一応パヴァーヌ編が終わるまで投票を続けようと思います。
『ショタになったレンノスケ』、『レンノスケの過去編』、『キリノと二人旅』、『掲示板』が並んでいますね。どうなりますかね~。
▽補足。
・ショタは本当の超平和回にしますね。キリノと先生は勿論、カンナ、コノカにフブキのヴァルキューレ組。ヒナにマコト、イオリに便利屋と云ったゲヘナ組。ナギサやミカ、セイアに補習授業部や正実のトリニティ組。ゲーム開発部にユウカ、チヒロと云ったミレニアム組が勢揃いです。勿論、その他の生徒も登場します。レンノスケの普段(1話~現在)とのギャップで悶え苦しむのを執筆したいですね~。
・過去編です。城ヶ崎レンノスケの13年間の軌跡を具体的に知っているのは取調べ組と先生、チヒロのみで、全て知っているのは『黒服』だけです。
「……笑えないですね」
あの黒服がそんな事を言う程の展開を執筆します。
・キリノとの二人旅では百鬼夜行と山海經を旅させます。
百鬼夜行→くっそ平和。
山海經 →問題発生?
的なのをイメージしています。
・掲示板は初期通りキヴォトスの掲示板を私なりに執筆してみます。
『城ヶ崎レンノスケだけど、なんか質問あるか?』
的な感じで書きます。チヒロ全ギレ案件ですね、これ。
では、本編です。
────最近の本官には、少し困っている事があります。
「もしもし、どうした?……あぁ、それなら俺の方が近いから俺が行く。空崎、お前はヘルメット団の殲滅に行け。あぁ、任せたぞ。終わったら、またイオリ達の訓練か?了解、じゃあ早く訓練が出来るよう、最速で終わらせるか」
いえ、困っている……とは言っても、本官は彼を信じていますし、彼も本官の事しか恋愛的な意味でずっと大好きなのも理解しています。
「……フーたん、この間の礼にこれ受け取ってくれ。トリニティのなんか良いドーナツだ。皆で食ってもいい……ん?気にしなくって良いだって?いいや、そういう訳にはいかない。お前が居たお陰で迷子の子供を親御さんの元に帰らせる事が出来たんだ、俺の所為でガン泣きだったしな、あの子。まぁそーいう訳だから素直に受け取れ。そう、それで良いんだよ……む?じゃあフーたん呼びは辞めてだって?え、イヤだけど」
………えぇ、困ってなんかいません。
「シキ、最近シスターフッドに入ったらしいな?いやなに、アイラがスマホでシキの制服を送ってきてくれてな、ほら、見てみろ顔を赤くしてピースサインのお前が写って……おっと!渡さねぇぞ?消されても無駄だ、もう保存したからな!……ぬ?早く消せ?忘れろ?なんでだ、良いじゃねえか。似合っているし可愛いぞ?あ、綺麗って言った方が良いか?まぁ、今は2年生として入ってるんだろ?じゃあ後もう1年はこの姿が見れると思うと、少し嬉しいモノがあるな。お前が新しい場所でも頑張れている証拠だ、アイラ達もきっと嬉しく思ってるぞ。今は見習いだったっけか?いつか様子を見に行かせてくれよ?俺一回、なんだっけ?懺悔?ってやつやってみたかったんだ………え?来たらブッ飛ばす?おい、シスターにあるまじき発言だぞ!」
……でも、少し、ほんの少しだけ、言いたい事があるんです。
「チヒロ、最近先生からゲーム機を頂いたんだ。そう、スイッチだ!え?一緒にやるかだって?いいのか?勿論、出来るのならやろう!……あ、いや、俺が聞きたいのはそっちじゃなくて、パスワードの方なんだ。その、やっぱりこういうゲーム機にもパスワードって必要なのかなーって思ってな……あ、やっぱり必要なのか。じゃあ一緒に考えてくれよ、確かあれだろ?俺のスマホと同じ暗号はダメなんだろ?俺バカだから、誕生日とか4545や1919、0721とか8181みたいな下ネタ系の暗号しか覚えれ……わっ!ま、待て!下ネタ言ったのは悪かったから脛を蹴らないでくれ!おわー!」
………。
「ちょっ、アスナさん……急に後ろから抱きつかないでくれ、照れてしまうだろ……俺にはキリノと云う恋人が居るんだ、すまないが、こういったスキンシップはだな………あぁいや待て!別にスキンシップが嫌って訳じゃないんだぞ?ただな?その、俺アスナさん相手だと強くは出れないから、もう少し控えて欲しいってだけで、別にアスナさんと遊んだり模擬戦するのが嫌って訳じゃなくてだな?だから落ち込まないで欲しいって言う感じで………は?揶揄っただけ?気にしていないだと……勘弁してくれッ」
