怪物は、真面目な君に恋をした。   作:カブトムシの相棒

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「モモイ、俺オンラインのスマブラでパーフェクトゲームしたぞ」
「へー凄いじゃん!キャラは誰?ガノンおじさん?それともよく使ってるドクマリ?」
「ピチュー」
「ピチュー!!?」





うろ覚えなんですが、Xで見たツイートでこんな感じのヤツあって笑いました。これはオマージュです。私が考えた事ではないです。こういうリプできる脳が欲しいですね……。



いつか、こんな他愛ない日常会も執筆したいですね。


因みに最近セフィロスでVIPいきました。昔はドクマリとアイクを使ってたのですが、中々勝てないモノですね。セフィロス最強ーっっ!!



では、本編です。


そして、ここから始まる新たな物語。

 

 

 

■数時間後………。

 

 

 

 

 

 

〈GAMEOVER〉

 

 

 

「おん、なんでぇっ?防御しただろーがよ」

「あーそこはフレーム回避しなきゃ駄目なんだよねー」

「は?バズーカをか!?こんな弱い奴にフレーム回避はアホだろ!」

「まぁまぁ!さっ!もっかいやってみなよ!」

「レンノスケ!頑張って下さい!」

 

 

 

………

 

 

 

 

〈GAMEOVER〉

 

 

 

「え、急に死んだんだが」

「そこは装備を確認した後に、メニューを開いて装備の確認をしなきゃいけないんです。しなきゃ即死です」

「初見殺し過ぎないか?」

「ふふーんっ!そうだよ!」

「そんな笑顔で言うモンじゃないと思うがなッ……うぉ、ヤベェ、脳ミソがぶっ壊れそうだッ」

 

 

 

 

………

 

 

 

 

〈GAMEOVER〉

 

 

 

 

「いや幾ら何でもスライムが強すぎるだろ」

「見た目で判断しちゃ駄目だよ!このスライムの攻撃は全部即死だからね!」

「どうやって勝つんだよこんなバケモン」

「レンノスケ!其処はですね────」

 

 

 

 

 

 

 

テイルズ・サガ・クロニクルと云うゲームをする事早3時間……もう少しで4時間は経過するか。

 

レンノスケの最初の提案に、ゲーム開発部は驚愕を表したが、それと同時にテイルズ・サガ・クロニクルは自分達の作品であると伝えると、レンノスケは更に興味を持って直ぐにゲームに取り掛かった。それが、間違いだった。

 

いざやってみれば、最高にクソゲーだった。

 

数多の初見殺しの数々、意味不明なストーリー、主要人物の中々に狂った設定。

 

レンノスケはツッコみながら何とか事を進め、途中ではコントローラーを破壊しかけた。

 

しかし、決してあきらめる事無く、そして……遂に!

 

 

 

”〈GAME CLEAR〉”

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……あ、クリアした」

「うっそ!スゴイ!これ最速記録じゃない!?」

「え、うそクリアしたんですか!?こんな短時間で!?」

「流石は”英雄”レンノスケです!ゲームの腕も数時間前よりも明らかに上がっていました!選択肢も何個か初見で攻略していました!」

 

 

 

ゲーム開発部の3名は、3時間54分でクリアしたレンノスケを賛美する。

 

流石に偉業だった。初見の人ならば、途中で止めだすか、暴言を吐き散らしてゲームその物を破壊するかの二択だったのにレンノスケは苦しみながらもクリアした。

 

それが、余りにも凄かった。あのアリスをショートさせた代物を、この男は平常に終わらせる事が出来たのだから。

 

 

 

「どうだった!?凄く面白くなかった!?」

「ふむ、まぁ(ある意味)面白かったな。あそこで死ぬ!?って所や、キャラクターの在り方やストーリーは中々奇妙だったが、普通に俺みたいな初心者でも楽しめた良いゲームだと思ったな。くっそキツかったけどな」

「れ、レンノスケさん……」

「レン先輩!このゲームの素晴らしさを理解してくれるの!?」

「ん?あぁ」

 

 

 

まさかの肯定者。ゲーム開発部から笑みが零れる。

モモイとアリスが喜色の表情を作り、ミドリが驚きを隠せない顔に成る。

 

