怪物は、真面目な君に恋をした。   作:カブトムシの相棒

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あらすじ。

1:レンノスケ、黒服の所為でショタになる。身体の傷跡は残り、記憶は5才。

2:現場はヴァルキューレ内。酷い有様をカンナ、コノカ達が見る。

3:何とかキリノが落ち着かせ、眠らせる。

4:幼くなったレンノスケがとんでもない可愛さを噴出させ、キリノとカンナとコノカが狂う。(Now)



遅れてしまい大変申し訳御座いません。


感想と誤字報告、いつも大変助かっています。


では、本編です。


外伝:レンノスケ、ショタになる。作戦編。

 

 

▼────ヴァルキューレ警察学校、休憩室。

 

 

 

 

 

 

「────あの…」

「ん?どうした、レンノスケ君」

「えと……ぼく、カンナおねえちゃんと、コノカおねえちゃんと、キリノおねぇひゃん……に、あっ…あやまらなきゃ……いけないのが、あって」

「え?あ、謝らなきゃいけないこと…私達に?」

 

 

 

カンナの存在しない記憶が収まった後、レンノスケが急にそう発言する。

謝らなきゃいけない……3人は全く見当が付かない。一体何の事だ?

 

そう思っていると、レンノスケが申し訳なさそうに告げる。

 

 

 

「さっき、ぼくのからだ、みせちゃって……いっぱい、きずがあるからっ、きもちわるいから……いやなの、みせちゃったから、ごめんなさい…」

「────は?」

「────あ?」

「────なに?」

 

 

 

その発言は、キリノ達の【琴線】を触れる所か破壊するには、十分過ぎる、言葉だった。

 

レンノスケは今、何と言った?

 

気持ち悪い?レンノスケの、身体が…?

 

しかも、それを憂いて、謝った……?

 

────流石に、許せん。

 

 

 

「レンノスケ君」

「っ、あの、ごめんなさい…ぼく、いつのまにか、こんあにきずいっぱいで………わっ!」

「レンノスケ、そこまでだ」

「そんな悲しい事、言わないでくれ」

 

 

 

キリノが前に立ち、力強く抱きしめる。

コノカが後ろに回り、そっと優しく頭を撫でる。

カンナが口に人差し指を立てて、それ以上の卑下を許さない。

 

 

 

「私達は君の身体を嫌だなんて一度も思ってない。どうか気にしないでくれ、レンノスケ君」

「そうだぞレンノスケ~。急に変なこと言って、ったくよぉー……」

「あぅぁうあうっ……い、いやじゃ、ないの?」

「はい、全く嫌じゃありません。身体に傷が有ろうが無かろうが、何であれ、レンノスケ君はレンノスケ君ですので!ほら、ギュ~ってしましょうね~。ぎゅぅぅぅ~」

「わぷっ!む、うっ……ありがと、ごじゃ、ご…ございま、す…っ!」

 

 

 

キリノがギュっと抱きしめ、レンノスケが御礼を言う。

屈託のない、幼い子特有の笑顔。あぁ、この笑顔が見たかった。

 

急に自分を卑下しだすモノだから、驚いてしまった。

元来、レンノスケは時折自分を下に見ている節があったが、どうやらソレはこの時かららしい。

 

妙な所で彼の面影を見た。キリノはレンノスケらしいと思うが、治してほしい癖がこんな所で出てしまったので、少し複雑だった。

 

 

 

「んぅ……キリノおねぇひゃ……あったかいっ」

「ん?そうですか?ふふっ……貴方もとっても温かいですよ……もう少し、強く抱きしめても大丈夫ですか?」

「うんっ!だいじょうぶ、です!」

「よかったです!では遠慮なく……ぎゅぅぅぅぅ!」

「ぎゅぅぅぅ…!にへへ!はじめて…だきしめられたっ!うれ、しい…っ!」

 

 

 

その言葉の裏には、どんな背景があるのだろう。

そう思えば思う程、胸が張り裂けられそうになる。

 

だけど、過去は今は良い。今はこの時を大事にしよう。

レンノスケにだって話したくない事があるだろう。無理に話させる必要はない。

 

だから……今は、ただ────

 

 

 

「これから、ずっと抱きしめます。美味しいご飯も、温かいお風呂も、たっくさん経験させます!」

「!?……ほ…んと?」

「はいっ!私と一緒に、色んな事をしましょう!約束、ですよ!」

「やくそく……?」

「ウソは付かない、今はそう言う事って思えば大丈夫です!」

「うそ……うん!ぼく、うそ、きらい!だから…やくそく!まもる!」

「わー!凄く頼もしいですね!流石、レンノスケ君です!」

「にひ、えへへ…!」

”「(かわいい……)」”