▽
「────最近レンノスケの傍に女の子が増えてきてますっ!」
”「お、おう……」”
キリノが生活安全局の食堂、そこでフブキと数名のヴァルキューレ生と共に昼食を食べ終え……現在は生活安全局の署内で休憩を取っていた。内容は、レンノスケの事。
当の人物はここ最近、何やら忙しい様子で、聞くに、ゲヘナやブラックマーケットの捜査や暴徒の鎮圧に併走しているらしい。頻度は間違いなく減ってはいるのだが、それでも事件は起きるのがキヴォトス。少しの食い違いで争いが起きる。
特に彼はゲヘナ風紀委員と共同で鎮圧に取り組む事が多い。ゲヘナだから暴徒は多いのが一つの理由だが、それと同時に『ゲヘナ風紀委員の訓練』にも一役買っているらしい。
それに加え、彼はヴァルキューレの対オートマタや対人間に特化した戦闘訓練の他、射撃講習も私達に伝授しています。
ある日の訓練では、このように教えていました。
『正直、皆の腕前は俺並みにある。何なら俺よりも射撃が上手い奴は居るだろうな、じゃあなんで威力や精度に差があるのか。それは俺達ヘイロー持ちに宿つ”神秘”の使い方が出来ていないからだ。今から俺がこのハンドガンを二回撃つ。違いを見つけてくれ』
”ドンッ!”
”『おー……』”
その弾道は真っ直ぐ、人型の的の心臓部に着弾。
それを見た皆は、感慨の声を上げる。キリノもその現場に居て、流石としか思えなかった。
『んで、これが────”神秘”を込めた射撃だッ』
”ドォンッッ!!!”
『ッッ!!!』
そして、放たれる2発目は人型の心臓部に当たると同時、そのまま上半身の部分を粉々に破壊される。
明らかに1発目とは音も、威力も違った。これが彼と自分達の差なのだと、ヴァルキューレの生徒達は思い知る事となった。
『この様に〈ただ撃つ〉のと〈力を込めて撃つ〉とでは天と地の差がある。もしかしたら無意識の内にお前達は神秘を込めて撃ったことがあるかもしれないが、今日からこの業を意識しながら撃て。それに俺が使っているハンドガンはもう随分前のベレッタM92だ。こんな弱い武器でも此処まで引き出せるポテンシャルがあるんだ。そして、それを引き出すのにはお前達の力、神秘が必要不可欠。この力を上手く使えば、不良集団なんか簡単に制圧出来るぞ』
彼の言葉にはとんでもない説得力があった。
無論、彼が戦闘の天才であるのは加味するが、それでも、自分達が更に強くなれる可能性を底上げしたレンノスケの演説は影響力が凄まじかった。
『やり方は一人一人に確り教えるつもりだ。だから先ずは俺の口頭を聞いて、実践してみてくれ。此処まで何か質問とか────』
▽
「……まぁでも、確かに最近レンノスケさんの周りには女の子が一杯居る気がする」
「訓練の事や、助っ人で颯爽と事件を解決に導いたりとかで、ヴァルキューレでは今じゃモテモテだもんね」
「でも仕方ないよね。あの人、ほんっとに女たらしだから。自覚無いだろうけど」
「昨日の訓練で私見ちゃったんだけどさ、レンノスケさんに公安局のモブ美が戦闘技術を教えて貰ってる時……『モブ美、相手を無力化したい時は人間の弱点を狙え。俺のおすすめは鎖骨だ、折れやすいし、両腕を無力化させる事が出来る。一度、俺の触れてみろ……そう、この部位を押す感じだ。ある程度の力で折れるから、この部位は良いぞ。え?警察としては割とOUT?気にすんな!』……的な事を教えてたな。あの時のモブ美の顔を見たら……かぁーっ!」
「………へぇぇ~~」
キリノは膨れっ面を作り、心底機嫌が悪くなる。
当然だ、彼は今迄の環境の所為もあるが余りにも異性との距離が近い。
最近では自分で教えている者の手を掴んで、己の筋肉部位に触れさせ、此処を撃て、此処が意外と次の動きを封じやすいなどをあの顔あの声で教えているのだ。
何人かは勘違いをしているに違いない。キリノは苛立つ。