まさか、あの怪物が己達のゲームを楽しんでくれた事を、少し夢みたいだと錯覚してしまう。

 

 

 

「……だが、ちょっと疲れたな。流石に頭を使い過ぎた」

 

 

 

レンノスケはソファーに背凭れをし、一つ溜め息を吐く。

 

今日が初めてのゲーム。様々なゲームをプレイして、眼が疲れて来た時にプレイしたテイルズ・サガ・クロニクルは刺激が強過ぎた。

 

レンノスケは目を閉じる。

 

 

 

「目が痛いな……ゲームと云うのは、意外と疲れるのだな」

「あはは。まぁ今日が初めてのゲームだもんね、レン先輩」

「え!そうだったのですか!?」

「そうだよアリスちゃん。言ってなかったっけ?レン先輩ってモモチューブでしかゲームの存在知らなかったんだってー」

「それにしては結構上手にゲームをプレイ出来ていたけどね……色んなゲームをプレイした後にユズちゃんが作ったゲーム(テイルズ・サガ・クロニクル)までやってくれたんだから、本当に凄いよ。しかもクリアしちゃうし。普通に凄まじくセンスがあるのでは?レンノスケさんって」

「そう言って貰えると、嬉しいな……ふぅ…………目が痛ぇ」

 

 

 

レンノスケが目を覆い、光を視界から消す。

 

今は、少しだけ休みたかった。

 

 

 

「いやぁーそれにしても、まさか第1作目であるテイルズ・サガ・クロニクルを4時間でクリアしちゃうなんて……私たちでも少し時間が掛かったのに凄いなぁ」

「アリスでももっと掛かりました!やはりレンノスケは英雄です!」

「あはは、アリスちゃんがそう言うのならそうなのかもね。ん……あ、今何時……うっそ、もう6時過ぎてる?」

 

 

 

ミドリが時計を確認すれば、既に時刻は6時を迎えていた。

 

自分達ももう帰る時間帯、レンノスケも帰りたいだろう、そう思い今日はもうお開きにしようと皆に声を掛けようとした時……モモイが小さい声で告げる。

 

 

 

「今日はもうお開きにしよっか、皆、帰る準備を」

「み、ミドリ!」

「ん?どうしたの、お姉ちゃん」

「しーっ……見て、レン先輩」

「?……えっ」

 

 

 

モモイが指さす方向に、レンノスケが居る。

 

そして、気付く。レンノスケは………。

 

 

 

「……すぅ………すぅ……すぅ────」

 

 

 

寝ている事に。

 

 

 

「え、えぇ……っ!?」

「レン先輩、寝ちゃったんだけど……」

「英雄よ、今はゆっくり休息を取るのです……」

「言ってる場合じゃないよアリスちゃん!?」

「そうだよね……で、でも、どうしよっか?」

「いや、起こす他ないでしょ。まだ眠りは浅い筈だし」

 

 

 

ミドリがレンノスケの肩をポンポンと叩くが、起きる気配はない。

 

 

 

「ふむ、起きる気配なしですね」

「うん……それにしても、まさか寝ちゃうとは。初めてゲームをさせたから、無理しちゃったのかな?」

「そうかもね……ゲームをした後って目が疲れるから、無性に眠たくなる時があるけど、まさか此処までぐっすり寝ちゃうなんて……」

 

 

 

レンノスケはソファに上半身を寝かせて、眠る。

 

いつもの彼ならこんな事絶対にしないのだが、ゲームの影響や安全な環境、モモイ達の信頼が重なってつい眠りに入ってしまったのだ。

 

 

 

 

「すぅ、すぅ………」

「……そういえば思ったんだけどさ」

「?」

「なに?お姉ちゃん」

 

 

 

モモイが眠りに入るレンノスケの顔に近付き、まじまじと見つめる。

 

そして、モモイが思った事とは……。

 

 

 

「────男の人って、こんな感じなんだね」

 

 

 

”ピクッ”

 

 

 

そう、異性の事だ。

 

此処キヴォトスは、獣人やロボ市民を除いて、人間的特徴を持つ存在は全員【女性】だ。

 

