怪物は、真面目な君に恋をした。   作:カブトムシの相棒

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マジでまた一週間かかっちゃいました。

やり直してたら、まさかここまで期間が伸びるとは……。



誤字報告、大変助かります!いつもご指摘して頂き、誠に嬉しく思います。



では、本編です。


先生と問答。そして将来。

 

 

 

 

 

 

 

「レンノスケさん……貴方は、一番………幸せにならなきゃいけない……」

 

 

 

 

こんな事言われたの、初めてで……最初は、なんて返せばいいのか、分からなかった。

意味が、分からなかった。だって、俺は十分、幸せだから。

 

ドーナツを食べれて、箸の使い方を教えてもらって、それでカツ丼を食べて……でも何より────キリノさん、貴女に会えたから。

 

貴方に会えて、俺は生きるという意味を知った。美味しい物を食べる、嬉しさを教えてくれた。

 

 

 

「ひぐっ……ぐすっ……」

 

 

 

でも、今俺の目の前で泣いている貴女を見て、俺は幸せではないのだと、気付いた。

 

馬鹿な俺でも、流石に分かる……キリノさんはきっと────俺の為に、泣いているんだ。

こんな、どしようもない俺の為に……泣いているんだ。

 

キリノさん……貴女は本当に、優しい人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

………すまない、キリノさん……少しだけでいいから、聞いてほしい────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、幸せと云うのを、ちゃんと分かって無かったみたいだ………だから、頼む」

「レ、レンノスケさ────」

 

 

 

「────キリノさん、どうか俺と……幸せになってくれないか?」

「────────へぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────貴女と、共に幸せになりたい、俺の願いを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レンノスケがキリノに愛の告白(無自覚)をした時。

 

 

 

 

 

 

 

 

「────────」シーン………

 

 

 

 

 

中務キリノの脳は数多の情報によってパンク、完全に失神してしまった。

 

 

それは、今日だけで様々な事が起きたが為に起きた現象である。

 

 

具体的に纏めていけば、こうなる。

 

 

 

・パトロール中に会った人が、一週間何も食べてなくてドーナツを上げた瞬間涙を流した事。

・ほっとけなくて、隣で会話をしたらいきなり可愛いと云われた事。

・注意して、また話していれば何時の間にか大勢のヴァルキューレ生が自分達を囲っていて、市民だと思ってた人がとんでもない存在だと知った事。

・三大学園の最高戦力が、その身から溢れんばかりの重圧を露にしながら集結して、城ヶ崎を乗せる護送車に最高戦力4名と何故か自分も乗った事。

・美甘ネルの銃撃を受けて全くのダメージがなく、城ヶ崎レンノスケに関する力が本当だった事。

・何故か自分の言う事には従い、その度最高戦力たちの圧が直に当たる事。

・箸の使い方を知らず、食べている時は常に素手だった事。

・城ヶ崎レンノスケの半生が、聞くに堪えないモノだった事。

 

 

 

そして中務キリノ……自身が泣いている時、強く手を握られ、愛の告白の様な言葉を浴びせられた事。

 

 

 

中々の濃密度合、逆にここまで良く耐えてきた方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、場面は変わる────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■レンノスケside

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」シーン……

「ん?キリノさん?」

 

 

 

いきなりキリノさんが動かなくなった。

意識はなく、しかし命脈は確かなリズムで動いている。良かった。

 

それにしても……キリノさんの手、スベスベだな……。

 

でも、何故か失神してるから、心配だ。

 

 

 

「キリノさん、キリノさん、起きてくれ」

「……んぅ、んん……あぅぅ……」

「キリノさん、さっきの返事を…………ふっ、キリノさんは、寝言も可愛いな……素敵だ」

「おいこらぁ!」

 

 

 

俺がキリノさんを起こそうと呼びかけてると、右隣から顔を赤くしたオレンジ髪の小さい奴が居た。

左には……紫の小さい奴、正面にキリノさんを挟むように黒い翼がある奴とボス犬が何時の間にか居る。

 

キリノさんに集中すると、視野が極端に狭くなる。困ったな。

 

それにしても……また、こいつ等と話すのか……気分が悪いな。

 

 

 

