怪物は、真面目な君に恋をした。   作:カブトムシの相棒

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☆ある日のレンノスケとアイラ。


▽D.U.子うさぎ公園。



・おままごと編



「れんにぃ!おままごとの準備できたよ!」
「おー早いな。んじゃ、やるかァ」
「────じゃあレンにぃは赤ちゃんで、私がママね!」
「え?……お、おう、分かった。じゃ、じゃあ、アイラの成りたい母ちゃん像でやってみろ(?)」
「わかったー!にへへ、じゃあいくよ?」
「あぁ、にしても、『おままごと』は初めてやるな……」
「……なんで喋ってるの?」
「……ぇ?」
「赤ちゃんは”赤ちゃん言葉でしか喋っちゃダメ”なんだよ?だからレンにぃは『ばぶー♪』しか言っちゃダメだよ?」
「ま、マジ?」
「……」
「ッ!………ば、ばぶぅ?」
「んっ!にひひ……なぁに?レンちゃん!」
「(レンちゃん!?)…ば、ば……ばぁぶ」
「んー?あ、ミルクがほしいのぉ?」
「ば、ばぶばぶ!」
「じゃあ、はい。レンちゃんは此処に寝っ転がってね~~……」
「うそd「レンにぃ?」……ばぶぅぅ」



レンノスケがアイラの太腿に頭を乗せて寝る(添えて)



「そう、レンちゃんは偉いねぇ~……よしよし」
「ば、ばぶぅ」
「あ、ごめんねぇ~……はい、ミルク♡」
ばぶぅぅ!?ば、ばぶ!?(哺乳瓶!?しかもミルク入っとるがな!)
「ほら、ミルクでちゅよ~」
「ば……ばぁぶぅ(口に入れる)」
「ほら、コキュ、コキュ~……」
「んく、んく、んっく………」
「にひひ♡おいちかったでちゅか~?」
「ば、ばぶっ(なんだろ、コレ……俺なにしてんだろ)」



その後も(地獄の)おままごとは続いた。



「あ、もしもしヴァルキューレ?すみません、子うさぎ公園で幼い子供にママさせてる推定2m越えの大男が居るんですけど……いや、マジで、はい。あ、今こどもが大男のオムツ変える動作に入ってるんで早く来て下さいガチで、はい。変態ですねアレ、はい。直ぐに来てください」



通行人の通報でその場に駆け付けたカンナにこれまでに、絶対零度の視線で詰められたレンノスケが居たとか……。




俺なに書いてんだろ。

では、本編です。


キリノ、拉致される。

 

 

 

 

────ゲーム開発部、部室。

 

 

 

 

「────おいモモイ、ここら辺のストーリーから急に敵が強いんだけど」

「あー毒沼*1ね……うん、まぁ、うん!」

「いや何か言えや」

「あはは……レンノスケ、ここ数時間はこのマップで詰んでますもんね」

「……キリノ、変わるか?」

「あ、いえ、大丈夫です……多分秒で倒されちゃいますね」

「レンノスケ!此処はポーションを絶え間なく使わなければ直ぐに死んでしまいます!節約も大事ですが、此処は取り合えず生き残る事を考えましょう!」

「うーむ……そうだな、そうしよう────あ、死んだ」

 

 

 

ゲーム開発部の部室、其処にはモモイ、ミドリ、ユズ、アリスと云ったいつもの面子が居て、遊びに来たレンノスケ、そしてレンノスケが誘った”キリノ”が訪れていた。

 

どうしてレンノスケがキリノを誘ったのかは、以前ミドリがモモトークにてレンノスケにこう相談したのだ。

 

 

 

────────────

 

 

 

〈レンノスケさん、少し良いですか?〉

 

〈大丈夫だ、どうした?〉

 

〈実は〉

〈少し前にレンノスケさんが2回目に部室に来た時……〉

〈彼女さんであるキリノさんも、ゲームがしたいと話してくれたじゃないですか?〉

 

〈あぁ、したな〉

〈もしかして連れてってもイイ感じか?〉

 

〈はい!〉

〈私達もゲーム仲間が増えれば嬉しいですし、キリノさんにもゲームの楽しさを味わって欲しいなって〉

〈私含め、皆がそう言って来たので〉

〈今度二人が空いている日に良ければ、と思いまして〉

 

〈そう言う事なら、此方としても有難い話だ〉

〈聞いてみる。一応俺とキリノが休みの日があった気がするから、少しだけ待っててくれ〉

 

 

 

────────────

 

 

 

……と云う事があり、レンノスケはキリノを誘い、キリノもそれを承諾。

 

そして、セミナー(ユウカ)とネルにアポを取って今に至るという訳だ。

 

もう既にユウカとノアはレンノスケに対し警戒はしていない。

寧ろ、キヴォトスの治安を一定値まで下げた功績もある故、非常に感謝している。

 

ネル達C&Cがミレニアムの暴徒や悪徳組織を排除しているとはいえ、限界はあった。特にネルを筆頭にC&Cの戦闘被害は尋常ではない。それに生じる被害総額は中々笑えない。

 

それ故、他の仕事も請け負っているユウカにとって、レンノスケの存在は大きかった。

 

ただ其処に存在するだけで治安を下げる男、正直ずっとミレニアムにいて欲しいとすら思ってしまう。

どうにかミレニアムに居住しないか、もしくは買収でもしてしまおうか。

徹夜明けの時、ユウカはふとノアにそう言った事があった。

 

 

……そんな事をしてしまえば、他の自治区は勿論、ヴァルキューレが黙っていない。

 

 

ノアのその言葉に、ユウカは一気に眠気が覚めた。

 

彼はヴァルキューレだからこそ光る。他の自治区にあんなのが居てしまえば……想像に容易かった。

 

……少し話が逸れたが、ミレニアム側として、レンノスケの扱いは非常に友好的だ。

 

ゲーム開発部は勿論、ヴェリタスとも最近は仲が良い様だ。主に、チヒロと。

最近では彼の肉体に興味津々なトレーニング部の『乙花スミレ』が、何とかレンノスケとコンタクトを図ろうとしている噂もあった。

 

レンノスケ自身、ゲヘナやトリニティよりもミレニアムの方が好きそうではあった。

 

ゲヘナは治安が悪いし、訓練の事もあって、かなり肉体的に大変な時がある。

トリニティはアイラやシキと云った子達が居るからまだ何とか成っているが、あのドロッとした感じや陰湿さはレンノスケが心底嫌いとする雰囲気である為、アイラ達アリウス組とイチカや救護騎士団と云う良心を除けば【一番苦手な場所】と言えた。

 

……消去法に見えるが、レンノスケにとってミレニアムは非常に生きやすいのだ。

 

なんてったって、お気に入りの『一ノ瀬アスナ』が居るk「レンノスケ?」………この話は無しにする。

 

 

────そんな事もあり、今はレンノスケとキリノはゲーム開発部にて交流中である。

 

 

最初こそユズはキリノに対しオドオドしていたが、キリノ特有の柔らかな雰囲気に、落ち着いて話せる位には会話が出来るようになった。その他の者も、キリノと仲良く話せている。

 

レンノスケが死にゲーに挑戦している最中、ユズがキリノに話しかけて来た。

 

 

 

「あ、あの!キリノさん、その……宜しければ、このゲームとかどうですか?初心者の方にも優しい難易度で楽しめるゲームで……パズルゲームなんですけど」

「わぁ!良いですね!是非遊ばせて頂きたいです!……あ、本官このゲーム知ってますよ!少し前に続編が決定されたってチラシを見た気がします!」

「ッ!そ、そうなんです!え、えっと!もう4年も前に出た作品なんですけど、会社側が色々と問題を抱えた末、続編が絶望的になって数年……遂にお出しされたゲームなんですよ!」