 

 

 

ちょっと照れ臭そうにするレンノスケ。

 

カンナはキリノを突き飛ばして抱きしめたい欲を抑える。

コノカは自分好みに調教させたい偏愛を抑える。

キリノは限界化する気持ちを何とか抑える。

 

 

 

「にへへ……こんな、ぼくでも…いきてて、だいじょうぶなんだっ…うれしい!」

 

 

 

────ピクッ

 

 

 

その一言は、だめだった。

 

 

 

「……カンナ局長」

「あぁ、分かっている。やるからには徹底的にやるぞ」

「あたしは背中を全面的に。二人は?」

「私は頭とほっぺたを」

「本官は全力で抱きしめ、そのまま”愛♡”をずっと伝え続けます」

「?……あ、あの…?」

 

 

 

レンノスケがボソッと、地雷発言を呟く。

 

だがしかし、それは3人に聞こえてしまった。

無論それを許す訳もなく、なにやら凄まじい事が起こりそうな予感。

 

レンノスケはまだよく分かっていなさそうだ。

 

 

 

「レンノスケ君」

「っ!うん!」

「貴方は少し、自分をかなり下に見てしまう癖があるようです」

「え…した…って?」

「いえ、あまり深く考えなくとも大丈夫です。今から────全力で、貴方を肯定するので♡」

「覚悟しろよ~!」

「レンノスケ君、無理に動かぬ事をオススメする」

「あ、あの、えっと……わわっ!」

 

 

 

そうして、レンノスケはもみくちゃにされた。

 

眼をギラギラさせた、弟(母性本能(???))に飢えた獣に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────あうぅ……っ♡♡♡」

「ふぅぅ、堪能堪能!分からせ完了っすね!」

「造作もないな」

「レンノスケ君、もう自分の事をそんな風に言っちゃダメですよ?分かり、ましたね?」

「あいっ……っ……ごべんなひゃい…」

「ふふふふっ♡……可愛い♡」

 

 

 

レンノスケ少年の脳が蕩けに蕩け、ぐちゃぐちゃにされ早数分が経った。

全身を隈なく撫でられて、全肯定の言葉を囁かれ、レンノスケは今迄の苦労を超える幸せを一気に注入された。

 

レンノスケはまだピクピクして、カンナに抱っこされている。

 

 

 

「良い子だ……ん?ふふっ、眠くなってしまったかな?」

「んぅ……」

 

 

 

必然的にカンナの豊満な胸を押し付けている形だが、まだ性に疎いレンノスケは何か柔らかいやつと認定。ただ、本能が求める、足り得なかった母性を求めてか。

 

 

 

「……ごめん、なはい……あった…かくて…」

「よしよし、良いんだ。私の胸の中で眠ると良い……良い子良い子」

「んっ……んぅ…………」

 

 

 

そうして数秒、レンノスケが眠りにつく。

優しく語り掛け、カンナ自身が出来る限りの抱擁を。

 

さすれば、幼きレンノスケの心も落ち着いて。

すぅすぅ…と、鼻息が聞こえる。その姿が、本当に可愛くって。

 

 

 

「……すぅぅぅぅぅぅぅ」

「姉御???」

「カンナ局長??は?(全ギレ)」

「じょ、冗談だ……ただ、やはり可愛くってな」

「いや、まぁ、そうっすけど……吸うて」

「……しかもお腹吸ってませんでした?許しませんよ?」

「す……すまなかった」

「(あのキリノが姉御を叱りつけてる……激レアだろこんなん)」

 

 

 

堪らず吸ってしまったカンナ。幸いレンノスケは深い眠りについているからか、起きる気配は無かった。

 

レンノスケの目元には若干の隈がある。眠れない日が続いた、昔の名残だろう。

 

 

 

 

「少し、横にさせよう。先程は寂しくさせてしまったから、私達も休憩室で話し合うぞ」

「合点承知っす」

「はい、分かりました」

 

 

 

休憩室のベットにレンノスケを寝かせる。

 

布団を被せ、カンナ達はそのまま隅の方で話す。

 

それは……レンノスケの事だ。やはり看過できないのが多くある。

 

 

 

「………可哀想だな。この様子、親の顔も知らないだろう」

「3歳からブラックマーケットで生活、それを13年間……エグ過ぎる。この子じゃなければもう死んでますね」

「本当に酷い…………でも、その事を深追いするのは、やっぱり……」

「あぁ、火傷じゃ済まなくなる。元よりレンノスケは私達に昔の件を話したがらなかった」

「はい……彼は、自分の過去を────本官にも話してくれません」

 