「てめっ!いきなり、何抜かしてやがる!?自分の立場分かって言ってんのかテメェ!!」

「……ふぅ、なんだ、またお前らか……俺は今忙しい、消えろ」

「あぁッ!!?」

「城ヶ崎、先程のは一体何の真似……いや、もういい……まずは」

「……その子の手を離しなさい、城ヶ崎レンノスケ」

「無論、断る。お前らに従う意味がない、さっさと消えろ」

「……ふざけるな。城ヶ崎、勝手な真似をするんじゃない。早くキリノの手を離せ」

「断る。今は、俺とキリノさんの時間だ。勝手に入って来やがって……痛い目に遭いたくなければ、今すぐ失せろ」

「よ、よ~~し……よく分かった、お前は今ぜってー殺す」ピキピキ

 

 

 

そう言い放つと、オレンジ髪は敵意を俺に向ける。

それが合図となったか、他の奴らも一斉に銃口を俺に向ける。

 

 

 

 

俺は、離したくなかったキリノさんの手を離す。

……多分、巻き込まれないだろう……多分。

 

 

 

 

「っ……そう、それでいい。これで漸く貴方と先生を────」

 

「おい、勘違いするな……キリノさんの手を離したのは、飽く迄、巻き込まれない為だ」

 

 

 

 

 

 

 

それにしても……だ。

こいつ等が俺に向ける敵意も、重圧も、今こうして俺に銃口を押し付けているのも……俺がこうして、抵抗しないのも……全て、キリノさんが居るから、そう思っているんだな。

 

 

 

 

 

 

 

……ふざけやがって────随分と舐められたものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、よく分かった。お前ら全員────俺と殺し合いがしたいんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ッ!!」

「……これは、まずいな」

「はは……っ!おいおい!こりゃぁ、エグイなぁ!」

「……持場に待機している、全員に告げる────いつでも、戦闘が出来る態勢をっ!!」

 

 

 

 

 

俺がそう言って、こいつ等に殺気をぶつける。

全員、確かな反応を見せる。

 

 

だが、俺のソレに当てられた……一瞬の隙が、生まれたな。

 

 

 

「────ッ!おい、マジかよ!?」

「まずお前からだ、ちびオレンジ……死ね────」

「ん、んぅ……ん?……あ、あれ……?」

「キ、キリノさん」

 

 

 

 

俺が即座に立ち上がり、ちびオレンジの顔面目掛け左ストレートを繰り出そうとした時、キリノさんが起きた。

 

そして気付く。ここだとやっぱり、キリノさんが巻き込まれてしまう。やっぱ戦闘は無しだ。やめよう。

 

 

 

「キリノさん、起きたか」

「……え?起きた…?って、レ、レンノスケさん!!?あれ!?わ、私、もしかして、寝て……!?」

「ああ、素敵な、寝顔だった」

「ちょっ!?な、何言っ……て……み、みみみ、皆さん!?カ、カンナ局長も!?た、大変申し訳御座いませんっ!!で、でもでも、ちが、違うんです!!こ、これは、その……あっ!さ、さっき、レンノスケさんがいきなり………レ、レンノ、スケさんが……は…あぁ~~~~~~~~~//////////!???」

 

 

 

キリノさんは、此処に居る奴らの姿を確認して、大慌てと云った様子で謝罪と自身が寝てしまった理由を話す。

 

そしたら何故か、顔を赤くして俺を睨んでくる……睨む姿も、可愛いな。

 

 

 

「うあ!!?え、ええ!?……れ、レンノスケさん!!!あ、ああ貴方と云う人はッ!!わ、私に、そんな……だって、今日会ったばかりで…!?」

 

 

 

“ガシッ!”

 

 

 

「ふわぁっ!?」

 

 

 

机から身を投げ出して、左手の人差し指を指しながら、俺に怒る美しいキリノさん。

怒っている理由が全く分からないが、何だかまだ伝わってなさそうだから、もう一度俺はキリノさんの手を握って………今度こそ、伝わる様に告げる。

 

 

 

 

「ああ、そうだな、確かに俺とキリノさんは今日会ってまだ2時間かそれ位だ。だけど、そんなの、全く関係ない……俺は、キリノさん────本気で、貴方と幸せになりたいと、望んでいる」

 

 

 

俺は力があるから、キリノさんが痛くならない様、でも逃げられない位の、そんな難しい加減で手を強めに握る。

 

 

 

キリノさんは、目を見開いて、口をパカッて開けて、一時停止。

 

可愛いな、本当に。

 

 

 

 

 

 

さて、キリノさんの反応は……どうだ?