「……そういえば、レンノスケ先輩ってフブキちゃんの事だけ何故か『フーたん』呼びだよね?なんで?」
「あー……その事ね」
「私も気になる。マジでなんで?あの人がフーたんって呼ぶの普通にツボなんだけど」
「それな笑」
「いや、本当に深い意味はないんだけどね?ほら、あの人エデン条約の件で一時期入院してた時があったじゃん?レンノスケ先輩暇そうだったから『アニメ』でも見たら?って言ったら凄くハマったってさ、キリノが席を外す時はずっとアニメばっか見てて、それで久しぶりにお見舞いに行ったら私の事を『おっ!久しぶりだなフーたん!アニメすげぇ面白いな!』って感じでね~」
「あの時の衝撃は本官も覚えています。本当に、いや……ぷっ!ふふふっ!」
「キリノ~?」
「あ、い、いえ、これは本当に面白くって……あひぃぃぃ!?」
”もみもみもみもみもみっ!ムニュムニュムニュムニュ♡”
フブキが怒りを覚え、思い出し笑いするキリノの胸を揉みしだく。
キリノは現在制服を脱ぎ、Yシャツの姿だからか、その胸が強調されて揉まれ易くなっている。
その光景を見る他の生徒は”「おぉ……」”と、同じ女だが目を見張るモノで、目が離せないで居た。
「ちょっ、フブキっ!だ、んぅ!」
「ほれほれ~!悩める子羊のお胸かぁコレが~~っ」
「そ、そりぇぇ!?んっ♡くぅぅ!」
「……あ、あー……そんなに?」
キリノが悶える。フブキとはこういうスキンシップは極稀に取るが、此処まで気持ち良さそうに悶えていたか?と、フブキは思い行為をやめる。
「はぁ、はぁ、はあぁ……ふ、フブキ―!」
「ごめんごめん、まさかそんなにエロイ声を出すなんて思わなくってさ?え、なに?そんなに進んでるの先輩とキリノって」
「そ、そんな事は……ッ!」
「いや今の見るにキリノちゃん開発されてるレベルで悶えてたよ?」
「ってかメチャクチャ大きくなったよねキリノ。H?それともⅠはある?」
「さ……最近、Ⅰにいきましたね……」
「どっひゃー!」
「カンナ局長クラスじゃんもう!」
「こりゃドスケベですわ……」
「同期がいつの間にかメスになっちゃった~」
「さっきから酷いですよフブキっ!!」
キリノの胸事情が話題になる。確かに、キリノの胸は大きく成っている。
これはレンノスケが常に揉んでいる明らかな証拠だ……皆、そう確信した。
「そっかー、キリノも嫉妬するのか~」
「し……嫉妬?」
「まぁ気持ちは分かるよ。自分の彼氏が他の女の子に現を抜かすなんて、普通だったら嫌だもん」
「で、でも……彼は彼の善意で接しているだけで、本官のそんな気持ちで彼を縛るのは……」
「何言ってんのさ、キリノらしくない。ハッキリ言えば良いのよレンノスケ先輩に」
「え?」
「他の女の子と少し距離が近いから、少しは自分の彼氏だってことを自覚してーって」
「そっ!そんな、恥ずかしい事……っ!」
「私もそん位は言わなきゃだと思うよ?レンノスケさんって結構鈍いでしょ?」
「そ、そうですけど……」
「キリノちゃんの気持ちは決して恥ずかしい事じゃないよ。逆に言えばね?それって嫉妬する位、あの人の事が大好きって事だもん」
フブキの行動で場の雰囲気が柔らかくなる。こういう所がフブキの強点なのだろう。
他の局員達も皆、キリノを擁護する。その想いは、気持ちは決して間違っていないと肯定する。
”ピリリリリリリ……”
「あ、本官の…………ぁ」
キリノの携帯から通話音。
一体誰からかと思ったら、それは……。
「レンノスケから……」
渦中の人物、レンノスケからだった。
それを見たフブキたちは、一斉にキリノに言を投げる。
「キリノ、チャンスだよ」
「言っちゃいなよ!」
「う……い、一度、出ますね?」
キリノは息を整え、そして、コールを承諾する。
「も、もしもし?レンノスケ?」
『もしもし、キリノ。いま大丈夫か?』
「だっ、だ、大丈夫です!えぇ……本官に、何か用事が?」
『あぁ、実は今からにゲヘナに赴く事になっちまったんだ。風紀委員の支援要請で、どうやら悪徳組織の壊滅とビリビリヘルメット団の殲滅だとかでな……また今日も遅れるかもしれ『おーい!レンノスケさーん!』……少し待ってくれ』