「そうだったのですか!4年も前に……では、ユズさんと共に遊ばせて頂きたいです!」

「は、はい!よろ、宜しく、です!」

「はい!」

「あ、いいなソレするの。私も入れてよ」

「あー!私もする―!」

 

 

 

モモイ、ミドリがキリノと交流する中、アリスは……。

 

 

 

「レンノスケ!英雄レンノスケ!頑張って下さい!あともう少しですよ!」

「ッ……うぉらぁぁ!!」

「わー!やりました!流石ですレンノスケ!」

「樹木風情が調子に乗んじゃねぇって話だ!くははははッ!やったぞアリス!遂にブチ殺したんだ俺は……っ!」

「何回倒されたかアリスですら覚えていません!ですが諦めなかった結果ですね!凄いです!ですが此処から更に試練があるんですよ!さぁ!行きましょう!」

「もう俺、此処を早く出たい……ッ!」

 

 

 

床に座って胡坐をかくレンノスケの足の間に入り、可愛らしいリアクションを取るアリス。

 

アリスはレンノスケの死にゲーのアシストとして応援に夢中だった。

 

 

 

「ちょっ、アリスちゃん!距離!距離!」

「い、いくら何でも近過ぎな気がするよ……」

 

 

 

キリノと言うレンノスケの彼女の前なのに…と、二人が結構ガチで焦る。

それもそうだろう、アリスのやっている事は傍から見たら誤解を招く行為だ。

例えレンノスケとアリスにそういった意思がなくとも、キリノが嫌な思いをするとそこでダメだ。こんな行為、見せられて嫌がらない彼女は居ないだろう。

 

因みにモモイはパズルゲームを立ち上げているのに夢中でそんな事には一切気付いてはいない。これぞモモイだ。

 

 

 

「あはは、大丈夫ですよお二人共。本官は気にしていませんので」

「え、え……!?」

「その、いいのですか?アリスちゃんのアレ、結構、いや、凄く密着しちゃってますけど……」

 

 

 

キリノの反応に、ミドリの疑問が炸裂。

当然だ、なんでそんな平気そうなのだと、そう思うのは必然だ。

 

キリノの顔を見ても、全く無理をしている様には見えなかった。

 

ミドリの問いに、キリノは答える。

 

 

 

「なんて言えばいいのでしょうか……アリスさんは、他の方々と比べても安心といいますか、レンノスケもアリスさんの事を”妹”みたいに接していますので、本官としては全く気にならないんですよね。何なら微笑ましいですし」

「そ、そういう感じか……」

「良かった、キリノさんが凄く大人な方で」

「い、いえ!そんな事はありません、本官はまだまだ未熟ですよ」

「凄い、何か私と同い年には見えませんね……」

「やっと準備できたー!よーし、えっとアリス達は……まだ攻略中だから大丈夫そうだね!じゃあリモコン接続してやろっかー!」

 

 

 

モモイの軽快な合図と共に、ゲーム機のリモコンを全員が接続。

そして行われるパズルゲーム。遊び方はぷよ〇よと同じ感じだ。メジャーだが少し頭を使う分、大人子供問わず愛される作品で、余りゲームに触れず生きて来たキリノでも認知していた位だ。

 

先ずはゲーム開発部がやり方をキリノに説明し、数回ほど一人でトレーニング。

 

意外か、キリノはゲームが中々上手かった。様々な消し方や法則性がある為、キリノは上手い事順応する事が出来た。

 

 

 

そして、対戦だが……。

 

 

 

「────いくよキリノ!モモイ必殺の4連鎖ー!」

「あぁ!す、凄い数のお邪魔ぷよが!あ、ま、負けちゃいます!」

「キ、キリノさん、私がカバーします!今の内に出来るだ消していきましょう」

「は、はい!ありがとう御座いますユズさん!」

「ヤバい!ユズのカウンターで私が死にそう!あ、あー!ごめんミドリ~!」

「お姉ちゃん……もっと積んで連鎖を始めないからくなるんだよ」

「えへへ!ぶっちゃけ4連鎖しか思いつかなかったんだよね!」

「あはは、でも脅威でしたよモモイさん!では本官も……それ、これで……わ!やったぁ!本官も4連鎖出来ましたよ!」

「流石キリノさん、私も……ミドリ、これでお終いだよ」

「うぐ!ここまでかな……あー、負けちゃった」

「っっ!!や、やった!!勝ちましたよユズさん!初勝利です!ユズさんの7連鎖の大技が炸裂したお陰です!」

「は、はうぅ……え、えへへ…キリノさんも、もう4連鎖まで出来る様になるなんて思わなかった」

 

 

 

才羽姉妹、ユズとキリノのペアで対戦で行われた。

 

4回やって、キリノ、ユズペアは現時点で1勝3敗。キリノが初めてという点とモモイが容赦ない点で3回はボコられたが、ミドリの手加減、ユズの本気、キリノの成長、そしてモモイの限界があり、遂に1勝を迎える事が出来た。

 

キリノは女の子らしく、キャピキャピと非常に可愛らしく喜んでいる。

ユズもキリノから多大な称賛を頂き、喜ばしい気持ちになる。

 

 

 

「……キリノ、仲良くなれたみたいで良かった」

「そうですね!アリス、キリノとも遊びたいです!」

 

 

 

丁度、レンノスケとアリスが行っていた毒沼エリアも終わりを迎え、パズルゲームに熱戦していた皆を見ていた。

 

そしてアリスはまだ共にゲームをしていないキリノとのゲームを望んでいた。

 

 

 

「そうだな、こっちはソロプレイだったから、丁度いい……キリノ!開発部!俺とアリスも混ぜてくれ」

「あ、はい!」

「おっ!そっちはもうクリアした感じだね!じゃあ6人だから……スモブラとかどう?」

「皆でするなら最適解だね。じゃあ早速繋げちゃおっか」

「スモブラ……レンノスケが良く遊んでるゲームですね!確か他作品のキャラが一杯集まっているのでしたよね?」

「はい!このゲームは凄い革新的で、普段交わらない他作品のゲームキャラが一つのゲームに集結して戦い合うゲームなんです。これも初心者の方に優しいゲームなので、最初はチームを組んで戦いましょう、キリノさん」

「ほへぇ~……凄く壮大なのですね、このゲームは……ご説明ありがとう御座います!レンノスケがよくモモイさんやチヒロさんと遊んでいるのを傍から見ていたので、こうやって触れるのは初めてですね」

 

 

 

キリノの発言に、開発部の全員が一気にレンノスケの方を向く。

 

それはつまり、近くに有るのに遊ばせてあげなかったという事。

 

 

 

「え!?レン先輩、キリノとスモブラ遊んだりさせた事なかったの!?」

「ん?いや、そういう訳じゃ…」

「い、いくら何でも、それは……」

「レンノスケさん、見損ないました」

「レンノスケ!独り占めはダメですよ!」

「人の話を聞けガキ共!あのな、これはキリノが友達と遊んでる俺に気を遣ってくれて、楽しんでくれって事なのッ!」

「え、そうなのキリノ?」

「あはは、はい……すみません。説明不足でしたね」

 

 

 

その通りだ。

無論レンノスケがキリノを誘わない理由はない。

だがキリノは、初めてのゲーム仲間との交流を邪魔したくないと云う理由で、参加を断っていたのだ。

 

……それに、二人でやろうとなっても、この二人は。

 

 

 

「それにキリノと大乱闘をしようと思っても、キリノが俺を誘惑して夜の大乱闘が、いや、大〇交がはz」

「ほわちゃぁぁぁっ!!!」

「おげー!」

 

 

 

ゴミ発言をするレンノスケの喉を平手打ちするキリノ(超危険)

普段ならその程度の攻撃は効かないレンノスケだが、キリノによる愛の平手打ちの前には無意味、一撃でノックダウンだ。

 