 

 

 

 

 

「あ…くぅ……んぅぅ!!んんんんん~~~~~~っっっ/////////!!!」

「えっ、あ、あれ!?」

 

 

 

 

キリノさんは、さっきよりも格段に……顔を赤くして、涙目で、唸り声をあげて俺を睨む。

 

 

その怒ってる顔も、素敵で、可愛くて、綺麗だ……いや、そう思っている場合ではない。

何故だ?なぜ、キリノさんは怒っている?俺は可笑しな事は、何一つ言っていない筈……。

 

 

 

「わ、私達は、一体に何を見せられているんだ…?」

「……急に、蚊帳の外になったんだけど」

「め、目の前でいちゃついてんじゃ……ね、ねね、ね…っ……って、さっきあたしの事ちびオレンジっつったか!?テメェごらぁ!!!」

「……はわわ/////」(二人の雰囲気に当てられた)

 

 

 

外野がなんか言ってるが、気にしない。

俺は今、かなり焦っているんだ。どうしよう、キリノさんを怒らせてしまった。

 

 

 

 

「い、一旦……そこまでにしよっか…」

「あ?……ん?」

「せ、先生!?」

 

 

 

何やら、聞き馴染みのない声が聞こえ、思わずドアの方に目を向けると……最近、見た顔が其処にはあった。

 

 

 

「あんたは……」

「初めまして、レンノスケ。私は先生と云う者だよ。まずは────カンナ、ツルギ、ネル、ヒナ、お願い……レンノスケと話がしたいから、どうかその圧はしまってほしいな」

「はい、承知しました」

「……了解」

「はぁ…分かったわ」

「待て!コイツを一発殴らせろ!聞こえてたからなあたしの事ちびオレンジって言った事────」

「気持ちは分かるよ、でも……ここはどうか、抑えてほしいな。お願い、ネル」

「ぐ……ッッ!!くそっ!わーったよ!」

「ふふ、ありがとうね。ネル」なでなで

「撫でんなぁ!!」

「……ずるい」

 

 

 

その大人がそう言えば、仕方ないと言った感じで、急にこいつらの戦意が消えた。

 

 

 

先生……聞いた事がある。生徒の為に働く、凄い人。

 

キヴォトスの、外?と云う場所から来た、大人の人……だった気がする。

……そうか、この人が、そうだったんだ。

 

 

 

こいつ等の様子からして、随分と仲が良さそうだ。

 

 

 

 

 

この人は、きっと……。

 

 

 

 

「ごめんね、レンノスケ。君を刺激するつもりは全く無かったんだ。私を含めてだけど、全員レンノスケがこうして此処に居ること事態、未だに信じられなくってね……」

「……そうなのか、分かった」

「……え」

 

 

その【せんせい】と呼ばれている大人は、俺の返事が変だったか、何故か驚いている。

 

 

 

「……どうか、したのか?」

「あ、ああいや、ちょっと意外でね……こう言っては何だけど、私の言っている事を信じて貰えるとは思ってなくってね」

「……俺も、よく分からないんだが……キリノさんと……せんせい、あんたは────信じられる」

 

 

 

本当に、よく分からない。よく分からないが……この人は、信頼できる。

キリノさんが、この人を見る目が、輝かしいから……だろうか。

 

それに……この人の俺を見る目が、キリノさんと似てる。どこまでも優しい人の目だ。

 

 

 

 

 

 

「────少し、レンノスケと話がしたい。皆、この場を外してほしいな。あ、キリノは居てね」

「…………へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あんたに、先に一つ聞きたい」

「ん?なにかな」

「え、手を握ったまま始めるんですか!?」

「ああ、握ったままだ。ありがとう、キリノさん」

「りょ、了承してないですよぉ……もう……」

 

 

 

 

今は、目の前に先生が居て、俺の隣にキリノさんが座っている。

片手の手繋ぎになったが、それでもいい。実に、最高の気分だ。

 

 

 

 

「え、えっと……私に聞きたい事っていうのは?」

「ああ、ブラックマーケットで、あんた達と初めて会った時だ────」

 

 

 

……俺は、ある事が、ずっと気がかりだった。

 

この人は、あの時の子を、あの後どうしたのか、ずっと気になっていた。

 

 

 

