すみませぇん……彼には、厳しく言っておきますので……」

「……そんな嬉しそうな顔で云われてもねぇ」

「~~~っ!!さ、ささっ!せか、折角ですし!レンノスケから頂いたこの二品、早速食べましょ!うん!ほ、ほほ、ほら!フブキも!ね!?」

「ふひっ、はいはい」

 

 

 

その後、本官はフブキやこの場に居る局員の皆さんと共にレンノスケが下さったお菓子を分けて食べました。高級品、期間限定なだけあって凄まじく美味しかったです。

 

因みに、さっきの事で本官はさっきよりもレンノスケとの生活や関係を深く質問責めされました。

 

もうなんか、何でも良く成ってしまったので、本官はありのまま彼との思い出を皆さんにお話ししました。

 

会った時から、今を……えぇ、全部話しました。皆さんの顔が赤く成ったりする様な話もしました。やってやりました……へへっ。

 

 

という感じで、色々と話、午後の業務を終えた本官は5時にタイムカードを切って帰宅しました。

 

 

卵と牛乳、あと玉ねぎが切れていたので、それをスーパーで買いました。

今日は和食です。白米と鮭とアサリの味噌汁、それから………卵焼き。

 

ふふっ、今日は本官がレンノスケに夕飯を振舞う日です!何なら毎日御飯を作りたいのですが……彼が本官に負担はかけさせない!と言って聞かないので諦めます。変な所で強情なんですから……。

 

でも……ふふっ!レンノスケが帰って来るのが楽しみですね。

最近は彼に甘え切っていたから、暫くは本官が彼を甘えさせてやるんです!えへへ!本官無しでは駄目になっちゃう人に変えさせてやるんですから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲヘナ自治区、とある場所。

 

 

 

 

 

 

”ドゴォォンンッッ!!”

 

 

 

「ま、待て!やめ────ぐああああ!!!」

「……ふぅ、手間かけさせんな、ケツ穴開発部」

 

 

 

時刻は5時半。既に空周りは暗くなり、お腹が空く頃だ。

 

レンノスケはゲヘナに巡回中、2つの組織と戦闘し捕縛していた。

 

1つは2時に飲食店を爆破しようとしていた【美食研究会】をフルボッコしに、そのまま危険物を破壊して【ゲヘナ風紀委員会】に捕縛したまま手渡し、その次に5時になる少し前に今度は【温泉開発部】がビルを破壊しようとしていたのを発見し交戦。ものの数分で全員を制圧したのだ。

 

 

 

「────もしもし。おい空崎、今度はケツの穴開発部を捕縛した。座標を送るから護送車を連れて今直ぐ此処に来い」

『けッ……温泉開発部よ、城ヶ崎レンノスケ。はぁ……分かったわ、直ぐに向かう。私達が来るまでその子達を見張ってて』

「あぁ、了解した。待ってる」

 

 

 

プツっと切り、レンノスケはヒナとの電話を終え、倒れる温泉開発部の方へと向く。

 

一部を除き、ほぼ全員気を失っている。だが、部長である『鬼怒川カスミ』と副部長である『下倉メグ』が気が抜けた様に倒れる、しかし意識はある。

 

 

 

「うーん、痛いなー」

「う、ぐぅ……あーはっはっ!まさか君の様な存在とまた遭遇するとはな!どうやら我々にとって生き辛い世の中になってしまった様だなっ!」

「騒がしい奴等だな、ったく……お前等数が多いから縄が足りねぇよ……」

「規模で云えば私達は屈指の人数を誇っているからな!だが、それは君の前では無意味だったみたいだがな?」

「只の物量で攻撃されただけじゃ対処法は無限にあるからな。さて……仕方ない、お前等は俺の制服とYシャツで縛らせて貰う。お前とお前(カスミとメグ)は絶対に逃がすなって言われてるからな」

 

 

 

そう、レンノスケはヒナからメグ、特に部長であるカスミは捕まえたなら逃がすなと強く言われていた。

 

ゲヘナで一番と云っていい程のテロリストであるカスミは、それはもうヒナからの評価は色んな意味(悪い意味)で高い。

幾多もの隈を作らされた存在か分からないと言わしめた女だとヒナは言っていた。最近、レンノスケがヴァルキューレに入ったからゲヘナでも治安が急激に安定し始めたと言って、レンノスケの事を褒めて来ていたが、どうやら温泉開発部と美食研究会と云ったキヴォトスでも有数のテロリスト集団は関係ないらしい。

 

 

 

「……っし、こんなモンだろ」

「くぅ……おい、もう少し緩めてはくれないか?これでは血管が潰れて血流が止まってしまうぞ?」

「ん?別に、止まっても良いんじゃないか?それでお前にどんな問題が生じても俺は気にしないぞ」

「……君、中々に最悪だな」

「ビルを爆破させようとしていたお前には言われたくないな、クズが」

「はーっはっはっは!ご尤もだな!」

「うわーん!温泉作りたかったー!」

「此処みたいな市街地じゃなくって、もっと別の所を掘れよ(正論)」

「温泉の気配が其処に在るのならばッ!我々は我々の信念の為に其処の場所を掘り当て温泉を湧かせる!当然だろう?」

「……ふーん」

「わっ!興味無さそう!」

 

 

 

そんな話をして数分……。

 

 

 

”ブロロロロロ………”

 

 

 

「む、来たか」

 

 

 

交通路を走る一際大きな車が2台、レンノスケの居るビル前へと向かってくる。

 

車体には特徴的なゲヘナのロゴが入っている。誰が見ても風紀委員会のものだと分かる。

 

 

 

”バタンッ”

 

 

 

車から複数の風紀委員が降り、レンノスケに一礼して捕縛されている温泉開発部の部員をどんどんと護送車に入れていく。

 

中々動きが良いなとレンノスケが思っていると、今日一度見た見覚えのある顔がレンノスケへと近づいて話しかけてきた。

 

 

 