 

 

「この子達の前でナニおばかな発言しているのですかっ!怒りますよ!」

「も、もう怒ってるぞ……それも激おこ」

「もう一発、お見舞いさせてあげても宜しいのですよ……?」

「へへへ、キリノのだったら、喜んで受けよう……なんてな」

「も、もうー!!」

 

 

 

尚も変態発言を繰り返す最愛の人に、キリノはレンノスケの頬を摘まんで引っ張る。

 

その光景は微笑ましいが、開発部の皆は……。

 

 

 

「……うん!他所でやってくれないかな!(殺意)」

「素敵な関係……いいなぁ、憧れる」

「あ、あぅぅ……/////」

「おぉ英雄、なんと情けない……キリノの一撃で倒される何て英雄の名が廃れますよ!」

 

 

 

怒る者、恍惚する者、羞恥を表す者、斜め上から捉える者と様々な反応を見せる。

 

モモイがピキピキしている。その顔が中々面白く、レンノスケが噴き出す。

 

 

 

「くはッ!ははッ!はっははははッ!なんだモモイ、その顔!はは、ははははッ!!」

「なにぃぃ!!?なぁに笑っている!!私の顔を見てぇ!」

「ふははッ!あぁいや、すまんすまん!かなり面白い顔をしてるもんだから、爆笑をかました」

「それ謝っていないよねぇ!?もうー怒った!!この大乱闘で私がレン先輩ぶっ飛ばす!」

「ほぅ……? 面白れェ、掛かってこい!」

「アリスも私達も居ますよ!モモイとレンノスケはアリスが纏めて殴り倒します!」

「あ、キリノさん。私達はチームを組んでいきましょう。あの人達は勝手にさせて良いので」

「キリノさん、あの、この中で誰か知っているキャラとか居ますか?少し前にしたこのキャラとか、初心者の方にも扱いやすいキャラも紹介できます」

「あ、じゃあ本官は……この人を操作してみたいです──── 」

 

 

 

そうして、乱闘が始まった。

 

 

 

数分後……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り合えずアリスはレンノスケを一点集中で狙ってフルボッコにします!」

「上等だよ勇者、掛かってこい。俺の超最強”Dr.マルオ”がお前を治療(オペ)してやるぜ」

「レンノスケの扱うDr.マルオは上Bを擦ってばっかで何の恐怖も感じません!言っちゃえば雑魚です!アリスのカモです!」

「い、言うじゃねぇかクソガキィ……目にモノを見せてやるぜッ!」

「あーあー、全く二人共?こういう乱闘ゲームでも仲良く楽しまなきゃダメでs……あぁぁ!!もー!ミドリ!!今わたしがレン先輩を倒そうとした所を横取りしたな!そういうのを船乗りって言うんじゃないかなぁ!?」

「お姉ちゃん、これは愉快なパーティ―ゲームだよ」

「な、何が言いたいのかな!?」

「あっははは!皆さん、とてもお強いのですね」

「キリノさんも、初めてなのに結構動けてて凄いです」

 

 

 

数時間、遊んでは休んでを繰り返す。

 

 

 

 

 

 

「────キリノ、次は俺と戦ってみないか?」

「本官とですか?」

「お!いいねーいいねぇ」

「では私達は観戦しましょうか、お二人の対決は何だか面白そうですし」

「どっちも頑張って下さい!キリノにはジャイキリを期待します!」

「ど、どうでしょう……見る限りレンノスケは凄く強いですから、一勝でもできるかどうか……」

「くははッ!手加減はしないぞ?キリノ」

「キリノさん、応援しています…!」

「私もキリノ応援する!がんばってー!」

「キリノさん、レン先輩はかなりスマッシュ攻撃や上Bを擦ってくる脳筋タイプなので、カウンターを主流に攻めていきましょう」

「アリス!キリノを徹底的に応援します!」

「み、皆さん……はい!ありがとう御座います!本官、頑張りますね!」

「いや少しは俺の事も応援しろよ」

 

 

 

キリノとレンノスケのタイマンが行われ、大いに盛り上がったり。(3セット戦でキリノが2ストック余して勝利)

 

 

そうして、ゲームの後は休憩を挟んで菓子を食べながら談笑したり。

 

 

 

 

 

 

「────って事は、レン先輩はキリノに救われて惚れたって事?」

「そうなるな。あの時、キリノを見た時に身体全体に電流が走った感覚に襲われたんだ。そして思った、あぁ、好きだ……ってな。まぁ、言っちまえば一目惚れだった。其処から更にキリノの事を知って、話して、談笑して、偶に叱られて、深くまで触れて、心を理解した。そして……キリノをずっと、愛したいと思えたんだ」

「あ、あのあのあのっ!レンノスケ!?ちょ、いや、恥ずかしいんですけど……っ!」

「す、凄い話ですね……こっちも恥ずかしくなるような……うぅ」

「何だかエッチですね!」

「この話、次のゲームの参考になるね!もっと聞かせてよレン先輩!」

「~~~っ!こ、この話はもう終わりに!」

 

 

 

”ささっ、カリカリカリ……!”

 

 

 

「……うん、続けて下さい。レンノスケさん」

「ミドリさん!?な、何を描いているのですか!?…って私とレンノスケじゃないですか!え、絵がお上手……ではなくて!こ、こんな、恥ずかしいですよぉ…!」

「あ!いま一人称が『本官』から『私』になったね!へー!キリノってテンパると一人称が変わるタイプなんだー」

「あ、あぅぅ……か、揶揄わないで下さいよぉ!」

「ッ!キリノ、お顔が真っ赤っかです!羞恥で一杯の顔です!」

「き、キリノさん、とっても可愛いです!」

「流石キリノ、もう可愛さを発揮してしまうか……キリノ様様だな」

「っっ!!も、もう……っ!」

 

 

 

レンノスケがキリノとの馴れ初め、恋バナを展開する。

自信満々に己とのアレコレを少し盛ったりして話すレンノスケに、キリノは彼の頬を伸ばしたりしてちょっと小言を言う。

 

そんな光景でも、ゲーム開発部には面白く新鮮で。

 

キリノと言う自分達と同年代の少女が、裏社会で怪物と恐れられたキヴォトス唯一の男子生徒と恋人の関係に成っている事実が面白くって。

 

話を聞けば聞く程、異性との恋仲がどれだけ凄いのかを知る事が出来た。これは、これからも作るゲームの題材として果てしなく使えるものだった。

 

 

 

「……あぁ、楽しいな」

 

 

 

レンノスケが誰にもバレない程度に呟く。

 

この感じが、この雰囲気が楽しくって仕方ない。

 

何も、これまで関わってくれた人達との交流が楽しくなかった訳ではない。寧ろ、己の16年間と比べたら……比べる方が失礼な程、人との交流は楽しかった。

 

だが、こういう本当の遊戯で楽しむ共はゲーム開発部が初めてだった。

 

分け隔てなく接し、友好を築けているのはゲーム開発部が素直で良い子達の集まりだからだ。

 

 

 

”ピピピピ……ピピピピピ……!”