「……あの時、俺とあんたを含めた、何人かの生徒と遭遇した時……不良に絡まれた、一人の少女が居ただろ…?」

「うん」

「あの子は、無事、だったか?」

 

 

 

上手く、言葉に出来なかった。

何て言えばよかったんだ、せんせいは、もう覚えていないかも、知れないのに。

 

だけどこの人は、間を開ける事無く、笑顔で言い放った。

 

 

 

「────あの時、君が助けてくれた子は……私達が責任もって、ちゃんと無事に避難させたよ」

 

 

 

……嘘は、言っていない。

俺には持っていない、その眩しい程の瞳が、濁る事なく、俺を見つめて、その言葉が真実だと言っている。

 

 

 

「……そうか」

 

 

 

この一言に、尽きる。

きっと、気まぐれだったんだ。あの時、俺が利益もなく、見慣れたあの光景に自ら飛び出すなんて、可笑しな話だから。

 

 

 

……だけど、なんでだろうか………少しだけ、救われた気がしたのは。

 

 

 

「無事なら、それでいい……」

「レンノスケさん……」

「…その子ね、貴方に会いたがってた。助けてくれたのに、何も言えずに、助けてくれたお礼を言えなくて、申し訳ないって」

「……なに?」

 

 

 

先生が言い放つ言葉に、俺は耳を疑った。

俺は、ただ前に立っただけだ。お礼を言われる筋合いはない。

 

 

 

「……なんだ、その子が気にしているなら……もう、気にするなって、伝えてくれ」

「……レンノスケは、それで良いの?」

「ああ、いい……あれは、只の気まぐれだった。俺は、何も気にしていない」

「そっか……分かった、そう伝えておくね」

 

 

 

渋々、そう言った感じで、先生は俺の問いに、願いに応えてくれた。

 

 

 

「すまないな、先生」

「良いんだよ、他ならぬ私の【生徒】の願いなんだから」

「……生徒?」

 

 

 

先生が、妙な事を言った。

 

 

 

生徒……?おかしい。それは、この先生から見て、キリノさんや、それ以外の子達の事の筈。

間違っている。おかしいぞと、そう言わなければ。

 

 

 

「……俺は、何処の学園にも所属していない。俺はあんたの、先生の生徒ではない」

 

 

 

第一、俺は先生の生徒になった覚えはない。

 

 

 

「ううん、レンンスケ、君も紛れもない────私の大切な生徒の一人だよ」

「……分からない。なんで、そう言ってくれるんだ?」

 

 

 

意味が分からない。何故、なんでもない俺を生徒と呼ぶ。

何処の学園にも所属していない、学もなければ、戦う事しか出来ない。

俺は世の中を、何も分かっちゃいない。

 

 

 

「君がまだ子供で、私が助けるべき生徒だから」

「……俺が、先生が助けるべき、生徒?」

 

 

 

俺の疑問に、先生はそうだと、頷きを見せる。

 

 

 

「……え、な、なにを…っ?」

「レンノスケ」

 

 

 

先生が、俺の頭に手を伸ばす。そして────。

 

 

 

「今まで、たった一人で、本当によく頑張ったね……ごめんね、今まで一人にさせて、苦しかったよね……これからは、私達が居るからね」

「…………あう」

 

 

 

優しく、撫でてくる。

 

嫌な気分ではなかった。寧ろ、温かい。

キリノさんとは、また違った、温かさ。

 

 

 

………ちょっと、変な気分だ。

 

 

 

「な、なんか……変な気分だ……顔が熱い」

「……貴方にも羞恥心があったのですね」

「…?キリノさん、しゅうちしんって、何だ?」

「恥ずかしいって事です。今の貴方と、私の様に!」

「ん?なんで、キリノさんは恥ずかしいんだ?」

「~~~っ!もう!貴方と云う人はっ、このぉ!」

「き、きりにょしゃん!?」

 

 

 

キリノさんがいきなり、俺のほっぺを摘まんで引っ張った。

何故か怒ってるが、それもまた、可愛い。

 

 

 

「ふふふ!君達、もうすっかり仲良しだね」

「!!そう、見えるか?」(嬉しい)

「せ、せんせい!?もう!先生まで、か、からかわないで下さい!」

「キリノさん、俺はからかっていない。ずっと本心で言っている」

「レンノスケさん!!!この!このぉ!」

「ひ、ひえぇ……」

「ほ、程々にね、キリノ……(こんなキリノ、初めてだ……)あ、そうだキリノ。実はさっき────」

 