「お疲れさま城ヶ崎レンノスケ。温泉開発部の捕縛の件、ゲヘナを代表してお礼をさせて頂戴」

「あぁ、お疲れ。いんや別に構わねぇよ、警察としての使命を全うしただけに過ぎん」

「そういう訳にはいかないわ。貴方は今やヴァルキューレの一員、ゲヘナ自治区の警察組織として一言のお礼も無しじゃ面子が立たないわ。それに今日だけでうち(ゲヘナ)の問題児集団を二つも捕縛してくれた。しかも事件が起きる前にね、後処理も考えたらこの上ない貢献をしてくれたのよ、貴方は」

「そうかよ、じゃあ勝手にしろ」

「そうして頂戴……それで、はぁ。本当に懲りないわね?貴女達」

「うぐ……ふ、ふ……風紀委員長……」

 

 

 

レンノスケとの会話を終え、ヒナは落ち着いた雰囲気から一変────ギロリとカスミを見下ろし睨みつける。

 

その険相に、圧に……カスミのトラウマが脳裏を過る。

 

 

 

「はっ……はーっはっはっは!4日ぶりだな風紀委員長……しかし、今回は見逃してはくれないか?なんせまだ私達は事を起こしてはいない」

「クズが、じゃあこの爆発物の数々は何だ?これを全て起爆したらこのビル一個じゃなく、周りも巻き込みかねん程の威力だぞ」

「彼の言う通りよカスミ。やったやってないじゃないの」

 

 

 

正論に次ぐ正論。

カスミはそれでも舌を回し、微かな抵抗の意思を見せる。

 

 

 

「だからって、幾ら何でもこれはやり過ぎではないか?見ろ私の部員たちを!風紀委員たちに負わせられていた今までの傷よりも明らかに深いではないかッ!やり過ぎだぞ!」

「自業自得だ────これでも最低限の加減をした方だと思え」

「これがだと?ははっ!……え?」

 

 

 

カスミの眼が点となる。

 

それは、レンノスケの言葉が信じられないと云う様な表情だった。

 

 

 

「さ、最低限の加減?……さ、さき、先程の戦闘が、か?」

「……正直、弱すぎて驚いた位だ。証拠に俺が『ナイフ』と『バレットM92』を使わずにこのハンドガンのみでお前らを制圧した、そうだろう?」

「た……確かに」

「まぁ別に俺の事はどうでもいい……俺は一つお前に聞きたい事があるんだよ」

 

 

 

レンノスケはしゃがみ込み、カスミを鋭い眼付で見つめ、告げる。

 

 

 

「なぁ、お前確か鬼怒川とか言ったよな?お前さ、なんでこんな事するんだ?さっきも言ったが別に温泉を掘り当てるならもっと自然豊かな場所に行って掘ればいい。だがお前等は有ろう事か市街地や人が普通に居る場所でこの凶行を執行する?迷惑とか巻き込まれる人の安全とかは何も考えていないのか?」

「……何を言うかと思えば、そんな”どうでも良い事”か」

「あ?」

「先程も言ったろう?我々『温泉開発部』は其処に温泉があるかも知れないと云うロマン、そして温泉を掘り当てたいと云う欲求を満たせればそれで良いのだよ!己が思うままに突き進む事の何が悪い?多少の被害は考えても仕方ないからな!」

 

 

 

カスミがそう告げると、ヒナが一層顔を険しくさせる。

 

 

 

「カスミ……今の発言は私達風紀委員会の事を舐めているに等しい発言よ」

「ん?いやなに、そんな無謀な事を思ってなどいないさ。私達がどれだけヒナ、君に野望を妨げられてきたか。ははっ、対面してる今でも震えが止まらないッ!」

「…………成程な」

 

 

 

レンノスケが納得したような呟きをした、次の瞬間。

 

 

 

”ガシィッ!”

 

 

 

「あぎゅっ!!?」

「ッ!?」

「部長!?」

 

 

 

レンノスケがカスミの顔を鷲掴みし、無理矢理レンノスケ自身の方にまで寄せて、睨む。

 

元々の強面故か、その迫力はヒナを優に超える。カスミは喉がヒュッと鳴り、恐怖をその顔に宿す。

 

 

 

「お前の信念は分かった。あぁ、悪くないとは思う……だがよぉ、それって『お前にとっての部外者』の事は()()()()()()()()と云う意味合いになるが、それで良いって事だな?」

「ひ、ひ、ひっ……」

「おい、何とか云えよ……殺すぞッ」

「おぎょっ!?!?う、ぎぃぃぃぃぃっっ!!!」

 

 

 

”ミシミシミシッッッ!!!”

 

 

 

レンノスケの掴む手が徐々に強くなり、カスミの悲鳴が轟く。

 

 

 

「ッッ!!城ヶ崎レンノスケッ!やめなさいッ!」

「……ふんッ」

「ぶべっ…っ!!」

 

 

 

レンノスケがカスミを乱雑に地面に突き伏せる。別に、ヒナのいう事に従った訳ではない。これ以上のアイアンクローはカスミを殺してしまうからやめただけだった。

カスミは涙目になりながら顔を擦り痛みを和らげようと動かす。メグもカスミの傍に立ち寄って、レンノスケのYシャツに拘束されながらもカスミを心配する。

 

カスミは、レンノスケを見上げ見つめる。

レンノスケは同様にカスミを見下ろし、しゃがみ威圧させたまま告げる。

 

 

 

「俺はな、お前等の存在は知っていた。少し前からブラックマーケットでも有名な犯罪組織だったからな」

「ひっ……」

「ただ、どういう奴らなのかは曖昧だった。だからこうして会えて、お前等の行動原理や野望、そしてその道中の弊害の対処方法を知る事が出来て良かった。あぁ、別に良いと思う。自分のしたい事に戸惑いや躊躇が無いのは俺も見習いたい精神だ。やりたいようにやればいい────だがなッ」

 

 

 

レンノスケは────カスミに【最上級の殺気】を放ち、告げる。

 

 

 

「関係のない人間を巻き込むその精神が気に食わねぇ……お前、それってつまり『俺の大切な人を巻き込んでも仕方なかった』で済ます事に為るんだぞッ」

「────ぁぅ」

「それがどういう意味で、どういう結末を辿るか、知らねぇテメェじゃァねーだろ……」

 