 

 

 

現在は14時を周り、次はどんなゲームをしようか皆で話し合っている最中────レンノスケの懐に仕舞ってあった携帯から着信音が鳴り響く。

 

確認する。差出人はカンナだった。

 

 

 

「(ボス犬?なんだ……)悪い、ちょっと出て来る」

「はーい」

「レンノスケ、どなたからですか?」

「カンナ局長だ。うぅむ、なんか嫌な予感がするが……取り合えず廊下に出るわ」

「はい、分かりました」

 

 

 

”バタン……”

 

 

 

レンノスケは全員に、主にキリノにそう告げて廊下へと出る。

 

そして、カンナからの着信に出る。

 

 

 

「……もしもし、どうした」

『レンノスケ、オフ日にすまないな。いま何処に居る?』

「今はミレニアムの校内に居る。アポを取って友達と遊んでいるが……事件か?」

『ミレニアムか。あぁ、察しが良くて助かるんだが事件だ。実はD.U.外郭区域に美食研究会が次々と飲食店を破壊、ゲヘナの都内に温泉開発部が暴れ、トリニティでスケバンとヘルメット団の抗争、アビドスでもカタカタヘルメット団がアビドス高校を進軍しているとパトロールしていた局員から通報が入った』

 

 

 

内容は実に濃く、面倒なモノだった。

 

つまり、カンナはレンノスケに問題の解決に向かって欲しい訳だ。

 

だが己は今日はオフで、まだこれから遊ぶ時間帯だ。簡単には仕事に行くつもりはない。

 

 

 

「おいおい、何だか今日はエラくアホ共が暴れ散らかしてんな。ヴァルキューレ、風紀委員会や正義実現委員会は何してる」

『無論、対応に当たっているのだが……ヴァルキューレはD.U.の問題を片付けているが苦戦している。そして最悪なのが……今日はヒナさんが他自治区に出張、ツルギさんがシャーレの当番で不在らしくってな……』

 

 

 

思わず溜息が漏れそうになる。

 

ゲヘナとトリニティの最強戦力が揃って不在ともなれば、対応が難しくなるのも分かる。

特に美食研究会や温泉開発部は面倒な相手だ。

美食研究会は4名だが全員が指折りに実力者、温泉開発部は数の暴力で圧制するタイプ。苦戦は強いられるだろう。

 

ヘルメット団とスケバンの抗争もクソだるい筈だ、彼女等もそれぞれ集団で纏まる故、数が多い。アビドスも在校生が5名しかいないのに別のヘルメット団が襲撃しに来るのは大変だ。

 

……仕方ないと、レンノスケはカンナに告げる。

 

 

 

「成程、あいつ等が居ないんなら確かに厳しいか……分かった、じゃあ俺が対応に当たる。D.U.の美食家共はお前達に任せて、ゲヘナ、トリニティ、アビドスは俺が向かう感じでいいな?」

『すまん、頼む……後で必ず休日を増やす手筈はすると約束しよう』

「謝らなくていい。今回は流石に仕方ないからな、じゃあ終わったらヴァルキューレに戻って報告する。それにカンナ局長、前から言っていたが、こういう時は俺の事を存分にコキ使って良いから

な?」

 

 

 

謝り続けるカンナに、レンノスケは元気づけようとそう告げる。

 

そしたら、数秒の間が空き……カンナが「はぁ~…」と、溜息を漏らす。

そして、レンノスケに告げる。

 

 

 

 

『……たわけ、そういう事はしたくないと何度も言っているだろ。私はお前の事を大事な一人の部下だと思っているのだ、余り自分を下げる発言はするな。これは姉貴分である私の命令だ、分かったな?馬鹿者』

「お……おう」

 

 

 

思ってた以上に自分が愛されている事に、思わず妙な相槌を打つ。

 

珍しくカンナから褒められた。何だかキリノや先生とは違う、嬉しさや気恥ずかしさがレンノスケに襲う。カンナはこれでもレンノスケよりも年上で、大人びている生徒だ。

 

特にレンノスケには幾度も世話を焼いては叱っている。時々、甘くなる時があるだけでいつもはおっかない人物だとレンノスケは認識していた。

 

だからこうして、言葉にして己を大切にしてくれていると云う事実を知る事が出来たのは、やはり、嬉しかった。

 

 

 

「わ…分かったよ姉貴……ありがとうな」

『誰が姉貴だ誰が!全く、コノカみたいな事を言うんじゃない……では、頼むぞ』

「あぁ!任せてくれ姉貴!じゃあ、また後でな!」

『おい!だから誰が姉貴だt』

 

 

 

”プツッ”

 

 

 

カンナの言葉を聞き、電話を切る。

 

さて、休日だが仕事が発生してしまった。此処はキヴォトス、そう言う事もあり得てしまう。

レンノスケは足早に部室に入る。

 

 

 

「ん?あ、遅いよレンせんぱーい!もう私達先にやってるよー!」

「おかえりですレンノスケ!そしてモモイ!隙アリです!」

「んぎゃー!しまったー!」

「それにしても随分と長かったですね、レンノスケさん」

「……やはり、事件ですか?」

 

 

 

ミドリとキリノが、声には出してないがユズもレンノスケの帰りが遅かった事に疑問を持つ。

 

差出人がカンナだった事もあり、キリノは事件の可能性を考えていた。

 

 

 

「そうだ、実は今キヴォトスの彼方此方で大分面倒な事件が発生してしまったらしくってな、これからちょちょいのちぃっと解決してくる事になった」

「え、そうなのですか?レンノスケが?」

「レンノスケさん、今日はオフだった筈では……」

「まぁな。だが空崎ヒナって奴と剣先ツルギって奴が今日は不在らしく、他自治区の治安意志組織は不良共の鎮圧に手を焼いているらしいんだ。んで、俺の出番って訳だな……ふぅ、俺も休日だったんだが、仕方ない」

 

 

 

レンノスケがそう言うと、全員がゲームを中断し反論。

 

 

 

「えー!?そんなのなくない!?レン先輩、今日は久しぶりのオフ日って話だったじゃん!」

「ゲヘナとトリニティの最強戦力が不在なのは仕方ないにしても、そこでどうしてレンノスケさんに白羽の矢が立つ羽目になるのですか?納得出来ないんですけど」

「そ、それって休日出勤ってやつですよね?大変だと聞いては居ましたけど……幾ら何でも働き過ぎな気が…」

「アリス、まだレンノスケとゲームがしたいです……」

 

 

 

ゲーム開発部の面々が苦言を漏らす。

言い分は分かる。確かに此処1ヶ月と少し、レンノスケは働き過ぎだ。

 

ヴァルキューレに加入しての期間は短いが、それでも頑張り過ぎな部分はある。常人なら既に値を上げているレベルの労働だ。いや、先ず常人は実現が出来ない仕事内容なのだ。一日でキヴォトスをその身一つで巡回し、治安維持に貢献するなど。

 

だが、彼は怪物と謳われる程の男、この程度の労働はまだ大丈夫な範囲だ。

ブラックマーケットに居た時は依頼が発生すれば昼夜問わず動いていた身だ。しかも空腹に見舞われながらでの労働、今と比べれば完全に良い環境に身を置いているのだ。

 

だがそれでも、ゲーム開発部の言葉は嬉しかった。

 

 

 

「ありがとうな、その言葉だけで俺は救われるよ。でも、今はキヴォトスが荒れてしまっているのなら、治めにいかなきゃいけない。それが俺の義務だからな」

「……レンノスケ、ですが」

「それと、キリノは此処に残れ。少しでもこの子達と交流をしてほしい。モモイ、ミドリ、ユズ、アリスは本当に優しくって、純粋な良い子達だ。キリノとも波長は合うし、正直今すげぇ楽しいだろ?キリノも久しぶりのオフ日なんだ、この時間をよく扱って欲しい」

「で、でも。レンノスケだって久しぶりのオフで、私だけ残るのは……」

「良いんだ、いいか?俺とキリノは明確に役割が違う。キリノは市民の方々を安全に護り、俺は元凶の不良共を殲滅する。今回は俺側の役割が不足しているから、こんな問題が起きちまっているんだ。だから、今回はお俺が行く。キリノ、俺はその気持ちだけで本当に嬉しいよ」

 

 

 

 

そう告げて、レンノスケはキリノの頭を撫でる。

 

嬉しいのは事実。だから、微笑んでレンノスケはキリノを見つめる。

 

 

 

