怪物は、真面目な君に恋をした。   作:カブトムシの相棒

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『此処に掛かれて居たレンノスケの設定は、訂正したのを8話に書いてあります』






では、本編です。





中務キリノ、ブちぎれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

キリノside

 

 

 

 

 

 

 

正直、こんな事になるなんて……思っていませんでした。

 

 

 

 

城ヶ崎レンノスケさん。

 

 

 

 

裏社会を含めたキヴォトス全土でその名を轟かせる【存在そのモノ】がとんでもない人。

彼の情報は極端に少なく、体躯が大きい男性でハンドガンを使用する事……外見は、それだけでした。

 

 

 

 

裏社会最悪の【怪物】────彼のその出鱈目な戦闘力、その容赦のない人間としての異常性からきた畏怖を込めた異名。

 

 

 

 

……今思えば、彼の見た目と持っていた血濡れのハンドガン……よく見たら一致してましたね。

 

 

 

 

彼に対する第一印象は、正直怖かったです。

 

キヴォトスでも中々見ないその身体の大きさに、スーツ越しからでも分かるその筋肉。

その広い背中から発せられる、足が竦む程の恐ろしい圧力。

 

そんな人が進む先にあるのは、日々お世話になっている大人の方、先生が居る【シャーレ】のビル。

 

きっと、先生に対して何かよからぬ事を企んでいるに違いない。

……あの時の私は、自分の直感を信じて彼を呼び止めました。思い込みが激しい自分を、少しだけ褒める瞬間でした。

 

 

 

 

 

ああ、今思い出しても……私があんな形で呼び止めた事を除けば、レンノスケさんと会えて良かったと思います。

 

 

 

 

 

……変な意味じゃないですけど。

 

 

 

 

 

そこからは転々拍子で、中々に目まぐるしい展開になりましたね。

 

 

貴方が、ドーナツ1つで、心配する程の涙を流して泣いた事。

貴方が、実は城ヶ崎レンノスケだった事。

貴方が、何故か私の言う事にしか従わない事。

貴方が、いきなり私に……か、可愛いとか、言い出した事。

 

 

……貴方が、胸が苦しくなる程に、辛い経験をしていた事。

 

……死にたいと、言い出した事。

 

 

あの時、私は……何も言えなかった事を、ずっと後悔するところでした。

貴方の様な、弱り切った人間を助けるのが、私の仕事なのに。

 

 

でも貴方は、めげませんでした。もう一度立ち上がって、生に希望を見出しました。

 

 

 

 

 

貴方が言うには………その理由が………わ、私、みたいですが…。

 

 

 

 

 

『キリノさんは、可愛いな』

『キリノさん、なんでキリノさんには、可愛いと言っては、いけないんだ?』

『す、すまない……でも、本心で……あ』

『カツ丼は、こんなに……美味しいんだな』

『キリノさんは、優しくて、可愛くて、とても素敵な人だ』

『ありがとう、キリノさん。俺に、もう一度────生きる希望を、与えてくれて』

 

 

 

 

……本当に、何処からなのでしょうね。

 

 

 

そういう事に疎い私でも、流石に分かります……彼が、私の事を好いている事くらい……。

 

 

こんな、思った事をストレートに告げてくる人、普通いませんよ……全く。

 

 

本来なら、もっとちゃんと注意して、異性に軽くこんな事は言ってはいけないと、彼に言わなきゃけないのに。

……いや、最初に言ったんでしたね。でも……彼は────貴方と云う人は、どうしても伝えたいんでしょうね。

 

 

 

『で、ですから!無暗に、そ、そういう事を言わないで下さい!』

『でも……ほんとうに、本心で……俺……すまない、キリノさん……反省する……』

 

 

 

叱ればそうやって、本心で言っているーとか、悲しそうな子犬の表情をして、色々言い訳言って……本当に、貴方と云う人は…っ。

 

 

 