 

 

それは、忠告だった。

 

やるならやればいい。それ相応の覚悟を持ってやるんならそれは立派な信念だ。

 

だが関係のない人を巻き込む、巻き込んでいいと云う事に為ると話が変わる。

 

 

 

「今後、俺は警察として振る舞い、市民やその他の警察組織と連携を取ってお前等の様な奴等を取り締まる正義側に立つ。それは、お前等の【命の保証】であると肝に銘じておけ………仮に、お前等が俺の大切な人を傷付け、泣かせたりでもしたら────問答無用で殺すからなッッ!!」

 

 

 

さの殺気の嵐を、カスミは一人で真面に受ける。

 

其れ即ち……。

 

 

 

「────ひぃぃぃぇぇぇぇぇぇええっっ……っ!!」

 

 

 

大号泣である。

 

その後、カスミとメグは風紀委員に連れられ、同じく護送車へと乗せられた。

 

カスミの鳴き声が護送車の外でも聞こえてくる程、彼女の声は大きく喧しい。

それ程の恐怖だったのだろう……。

 

 

 

「アイツ、うるせえな……」

「……城ヶ崎レンノスケ」

「あ?なんだ、空崎」

 

 

 

其の場に残されたレンノスケとヒナが対面で向き合う。

 

身長的に50㎝以上の差がある二人だが、実力は共に最高峰。

其の場から発せられる雰囲気は常人なら息もし辛い空気感、誰も二人の空間に遠くから見るも、近付こうとは思えなかった。

 

ヒナがレンノスケに話しかける……が、少し睨んだ状態でヒナは告げる。

 

 

 

「今のカスミに取った言動、アレは何?流石にやり過ぎよ」

「あぁ?……はぁ、なんだ、やり過ぎ?あれが?お前それマジで言ってんだったら相当な甘ちゃんだな」

「……何ですって?」

「お前、あのクソガキの『眼』確り見たか?ああいう眼をした人間はな……自分の言葉に嘘を付けない」

 

 

 

レンノスケが続ける。

 

 

 

「……何が言いたいの」

「自分の考えが万人に受けなくっても自分の進みたい、成し遂げたい目標があるのならどんな弊害も薙ぎ倒してでも遂げる志を持っているって事だ。そういう人間は一番怖い、今の内に釘を刺しておいて何が悪い?」

「カスミがそういう人間であるのは勿論知っている。貴方よりもあの子との関係は濃いもの……城ヶ崎レンノスケ、私が言いたいのは先程の重く過剰すぎる【殺気】の事よ」

「それが何だってんだ」

「あんな、全身に重りが乗っかって息が出来ない様な程の殺気を、どうしてあんな子に放ったの?貴方にとって、あの子にはそれ程の価値があったの?」

「あぁ、あった」

 

 

 

レンノスケの淡々とした回答に、少し驚愕するヒナ。

 

あのカスミには、それ程の怖さがあったのか……ヒナがそう思うと、それは違うとレンノスケの続けた言葉にて否定される。

 

 

 

「────人を殺しても、罪悪感が湧かない人間の部類だぞ、アイツは」

「……は?」

 

 

 

冷たく、感情の無い声質でそう告げられ、思わず聞き返してしまう。

 

 

 

「なぁ空崎。お前……誰かが死んだ、殺されたって話、聞いた事があるか?」

「……えぇ、一つだけあるわね」

「そうか、じゃあ聞くが……────お前は人殺しをどう思う?」

 

 

 

唐突且つ、意味不明な質問。しかし答えは分かり易い。

ヒナはレンノスケの問いに数秒の間を空けて答える。

 

 

 

「どんな理由であれ、決して許される事ではないわ」

「そうだ、それが『普通』だ」

「……は?」

「『どんな理由でも人を殺すのはダメ』……常識だ、サルでも分かる。じゃあ質問を変える…………さっき空崎はどんな理由でもダメと云ったが、じゃあ仮にお前が好きであろう”先生”が犯され、凌辱され、散々苦しんだ末に形も残されないまま死んだという事実が残ったら────」

「ふうぅッッ!!!」

 

 

 

”バキィィッッ!!”

 

 

 

レンノスケが話す途中、ヒナが距離を瞬間的に詰めて前蹴りをする。

 

敢えてか、レンノスケはノーガードでその攻撃を真正面、胸で受け止める。

しかしレンノスケはその攻撃を受けて尚。その場から微動だにしない。

 

その前蹴りが行われた数秒の間……ヒナが犬歯を剥き出しにして告げる。

 

 

 

「……それ以上先生の事を侮辱したら、幾ら貴方でも許さないわッ!」

「あぁ、もう言わねえよ。仮の話だ馬鹿が……だが、お前も分かった様に、人ってのは『身内に起こった悲劇にだけは殺意を抱く生き物』なんだ」

「ッ!……っ」

「話が逸れたな、あのクソガキに対してどうして殺気を放ったのかだったか?まぁ簡潔に言うと……脅しだ」

「……脅し?」

「そう、脅し。ああいう輩はいずれ同じ行動を繰り返す。そうだろう?お前が幾ら指導したとしても治らないでこんな問題を起こすのが唯一の証拠だ。だからそういう奴等は逆に少しの優しさを見せる。別に好きにすればいい、信念や野望、それを成す為にはどんな犠牲も払う。それを全て肯定する。そうすれば少しは話が分かる者が居ると向こうはイイ気になる。その隙に圧を掛ける……その信念を貫き行動に移す場合は、それ相応の覚悟を持ってやれと警告を伝える。お前等がする度に俺は必ずお前等をボコす。そして、俺の大切な人少しでも怪我を負わせたら殺す。問答無用で殺す────そう言えば、少しは大人しくなると思うぞ」

 

 

 

未だ消えぬ殺気を放ちながら、レンノスケはヒナに向けそう告げる。

その姿、その在り方は……警察組織の長であるヒナからすれば、圧倒的に間違っていた。

 

 

 