「うぅ……わかり、ました。分かりましたよぉ…」

「ふふ、納得いってくれたようで良かった。要件がアレだから、俺はそのまま帰宅するとしよう」

「そう、ですね……何時くらいですかね?」

「そうだな、今が2時過ぎだから……まぁ早くても6時だな。カンナには何か本気は出すなって言われてるし……あん時のカンナは凄かったな。釘を刺すあの感じが……色んな意味でスゲェ日だったぜ」

「あ、あはは……でも、私は良い日だったなって思ってます。貴方が私の事、好き過ぎな事を改めて知る事が出来た日ですからね?」

「ッ!……くは、随分と粋な事を言うじゃないか。キリノだって、俺の事を好き好きいっていた癖に」

「あ、あれは!貴方が執拗に責めて、甘いのに激しくするからで…っ!」

「キリノ、言い訳は見苦しいぞ」

「んなにをぉ!レンノスケ!最近いじわるですよ!」

「好きで、カッコいいのに可愛過ぎるキリノが悪い」

「んなっ!………~~~っ!……おばか」

 

 

 

”いちゃいちゃ、イチャイチャ……”

 

 

 

甘い空気を出して、蕩ける様な雰囲気を出す両名。

 

目が焼ける様な、心が熱くなるような、そんな会話を見つめ合ってする二人は傍から見ればバカップルそのもの。

 

 

 

 

「あのーーー!!!キヴォトスの色んな場所が危ないんじゃなかったっけー!?レン先輩は行かなくていいの―!?」

 

 

 

我慢の限界に達したモモイが、吠える様にそう発語する。

 

忘れていた、此処はゲーム開発部の部室だ……。

 

 

 

「も、モモイさん!ご、ごご、ごめんなさい!」

「む?おっと、それもそうだな、すまんモモイ、気を利かしてくれた助かる」

「全然!?マジでそんな事ないし!?なんか急に見せつけられて苛々が止まんなかっただけだし!?」

「むぅ?ま、なんでもいい。じゃあキリノ。行ってくるな」

「へ?あ、は、はい!」

「お前等も、今日はありがとうな。また来る!」

 

 

 

”バタン……ッ”

 

 

 

嵐の様に騒ぎを起こし、そして過ぎ去る。

 

レンノスケが出て行った部室は少しの静寂の後、モモイが発語する。

 

 

 

「み、見せつけてくれるじゃん!?恥ずかしげも無く!!」

「すみ、すみませんモモイさん!な、何て言うか、その……すみません!」

「最早それも煽りにしか聞こえないんだけど!?キリノ!私と勝負しろ!」

「え、えぇ!?」

「お姉ちゃん……まぁ、レンノスケさんが居なくなった以上、キリノさんには色々と聞かせて貰わなきゃね。レンノスケさんとの『深い関係』の事とか、ね?」

「み、ミドリさん…?」

「わ、私も、キリノさんとレンノスケさんとの色んな話、気になります……!」

「アリスも気になります!これはキリノを倒して白状させるに限りますね!」

「み、皆さん!?」

 

 

 

そうして、ゲーム開発部によるキリノ制裁編が始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ヴァルキューレ、公安局。

 

 

 

 

「────ったく、あの馬鹿者が……いつかヤキでも入れてやろうか」

 

 

 

公安局、内部。

 

そこの局長専用の机にてカンナが溜息と共に少しの怒りを発露させていた。

先程のレンノスケの舐めた態度に対する事だが、しかし、今回はレンノスケはオフだったのもあって非常に申し訳の無い気持ちではあった。まぁ、あの感じならもう気にしなくっては良いだろう。

 

 

 

”ガチャ……”

 

 

 

「う~、疲れたーッ!只今戻りましたよ~姉御ぉ……」

 

 

 

公安局の署内のドアが開かれ、ぞろぞろと局員が入室してくる。

 

先頭に立ってカンナに報告してくる人物、コノカが疲弊し切った様子でカンナの元に近付く。

どうやら【D.U.外郭区域での美食研究会】の制圧を終えてきたようだ。

 

 

 

「うむ、御苦労だコノカ副局長。怪我は最小限と聞いた。奴等は風紀委員会の方々に確りと差し渡してきたか?」

「勿論っすよ。途中で風紀委員会の連中が合流してきたお陰で何とかって感じでしたけどね」

「そうか、では少休憩の後、確り報告書を書くように」

「うえ~、だっるい」

「文句を言うな!」

 

 

 

叱責が局内に響く。

コノカもカンナにそう言われてしまえば、流石に承諾を得る他ない。無論、元からやるつもりではあったが。

 

そうこう話している内に、公安局内に情報通信局の局員が入って来て、カンナに報告する。

 

 

 

「失礼します!情報通信局の○○です!カンナ局長、ご報告が御座います!」

「あぁ、話せ」

「はい!先程、トリニティで行われていたスケバンとヘルメット団の抗争がレンノスケによって制圧、両軍の生徒全員が拘束されたとの事です!」

「は、はぁ!?もうかよ!」

「まだ電話を取って10分も経っていないぞ……」

「加え、城ヶ崎レンノスケがトリニティへ巡回に当たっていると云う情報を察知したその他の不良、悪徳組織が……じ、自首してきたとの事です!」

 

 

 

最早、意味不明な情報だった。

 

カンナ、コノカ、そして他の局員も耳を疑うが、彼の規格外を目の当たりにしている分、驚きはするが疑う事はもうなくなった。

 

 

 

「……ふぅ、分かった。報告ご苦労、他にはなにかあるか?」

「はい。現在レンノスケはゲヘナへ温泉開発部の対応に当たる為、その身一つで向かっていると報告が入りました。到着予定時刻は……え?あ、えっと……2、25~30分との事です…?」

「お、おい……トリニティからゲヘナってそんな近かったっけか?」

「あ、い、いえ、電車やバスを乗り換えて、約3時間は掛かる距離です」

「……分かった、報告はそれだけか?」

「は、はい」

「よし、報告ご苦労、下がっていい」

 

 

 

カンナの令により、局員が退出する。

 

そうしてカンナが背凭れを掛け、ふぅ…と溜息を漏らす。

コノカが近づき、カンナにお茶を差し出す。

 

 

 

「あぁ、ありがとう」

「いいあ。まぁ、考えるだけ無駄っすね!」

「そうだな……あいつを理解するのは恐らく脳を解剖しても理解出来んだろうな、もう別の惑星から来た生物と捉えた方が頭も整理し易い」

「姉御って時折とんでもない悪口言うっすよね、レンノスケには」

「あの馬鹿に対する少しの仕返しだ。変か?」

「いいえ、そういうの大好きっす」

 

 

 

カンナとレンノスケの関係を熟知しているコノカだからこそ、面白いと思えてしまう。

特にレンノスケはカンナに対して非常に舐めた態度を取る傾向がある。

それもカンナに粛清されるから良いのだが、二人の様子を傍から見れば完全に『姉と弟の』関係だ。

 

 

 

「……弟さん、姉御の事スゲェ慕ってますもんね。ちょっかい掛けたい気持ち、あたしには分かるっすよ」

「そうか?まぁ、アイツなりに私の事を慕ってくれているのは理解しているつもりだ。この間の理科の勉強を見た時なんか、アイツ…………って、オイッ!コノカ貴様、今なんと言った!!」

「おっとバレた。んじゃ報告書は纏めておいたんで、後は宜しくっス!」

「なっ!オイ!……コノカめ、奴にもレンノスケと同様に躾が必要みたいだな…ッ」

 

 

 

コノカが颯爽とカンナに報告書を見る。改めて見れば、中々に被害が酷い。

修繕費の書類や市民の肩がに対する声明など、色々と考えなければいけない。

 

 

 

「(空崎ヒナや剣先ツルギが不在なのもデカいが、レンノスケがオフに成った途端にコレだ……やはり、無視できない影響力を持っているな)」

 

 

 

今日をレンノスケのオフ日にしていたのは前からの予定だったから仕方ない。

だがヒナとツルギが用事で不在なのは想定外だった。彼女等もレンノスケに匹敵する影響力を持ち合わせている、各学園のトップの実力者だから。

 

だが二名が不在、そしてレンノスケがオフともなれば、こうなってしまうのは仕方ない………────?