ゲヘナも、トリニティも、そしてミレニアムも全員女子生徒しか居ない。

 

それ故に、レンノスケと云う【男性】は非常に珍しいのだ。

モモイの発言により、全員がレンノスケに集中する。

 

そうだ、今、自分達の目の前に居るのは自分達が初めて見る男性だ。

 

先程まで触れていたが、いざこうして見れば自分達とは違い、ゴツゴツしている。

 

 

 

「制服の上でも分かるムッキムキな筋肉、傷がある顔、高い身長……初めて見たけど、男性ってこんな感じなんだね~」

 

 

 

”ペタペタ、ちょんちょん”

 

 

 

モモイがレンノスケの腹筋、太腿、腕、頬を突く。

写真さえ撮る始末だ。

 

ミドリはヒュッと喉が鳴り、直ぐに静止させるよう伝える。

 

 

 

「いっ!?ちょ、ちょっとお姉ちゃん!触るのはマズいって!」

「え?なんで?さっきまでフトモモ枕にしてたんだから良くない?」

「だ、だからって!」

「モモイばっかズルいです!アリスも英雄レンノスケを触ります!」

「ちょっ!アリスちゃんまで……」

 

 

 

モモイに引き続き、アリスまでもがレンノスケに触れる。

 

二人共、初めての男の肉体に大変興味津々な様子で、突いていた行為から段々と掌で確かめていく。

 

 

 

”キィ……”

 

 

 

「ふ、二人共……そ、その辺にした方がいいと、思う……」

「ん?あ、()()ちゃん!」

 

 

 

ふと、扉が開く音がする。

 

見ればロッカーの方から開閉の音が聞こえたらしい。其処にはユズが出て来ていた。

 

 

 

「えー?いいじゃんいいじゃん!起きないんだしさー!」

「無防備なレンノスケが悪いです!イタズラし放題です!」

「も、もう!二人共いい加減にして!レンノスケさん凄い人なの忘れてない?」

「あ、あうぅぅ……」

 

 

 

モモイとアリスがペタペタと触れて、ミドリが静止の声を荒げ、ユズがオドオドし、そして何故か起きないレンノスケ。

 

場はカオスと化し、騒然とする中……。

 

 

 

「ん、くっ…────キリノッ」

「へ?」

 

 

 

レンノスケが擽ったそうに寝言を呟く。

 

一言、そう……彼の想い人である存在、キリノの名を発して。

モモイが素っ頓狂な声を上げる。擽っているのに近い形でイヤらしく身体を触っているからか、レンノスケの頬は少し赤い。これが男女反対だったら最高に犯罪だろう。無論、逆でも然りだが。

 

 

 

「今レン先輩、何て言った?」

「なんか、”キリノ”って言ってた、よね?」

「レンノスケのパーティー仲間でしょうか?」

「仲間……そうなんじゃない、かな?この人って、今じゃヴァルキューレの生徒だし……」

 

 

 

4名がそれぞれ言を繋げる。

レンノスケの寝言、そこから出て来た一人の名前。

 

明らかに女性の名前だ。キリノ……彼の夢にまで出て来る人物、一体どういう人なのだろうか?

そう思考すればするほど、気になる。モモイは眠っているレンノスケに耳元で囁く。

 

 

 

「レンせんぱ~い……キリノ?って人は誰なの~?」

「何してるのお姉ちゃん……」

「アリスも気になります!」

「アリスちゃんまで……」

 

 

 

モモイ、アリスが悪戯をする子供の様な笑みでレンノスケの耳元でそう聞く。

ミドリ、ユズは余り乗り気にはなれない。だが強くは止めない、気にはなるからだ。

 

世間に疎い自分等、あのモモイですら存在を認知している存在の、何かしらの関係者。

 

全員が、レンノスケに注目する。そして……彼の口が開く。

 

 

 

「────愛、している……キリノ」

 

 

 

”「!!!???」”

「……?」

 

 

アリスを除く、全員の心臓がギョッとなる感覚に陥る。

告げられた内容の凄さは、何とも聞いて良かったものなのか、分からない程の濃さ。

 

彼は告げた、愛していると。

 