 

 

これは、少し前の事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『────ブラックマーケットでの事は、最初の取調べで出来る限り話した。もう、語る事もないだろう』

『そう、ですね……』

『……上層部が俺の昔事を知りたいんだろう?まぁ、上層部が俺の情報を得て、使い勝手が更に良く成れば各地点で良い様に出来るからな……キリノ、悪いが例え大好きな貴方でも言えんモンがある。余り詮索はするなよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────あのレンノスケが本官にも言わなかった事です……きっと本官でも、理解出来ないナニかを彼は抱えています。でも…っ」

「……分かっていると思うが、レンノスケは決してお前が受け止めきれない何て、思ってはいないはずだ。きっと、自分の過去に清算が付けきれていないから言えないんだ」

「それにその時は『防衛室長』のキツネが指令した事だろ。まぁ深く受け止めんな、待ってやれ」

「はいっ……すみません、取り乱しました」

 

 

 

レンノスケは自分を語らない。語りたがらない。

 

それは分かっている。昔、彼が受けた所業は決して人一人が耐えれる様な生易しいモノじゃない事は。

でも、受け止めたい。微力でも支えに成りたい……キリノの、細やかな願いだった。

 

 

 

「振出しに戻るが……キリノ、レンノスケが起きたら、お前が要になる」

「っ!……はい」

「盤石は固めた方が良い。コノカ副局長、お前は二人の所在をキリノの自宅で良いと思うか?」

「あたしが言を投げるって感じで良いんなら……100止めた方が良いっす。情報の漏洩は徹しても、いつか綻びが生まれます。これはもうどうしようもないと考えて……最悪、キリノ諸共、各敵対組織が動く。こう考えても良い訳ですね」

「元よりレンノスケを恨む人間は多いが、今の状態がバレたら最悪だ。私もそう思う……これは誰が彼を護り、命を張ろうとも、1人じゃ絶対に無理だ」

「それは……カンナ局長や、ヒナさんの様な方にもって事ですか……?」

「そうだ。これは絶対だ」

 

 

 

そう、漏洩を防ごうも必ず綻びは生まれる。

彼が居ない空白、それに気づくのは知性を持った悪。そこから負の連鎖で辿り着くのは……様々な要因が重なって産まれた幼児化と云う弱点。

 

其処を突くのに全存在を懸ける。彼が破壊、殲滅して来た組織は数え切れない。恨みを超えた怨嗟が彼に牙を向く。

 

 

 

「そしてもっと最悪なのが……レンノスケの顔にある、彼特有とも云える裂傷痕と火傷痕。加えて、彼そっくりの容姿も相まって、正体がバレるのは高確率という訳だ」

「厄介すぎるっすね……どう対応するのが正解なのか」

「………シャーレ」

 

 

 

要点を抑えて、手詰まりだったこの状況下。

 

小さく呟いたのは……キリノだ。

 

 

 

「今から来る先生に、お願いをする案件では……ないでしょうか?」

「なに?……いや、そうか。それしか方法が無いのか」

「ッ!成程……いやしかし、姉御にキリノ。それでもじゃないっすか?幾ら先生でも、危険が伴っちまうっす。それこそ最悪を考えなきゃ駄目じゃないっすか」

「だが……一番安全とも云える聖域だ。それにシャーレに喧嘩を売るバカは早々いやせん。これは可能性の話だからな」

「────難しい話かもしれませんが、もう一つだけ……意見を唱えても宜しいでしょうか?」

 

 

 

キリノが緊張した様子で、カンナに発語する。

今は藁にも縋りたい思い。様々な視点での意見が功を為す。

 

 

 

「あぁ、言ってくれ」

「その……私達だけでは厳しい、悔しいですがこれはそう捉える他ないと判断しました……なので────協力を要請しませんか?」

「協力?」

「……まさか、ゲヘナやトリニティの奴等にか?」

 

 

 

コノカがそう告げると、キリノが頷く。

それは青天の霹靂。だが、薄っすらと誰もが思った提案だった。

 

しかし……シャーレが絡むと、悪くない話でもあった。

 

 

 