 

 

 

「(……ちょっと待て)」

 

 

 

違和感。

 

カンナに身に、妙な感覚が走る。

 

 

 

「(変だ、どうも可笑しい……彼女等の不在があったとしても、レンノスケの存在は不良共にとって〈恐怖の象徴)其のモノの筈。こんば大胆に動けば殲滅される事を理解出来ない、そんな頭じゃない筈だ」

 

 

 

積もる違和感。

 

何かが、引っ掛かる。

 

 

 

「(……レンノスケのスケジュールは私達が管理している極秘シークレットだ、先ず、アイツが今日休日の日だと云う事自体が分からない筈)」

 

 

 

嫌な感じがする。

 

だって、余りにも不自然だ。

 

 

 

「────まさか」

 

 

 

嫌に、不自然だ。

 

非常に気味が、悪い。

 

己が考えている事は、誰も徳はしない問題だ。

 

だってそれに、何の意味が有る?

 

 

 

 

 

 

 

「────……誰かが、情報を流した……?」

 

 

 

余りにも、不気味な話だ。

 

誰かがヒナ、ツルギ、そしてレンノスケの不在を不良や悪徳組織に情報共有したかのような、そんな有り得て欲しくない予想がカンナの脳に過る。

 

普通の思考ではこんな事考えない。だが、今日は嫌に不良達が活発だ。

 

彼が警察に成った日、キヴォトスは変わった。

まるで連邦生徒会長が頂点に座していたあの日の様な日々が、戻って来ていた。

悪は滅する。徹底的に、制圧する。

 

その結果生まれたのが、今の治安だ。

 

レンノスケと云う【恐怖の象徴】が瞬間的に、そして大怪我を負わせる気概で自分達を殲滅してくるのだ、嫌でも大人しくなる。

 

彼の巡回、存在は余りに大きい。

 

だから、何時何処でパトロールしているかを考えさせる。

そうすれば悪の集団は行動が制限され、敵対行為が出来なくなる。

 

そうして今までほぼ安全に過ごせてきた……と云うのに、今日、急激に不良共が活性化したのだ。

 

 

 

「……いや、私の考え過ぎか」

 

 

 

一度、冷静に成る。

 

思えば今まで通りだ。キヴォトスの治安がこうなのは。

 

 

それに全員が一気に活性化したのは偶然かもしれない。

 

 

 

「……偶然、だよな」

 

 

 

だが……発生したこの不安は、嫌にこびり付いて。

 

嫌な予想が脳を過って。

 

────カンナは少し、ゾッとしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ゲヘナ、都内にて……。

 

 

 

 

 

「────ひぃぃぃぃぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

「マジいい加減にしろよテメェ等ァ……」

「ひえぇぇえっぇ!!うえぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

「ウルセェ!!騒がねぇと殺すぞッ!」

「ッ!?!?ひ、ひぃぃぃぃぃぇぇえっぇぇぇ!!」

「なに騒いでんだテメェッ!!殺すッ!」

「理不尽だァァァァァ!!!」

「いや何してんだレンノスケー!」

 

 

 

ゲヘナの荒れた都内にて、騒ぐ両名が居た。

 

一人はテロを起こした温泉開発部の部長、カスミ。

そしてもう一人は先程『風紀委員会』と共に温泉開発部の制圧に手を貸し、最速で温泉開発部全体を捕縛したレンノスケだった。

 

カスミが泣いている。ヒナと同等の恐怖を植えられ、彼の顔を見た瞬間には既に様々なトラウマが蘇る身体にされてしまったのだ。

 

そんな彼の理不尽に、流石のイオリも静止させる。

 

 

 

「んぁ?なんで止めるイオイオ」

「イオイオ言うな!あのな?そいつはもう連れてくから、余計な事はしないでくれ!」

「あぁん?……イオイオがそう言うんなら従うしかねェな」

「そうだ、テロの主犯だからって余り怖がらせることはし………いやだから誰がイオイオだっ!」

 

 

 

イオリとレンノスケが会話を続けている間に、カスミは委員に連れてかれる。

 

何故かイオリの事を〈イオイオ〉と言うレンノスケに周囲が困惑するが、当の本人であるイオリが普通に嫌がっているのを見て更に困惑する。

 

そして、気付けば周りでは戦闘の後片付けが始まっていた。

 

みるみる内に道路が改修され、原形を留めていく。

最早慣れたもんだと、工事を始めている仕事人たちは手慣れた様子で建物等を直していく。

 

それを見守る風紀委員とイオリ、そしてレンノスケ。

 

 

 

「まさかヒナのチビが出張の時にコイツ等が暴れるとはな」

「委員長が出張に出向くのは良くある事だからなー、万魔殿の奴等の命令でな」

「万魔殿……マコさんか」

「そうだな………なぁ、レンノスケってイブキちゃんの事なんて呼んでるっけ?」

 

 

 

ふと、イオリがそう問う。

 

レンノスケは少し困惑するが、イオリの問いに応える。

 

 

 

「あぁ?イブキさん」

「……サツキ先輩の事は?」

「京極っぱい」

「?……ヒナ委員長の事は?」

「ヒナ、チビ」

「おかしくね?」

「何がだ」

 

 

 

イオリがレンノスケの不思議に足を踏み入れる。

 

これはイオリのみならず、殆どの者が思っていた事。それは……。

 

 

 

「なんで年上の人には苗字だったり舐めた呼び名で呼んで、年下の子にはさん付けで呼んでんだよ」

 

 

 

そう、レンノスケは何故か目上の人間には超絶舐めた態度や呼び名で呼んでいる事が多々ある。

 

例えば”アコ”だったら『横乳、アホ乳』だったり、ナギサだったら『ケツでか女』、ミカだったら『プリンセスピンクゴリラ、メンヘラクイーン』と呼ぶことが多い。

 

同年代にはそこまでだが。

 

 

 

「あと何で苗字なんだ?何と言うか珍しい気がするけど」

「明確な理由はないが、まぁ仲良くしたいなーって人には基本的に名前呼びだな。それ以外は苗字だ」

「なるほど、そういう感じなのか」

「つまり、イオリの事をイオイオって言っているのは最早『親友』の域って事だ」

「や、やめろよ恥ずかしいな……」

「恥ずかしがるお前♪その顔を写真撮影♪夕日の様に綺麗な赤面♪先生は悦びイェア♪」

「下手か!気持ち悪いテンポで韻踏みやがって……って撮るな!死ね!」

「死んだら俺は遺影☆」

「やかましい!!!」

「おわっと、んじゃ仕事したし帰るわ。写真は先生に見せて好感度のポイント上げるぜー」

「はぁぁ!!?なに言ってッ!……あ!おい待てコラっ!逃げんな……クッ!もう見えないし!!」

 

 

 

イオリの説教を察知したレンノスケが逃走。

 

余りにも速い逃げ足に感心してしまう。今度会ったら絶対に正座させて説教をするとイオリは決意した。

 

 

 

「ったく、レンノスケの奴め……お陰でコッチは助かってる節もあるから、見逃してやってもいいけど」

 

 

 

彼の治安維持に対する貢献は異常だ。銃撃戦が所々に行われ、犯罪が絶えないキヴォトスが今じゃ安定している。

 

どれだけ異常か、例にすると『空崎ヒナが徹夜をしないで定時で上がれている』と言えば良いだろう。それだけの事が、今のキヴォトスで起こっているのだ。

 