 

 

「え、え、え、っ!!い、今、愛してるって言った!?」

「言った!言ったよ!え、うっそ!え、そ、そういう関係!?」

「や、やっぱ聞いちゃ駄目だやつだったんじゃないかな……っ」

「……愛している?とは、何ですか?」

「へ!?え、えっとぉー……好きな人と好きな人がもっと凄い好き?って感じかな」

「説明になっていないよお姉ちゃん……うーん、でも確かに何て言えば良いんだろう」

「多分、この人が言っている”好き”、はモモイやミドリの様な双子、家族からくる『親愛的』な意味じゃなくて、他人同士が恋に落ちて関係を深める『恋愛的』な意味を持つ”好き”って事なんだと思う。それを言い換えると”愛している”って言葉に成る……で良いのかな…?わ、私もそういうのには疎いから上手く言えないけど」

 

 

 

アリスの問いに、モモイとミドリが言い淀んでいるとユズが中々分かり易く説明。

 

所有、好きを重くした事と認識すればいい……ユズはアリスにそう答えた。

 

 

 

「愛している……アリスがゲームを好きなのとは、違うという事ですか?」

「そうだね、好きにも色々あるから。さっき言った親愛的な意味、趣味的な意味、一時的な意味、そして恐らくレンノスケさんが発した言葉は……愛情的な意味」

「な、なんだかロマンチックな感じ……っ!」

「……多分、聞かなかった事にした方が良い気がする」

「え?な、なんで?」

「この人、城ヶ崎レンノスケさんの立場的に考えたら、もしかしたら教えたくはない秘密なんじゃないかな……」

「あ、あー……確かに、そうかも」

「?……どういう事ですか?」

「わ、私も分からないんだけど!?」

 

 

 

ユズ、ミドリが少し困った顔でそう告げる。

 

分かっていない二人に、分かり易く伝えようとした、その時。

 

 

 

「────いや、お前達になら良いだろう」

”「……へ?」”

 

 

 

”ギシッ……”

 

 

 

突如、低い声が全員の耳に届く。

振り返る。其処には上半身を立たせ、開発部の皆を見つめるレンノスケの姿が在った。

 

ユズ、ミドリ、モモイが驚いた声を上げる。まさか、バレていたのか?そう思って、いや、バレたと確信したモモイがレンノスケに問う。

 

 

 

「うぇ!?れ、レン先輩、起きてたの!?いつから!?」

「む?あぁ、モモイが『な、なんだかロマンチックな感じ……っ!』って辺りから起きた。察するに、俺が寝言か何かでキリノとの関係をお前等に教えてしまったのだろう」

「すっ、凄い察し力!」

「あ、あわわわあわ……」

 

 

 

レンノスケが続ける。

 

 

 

「キリノは俺の恋人なんだ。えーーっと……ほら、この子」

 

 

 

普通に恋人である事を告げ、そのまま写真を見せる。

 

本来なら言ってはいけない事だが、レンノスケはゲーム開発部の面々を信頼している故、特別に明かした。気になっている様子だし。

 

 

 

「え!?かわいいーっ!この人がレン先輩の恋人さんなんだ!」

「へー……何だか、意外かも」

「てっきり戦士クラスの女傑だと思っていましたが、とても頼りになりそうな警官さんですね!」

「わぁ……綺麗な人」

 

 

 

想像した通りの反応、レンノスケは喜色の表情を見せる面々に、ふっと微笑みで返す。

 

 

 

「あっ!おはよう御座います”英雄”レンノスケ!疲れは取れましたか?HPは満タンですか?」

「おう、おはよう”勇者”アリス。お前達もおはよう………あぁ、疲れは取れたよ。HPも満タンも満タンだ。それと……すまないな、ソファーを使っちまって、勝手に寝てしまった」

「それは良かったです!このソファーは睡眠魔法が掛かっているのでアリスもよく眠ってしまいます!しかもHPも満タンになるので眠くなるのは仕方ありません。なのでお気に為さらず!」

 

 

 

レンノスケとアリスが微笑みながら話し合う。

 