”ズキッ────……”
「……っ」
向こうの電話先から聞こえてくる違う女の人の声。
胸がズキッと痛くなる。今は自分が話しているのに、彼は私のなのにって、醜い嫉妬をしてしまう。
『……そうだ、そこの奴が今回の事件の主犯だ。収容してやれ』
『はーい!いつもありがとうっす!』
『ういー………っと、もしもし?すまんキリノ、ちょっと立て込んだ』
「ぁ、いえ……スケバンの制圧は無事に終えたみたいで、何よりです」
『ん?あぁ、正義実現委員会の奴等と共に取り組んだから、マジ早く終わったわ』
レンノスケの声質は少し明るい。対照的に、自分の声は……どうだろうか、変わらず元気に出せているだろうか。
なんでだろうか、最近の自分は面倒くさい。
感情を抑えるのが、日に日に辛くなってきている。
前は、彼の傍に女の子が居ても少しモヤっとするだけだった。いつの間にかムカムカして、彼を独り占めしたくって仕方なくなった。
『そんじゃあ、そう言う事だからキリノ、今が12時だから多分5時30分にはヴァルキューレに戻る。キリノも頑張ってな!じゃあ』
「ま、待って!レンノスケ!」
『っ!……どうした、キリノ』
「あ……っ」
引き止める。
引き止めてしまう。
何をしているのだ、己は。
彼は今から仕事だ。自分なんかが止めて良い案件じゃない。彼はこれから戦闘に向かうのだ。
止めて、仕事に支障が生まれてしまえば己の所為だ。
自分如きが、彼の仕事を中断するなんて、愚かにもほどがある。
電話を、切ろう……最後に、頑張って!怪我はダメ!無理はしてはいけないと告げよう。
「あ、あの…………」
あぁ、でも、でも……少し、ほんの少しだけ、言わせてほしい。
「さみしい、です……れんのすけぇ」
『────……』
それは、溜まりに溜まった嫉妬からきたキリノの本音。
ここ最近、レンノスケの帰りは遅い。酷い時は夜の1時に帰って来る事もある。朝から夜まで働いているからだ。
ゲヘナ、トリニティ、ミレニアム等々……各自治区を巡回しては、起きた事件や問題の解決に奔走しているからだ。
レンノスケでしか不可能な超肉体労働、それでも彼は文句一つ言う事無く業務に尽くしている。
……キリノも、それを理解している。
でも、それでも……寂しいものは寂しいのだ。
「……っ!!あ、ぁ!その、いっ、今のは!何でもありません!ご、ごめ、ごめんなさいレンノスケ!きに、気にしないで下さいね!」
『………』
我に返る。今、己は何を言った?
あぁ、何て恥ずかしい話だ。公衆の面前ではしたない事この上ない。
立派な警察を目指す者として恥ずべき失態、キリノは直ぐに言葉を取り消す……が。
『キリノ、休憩時間って確か1時間だよな?』
「へ、え?あ、えっと……はい、そうですけど……」
『30…いや、20分そこで待っててくれ。分かったか?』
「え?20分?あ、あの、それってどういう……」
”プツッ!”
「へ?も、もしもし?レンノスケっ?」
急に電話を切ってしまったレンノスケ。
……もしかして、迷惑だったのだろうか。罪悪感が己を襲う。
我儘なんか言わなければよかった。もうどうしようもない後悔が、己を襲い掛かる。
「っ……何しているんでしょう、本官は……」
「キ、キリノ!そ、その……」
フブキが心配そうな表情で近付き、背中を摩ってくれます。彼女だけでなく、他の方々も。
あぁ、友人にも心配させて、つくづく自分が嫌になる。
こんな様子じゃ、20分も待てな……………ん?
「……レンノスケ、これからゲヘナへ制圧に行くのに、どうしてあんな発言を……?」
「き、キリノ?レンノスケ先輩が何か言ってたの?」
「あ、は、はい……実は先程、レンノスケがトリニティからゲヘナに向かい、そのまま暴徒達を制圧すると報告されたのですが……そ、その、20分此処で待っててくれって、言われたんです」
「ん、んぅ?」
「トリニティからゲヘナ、それで20分待ってて?」
「なんだそれ、なぞなぞ?」
皆がキリノの言葉に疑問を浮かべる。
それもそうだろう、一体合切、どういう意味があるのだ?