 

 

 

『俺は、キリノさん────本気で、貴方と幸せになりたいと、望んでいる』

 

 

 

 

 

 

……そうやって、両の手一杯に私に手を握って、言いたい事を言って。

貴方の行動に、周囲の目を気にして慌てる私に……貴方と云う人は、澄ました顔で……告白してきて……ちゃんと意味を分かって言っているんですか?もう……。

 

 

離れようと、逃げようとする私を……その大きい手で、包み込む様に力を込めて、貴方は今も私を絶対に離そうとしません。

 

 

握る力は強くて、でも私が痛くならない程度の力で握って来ましたね、貴方と云う人は。

……そんなに強く握らなくても、私は何処にもいきませんよ。

 

 

その時、私は……初めて触る男の人の手に────貴方に、不覚にもドキドキしてしまったんですよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

…………何度も、彼から受ける視線を外そうとしたんです。

 

 

 

 

 

 

 

彼の瞳は、光を宿していません。

深海の様に暗くて、生気を感じる事が出来ません。

……彼がどんなに喜んでも、どんなに私に……へ、変な事を言っても……その瞳は輝く事をしません。

 

 

 

でも────その瞳には、確かな強さがあります。

 

 

 

だって、本官を……私を見つめる目が、こんなに熱くて……視線を逸らすのを許してくれなくて………しかも、また────。

 

 

 

 

「キリノさん、どうか俺と………幸せになって、くれないか?」

 

 

 

また……そんな事を言ってきます。

その瞳に光がなくとも、貴方のその強さに……私は鼓動を早くさせてしまいます。

 

 

こんな事を直接言われて、意識するなと云う方が……無理な話ですよ……。

 

 

 

 

……だけど、貴方には思う所があります────そうですよっ!もう!何なんですか!

 

 

 

 

「キリノさん」

 

 

 

 

貴方が私を好いている事は、大いに分かりました!

 

口を開けば!可愛いだの、素敵だの優しいだの……っ!

それを本心で言っているのが……もう!貴方と云う人は……っ!本当に!

 

貴方が生い立ちもあって、そういう知識を持っていないから、まだ良いだけで……本来はセクハラなんですからね!?

 

 

「……キリノさん?」

 

 

そういうのは………ちゃんと順序を踏んでから……────あ、あれ?

 

 

 

……なんか、おかしいです。だ、だって、いま私が考えてる事って……さっきレンノスケさんと順序を踏んでって、言っているのって……。

 

 

 

 

 

────────私、もう……レンノスケさんと……恋人の関係になりたいと、考えて……?

 

 

 

 

 

「キリノさん、キリノさん」

「────ふぁあ!!?」

 

 

 

不意に、声が聞こえました。

驚いて目を向ければ、心配そうに見つめるレンノスケさんが視線に入ります。

 

 

 

「大丈夫か?キリノさん。何度も呼んで、応答がなかったから心配したぞ」

「……あ、そうだったの……ですか?」

「ああ、そうだ。その……本当に、大丈夫か?」

 

 

 

彼の応答に対応できない程、考え込み過ぎたみたいです。

 

あわあわと、酷く心配している様子で本官を見てくるレンノスケさんが確認されて、申し訳ない気持ちになります。

 

 

 

「キリノ、無理はいけないよ?ごめんね、やっぱりもう休んでも……」

「い、いえ!!大丈夫です!その、す、すみません……少し考え事をしてて、本当に全然大丈夫ですから!」

「そ、そうか?なら、良いんだ。気にしないでくれ、キリノさん。考え事してるキリノさんも、とっても可愛いくて素敵で────」

「……レンノスケさん???」

「あ……で、でも、これは本心で……」

「んんっ!……ふぅ、レンノスケさん……さっき、言いましたよね?」頬をムニー

「しゅ……しゅまない。キリノさん……はんしぇ、する」

「はぁ、もう……皆さんの前で無ければ、い、言っても結構ですので」

「────ッ!キリノさん、本当か?」

「に、二回も聞かないで下さい!もう……」

「君らホントに出会って2時間なのかい?」

 