レンノスケがソファーに座り、アリスが立って居た状態からソファーに座ってレンノスケを見上げる。傍から見たら姉妹に見えるだろう。

 

……アイラには、言えないが。

 

 

 

「くは、そうか……ありがとうな、アリス」

 

 

 

”なでなで……わしゃわしゃ……”

 

 

 

「んっ……えへへ」

 

 

 

レンノスケがアリスの頭を撫でる。

 

これは無意識に取ってしまった行動だ。彼自身、アリウスの子供達と遊ぶことが多い故、つい、幼さが残る子供には甘やかす癖が出来てしまっていた。

 

寝起きもあり、レンノスケは優しくアリスの頭を撫で続ける。

 

アリスは……柔らかい笑みを浮かべ、レンノスケの撫でつけを受け入れている。

 

気持ち良いから、それもある。だがそれ以上にレンノスケと云う己が自分よりも強く尊敬の念を抱いている存在からの撫で付けを頂けたから嬉しかったからだ。

 

 

 

「……すっごい、微笑ましい光景だ……っ!」

「ちょ、そこ退いてお姉ちゃん。写真が収められないッ……これは良いサンプルになるよ」

「距離の縮まり方が凄い……ぅぅ」

 

 

 

それぞれ、多種多様な反応を見せる。しかし、この雰囲気を壊す程、騒ぎはしない。

 

レンノスケとアリス、そこの空間には────なにか”言いようのない雰囲気”があった。

 

まるで他人ではない、彼と彼女のみ持つ何かが有った。それが何なのかは分からないが……。

 

 

 

「……っと、すまん。つい撫でてしまった」

「ッ!いいえ!とても気持ち良かったです!レンノスケはナデナデも上手で凄いです!」

「そうか?気にしてないんなら良いんだが、そう言って貰えるのは嬉しいな」

 

 

 

我に返ったレンノスケがアリスの頭から手を離し、謝罪する。

しかしアリスは気にしていない、何なら感謝を述べる。

 

距離が縮まる速度が速いのはレンノスケの専売特許だ。これもそりが合う者だからこそ出来る芸当だが。

 

 

 

「ん?お前は……あのロッカーに居た奴か?」

「ひぃっ!あ、あぁぁ、は、はい……っ」

 

 

 

レンノスケがユズの存在に気付く。

 

見る。ロッカーに居た気配の子と一致する。

どうやらロッカーから出て来てくれたようだ。

 

ユズはレンノスケに唐突に話しかけられ、徒来から有る己の臆病で人見知りな性格が出てしまう。言葉が上手く出て来ず、一言で終わってしまう。言いたい事があるのに、伝えたい事があるのに、緊張してしまう。

 

少しの静寂、レンノスケが動いた。

 

 

 

「確かユズだったか?すまないな、驚かせてしまった」

「あ、は、はいっ……い、いえ、その、全然気にしていないので、大丈夫です……」

「そうか?なら、良いんだが」

「……ユズちゃん」

「う、ん……あ、あの!えっと、城ヶ崎さん!」

「ん?どうした?」

 

 

 

ミドリがユズの様子を見て、そっと背中に手を差し伸べる。

緊張しているユズに、解く様な手付きで撫で付ける。それによってユズは気を強く持ち、レンノスケと向き合う。

 

目が合う。そして、告げる。

 

 

 

「────ありがとう、御座いますっ!」

「……なに?」

 

 

 

感謝を告げる。

 

顔を真っ赤に染め、しかし、何処か喜色の雰囲気を持って。

 

 

 

「さっきのゲーム、遊んでくれてありがとう御座います……またこのゲームを面白いって言ってくれる人が居たなんて、まだ驚きとか色々、あるけど……嬉しかったんです」

「……そうか」

「だ、だ、だから……ありがとう、御座います…っ」

 

 

 

ユズはレンノスケにスッと頭を下げ、礼を言う。

 

モモイとミドリ、先生、そしてアリスに次ぐ、己が作ったゲームをお世辞抜きで称賛してくれる人物が居た事に、驚きと喜びが隠せなかった。

 

だから、只々いまは、彼にお礼を伝えたかった。楽しそうにゲームをして遊ぶ、己のゲームを様々なリアクションをしながら進める彼に。

 