「ふざけないで……その脅し行為に関しても思う所があるけど、それよりも貴方はカスミを『殺す』と言った。それも明確に、嘘なんかじゃない絶対的な意思と殺意を持って……ねぇ、それが、そのやり方が警察として正解だと貴方は本気で思っているの?」

「いいや?そんな訳がねぇだろ」

「────はぁ?」

「いいか?今じゃ俺は確かに警察だ。法の下に動く人間の一人────だがな、それ以前に大切な存在を守る人間でもある」

 

 

 

レンノスケはヒナを見下ろし、自身の絶対を発語する。

 

 

 

「空崎、俺はな……その大切な者の為だったら情も無く人を殺せる人間だ」

「ッッ!!」

「そうじゃなきゃ、護れる者も護れない。仮に誰かが”キリノを傷付け、泣かせ悲しませ、消える事のない傷を負わせ、最悪……殺されたりでもしたら、俺は立場を押してでも【警察】と云う肩書を捨てて人を殺す」

「………貴方」

 

 

 

最早、何も言えなかった。

 

嘘を言っていない。本心でそれを言っている……本気で人を殺す人間の眼をしている。

 

 

 

「……それが、貴方の覚悟なの?」

「覚悟、そう捉えても構わない。俺は常にクソの掃き溜め(地獄)に居たから、それが出来るだけだ。それが普通だったからな……空崎、お前はどうなんだ?」

「え?わ、私…?」

「そうだ。お前だって先生と云う大切な人が居る。特にあの人は俺達と比べても圧倒的に脆弱だ、銃弾一発が死に至る弱さ……空崎はソレを一番よく知っている筈だぞ」

「ッ!」

 

 

 

ヒナの顔が歪む。忘れもしない、エデン条約の日に先生が己の目の前で撃たれた瞬間……その時、降り掛かる絶望、変えられない運命、己の非力……何もかも思い知った最悪の日。

 

 

 

「いいか空崎、俺までとは言わない。結局のところ殺しは犯罪だ、俺も自分からしようとは思わねぇ……だがな、それ相応の覚悟を持たなきゃ、そうなった後に得るモノは、只の後悔だけだ」

「………」

「鬼怒川、アイツはまだ生温い部類だ、まだ理性を持って行動し問題を越しているクソガキ程度の人種……だがな、世の中には平気で人を騙し、姑息に嵌め、生き地獄を与える人間も居るんだ。最悪────人を殺す事に躊躇もない人間だって、キヴォトスには居る。残念だけどな………それに、先生は特にそういう人間に狙われやすい、そういう職業だからな」

 

 

 

レンノスケは努めて冷静に、ヒナに話す。

 

己が経験した数々の地獄……見るに堪えない人間の悪の部分。

 

いくところまでいけば、人は真の悪魔にだって成れてしまう。人を殺す事に情の欠片も湧かぬ人間に。

 

 

 

「空崎、先生を……大切な者を守りたいのであれば、それ相応の覚悟を持った方が良い。生半可な覚悟じゃまた同じ過ちを繰り返すだけだ」

「だから、必要な時は手を汚せって事?」

「そうだ。それが、人を守るって事だと、俺は思う」

 

 

 

ヒナはレンノスケの言葉を最後まで聞き、少し、ほんの少し腑に落ちた。

 

”大切な人を守る、それには己の手を汚す覚悟が必要”

 

イマイチ感覚が湧かない。ピンとこない、と云った方が良いのかもしれない。手を汚す……其れ即ち、人を殺すと云う事。

 

己が?治安維持組織で且つ、長である己が?その覚悟を持つ?

 

言葉にすれば簡単だが、それは己の立場として絶対にしてはならない事だ。

 

 

しかし……レンノスケは、その覚悟を持っている。

 

 

 

「……喋り過ぎた、俺はもう行く」

「えぇ、そうして頂戴……────ねぇ、最後に聞かせて」

「なんだ?」

「……城ヶ崎レンノスケ、貴方が嘗てブラックマーケット内で数多くの【殺人】を犯した事は、私とマコトは知っている」

「………」

「でも、貴方が起こした事件の実態を探れば、どれもこれも()()()()()()()下衆の集団だった、それも知っている」

 

 

 

ヒナは続ける。

 

 

 

「……何が言いたい?」

「……貴方は、当時のクライアントの指示でその人達を殺したの?それとも────自分の意思でその人達を殺したの?」

 

 

 

ヒナが聞きたい事は、意志の有無だった。

 

指示か、意志か。それでレンノスケを見るヒナの目は変わると云って過言ではない。

 

 

 

「────全て俺の意思だ」

「ッ……そう」

「言い訳はしない。俺が殺した者達は全員、俺が殺したいから殺したんだ。許す価値も、生かす価値もなかったからな」

「……少しだけで良い、教えて。その人達はどうして生かす価値が無いと、貴方は決めたの?」

「犬を殺した」

「……え?」

「ガキをバラして売った。獣人を拷問の末に嬲り殺した。暴力を振るい、弄び、侮辱した……最近では『ベアトリーチェ』が居たな、ああいう奴等の集まり、そんなクズ共だ。生かす価値なんかねぇ」

「────っ………酷いっ」

 

 

 

少し、それだけでも濃い内容。

 

ヒナはショックだった。キヴォトスでも殺人が起きる、それは知っている。生徒はよっぽどの事が無い限り少ないが、獣人やロボ市民はそういう事件を時折聞く。

だが、ヒナは己の知らない所で人が非道な行いをされ、誰の目に止まる事無く闇にへと消えていく、そんな事実をしってしまったから、辛くなった。

 

 

 

「……それも一部の話だ、キヴォトス全土で見たら腐った場所はブラックマーケットだけだろう。それに、自分で云うのも何だが、俺が強くなってからはそういう話は一つも聞かなくなったぞ。そんな事すれば俺に殺されると思った連中がそのビジネスを止めたんだろうがな。それに、それはきっと今もだ」

「………そう」

 

 

 

思わず、レンノスケはヒナにフォローを入れる。滅多にない、レアな瞬間だろう。

 

ヒナはレンノスケよりも年齢も一つ上で社会性も高い、しかし本当の地獄を知らぬ乙女でもある。

 

 

 