 

 

怒るキリノさんも可愛いけど、ちょっと怖い。

 

また素敵な一面を、知る事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────少し経って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もう喧嘩はしちゃダメです!分かりましたか?」

「うん、分かった。もう、喧嘩はしない」

「それでよし!です」

「……ふふふ」

 

 

 

あの後、俺とさっきの4人組が戦いに発展しそうになったのを先生がキリノさんに話して、俺は叱られた。

 

『でも、あいつらが先に、俺に敵意を向けて、それで……』

 

的な事を言ったら、向こうは俺を警戒してただけで、あの後普通に先生と俺を会話させようとしてたみたいだった。

つまり、俺の早とちりって奴だ。後で、あいつらには、出来たら謝ろう。

 

 

 

 

「先生……何が可笑しいんですか?」

「うん?ああいや、ずっと手握ってるな~~って思って」

「へ?────ああ!」

「キリノさんの手、柔らかくて、温かい。素敵だな」

「レンノスケ、後でそういう事のお勉強、先生としっかりしよっか」

 

 

 

先生が、何やら気になる事を言っていた気がする。

そう思うと同時、キリノさんが顔を赤くして、俺に問いかける。

 

 

 

「そ、そうですよ…!その……レンノスケさん…?」

「どうした?キリノさん」

「いや、その、えっと……そ、そろそろ、わたs……本官の、手を……離して頂けると……」

「え……」

 

 

 

何て事だ。手を離してほしいって、言われてしまった。

 

 

でも、ずっと握ってくれたんだ。もう、これ以上、迷惑を掛けてしまったら、だめだ。

 

 

「……………」

「レ、レンノスケさん?」

「……どうしても」

「……え?」

 

 

「────どうしても、離さなきゃ、だめなのか……?」

 

 

「あ……そ、そのぉ……」

「……あ、す、すまない!俺、何言って……直ぐに、離す…から」

「……~~~っ!」

 

 

 

……甘えてしまった。

何をしてるんだ、俺は。キリノさんに、これ以上迷惑を掛けて、どうする。

最悪だ。馬鹿が過ぎる。本当に、何をしているんだ……。

 

 

そう自分を反省した、その時だった。

 

 

 

 

 

 

“キュッ!”

 

 

 

 

 

「……え?」

「……//////」

 

 

 

緩んだ俺の左手に、確かな力が加わった。

それは……キリノさんの右手が、俺の左手を握ったんだ。

 

 

 

「キ、キリノさん……?」

「あ、あと少しだけですから……ね?」

 

 

 

 

“ドクンッ……ッ!!”

 

 

 

「う、うん……///」

「なっ、なに!なに貴方まで顔を、あ、赤くしてるんですか!」

「だ、だってぇ……さっきから、身体が、熱くて……」

「~~~っ!!貴方は、本当にっ!もうー!!」

 

 

 

そうか、これが……恥ずかしいというやつなんだな。

想像以上に、胸が苦しい。

 

 

 

 

 

 

よし、今だ。今しか、伝えるタイミングは、ないだろう。

 

 

 

 

 

 

「キリノさん……俺は、キリノさんが────」

「あ…っ!ま、待って!まって下さい!」

 

 

 

その先を言おうとしたところで、キリノさんから俺の口に人差し指で待ったをかけられる。

 

 

 

「展開が、色々と早すぎます……!い、いいですか?レンノスケさん!こういう、そ、その……」

「ゆっくりでいいぞ」

「だ、誰のせいで……ッ!コホン!良いですか!こ、こういうのは、順序が必要なんです!」

「順序?」

 

 

 

キリノさんが言うには、俺が言おうとした────『付き合ってほしい』というのは、まだ全然先の話らしい。

凄いな、キリノさんは。俺みたいな人でも、ちゃんと分かり易く教えてくれる。素敵だ。

 

 

 

「で、ですから!まずは……『お友達』から、始めましょう!」

「とも……だち」

 

 

 

……俺には、一生縁のない単語だと思ってた。

 

でも、キリノさん。こうして貴女と会って、生きたいと願えて……何処かで、『友達』という存在が、俺にも出来るんじゃないかと、そう思っていた。

 

 

 

 

“ギュゥゥッ!!”