数秒の間、レンノスケが告げる。

 

 

 

「なに、俺は面白いなと思ったからそう言っただけに過ぎん。これはお前が作ったんだろ?凄いじゃないか、俺は素人も素人だから余り詳しくはないが。ゲームを作る事の大変さと辛さは知っているつもりだ。こういうのを死にゲー?と云うのだろうか、だが、俺は楽しく遊べたよ。寧ろ感謝だな」

「っっ……」

「ユズ、お前さえ良ければ、お前のおすすめなゲームを教えてくれ。モモイやミドリ、アリス、そしてユズ。お前のお陰もあって俺はゲームが大好きになった。この世界、俺はもっと楽しみたいな」

 

 

 

レンノスケは固い表情を、何とか和ませ微笑む。

 

アリスの時と、似ていた。彼は本気でゲームを好きに成ってくれた。その目、その雰囲気を感じ取れば分かった。

 

あぁ、何て嬉しい事か。まさか、あの怪物が己の作ったゲームをこんなにも称賛してくれるなんて。モモイ、ミドリ、アリスにも面白いと言ってくれた時を思い出す。この感覚は、今こうして正面から言われて、中々どうして慣れない事か。

 

いつ言われても嬉しい瞬間だ。己はこの為にゲームを作っているのだともう一度改める事が出来た。

 

 

 

「は、はい!わ、私のおすすめ、教えます!」

「あぁ、ありがとうなユズ。そうなると……俺もゲーム機を買わなきゃだな」

「……良かった、ユズちゃんとも仲良くなれたみたいで」

「え、えへへ……」

「おう。俺はユズみたいなタイプとは仲良くなれそうだなって思ってたんだ。ロッカーに居た時からな」

「へっ!?あ、あぅ………そ、そうだったの、ですか…?」

「む?あぁ、何と言うか、物静かな感じが良いよな、お前。そのオドオドした感じも”俺好み”だし。どうだ、モモトークでも交換するか?」

「あ、は、え、えっと……は、はい……っ//////」

 

 

 

レンノスケとユズが携帯を出し合い、モモトークを交換する。

 

勿論、レンノスケに変な気は無い。ユズも無論、その事は知っているが……異性と連絡先を交換するのは初めての事、少し、恥ずかしくなってしまう。

 

その光景は何ともいじらしく、しかし、微笑ましかった。

 

 

 

「レン先輩、やるぅ!キリノさんに言いつけちゃぞ!」

「か、勘弁してくれモモイ、殺されちまう」

「そんなガチトーンで……!?」

 

 

 

後が少し怖くなったレンノスケであった。

 

 

その後、ユズと連絡先を交換した後、便乗したミドリとアリスもレンノスケとモモトークを交換した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────じゃあ、俺はこれで帰るよ。今日はありがとうな、お前達」

「はい、またお越し下さいレンノスケさん。此処には色んなゲームがありますので」

「レンノスケさんが気に入りそうなゲームとか、おすすめしたいゲームが一杯あるので、本当にいつでも、遊びに来て頂けたら……ですっ」

「余裕あったらスイ〇チとP〇4かP〇5買ってね!そしたら離れててもゲームが出来るから!」

「あぁ、そう言って貰えると有難いな。ゲーム機はキリノに相談しなきゃだが……じゃあ、またな」

 

 

 

レンノスケは全員の別れの挨拶を聞き、返事をして出る。

 

実に有意義な時間だった。モモイから始まり、ゲームを始めてやって、最後に全員と仲良くなる事が出来て終わる事が出来た。

 

友達とは、こう言う事をいうのだろうか……何だか、少し嬉しくなった。

 

廊下の窓から見える外はもう暗くなっており、夜の帳が落ち始めている事に今気づく。

 

キリノには既に遅くなると伝えては居るから大丈夫だとは思う。レンノスケは来た道を歩いて校門へと向かった。

 

 

 

「(しかし、ゲームと云うのは意外と目が疲れるな……する時は必ず目薬を常備しよう────ん?)」

 

 

 

今日覚えた教訓を心の中で思っていると……ふと、視線を感じた。

一度止まる。妙な感覚だ、見覚えがある。

 