彼の役割、それはキヴォトスの土地を巡回する事。たったそれだけだ。

 

『それだけ』とは言っても、一日でキヴォトスを周るのは常人では不可能だ。だからレンノスケは非常に肉体労働が激しい職に就いている。

一日でミレニアム、ゲヘナ、トリニティ、百鬼夜行、山海經、D.U.、アビドス、ブラックマーケット、その他の自治区を周って犯罪を取り締まったりもしている。

 

正直、狂っている。

 

だが、其れが出来てしまう。

 

 

 

「(……何か、ちょっと疲れてなかったか?レンノスケ)」

 

 

 

イオリが心の中でそう思う。

 

近くで多忙を極めるヒナを見て来たから分かるが、レンノスケの顔は少し疲弊を顕わしていた。

ここ最近、彼は頑張り過ぎている面がある。午前7時からD.U.巡回から始まり、全ての業務が終わるのは大体午後の8~9時前後だ。

 

レンノスケが巡回して尚、犯罪は起こる。それ等を制圧した後捕縛して治安を守っている。

 

幾らレンノスケでも、疲れはする。カンナもそれを知っている故、レンノスケに対し巡回する自治区を減らした方が良いと告げたのだが……。

 

 

 

『休みを頂き、飯も食えている。それはカンナ局長が俺に仕事を与えてくれているからだ。この位で俺は倒れん。だが、心配してくれてありがとう』

 

 

 

と、聞く耳を持たないのだ。

 

カンナは直ぐにキリノに頼みを入れたが、それでも、治らなかった。

 

カンナは、己を超える〈ワーカーホリック具合〉に心配の念を隠せないで居たが、彼が居るお陰でキヴォトスの安寧は保たれているのも事実。

申し訳の無い気持ちが、カンナにはあった。

 

 

 

「(無理して倒れる……レンノスケに限ってそんな事無いと思うけど……)」

 

 

 

嫌に心配してしまう。杞憂ではあるだろうが、流石に働き過ぎではないだろうか?と、そう思ってしまう。

 

レンノスケは怪物と謳われる程、この世の生物の誰よりも強い存在だ。イオリもそれは認めている。

でも、同じ人間だ。

 

 

 

「(何も無いと良いんだけど)」

 

 

 

そう思って、イオリは現場を後にした。

 

 

だがこれは、杞憂でも何でもない。

 

 

 

────彼にとって、最悪の日に為ってしまうのも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ゲーム開発部、部室。

 

 

数時間後……。

 

 

 

 

「────そこっ!」

「あー!た、倒されちゃいました……」

「へっへーん!22回目は私の勝ちだねキリノ!」

「これで12勝10敗目だねキリノ。それと12敗してるお姉ちゃん」

「なんか棘ない??」

「あはは……でも、本当にお上手になりましたね、キリノさん」

「いえいえ!皆さんが本官に合わせて下さっているお陰で、こうして出来る様に成れたんです!本当にありがとう御座います!」

”「えへへ~!」”

 

 

 

何とも、幸せな空間が部室内で行われていた。

 

レンノスケが去って少しの間はキリノは少し元気が無かった。

力の差、治安に対する貢献度、色々とあるが……一番はレンノスケの負担である。

 

彼の負担を、彼のみに与えて背負わせてしまった。全部は難しくとも、半分は背負いたかった。

 

今日はレンノスケとキリノ共にオフ日だったのに、自分だけ出勤しないで任せてしまった罪悪感。レンノスケが気にするな、役割が違う、キリノは既に市民の方々の役に立てている。

 

そう言ってくれても、悩んでしまう。

 

そんな時に盛り上げてくれたのがモモイを主体としたゲーム開発部だ。

 

これをやろう、次はこれ、何のキャラクター使う?

 

一緒に考えてくれた。それが、キリノは本当に嬉しかった。

 

 

 

「じゃあさじゃあさ!次は私とキリノとアリス、ミドリとユズで勝負しようよ!」

「なんで3対2なの……」

「だってユズは強すぎるし、ミドリも強いから!」

「ハンデって事…?」

「アリス単体でも良いですよー!」

「それだとアリス速攻で負けちゃうと思うよ?」

「アリス、モモイをターゲットにしますね!」

「あ、アリス?」

「あはは、じゃあ、私とミドリ、モモイとアリスちゃんとキリノさんでやろっか」

 

 

 

ワイワイと、皆で話し合っては楽し合い。

 

この空間が、キリノは好きに成った。

たった数時間の交流。でも、友人と呼ぶには余りにも十分だった。

 

 

 

「……ふふふっ」

 

 

 

笑みが零れる。

レンノスケが好きに成る理由が詰まっている方々だと、キリノは思った。

この子達は、全員が優しすぎる。

自分も見習うべき姿があった。

 

 

 

だが、時間は刻々と迫るモノ。

 

 

 

「────あ、今何時……ろ、6時ッ」

「え?」

「ん?あ、ウッソ、もうこんな時間?」

 

 

 

キリノがふと時間を確認する。見れば、既に6時を過ぎていた。

 

いけない、もう帰らないと。

 

 

 

「ご、ごめんなさい皆さん!私、もう帰らないと……」

「えー……まぁ仕方ないか」

「レンノスケさんが疲れて帰って来るかもだからね」

「もっとレンノスケとキリノとゲームしたかったですが……アリスは我慢します」

「……うん、そうだね」

「あはは……でも、今日は皆さんのお陰で本当に楽しかったです」

「そういって貰えると私達も嬉しいな!キリノは帰った後はレンノスケさんにナニしてあげるの~?」

「へ、え!?」

「ちょっと、お姉ちゃん?」

 

 

 

モモイが(シモ)の話題を振る。少し前(見せつけられたイチャイチャ)の仕返しだ。

キリノが顔を赤くする。ミドリとユズが少し頬を赤く染め、アリスはよく分かっていなさそうだ。

少し考える。

彼が帰るのは推定7時30分以降と考え、キリノが今帰れば7時には家に着く。

 

そうすれば、彼が帰って来る頃には夕飯が作れる。今日はシチューだから、余り時間は食わないだろう。

 

 

 

「思ったんだけどさ、彼氏と同棲って……同じ15歳なのにマセてるよねーキリノって」

「そ、そんな事……」

 

 

 

図星だ。モモイの言う通り、己は……最近、スケベだ。(そこまでは言っていない)

レンノスケと云う異性と関わって以降、己は何かが吹っ切れた気がする。

 

……嬉しいのやら、恥ずかしいのやら。でも嫌ではない。

 

あ、そうだ、後お風呂も湧かせなければ……最近、一緒に入れていないっけ。

 

 

 

「お風呂も湧かせて、ご飯も作って、それから………ふふっ」

「なんか一人の世界に入っちゃったんだけど……」

「アリス知ってます!今のキリノはレンノスケの事で頭が一杯な状態、魅了されているんですね!」

「あ、アリスさん!?」

「まぁ強ち間違いじゃないか」

「キリノさん結構ドスケベですよね」

「うぅ……私より年下なのに、進んでるなぁ……」

「み、皆さんも、そんなっ、揶揄わないでくださいよぉー!」

 

 

 

何とも、齢15の少女が出す雰囲気ではなかった。

 

容姿は天真爛漫な少女そのモノだが、彼を語る顔がなんかエロイ。

開発部の同学年に『和泉元エイミ』と云う生徒が居るが、その生徒とは別ベクトルでエロいのだ。

 

 

 

 

 

 

▽────ミレニアム校門前……。

 

 

 

 

 

「では!改めまして、今日はありがとう御座いました!」

「うん!忘れ物は……無さそうだね!」

「また来て下さい!良ければレンノスケさんと御一緒に」

「アリス!またレンノスケとキリノとゲームしたいです!次はRPGです!」

「夜も更けて来たので、どうか夜道には気を付けて下さいね……その、駅まで送りましょうか?」

「いいえ、大丈夫です!お気遣いありがとう御座います!ユズさん」

 