 

 

 

「はわぁ!?」

「ありがとう、キリノさん!俺と友達になってくれて……俺は、とても嬉しい…!」

 

 

 

キリノさんは、一瞬驚いた顔を見せるが、直ぐに素敵な笑みと優しい瞳で俺に話す。

 

 

 

「……ふふ、はい。私も嬉しいですよ!やっと、スタートラインに立てました」

「どうやら、話は落ち着いたみたいだね」

 

 

 

キリノさんがそう言うと、先生が此方に話しかけてくる。

 

 

 

「────レンノスケ、君に聞きたい事が二つ、そして提案が一つある」

「……聞きたい事に、提案?」

 

 

 

先生とキリノさんが、なんか神妙な顔つきになった。

俺に聞きたい事と、提案?なんだろうか?気になるぞ。

 

 

 

「……まず、聞きたい事から言うね────レンノスケ、君は……【学校】に行ってみたいとか、思った事はない?」

「学校?」

 

 

 

余りにも唐突だった。しかし、答えない訳にもいかない。

 

学校……考えた事、なかったな。

 

 

でも……もし、行けるなら……。

 

 

 

 

 

「俺、行ってみたい……学校」

「ふふ、そうだよね~、そりゃあ行ってみたい筈だよ」

「で、でも……行けるのか?俺みたいな、学歴なんてない、奴でも……」

「行けるさ」

 

 

 

俺の不安を消すかのような、強い口調で肯定する先生。

 

 

 

「ねえ、レンノスケ……レンノスケは、【夢】とかある?」

「ゆ、ゆめ?」

「うん、自分がやってみたい事とか、将来こんな事してみたいとか……【将来なりたい自分】とか、何でもいい。何か、あったりするかい?」

「将来、俺の……」

 

 

 

ここにきて、一番難しいのがきた。

 

それこそ、本当に考えた事なかった。将来何て、生きたいと、死にたくないって、思うしか出来なかったから。

ど、どうしよう……何も、思いつかない…。

 

 

 

 

────そんな時だ、キリノさんの事が、俺の脳を支配した。

 

 

 

「なぁ、キリノさん」

「どうしましたか?」

「その、キリノさんは……えっと、その……俺が、生徒とか、そんな人達を守る様な、そんな存在になりたいって言ったら、可笑しい、かな……?」

 

 

 

今まで、暴力の世界で生きて来た。

強くならなきゃ、生きていけない世界で、生きて来た。

 

 

 

 

この手を、何回も血で汚して来た。

 

 

 

 

そんな俺が、キリノさんの様に、素敵な【警察】の人みたいに、なれるのか?

 

 

 

 

“キュゥッ!”

 

 

 

 

キリノさんが、俺の手を握る強度を増した。

 

そして、キリノさんは素敵で可愛らしい笑みで、告げる。

 

 

 

 

「何も、可笑しくなんかありません────とても素敵な【夢】じゃないですか!」

「……っ!そ、そう、かな。俺も、警察に、なりたいな……」

「うん、とっても……良い。絶対に犯罪も減るよ、マジで」

「そ、そうかな……?」

 

 

 

二人が笑って、俺のやってみたい事を肯定してくれる。

それが、俺は堪らないほど、嬉しい。

 

 

 

「そして最後────レンノスケ、君さえ良ければ、なんだけどさ」

 

 

 

そうして、先生が俺に向けて、告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────シャーレに来ない?レンノスケ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







早く戦闘シーン書きたいですね。此処は、ちょっと違うんですよね~。



★因みにですが、時系列について言わなくてはいけませんね。



一応『エデン条約』の〈調印式〉、つまり3章が終わって、少し経った時期とします。

個人的に、アリウス・アリス関連は城ヶ崎と絡ませたいな~って思っていて、大本命はカルバノグとゲマトリア関連、個人ストーリーに留めたいと考えています。


これから、展開がどんどん早くなると思います。
いつも見て頂き、本当にありがとう御座います!


誤字脱字、コメント評価、心待ちにしています。













アンケートです。どうか、御投票を宜しくお願い致します。

  • レンノスケ、配信者に成る。
  • 16歳組によるバレーボール同盟
  • キリノと二人旅
  • 提示版(レンノスケだけど、質問ある?)
  • レンノスケの過去編
  • 本編:カルバノグの兎編
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