廊下の壁際、視線のその先……その上を見る。其処には監視カメラがあった。

誰かが己を見ている、それは確かだ。

 

ブラックマーケットで幾多も感じた強欲の視線。己を必ず見つけ捕らえると思わせる我を見せたドローン。そんな視線を、あの監視カメラから感じる。

 

 

 

「……ふぅ。一応言うがな、俺は何もしてねーよ、誰だか知らねぇがそんな目で見るな、そのカメラぶち壊したくなる」

 

 

 

レンノスケはカメラに向け、そう告げる。

 

余りこういった視線は好きではない。機械でも分かる程の視線、これが気味が悪く、レンノスケは苦手だった。

 

 

 

「今度はアポ取って来る。だがな……お前等がまだ俺を警戒するのは分かるが、もう少し、その……湿っぽい圧は仕舞え。誰だか知らねぇが、ウザイんだよボケが────シャーレに居た時も監視カメラで俺を見張りやがって、言いたい事があんなら直接聞きに来いよ全く……ブッ飛ばすぞ(中指を立てながら)」

 

 

 

レンノスケは言いたい事を言って、その場所を後にする。

 

 

その背中には、確かな怒りが宿っていた。

 

 

 

 

 

■同時刻……。

 

 

 

 

 

────ヴェリタス、部室。

 

 

 

 

”「────……」”

 

 

 

絶句、この言葉が、今は全員の様子を表していた。

 

ミレニアムが誇る最強のハッカー集団、ヴェリタス。

 

其処の部室には現在、部員である『小塗マキ』、『小鈎ハレ』、『音瀬コタマ』、そして副部長である『各務チヒロ』が居た。

 

皆、此処でレンノスケの動向を常に見張っていたのだ。シャーレに居た日、彼が初めてミレニアムに来た日、モモイを助けた日、そして今日ゲームをしに来た日、全てを。

 

気付かれていないと思っていた。だって、破壊されなかったから。

ブラックマーケットに居た時超小型ドローンやハックした該当監視カメラで彼を見つけた瞬間に、何時の間にか破壊されていたのだ。

 

しかし、それは違った。彼は見逃していただけだったのだ。

 

可笑しな話だ、どうして監視カメラやドローンから己の感情を読み取れる?一体どういうカラクリなのか、最早その場に居る全員は理解が出来なかった。余りにも非科学的な存在過ぎて、彼が本当に自分達と同様な人間なのか、それすらも怪しむ事態だ。

 

 

 

「………相変わらず、なんて人」

「な、なんで、私達が覗いてるって分かる訳!?」

「……理解、出来ない」

「あの人、前々から思っていたのですが、やはり良い声ですね」

 

 

 

上からチヒロ、マキ、ハレ、コタマの順で言する。

 

一人を除いて、レンノスケに対する悍ましさをそれぞれ告げた。

 

 

 

「うん……もう、これ以上彼を監視するのは得策ではないね」

「そうだね、正直……怖いや」

「画面越しの殺気で身震いしたのは初めてです」

「うぅ……まだ身震いがするぅ……」

「ごめんね、皆。私のせいで怖い想いをさせてしまって……」

「うぅん、気にしないでチヒロ先輩!私達も興味があったからやってた訳だしさ!」

「そうだよ、怖かったけど」

 

 

 

此処で、チヒロは前々から思っていた事を発語する。

 

それは、レンノスケの監視を終えるという事。

 

ヴェリタス、特にチヒロはレンノスケがブラックマーケットで頭角を現して以降、常に彼を捜索して特定していた。

 

彼が何か事件を起こす度に、小型ドローンや街頭カメラや通行人の携帯をハッキングして、血眼になって探して見つけては、特定できなかった存在なのだ。

 

 

 

「……副部長」

「なに?コタマ」

「いいのですか?貴女にとって、彼は────……」

 

 

 

────────

 

 

 

『────おい、お前、此処は危険だぞ……チッ、追手が、面倒くさい、皆殺しにするか………おい、俺が、あいつ等をぶち殺している間に、お前は逃げろ。あの、それと、二度と俺を見つけようなんて、思うなよ────………』