「盤石を固めて護衛に務めるって話なら、シャーレと各学園に事情を説明して協力を仰ぐ……悪くない話だ」

「な、ならっ!」

「だが、同時にリスクが大きい。お前が言うのは、つまり三大校の上層部に『レンノスケが幼児化して大変、治るまで共に護衛の協力を頼みたい』……と言うようなもんだ。それは余りにも危機感が欠如している。ゲヘナでは『羽沼マコト』議長、トリニティでは『桐藤ナギサ』に『百合園セイア』、ミレニアムでは……今は『早瀬ユウカ』か。その大物達にそんな事を申すのか?」

「聞けば聞く程ヤバいな。それこそ情報の漏洩が怖い上、政治も絡む。幼児化したとはいえ、その護衛をするのが『城ヶ崎レンノスケ』ってこと事態、後々の展開が未知数ってことっすね」

「っ……」

 

 

 

何事も容易ではない。

仮に三大校が協力し、彼が元に戻り、万事解決できたとて……その後の要求だ。

 

彼は既に【アリウス】や『聖園ミカ』、その他の件でかなり融通が利いている。これ以上は中々に厳しい中での、これだ。

 

確証はないが、何を要求するのか不明……あの城ヶ崎レンノスケに、それは危険すぎる。

 

 

 

「ただ、一人だけ、最善の人選が居る」

「っっ!!ほ、本当ですか!?」

「起きちまうぞキリノ………んで、姉御。それ人は?」

 

 

 

突如、カンナがそう告げる。

 

あのカンナがもしかしたら…と言わせる人物。正直誰か予想が出来ない。

 

数秒の間、カンナが……衝撃の人物を挙げる。

 

 

 

「────ミレニアムの『美甘ネル』さんなら、アリかもしれない」

「み…美甘ネル!?」

「ネルさんが……ですか?」

 

 

 

それは何と、ミレニアム最強のエージェント……C&C所属の『美甘ネル』だった。

一体また、どうしてその人を……カンナが続ける。

 

 

 

「各学園の組織上、上に立つ者は間違いなく更なる上に報告する。ゲヘナやトリニティだと、ヒナさんがマコトさんに。トリニティならツルギさんがナギサさんやセイアさんに。この2校は正直キナ臭い上に、どちらかに頼めば必ず牽制が生まれる……だが」

「────ミレニアムは中立。その上、件の『調月リオ』の暴挙にレンノスケは躍動!デカい恩を売っているっすね!」

「っ!!」

「ミレニアムの今の代表であるユウカさんは人格者で通っている。秘密裏に会合して訳を話せばきっと協力してくれると予想する……確証はないが、コレしかもうないな」

 

 

 

ミレニアムの騒動。それにはレンノスケが絡んでいた。

あの日、ゲーム開発部と遊んでいたキリノとレンノスケは事件に巻き込まれてしまった。

 

キリノとアイラが攫われ、そのままズブズブとミレニアムの問題に沈み、かくして……レンノスケの大暴れによって最後は何とか収まった。

 

そういった背景がある以上、ミレニアムには絶対的な恩と責任がある。

 

 

 

「そこで先生にも協力を仰ぎ、先ずはミレニアムにそう進言して対応……方針はこれで良いだろうか?」

 

 

 

この件、かなり複雑だ。

流石のカンナも同意を求めなければ判断が難しい……責任は持つが、これで良いのかどうか、判断が緩む。

 

 

 

「大丈夫っすよ!あたしも副局長、レンノスケの上司で姉御の右腕。共に重荷を背負うっすよ!」

「本官も、それで決定で大丈夫だと思います!きっと、きっと上手くいきます!」

「……そうだな。そう言って貰えると、私も少し楽になる」

 

 

 

方針は固まった。一旦はゲヘナとトリニティは視野に入れない。協力を要請するのは先ずミレニアム。

ユウカ、ネル、その他の生徒達も比較的温厚だ。無駄なトラブルも起きないと考えた。

 

 

 

「(……一歩だけ進展した。残る問題はミレニアム側の意見と、レンノスケの幼児化の解明と元に戻す何か………ふぅ……如何せん、更なる修羅場は覚悟しなければいけないな)」

 

 

 

そうカンナは一人、思う。

 

方針はやっと固まっても、まだまだやるべき事が多い。先ずは目先の問題の解決だ。

 

 

 

────だから、此処から……大詰めだ。

 

 

 

 

次回

 

先生とネルとユウカと。




やっと、これから他生徒と絡みが始まりマラソン。

あともう少しですが、お付き合いくださいませ。


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  • レンノスケ、配信者に成る。
  • 16歳組によるバレーボール同盟
  • キリノと二人旅
  • 提示版(レンノスケだけど、質問ある?)
  • レンノスケの過去編
  • 本編:カルバノグの兎編
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