「聞きたい事はそれだけか?」

「えぇ……もう大丈夫、引き止めてしまって悪かったわね」

「構わん」

 

 

 

レンノスケが背を向け、其処から離れようとする。

 

 

 

「城ヶ崎レンノスケ」

「んだよ、まだ何かあんのか?」

「今日は美食研究会、そして温泉開発部の捕縛の件には、心からお礼を。本当にありがとう。それに……私は貴方の在り方、賛同は出来ないけど否定はしないわ」

「……そうかよ。まぁ、お前はそれでいいのかもな」

 

 

 

レンノスケは止めた足を再び進める。

これは只のレンノスケの思想であって、ヒナに求めていた事ではない。

 

ただ、そういう面の甘さは捨てるべきだと思っただけだった。子供を甘やかすのとはわけが違う。

 

レンノスケはヒナを見て、理解した。ヒナは芯からその甘さや優しさを捨てる事が出来ない存在なのだ。カスミを始めとした、不良集団や悪には決して温情は見せずとも、己に課せられた責任を全うするのがこの少女なのだ。

 

己とは違う強さ、それは少し先生に似ていた。博愛、とはいかずとも、ヒナは己の使命を全うするだけで、

 

 

 

「空崎、いや……()()

「ぇ…っ……なに?」

「先生が心配していた。また無理をしていないかどうか……お前が空いている時で良い。少しくらい先生の顔を見に行ってやれ。大事ならな」

「えっ………っ、えぇ」

「じゃあな、また巡回に来る」

 

 

 

レンノスケが音を置き去りにする速度で走り抜ける。

 

規格外、そんな言葉が似合う男。キヴォトスでは彼のみの男子生徒。

怪物と謳われ、その比類なき強さでブラックマーケットを蹂躙した、最悪の存在。

 

 

 

「……”環境”が、彼を変えてしまったのかしら」

 

 

 

一人そう呟く。

 

レンノスケは確かに情も無く人を殺す事が出来る人間だ。彼の眼は澄んで、相応の覚悟を秘めていたのをヒナは見た。

 

それと同時に……底の無い甘さを見てしまった。

 

それは彼のオリジン。本来、彼が何の条件も無く前面に出す事が出来た筈だったモノ。

 

 

 

「よく言うわよ、貴方の方が甘ちゃんの癖して……意外と素直じゃないのね、彼は」

 

 

 

思い出す。あの殺気を……カスミに向けた確かな殺意を。

 

だが()()()()()()()()()()()を、見た。

 

彼は何処まで行っても、何をしても、見聞に耐えない事をされて尚、その優しさを捨てる事が出来なかった。だから、今こうして警察として在り、市民を、子供を、愛する人を助けている。

 

それを確り自覚していないから、あんな事を言ってしまうのだろう……ヒナは、そう思った。

 

 

 

「委員長!もうそろそろ出発致します!」

「ん……えぇ、分かったわ」

 

 

 

風紀委員の呼び掛けに、ヒナは返事を返し応答。

レンノスケと話して、かなり長い時間を食った。カスミは泣き止んだか、もう喧しい鳴き声は響いては来ない。

 

 

その場を離れる。彼の信念、その捨てきれない情を見れただけでもお釣りがくる情報だ。

 

今日はこのまま学校に戻り、温泉開発部の事後処理をしたら帰れる予定だ。

時刻で云えば、遅くとも6時半には帰れる。こんな事、今迄で一度でもあったか、それが今じゃ毎日続いている。

 

これも、レンノスケの膨大な影響力のお陰なのだろう。

 

お礼は心の中で。なんか本人の前で伝えたら調子に乗ってダル絡みしてきそうで腹が立つから死んでも言わない。

 

それで、今日のヒナの一日は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────D.U.近郊、ヴァルキューレ近く……。

 

 

 

 

 

”プルルルルルル……”

 

 

 

「む?」

 

 

 

走る速度を緩める。己の内ポケットから着信音が鳴ったからだ。

 

また事件か?そう思い、着信の主を確認すると……そこには『ドスケベ天使キリノ』と記してある名があった。

 

 

 

「キリノ?なんだ………もしもし?」

 

 

 

疑問に思いつつも、レンノスケは応答する。声は直ぐに返って来た。

 

 

 

『あ!レンノスケ!聞こえますか?』

「あぁ、聞こえるぞ。どうしたんだ?」

『実は牛乳とじゃがいもを切らしていたのを忘れていまして……レンノスケが帰ってくるのならお使いを頼みたいなぁと』

「あー成程な。そういえば切らしてたな……分かった。これで今ゲヘナの巡回は終わってヴァルキューレに戻ってる途中だから、帰りに買って帰るよ」

『いいのですか!?ありがとう御座いますレンノスケ!』

「気にするなよ、夫婦なんだからさ」

『はいぃ!?ま、まだ夫婦じゃないですよ!?』

「”まだ”って事は、少しは考えてくれているって事か?くはは、嬉しいな」

『んなっ!!も、もう!!おばかな事を言っていないで、早く帰って来てください!』

「ははっ、ああ、分かったよキリノ」

『もうっ……気を付けて帰って来てくださいね』

「ん……うん、分かってる。ありがとうな……じゃあ、切るぞ」

 

 

 

そんな会話を、嬉しそうにしながら少しの間を開けて電話を切る。

 

幸せ……きっと、この事を言うのだろう。この幸せが護れるのなら、己は喜んで…………いや、今はそう言う事を考えたい気分ではない。今はただ、この幸福を噛み締めていたい。

 

 

 

「はぁ………キリノは、どうしてあんなに可愛いのだろうか……帰ったら裸エプロンとかじゃねぇ―かなー」

 

 

 

未知のド真ん中で中々に気色の悪い事を告げるレンノスケ。

 

幸い此処には人通りが少なく、レンノスケの独り言は聞かれては居なかったようだった。

 

 

 

「(さてと、さっさとヴァルキューレに戻ってボス犬にゲヘナの件を報告して、牛乳とジャガイモ買って帰って、キリノにダイビングバックハグをかまし────ん?)」

「ッ!────!」

「っ!……っ!!」

「……っ!」

「なんだ?あれ」

 