 

 

 

────────

 

 

 

「……うん、大丈夫。もう決着はついてる。私の完全な敗北、それに彼は……()()()()()()()()()()()()()()()()()。人に優しい所、それが分かっただけでお釣りが来る報酬だからね」

「………そうですか。貴女がそれで良いのなら、私は何も言いません」

「何々?またチヒロ先輩の『拗らせ』?」

「いい加減シャーレに行って会いに行けばいいのに、変な所で奥手だよねチヒロせんp……ひぃぃ!!」

「……拳骨がご所望って事でいいんだよね?あんた達」

「じょ、冗談だよ!」

「シャレです……許して」

「……はぁ、全く」

 

 

 

少し、昔を思い出したチヒロなのであった。

 

 

そんな雰囲気の中、ヴェリタスの部室のドアが開く。

 

 

 

「────あら、今日は御機嫌が斜めなチーちゃんなのですね?ふふふ」

「……開口一番がそれ?『ヒマリ』」

 

 

 

現れたのは、車椅子に座る白い少女。

 

名を、明星ヒマリ……このヴェリタスの部長である。

 

現在は【特異現象捜査部】に引き込まれ、実質的な部長はチヒロではあるのだが、今回はそこはいいだろう。

 

唐突なヒマリの登場、レンノスケの事もあり、タイミングが良すぎる。何処かで見ていたのは確実だろう。

 

 

 

「あ!ヒマリ先輩!」

「久しぶりだね、ヒマリ先輩」

「こんにちわです」

「うふふ、お久しぶりです、皆さん」

「何の用?」

「あら、素っ気ない……この超天才清楚系病弱美少女の来訪ですよ?もう少しなにかおもてなしが合っては良いのでは?仮にも部長ですし」

「……はぁ、もう」

 

 

 

チヒロは心底面倒くさそうにするも、棚からせんべえやお茶を取り出し提供。

そのまま流れで部員全員に菓子を渡す。世話焼きな彼女らしい一面だ。

 

 

 

「うふふ、私の好物ばかり。ありがとう御座います、チーちゃん」

「……別に」

 

 

 

ツンデレである。

 

 

 

「そ、それで!結局ヒマリは何をしに来たの?想像は付くけど、私達に何か要件があって赴いたんでしょ?」

「えぇ、それはもう……特にチーちゃんにしか出来ない事があって」

 

 

ヒマリが何時になく真剣な表情になる。

 

チヒロを始めとし、面々の顔が引き締まる。ヒマリはいつも陽気だが、こういう表情の時のおふざけは見た事が無い。きっと、真剣な話なのだと、皆が思う。

 

 

 

「私にしか出来ない事、ですって……?」

「はい。この話は先程までゲームに夢中だった彼、怪物さんとの件です」

「ッ……あの人の?」

 

 

 

ヒマリが確かな決意を秘めた瞳でチヒロを見つめる。

 

其処には、ヒマリがチヒロに対する信頼があった。

 

 

 

「2年前、チーちゃんが唯一、たった一度だけ、彼と対面で接触したからこそお願いしたい事があります」

「……それは?」

 

 

 

ヒマリが真剣な表情の顔から、一変………満面の笑みに変わる。

 

 

 

 

 

 

 

「────今からレンノスケさんに『色仕掛け』をして来て下さいっ♪」

 

「────は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回

 

 

 

数年越しの再開。貴方は、私を覚えていますか?

 

 




☆小話

:実は、チヒロとレンノスケは一度会った事がある。


これはまた追々出す話になります。まぁまぁ重要な話ですし。因みにですが、レンノスケとチヒロは今後の展開に大きく関わるので!色んな意味で。



好感度的に言えばこんな感じになります。



チヒロ  :90% → レンノスケ

レンノスケ:?(あの一瞬しか会っておらず、交流していない為)→ チヒロ


後、少し前の話の情報ではヒマリも同じ好感度なんですよね。



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  • レンノスケ、配信者に成る。
  • 16歳組によるバレーボール同盟
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  • 提示版(レンノスケだけど、質問ある?)
  • レンノスケの過去編
  • 本編:カルバノグの兎編
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