全員がその謎を解く事10分………生活安全局のドアが開く。
「キリノ!キリノは居るかッ!」
「ううぇぇ!?は、はいっ!……って、カンナ局長?」
「ッ!キリノ!!お前、一体どんな魔法をレンノスケに吹き込んだ!?」
「え?え??え???……ま、魔法!?どういうことですか!?」
入って来たのは、まさかのカンナだった。
ヴァルキューレの顔である彼女の突然の来訪に、休憩時間だった生活安全局の署内は一気に緊張状態になる。
全員敬礼を取り、カンナが「止めて良しッ!」と、少し乱雑に楽にさせる。
キリノを探している様で、己は此処だと告げると、一気に距離を詰め奇妙な事を聞いてくる。
「ッ!す、すまない、少し取り乱してしまった……ふぅ」
「あ、い、いえ私は全然大丈夫ですけど……その、レンノスケさん*1に何かあったのですか?」
「何か、か……何もどうもじゃない。レンノスケ、あいつは『とんでもない事』をしたんだぞッ」
「と、とんでもない事……?」
何だか、嫌な予感がする。もしかして、彼が何か酷い事をしてしまったのではないか?そんな思いたくもない事を想像してしまう。
だがカンナの様子を見るに、怒っている雰囲気、ではないのは確か。だが彼が何かしでかしたのは分かった。
「本題に入る前に、キリノ。お前、ついさっきレンノスケと電話とかしなかったか?」
「はい、しました。レンノスケさんが電話を本官に掛けて来て、それで今日はゲヘナに向かうから遅くなると、報告を受けましたけど……」
「……キリノ、それだけか?」
「ッ!……い、言わなきゃ、駄目です、か?」
「これからの奴に対する扱いに関わる!命令だ、言え!キリノ!」
「ひぃぃ!は、はいぃぃ……」
カンナの剣幕に、キリノは怯えたじたじになる。
フブキを始めとした生活安全局の局員も、静かに二人の様子を見つめる。カンナが此処まで焦燥に駆られる意味が分からなかったからだ。
キリノは只、寂しいって言っただけなのに。
「そ、その……寂しいって、言っちゃい、ましたぁ……」
「────……スゥ……そう言う事かッ」
キリノが頬を赤らめ、そう告げる。
カンナは其の回答に、何故か目元を手で覆う。
「……そ、その!休憩時間だったとはいえ、仕事場でこんな、え、えっと!恥ずかしい事を言った本官が悪いのは確かです!な、なので、レンノスケさんを責めたり、叱る事だけは、その!」
「馬鹿者、そんな事はせん……いや、しかしキリノ。私は今、お前が怖くなったぞ」
「え、え!?な、何故でありますか!?」
中々本題に入らないカンナ。
彼女の様子を察するに、レンノスケが為した事の件は其処までのモノらしい。
一体、彼は何をしてしまったのだ………────そう思った、時だ。
”ピピピピピピピピピピ……”
カンナの携帯が鳴る。
直ぐにポケットから取り出し、差出人を見る。
それは、ゲヘナ最強、空崎ヒナだった。
カンナは一度声を整え、そして、ヒナからの着信を出る。
「……もしもし、お疲れ様です。ヒナさん────そう、ですか。たったの5分で………温泉開発部もついでに!?何て奴……あ、あの、大変申し上げにくいのですが、現場の【被害】はどの様な……あ、すぅーー……承知、しました。奴は今何処に……は、はぁ?それは、本当に?……はい、はい……承知しました。あぁいえ、奴の介入でゲヘナの治安が下がったのなら、それで……はい、はい。あ、いえ!それは我々が負担します!……そんな、元はと云えば奴が本気をだした所為でですね………そう、ですか。で、ではまたその話はまた後程……はい、では失礼します」
少し長い電話。凡そ2分程だろうか、カンナは電話を切る。
”……ドドドドドドドドドド”
「ん?何か、聞こえ……?」
「……これが、怪物の【本気】と云う訳か」
「は、はい?」
「キリノ、まず先にお前には伝える事がある」
「っ!は、はい!」
カンナがふぅ……と、息を整える。
場は未だ静寂、だが、凄まじい足音が段々と近づいてくる。
キリノはカンナからの伝達に、背をビシッと立て聞く姿勢に成る。
「────今後、業務中に於いて、アイツに対し悲哀の発言は控える様に」
「……へ?」
”バゴォォォォンッッ!!!”