 

 

少し歩いた先、人通りが段々と多くなって来た場所に、何やら喧騒のような声が聞こえる。

 

少し見れば、其処は『ゲームショップ』のようだった。

レンノスケはゲームをした事がない人間、しかし男子故か、やってみたいと云う欲は誰よりもあった。モモチューブで良く配信者がホラーゲームやRPG、シューティングゲームを配信し上げていたのをレンノスケは視聴していた。

 

レンノスケの最近の流行りは【少女忍法帖ミチルっち】だ。昨日も配信していて、何やら忍術の芸を披露していたからレンノスケは『忍法マジで凄い。いつも応援してるっち。がんばって下さい。城ヶ崎レンノスケより』と送り、偽物扱いされたのは記憶に新しい。

 

 

 

「……念の為、確認してみるか」

 

 

 

キリノの件もあって、直ぐに帰りたいが、警察としての責務を放棄する訳にはいかない。

レンノスケは少し足早にその騒がしいゲームショップへと進む。

 

ドアの前に立てば、喧騒が外まで響く。

 

 

 

”ガチャッ……”

 

 

 

誰にも気づかれない様に気配を完全に殺し、ドアを開けて入る。

誰もレンノスケに気付かないまま、その喧嘩は見ればヘルメット団3人組と『ピンク色の猫耳ヘッドフォンを付けた小柄な少女』が起こしていたモノだった。

 

 

 

「だ、だから!前を見てなかった私も悪いけどさ、ちょっとぶつかっただけじゃん!謝ったから許してよ!」

「ごちゃごちゃウルセェんだよガキ!」

「ぶつかっといて謝罪の一言だけで済むとでも本気で思ってんのかぁ!?」

「さっきから言ってる様に、コレとコレとコレを買ってくれりゃ許してやるっつってんだよ!!そうすりゃぁ解放してやっからさ、なぁ?」

「む、無理だよ!全部新品で高いし、どれも私が欲しいゲームばっかじゃん!何ならあなた達が買ってよー!」

「いやだから何だよ!?」

「ってか何さり気なく私らにせがんでんだよ!?」

「テメェあんま調子に乗んじゃねーぞ!」

「わー!!暴力反対!暴力反対ーーっ!!」

「お、お客様方!店内でのお騒ぎは他の皆様の御迷惑になりますので、どうか控えて下さいーっ!!」

 

 

 

”ギャアギャア!!ぎゃあぎゃあ!!”

 

 

 

「……子供相手に何してんだ、あいつ等」

 

 

 

なんか意外と仲が良さそうに見えなくもないが、此処は店内。ロボ店員の困った様子にレンノスケはいたたまれなくなる。

ヘルメット団は猫耳少女と軽くぶつかり、それであの量のゲームをせがんでる。悪いのはどう見てもヘルメット団の方だ。

 

レンノスケはそう判断し、歩く。

 

 

 

「悪い店員さん、少し邪魔するぞ」

「ぇ?………うえうぇうぇ!?!?」

 

 

 

突然のレンノスケの来訪、音も気配も無くこの店に居た事に驚く間もなく、店員は後退する。

レンノスケは現場に近付き、声を掛ける。

 

 

 

「おいお前等、その辺にしておけ」

「あぁ!?んだy………………うきぃぃぃぃ!??!?」

「あ?どうs……‥‥…………うほぉぉぉぉ???!!」

「いや猿とゴリラかよお前r……ぶひぃぃぃ!?!?!」

「え?え?な、なに?……ってうわ!?誰!?でっか!!こわっ!あ……」

 

 

 

ヘルメット団の絶叫に少女が狼狽える。後ろの方から声が聞こえると同時、己に覆い被さる様に大きな影が掛かる。

 

ヘルメット団が己の後ろを見ては腰を抜かし、見えないが、究極に怯えているのが分かった。

後ろに何か居る……少女は少し怯えながらも後ろを振り返り、確認する。

 

其処には……己よりも50㎝以上の差があるであろう巨人が居た。

咄嗟に変な事を口走ってしまい、思わず口を手で覆う。手遅れだが。

 

 

 

「おい、一部始終だが見ていたぞ。なにガキ相手に高値のモンをせがんでんだ情けねぇ」

「ひっ、ひぃぃぃぃ!!」

「お、お許しをおぉおぉぉ!!」

「ご慈悲をーーーっっ!!!」

「いや俺に言われても……まぁいい、取り合えずコイツに謝れ。そんで何もせず此処から出ていけ、そしたら俺も何もしない」

「そ、そんなんで良いのですか!?」

「あぁ……いいよな?」

「え!?え!えっと!はい!」

「うし。おい、この子供が良いって言ってんだ、さっさとしろ」

”「は、はぁいぃぃぃぃ!!!」”

 

 

 

ヘルメット団は少女に土下座をして、颯爽とショップから出ていく。

 

騒然と化していた場はレンノスケの登場もあり、重い沈黙が訪れる。

耐えかねたレンノスケがショップの店員に邪魔をしたと告げようとした瞬間……少女がレンノスケを呼ぶ。

 

 

 

「あの!警察さん!」

「ん……俺か?」

「そう!さっきは助けてくれてありがとう!本気で困ってたんだよー!」

「見るからにそうだったもんな。怪我はしていないか?」

「うぅん!大丈夫!案外なにもされなかったから」

「そうか、それなら良かった……む」

 

 

 

レンノスケが少女の足元を見る。其処には、ゲームのカセットが落ちていた。

 

レンノスケはしゃがみ込み、それを拾い少女に問う。少し、見覚えがあるカセットだ。

 

 

 

「これ、お前のか?」

「あっ!うん!そうだいっけない!ぶつかった時に落としちゃったんだった……あ、でもカバー付いてるから大丈夫そうみたい、良かったぁ」

「問題ないようで良かった。あぁ……あれ?なんかソレ見た事があるな」

「え?これ?」

「あぁ、すまんちょっと見せてくれ……ありがとう」

 

 

 

少女がレンノスケにカセットを見せる。

 

注視し、その見覚えのある画風を見て……思い出す。

 

 