 

 

校門前にはキリノとゲーム開発部が向かい合い、別れの言葉を綴っていた。

時刻は6時30分。夏と云う事もあり、まだ少し明るいが陽は落ちつつある。

 

キリノはゲーム開発部を見下ろし、感謝の念を告げる。

 

 

 

「それと、宜しければユウカさんとネルさんにも御礼を伝えて頂ければ有難いです。レンノスケの来校の許可を取って頂いた方々ですので!私からもお伝え致しますが、一応」

「おっけー!どうせこの後ユウカうち(部室)に来るし言っておくね!」

 

 

 

キリノはユウカとネルに御礼を伝えてくれと、モモイに託す。

あの二人のお陰で今日はミレニアムにお邪魔する事が出来た。レンノスケは有名人だし目立つから、騒ぎを起こしかねない。

 

キリノが帰る動作に入ると、アリスが「あ!」と言い、キリノに話しかける。

 

 

 

「キリノ!一つ伝え忘れてました!」

「は、はい!なんでしょうか?」

「実は以前レンノスケが来た時、レンノスケが色んな生徒さんから『連絡先を交換してほしい』と迫られていました!すっごくモテモテでしたよ!」

 

 

 

”ピクッ”

 

 

 

「……へぇ~、それは少し、いえ────非常に気になる話ですね」

「あ、アリス!?」

「なんでこのタイミングで言っちゃうの!?」

「え?でもレンノスケが他の女の子からモテモテなのは、彼女であるキリノからしたら良い事ではないのですか?」

「(し、しまった!そう言えばこの前アリスに乙女ゲーをオススメして遊ばせてた―!!)」

「(だからこんな事言っちゃったんだ……)」

「(お姉ちゃんのせい)」

 

 

 

それは、聞き捨てならない言葉だった。

 

アリスを見る。純粋な彼女の事だ、良かれと思って己にそう告げたのだろう……故に、アリスに対し嫌な思いは一切ない。寧ろ、よく教えてくれたと云える。

 

 

 

「アリスさん、教えてくれてありがとう御座います……で、レンノスケはその生徒さん等には連絡先を交換していましたか?」

「いいえ、レンノスケは『気持ちは有難いが、悪い、俺好きな人いっから無理だ』って言ってましたよ!きっとキリノの事です!」

「っっ……~~~!……そ、そうですか」

 

 

 

なんだ、そう言っているのなら良いのだ。

 

己と云う者が居ながら、他の女子と連絡先を交換など言語道断。

レンノスケはそう言う所は意外とキッチリしている。

 

いや、心配して損しt────

 

 

 

「あ、でもアスナ先輩にはメロメロでしたよ!えっと……ほら!」

 

 

 

ズイッと、アリスがキリノに向けスマホを見せる。

 

そこには………アスナがレンノスケの背中に乗り、楽しそうに笑顔を浮かべていて、レンノスケが顔を赤面させ微動だにせず腰を曲げている写真があった。

 

 

 

”ピキッ……”

 

 

 

キリノ、青筋が立つ。

 

 

 

「ふ、ふふふ………これは、決定的ですね」

「アリスと冒険している時に起きた事です!レンノスケは何故かアスナ先輩には雑魚になるので、面白いと思い撮りました!」

「そうだったのですか。アリスさん、宜しければその写真、頂けませんか?」

「?…はい!良いですよ!」

「(あ、あーあ……)」

「(なんか、とんでもない事になっちゃった……っ)」

「(や、やばい……レン先輩、南無!)」

 

 

 

今のキリノは、笑っている。

無機物な笑みで、笑っている。

 

これは修羅場だ。レンノスケの命日はきっと今日なのだろう。

 

モモイ、ミドリ、ユズは祈った。

 

レンノスケの……命が有らん事を。

 

 

 

「最後の最後に、とっっっっても”素敵”な話を聞けて良かったです。ありがとう御座いますね、アリスさん」

「嬉しかったですか?キリノが喜んで頂けてアリスも嬉しいです!」

「ふふ……えぇ」

”「(ひ、ひぃぃぃぃぃ!!)」”

「では皆さん、今日はありがとう御座いました。また遊びに行きますね!」

 

 

 

恐ろしい笑みから一変、キリノは輝かしい笑みをゲーム開発部に向けて背を向ける。

 

アリスは「はい!またゲームしましょう!」と元気よく手を振って送るが、他の3名は恐怖で「ば、ばいばーい……」と、声が震えてしまった。

 

普段起こらない人が怒ると怖い。

 

そんな感じの恐怖が、3名にはあった。

 

キリノの背がドンドンと遠のいていく。

 

そして……遂には見えなくなった。

 

 

 

「……あれだね、皆」

「うん……」

「そうだね……」

「え?」

 

 

 

『いやぁ、アスナさんは可愛いな……あ、今のキリノには内緒な』

 

 

 

”「レンノスケさん(先輩)が悪い!」”

「え?なにがですか?」

 

 

 

浮気ではないが、100:0でレンノスケが悪いと皆が決める。

 

やはりレンノスケの安否の心配は辞めて、全員が部室に戻る。

丁度あの二人を題材にゲーム制作でもしてみようか……なんて思ってみたりもした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……レンノスケさんめ、デレデレしちゃって」

 

 

 

ミレニアム自治区、夜道にて、キリノはアリスから頂いた写真を見つめる。

 

アスナにデレデレして、固まっているレンノスケが写る。

確かにアスナは素敵な女性だ。スタイルも抜群で、笑顔も綺麗な麗人だ。照れてしまうのも分かる。

だけど、納得はいかない。彼の恋人は己だ。

 

……悔しい。

 

 

 

「……帰ってきたら、わからせてやるんですから!」

 

 

 

レンノスケ、疲労の末に幸せの『わからせ』が決定。

 

 

 

「(でも先ずは夕飯ですね……えっと、ジャガイモと人参、牛乳はあるから……)」

 

 

 

 

シチューに必要な材料を考える。

 

今日のレンノスケはいつもより大変な日だったのだ。先に夕飯を食べさせて、一緒にお風呂に入って、マッサージをさせた後に、誰が誰の者か分からせればいい。

 

 

 

 

 

 

「────失礼」

「…え?」

 

 

 

”トンッ────”

 

 

 

 

それは、一瞬の隙。

 

 

 

「────ぁ………っ」

 

 

 

何者かに、意識を刈り取られる。

音も無く、首に手刀を喰らう。

一瞬だ、本当に一瞬で……キリノの身は其の者に預けられてしまった。

 

 

 

「………」

「ターゲット確保────基地に戻ります」

『ご苦労、いつ彼が勘付くか分からないから、直ぐに帰投しなさい』

「御意」

 

 

 

キリノを担ぎ、其の者は去る。

 

その動き、超一流のプロ並み。

 

 

 

キリノは、この瞬間に……ミレニアムから、姿を消した。

 

 

 

 

 

次回

 

 

「俺は、俺、は……どうすれば、いい?カンナ…ッ」

*1
某神死にゲーのエグイマップ





次回のタイトルが思いつかなかったので、本編の一部より抜粋しました。

まぁ彼が『くっっっそ悩む』展開なんだなと思えば良いです。




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もう全部嬉しいです!これからも頑張っていきます、宜しくお願いします。



それと【R18版】の続きは7月の中旬か下旬あたりに上げます。

別作品で【元人間の天彗龍】もそろそろ上げたいなと思っているので、宜しくお願いしまっしゅ!

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  • レンノスケ、配信者に成る。
  • 16歳組によるバレーボール同盟
  • キリノと二人旅
  • 提示版(レンノスケだけど、質問ある?)
  • レンノスケの過去編
  • 本編:カルバノグの兎編
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