「ほわぁーっ!?」
カンナがそう告げた瞬間────生活安全局のドアが蹴破られる。
キリノ、フブキ、カンナ、その他局員が出入口を注視。
蹴破った人物を見つける。それは……数十分前まで己が通話していた男。
城ヶ崎レンノスケが居た。
「ぜぇ、ぜぇ、っ、ゼェッ!」
「え、え………はへぇ!??」
息を荒くし、手を膝に付いて息を整えるレンノスケ。
額には汗が流れ、暑いのか、彼は流れる様に制服とYシャツを脱いでインナーだけに成る。
床に服を落とす。軽快に”ビチャッ!”と、水の音が響く。
「……リノ、ッ、はぁ……キリノ、キリノは、何処だッ!」
「は!?え!?あ、あの!レンノスケさん!?」
「ッ!この声、キリノ……ッ!居た!キリノッッ!!!」
レンノスケがキリノを見つけ、汗だくのままキリノに足早に近づく。
臭いなんか気にしないで、キリノの方へ向かう。
「キリノ!キリノ、すまん!俺は何手ことを……寂しかったのか?すまん、本当に……はぁ、はぁ……っ!」
「あ、え!?レンノスケ、どうして此処に?その、ゲヘナには向かわなくって良かったのですか?」
「ゲヘナなら、もう、行った」
「……へ?」
「詐欺組織、ヘルメット団、温泉開発部は、全員っ……俺が、捕縛した。もう、ゲヘナに用はない」
”!!!??”
ヴァルキューレに、この上ない震撼が訪れる。
彼の言っている事の意味が分からない。一体、何を言っているんだ?
だって、彼は先程までキリノと通話していた。トリニティでだ。
「あ、あの……どういう事です?」
「最速で解決してきたんだ。トリニティからゲヘナまで走って行って、そっから捕縛対象を全員、ブッ飛ばして、そんで、此処まで走って、はぁ……帰って来たんだ」
「……???」
駄目だ、説明されても意味が分からない。
時刻は今20分になった。つまる所、彼は『この数十分で半日規模の事件を終わらせた』
と云う事になる。
……キリノは勿論、全員の思考が止まる。
一体どんなトリックだと。
【規格外】
まぁ……レンノスケだから。皆がそう、納得する。
「ッ!キリノ!!」
「へ!?きゃぁぁ!?」
”ぎゅぅぅぅぅっっ!!”
レンノスケは感極まったか、キリノに抱き着く。
汗だくでも、インナーだろうが何だろうが、公衆の面前だろうが、もう構わなかった。
「れ、れれれ、レンノスケぇ!?」
「すまん!本当にすまんッ!!俺は彼氏失格だ!キリノに、寂しいなんて想いをさせる何て……」
「え、あ、あ……」
キリノは、そこでやっと理解した。
どうしてレンノスケが、このような言動を取ったのか、やっと。
────彼は、キリノの事が大好き過ぎるのだ。
「不甲斐ない気持ちで仕方ないッ!すまん、キリノッ!」
「あ、ぅ……~~~~~っっ!!!」
己を抱く力、そして漂う男の頑張った臭い。
それが、全てを物語っている。
あぁ、なんだ……悩んでる自分が馬鹿みたいだ。
レンノスケに幾ら女の子が近寄ろうと、それは彼にとっての普通だったのだ。
今の彼を見ろ、こんなにも己を愛している……それこそ、我儘を言ってしまった自分が不甲斐ない。
「もう、もうっ!どれだけ、貴方は………レンノスケ、ごめんなさい。私が我儘を言ってしまった所為で、凄く疲れさせてしまったみたいで……本当に、ごめんなさい…っ」
「俺の事はどうでもいい!キリノ、今日は、いや、1週間はずっと一緒に居よう!カンナ局長には後で俺とキリノは風邪引いたってホラ吹いとくからよ!もう寂しい想いには絶対させない!」
「そ……その事なのですが、レンノスケ……その、本官はもう大丈夫です。ちょっとだけ、不安定に成っちゃっただけでして……」
────そして、キリノは事の顛末をレンノスケに話した。
「……つまり、キリノの嫉妬って事か?」
「は……はいぃ」
これは、流石に怒られるだろう。
彼にとっては友人。例え異性であっても、友達なのだ。
そんな人たちに対して、キリノは嫉妬してしまった。恋人ならあるあるかもしれない、でも、此処はキヴォトス。レンノスケ以外に人型の男が居ない故、友達を作るのも全て女の子なのだ。
不可抗力に近いだろう。レンノスケが言を投げる。
「────可愛すぎないか?流石に」
「……へ?」
「え、嫉妬?マジ?う、うわ、あぁぁ~……ヤバイ、そっか、あー……キリノが嫉妬。うわヤッバイ、こんな事言うのも、あれだけどよ……凄ェ嬉しい」
「は……はいぃ!?」
「いやだって、それ位俺の事を好いてくれてるって事だろ?たはー!うわ!なんだよそれ!キリノ可愛すぎるって!!こんなんキリノ可愛すぎる税で金取られちゃうだろって!(??)」
「んなっ!なに言って……っ!か、揶揄わないで下さいよ!」
「あぁいや、違うんだ。でも、そうかー……なぁ、キリノ」
レンノスケがもう一度、キリノの腰に手を回し、抱き着く姿勢に成る。
キリノは、もう、無抵抗だ。実際に寂しいと感じたのも事実、寝る時以外、こうやって抱き合った事はここ最近無かった。