 

「あ…あー思い出した、これアレか。確か”モモノギアソリッド”の最新作じゃねーか?」

「え!?警察さんそのゲーム知ってるの!?」

 

 

 

レンノスケの問いは正しかったらしい。モモチューブで見まくったゲーム実況のゲームが、まさかこの少女が買おうとしていた物だったとは。

 

 

 

「あぁ、最近ゲーム実況で見たわ。確か主人公がスネーk」

「わーーーっ!!まって!ネタバレは無しだよっ!?」

「あ、悪い。あぶねぇあぶねぇ」

「もう気を付けてよね!発売日から早2日、モモッターやモモチューブと云ったSNSを封じてまでネタバレをされない様に耐えて来たんだから!」

「それは凄いな……失礼をしてしまったな、悪かった」

 

 

 

レンノスケは反省し、素直に平謝りする。

 

その様子に少しドキッ(驚愕)とした少女が慌てた様子で制止させる。

 

 

 

「そ、そんなにしなくっていいよ!?ってかしないで!?」

「む、そうか……分かった」

「はぁ……あ!そうだ、話を戻すけどさ、警察さんってもしかしてゲーム好きだったりするの!?」

「好きだぞ。やった事はないがな」

「え!?ゲームした事ないの!?」

「あぁ、モモチューブでしか見た事ないな……やってみたい気持ちはあるんだがなー」

 

 

 

そう告げた瞬間、少女が声高々と発語する。

 

 

 

「────勿体なさ過ぎるッ!」

「ん?」

「ゲームが好きなのに一回もゲームした事が無いなんて勿体無さ過ぎるよっ!」

「そうか、な……?」

「そうだよ!しかも余り世間には浸透していない”モモノギアソリッド”を知っている辺り相当のゲーム好きじゃん!それなのに一回もした事が無いなんて、これはゲーム開発部として見過ごせないよっ!」

 

 

 

少女がレンノスケを見上げ、意気揚々と告げる。

 

 

 

「ねぇ!貴方ヴァルキューレの生徒さんでしょ?さっき助けてくれたお礼もしたいからさ、今度『ミレニアム』に来てよ!」

「む……いや、俺は当然の事をしたまでなんだが……」

「それじゃあ私の気が立たないよー!」

 

 

 

小柄な少女は子供の駄々っ子の様にレンノスケの掴んで服を引っ張り、ごねる。

 

アイラ達アリウスの子供等の事もあり、レンノスケは小さい子供相手になると極端に押しに弱い。

 

 

 

「むぅ……底まで言うのなら、有難くそのお礼を頂く。今度空いている時に、ミレニアムに行けばいいんだな?」

「うん!いま空いている日とか分かったりしない?」

「うーむ……明日だな」

「明日ね!おっけー!何時が良いとかある?」

「そうだな、何時でも構わない。其処はお前の都合に任せる」

「分かった!じゃあ約束だよ!」

 

 

 

小柄な少女はレンノスケの了承を聞き、朗らかな笑みを浮かべ喜ぶ。

制服を見る限り高校生ではあるが、何処か幼さを隠しきれない可愛らしさもある子だとレンノスケは思った。

 

 

 

「あ!じゃあさじゃあさ、私とモモトーク交換しよ!その方が連絡出来るしさ!」

「いいのか?じゃあ、交換しよう………コレ俺のQRコードだ」

「はーい!……うん、交換できたね!宜しくね!えっと……………え?」

 

 

 

モモトークを交換して、映し出されるアイコンと名前。

 

小柄な少女は、そういえばまだ自己紹介をしていなかったなと思い、その名前を確認する。

 

そして、気付く……その名前は、見聞した事がある名前だと。

 

 

 

「────じょ……城ヶ崎、レンノスケ?!」

「あぁ、そーいやまだ自己紹介がまだだったな。俺はヴァルキューレ警察学校所属【特殊捜査局】の”城ヶ崎レンノスケ”だ。宜しくな、えっと……”才羽”」

「う……うっそーーーーっっ!?!?」

 

 

 

その少女……”才羽モモイ”の絶叫はゲームショップの店内に響く。

 

違和感はあった、見るからに男子生徒、中々なオーラに強面、デカい慎重に凄い筋肉。

 

しかし、モモイは気付く事が出来なかった。ミレニアムでもその名は通っているのに、その姿は見た事が一度はあったのに、ゲームへの感情が先行きして気付かなかったのだ。逸材である。

 

しかし、良い人であるとモモイは判断。ゲームに関心があるのも何だかギャップがあって良いなとも思う。モモイは元々警戒心が薄い子だから。

 

その後、レンノスケとモモイは店を出て、明日レンノスケがミレニアムに朝の9時に来訪すると決まり解散。何かあったら連絡をしようと互いに伝える。

 

 

そして、時は流れ数時間……7時に周る頃。

 

 

 

 

「────って事があってさ、ゲヘナは俺が居ても問題を起こす奴等で面白いわ」

「そ、そうだったのですか……それは、お疲れ様でしたレンノスケ」

 

 

 

レンノスケはヴァルキューレに戻り、カンナに報告した後直ぐに帰宅。

 

キリノの家、今では二人の家となった万署に帰ってきたら、待っていたのは大好物のハンバーグだった。しかもチーズINなタイプのハンバーグ、レンノスケはキリノにハグをした。汗臭いとちょっと嫌がられた。ショックだった。でも嬉しいと云われてハグをした。今度は少し強めに叱られた。叱られる感覚が気持ち良すぎた。

 

先にお風呂に入り、ドライヤーで髪を乾かして用意された飯を食べる。

キリノの絶品料理、レンノスケはご飯をおかわりしながらキリノと隣り合わせで飯を食べて会話を弾ませる。

 

 

 

「あ、そうだキリノ。俺明日非番なんだけどさ、ちょっとミレニアムに行ってくる」

「え?ミレニアムですか?それはまた、どうして?」

「実はついさっきの事なんだが、D.U.近郊に在るゲームショップで────」

 

 

 

レンノスケはモモイとの出会いを満遍なく話す。

不良から助けた事、ゲームの話で少し盛り上がった事、そしてお礼を兼ねて明日ミレニアムでお礼をしたいとの事。

 