「キリノ、俺はさ。これでも人より寂しいって感情を理解しているつもりなんだ」
「……レンノスケ」
「俺は、色々あったからな……だから、キリノが初めて俺に『寂しい』って伝えた時、俺は目の前が一瞬だけ真っ黒に染まったんだ。やってしまった、そんな罪悪感から」
レンノスケは続ける。
「もうゲヘナなんか行かずに、そのまま5分位でキリノに会いに行く事も出来た。でも、それじゃあ、キリノは自分を責めてしまう。自分がこう言ったから、レンノスケは仕事を放棄してしまった、ってな。そうだろう?」
「ッ……はい」
「だろうな。誰よりも優しい貴女の事だ、自分を責めてしまうのは目に見えて分かる」
レンノスケが抱きしめる。
キリノは抱きしめ返す。
「寂しいは、心が寒くなっているって事。だから俺は、もう貴女の心を冷やさない。ずっと温かくするよ」
「……~~~~!!」
「キリノ、どうだ、温かいか?もう少しだけ、強く抱きしめても良いか?あぁ、可愛いな、キリノは……ごめんなぁ、寂しい想いさせちまって」
レンノスケが覆う様に、キリノの身体を被せる。
一度、レンノスケは身体に制汗剤をかけたが、それでも汗の臭いは僅かに残る。
だがキリノは、寧ろこの臭いが好きだった。
性行為の時から、キリノはレンノスケの汗の臭いが大好きだった。彼が自分の為に汗を流していると、そう思えば思う程、興奮が止まらなくなってしまったのだ。
「……苦しくないか?」
「はい……もっと、強く、して下さい」
「ん……ふふ、あぁ。勿論だ」
寂しいと云う気持ちは、良い事ではない。
だが、悪い事でも無いのだ。だって、そう素直に告げた結果がこれだ。
反動が凄い。思えば、キリノの嫉妬は可愛いものだ。世の中にはとんでもない嫉妬の仕方をする子もいる。
「……私も、レンノスケを温めますっ!」
「ん?温めてくれるのか?……あぁ、温かいな」
……もう、十分すぎる程、貴女には温度を頂いている。
そう、心の中で呟く。
これを言葉で発するのは野暮だ。今は只、キリノの体温を感じたかった。
キリノも嫉妬する。
そして、恐らく己も……いつの日か嫉妬をする時が来るのだろう。
キリノは可愛い。男は先ずほっとかないだろう。
……もし、性別問わず誰かがキリノを狙い、寄り付こうものなら……ッ。
「滅茶苦茶にしてやる……」
「え!?」
「ん?あ、いや、キリノじゃないぞ?キリノを狙う不届き者の事をぶっ殺すって意味だ」
「いやそれもダメですからね!?あと、私を狙う人なんて、レンノスケ以外に居ない気が……」
「……それ、マジで言ってるのか?」
「へ?」
雲行きが変わる。
キリノの発言はどうやら、レンノスケにとって地雷だった様だ。
「キリノには散々自分が如何に魅力的かを教えたつもり何だがなぁ……どうやら、まだ理解していない様だ」
「あ、あの、レンノスケ……?」
「よし分かった。今からキリノの魅力を500個言う」
「あ、あの……?」
「喋るな」
「ひぅっ…♡」
「そういや良く考えれば、嫉妬って『俺の事を信頼しきれていない』から来たとも云えるよな?(豹変)」
「へ、あ、あ、いや、そんな事は、あのぉぉぉ!?んみゅぅぅ♡」
レンノスケがキリノのほっぺたを掴む。
優しく、でも絶対に逃がさないという意思を持った強さで。
────レンノスケがもう片方の手で、髪をオールバックにする。
常に髪を下ろしている時とは打って変わり、オールバックにしたレンノスケは傷が大胆に出て、印象がガラリと変わった。
ハッキリ言えば、格好良くなった。
ずっとそうしていれば良いのにと、全員が思う程、カッコいいのだ。
レンノスケの風貌に、いつ怒ろうか悩んでいたカンナですら、思わず息を呑んでしまう。
「汗が邪魔で、髪が目に入る……ふぅ、これで良いだろう」
「あ、あわ、ふぎゅぅぅ……っ」
「キリノ、いま、俺は怒っている……俺がキリノの魅力的な所を1000個言い終えるまで、暫くはこのままだからなッ!」
「ふぎゅぅぅぅ!?!?」
そうして、キリノの羞恥大処刑が始まった。
………因みに、マジで1000個言った。オーバーして1730個目にしてカンナがストップ。
今回の件は別に悪い事をしていないので特にお咎めなし。業務中に恋沙汰を控える様にだけ注意したカンナ。
そしてレンノスケは何時までも生活安全局には居られないので、キリノと少し話した後、退席した。
────────
”「………」”
「………」
そして、生活安全局には静寂が包む。
嵐が去って、今、全員の視線がキリノに向けられる。
これが為す、意味は……。
「あ、じゃあ本官はこれで巡回に行ってきますね~」
”「逃がすなぁぁぁ!!!」”
「ひぃぃぃぃぃ!!!」
”「何だ今のはぁぁぁ!!!」”
「み、皆さん落ち着いてぇぇあぁぁあ!!!」
”「全て、話せえええっっ!!!!!!」”
揉みくちゃにされ、強制的にレンノスケとキリノの恋を話す展開になった。
既に休憩時間は過ぎているが、今この時間は恋バナに変わった。
……こういう日も、偶には悪くないかも?