その全てを話して、キリノは………。

 

 

 

「……ふーん」

 

 

 

おん、拗ねた。

 

 

 

「才羽モモイって奴でな、どうやら俺にゲームをさせてくれるみたいなんだ。楽しみだな~」

「……そうですか」

「あぁ…………あの、怒ってます?(敬語)」

「いいえ?別に、怒っていませんけど」

「で、では何故、そんな愛らしいムッとした表情を……?」

「いえ、何だかレンノスケが他の女の子と遊ぶのがムカムカするだけですし?別に嫉妬ではないですし?別に……」

 

 

 

嫉妬である。

 

 

 

「キ、キリノ……俺はキリノしか見えていないぞ?」

「そんなこと分かっています。でも、それでもムカムカしちゃうんですー!」

「うぉ!?わ、悪かった!そうだよな?俺も逆の立場だったら確かに嫌だわ!ごめん!」

「……まぁ、キヴォトスは貴方を除いて女の子しか居ませんので、仕方がないかもしれませんが……」

 

 

 

そう、キヴォトスはレンノスケ以外全員女の子。

同年代や先輩、後輩と遊ぶって事に為ると女の子しか居ない。

 

しかし、キリノも乙女。

二人きりではないと知っていても、女の子と遊ぶのはやはり嫌だった。

 

だが、そんな感情でレンノスケを制限してしまえば、レンノスケは誰とも遊べなくなってしまう。

 

そうなれば、レンノスケは同性どころか異性の友達すら居なくなってしまうのだ。

 

 

 

「なので!約束してください!明日その子と遊ぶ時は私の事は気にしなくってもいいですが、余りベタベタされないで下さいね!」

「べ、べたべた?」

「体を触られたり迫られたりする事です。レンノスケは鈍感でクソボケでニブチンですから、心配なんですよ……」

「え?鈍器みたいなクソでかちん〇ん?(難聴)」

「鈍感クソボケのニブチ〇チンです!!!!」

「い、言ってる言ってる!ニブチンチ〇って言っちゃってる!」

 

 

 

ギャーギャーと騒がしい食卓はキリノのお説教で終わり、歯を磨いて、そして……就寝の時。

 

 

 

「なぁ……なぁーキリノー」

「……なんですか?」

「機嫌治してくれよー。俺が悪かったからさー」

「……ふんっ!」

 

 

 

キリノはそっぷを向く。

 

二人は引っ越しの後に買った二人用のベットに寝る二人だが、キリノはやはりまだレンノスケが女の子と遊びに行く事に拗ねていた。

 

レンノスケもそれが分かっているからか、中々強く出れないでいる。キリノに後ろから抱き着き、腹を抑えて発語する。

 

 

 

「……俺はキリノが一番だし、世界で誰よりも愛している。これは本当だぞ」

「っ!……そ、そんな事、知っていますよっ……でも、やっぱモヤモヤしますっ!」

「……キリノぉォ!!」

「わっ!?ひゃっ!!」

 

 

 

キリノのこれは嫉妬だ。

余りにも可愛すぎる嫉妬なんだ。

 

愛おしくて仕方ない仕草で拗ねるキリノを前に、レンノスケの理性が耐えられる筈も無かった。

 

レンノスケの軽い力で、キリノは無理矢理身体を対面にされ、目が合う。

 

 

 

「な、なにするんですかー!」

「キリノが可愛すぎて、つい……」

「ついって、もう!私は拗ねてるんですよ!」

「それ自分で言っちゃうのか?まぁいいが……なぁキリノ。キリノが拗ねている理由は分かるよ。俺も、キリノと同じ立場だったら嫌な気持ちになる」

「………」

「でもキリノは一度も行かないでって言わなかったよな?その理由を、聞かせてくれないか?」

「それは……だって、レンノスケのお友達ですし……それに、その子はゲームをしたいと云うレンノスケの想いを汲んで、ゲームをさせてくれる子なのでしょう?なら、本官がとやかく言うのは、恋人として送り出すのが普通なんじゃないかって、思いまして……」

 

 

 

”ギュゥぅぅぅ!!”

 

 

 

「ひゃぎゅっ!?レ、れんのひゅけ!?」

「可愛い……ヤバイ、可愛すぎるし、優しすぎるッ……好きィィ!」

「ちょっ!ん、もう……苦しいですよぉ、レンノスケぇ…」

 

 

 

良い子過ぎるキリノに、辛抱堪らんレンノスケは少し強くキリノを抱きしめる。

 

苦しいが、キリノも抱きしめ返す。

 

 

 

「大丈夫だ、俺はただ才羽とゲームで遊ぶだけだ。それに、キリノ以外に俺はムラムラした事が無い」

「へ……変な事言わないで下さっ!んっ!んんっ、あぁ…!」

 

 

 

レンノスケが対面から、キリノを押し倒す。

 

そして、キスをした後にキリノの胸を揉み、膝をキリノの股間にイヤらしく擦り当てる。

 

 

 

「んはぁ!あぁ……ん、もう……あっ!」

「まだ時間は9時だ、寝るにはまだ早いだろ?キリノ……俺は大好きなのも、愛しているのも、そして貴女を抱きたいこの欲も、全て貴女にしか捧げない」

「ひゃぁっ!?そ、耳、だめぇ……~~~~っ!」

「キリノ、耳、弱いもんな……最高にエロイ……抱くぞ、キリノ」

「んぅ……………して、下さい」

「ん?」

 

 

 

キリノは恥ずかしそうに、レンノスケに告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「────今日は……激しくして、下さい……私を、貴方で、満たして下さい……っ」

 

 

 

”ブチッ!!!”

 

 

 

「────……もう止まんねぇからな、キリノ」

 

 

 

その後、二人は長い夜を愛し合った。

 

 

 

 

 

 

次回

 

怪物とゲーム開発部。

 

 

 





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  • レンノスケ、配信者に成る。
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  • 提示版(レンノスケだけど、質問ある?)
  • レンノスケの過去編
  • 本編:カルバノグの兎編
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