そう思った、キリノであった。
”「なに笑ってんだァァァァァ!!!(怨嗟)」”
「ひーーーーーっ!!!」
それは、恋バナと云う名の尋問に変わっているのだ。
……非リアは怖いのだ。
その後、キリノは喉が痛くなるまでレンノスケとのアレコレを話した。
皆、興味津々で話を聞き、そして余りの甘さに怒りを覚え始める。(理不尽)
キリノの嫉妬は、超ハイスピードで終わったのだった。
▽
────家、ベットにて……。
「キリノ、今日は可愛い嫉妬を魅せてくれてありがとうな」
「煽ってるんですか!?馬鹿にしてるんですか!?レンノスケぇ!」
「ん?いや、素直に感謝してる。俺に新しい素面を見せてくれた事に対してな」
「んぐっ!あ、貴方と云う人はぁぁ…っ!」
「……俺には貴方だけだ、前にキリノ以外に興奮しないといったろ?」
「ふーん……アスナさんにはデレデレな癖に」
「誤解だ」
非常に痛い所を突かれてしまったレンノスケ。
直ぐに誤解を解く体制になるが、先に煽ってしまった事もあり、キリノの機嫌は治りそうにない。
「ふんっ!ネルさんから聞いてるんですから!レンノスケがアスナさんにデレデレしてるって!この動画を見れば一目瞭然です!」
「あのクソチビが、余計な事を……き、キリノ。許してくれないか?」
「………どうしましょうかね?(形勢逆転)」
「な、なんでもする!俺に出来る事なら、なんでも!」
「ん?今、なんでもするって、言いました?」
キリノ、動きます。
「ふふ……じゃあ、其処に寝っころがって下さい」
「え、こ、こうか?」
「はい………えい!」
「んっ!お………おーーーーっ……」
キリノが始めたのは、マッサージだった。
「んっ、硬い……筋肉もあって、凄い、かったぁ……んんっ……ど、どうですか?きもち、んぅ……きもち、いいですかぁ?」
「……あぁ、最高だ」
「そっ、れは、よかった、です!ん……ふ、ふ、ふぅぅっ!ん……ここを、もうすこし……」
「(……ヤベェ、勃〇しそう)」
キリノの純粋な厚意、無下には出来ない。
必死に反り立つのを抑えるが、キリノのいやらしい声と手付きが、レンノスケの欲を襲う。
……マッサージに集中できんのだ。
「レンノスケは、ほんとうに……がんばって、ますから……んっ!ふぅ……私が、マッサージして、癒して、あげますね…!」
「お、おう……ありがとう」
「ふ、ふ、ん………あっ!」
「っっっ!!?」
”ふにゅんっ♡”
キリノの手が滑り、そのままレンノスケの背中にダイブ。
胸が、背中に圧し潰される。
……最近、御無沙汰だった。
我慢の、限界だった。
「ご、ごめんなさいレンノスケ!どこもお怪我、は……あっ♡」
「……キリノ、此処もマッサージしてくれ」
「こ、これは、あの……ままま、マッサージ、じゃ、その」
「キリノ」
「んひっ♡み、耳元でぇ……♡」
「────マッサージ、してくれるんだろ?」
あぁ、私はもう……。
「……はい♡」
彼しか、見えないんだ。
その後、二人は獣の様な熱い夜を過ごした。
▲
「────コールサイン・04。任務を遂行します」
次回
────中務キリノ、拉致される。
次回から一気に物語が動きます。
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