 

 

そんなこんなで、何とか丸く収まりました。本官の完全な不手際ではありますが……。

先生が何か仰ったようですが……レンノスケさんのせいで良く聞こえませんでした。

 

 

ここで本官は、ある事を思い出します。

 

 

 

「……あ、そうだ!シャーレの件は!?レンノスケさんはどうなさるのですか?」

「キリノ……いやぁ、それが……」

「シャーレに来ないか、先生から、そう提案された奴か?」

「はい!それです!」

「色々聞いたけど……凄い所なんだなーとは、思った……けど────断った」

「ですよね!シャーレの先生の贔屓で居住区に住む事が出来れば、貴方はもう────え?」

 

 

 

 

────はい?

 

 

 

 

彼は今、なんて言いました?

本官の、耳が可笑しくなったのでしょうか?

 

今、レンノスケさんの口から【断った】という単語が出た様な気がしたのですが……。

 

 

 

「あの、すみません……今、なんと?」

「シャーレに来ないか、先生から、そう提案された奴か?」

「そ、それは知ってますよ!聞きましたし!じゃなくて、さっき断ったって言いませんでしたか!?」

「ああ、それか……断った」

 

 

 

本官の聞き間違いじゃ、ありませんでした。

 

 

 

「は、はいぃ!?なんでですか!?」

「……レンノスケ、私からも理由を聞いても良いかい?」

 

 

 

本官と先生が、問い詰める様に視線をレンノスケさんに向けます。

それは勿論、納得がいかないからです。

 

彼には、断る理由がありません。

 

だって、以前よりも良い生活が出来ます。ご飯も一杯食べれます。服だって新しく着れて、お風呂だって毎日入れて……もしかしたら、学校だって行ける様になるかもしれません。

 

それが彼にとって、非常に特別な事と云うのは重々承知しています。ですが、彼は、レンノスケさんはそれを望んだではないですか!

 

漸く普通の生活が出来るのに、何故断るのですか?

 

 

 

「……連保捜査部シャーレ、先生から、ほとんどの事を聞いた。凄い場所だ、俺から見たら、夢の様な場所。ご飯も、寝る場所も、勉強だって出来る……そんな場所に、来ないかって言われたら、普通だったら、行くと即答するだろうな」

 

 

 

でも…と、レンノスケさんは付け加えて続けます。

 

 

 

「でも、そこには……他の生徒さんも、来るんだろう?」

「……レンノスケ、君……もしかして────」

 

 

 

彼の発言に、先生は何かに感ずいたようです。

シャーレなんですから、そんなの当たり前で────っ!ま、まさか……。

 

 

 

「……それはきっと、良くない気がする……貴方達からしたら、俺は……普通じゃ、ないんだろう?」

「……レンノスケ」

「馬鹿な俺でも、流石に気付く。今日、初めてブラックマーケットに出た時、色々な生徒から恐怖に満ちた視線を、何度も頂いた。それだけなら、いつもの事だからまだ良いんだ……でも、キリノさんと会って、少し話して……そのあと、直ぐにあいつ等が来た時、全員が俺に敵意やら、警戒心を強く向けてきただろう?この取調室だって、キリノさんの言う事には従いたいから来たけど……謂わば、此処は何か良くない事をした人が、来る場所なんだろ?」

 

 

 

レンノスケさんは俯いて、抑揚のない声質で発語していきます。

 

 

 

「……俺は、ブラックマーケットで、色んな事をしてきた。この手を、赤色に染めて来た────生き残る為、だがそれは、只の言い訳だ」

 

 

 

彼は表情を動かすことはなく、しかし何処か……辛そうな顔持ちで続けます。

 

 

 

「キリノさん、先生……さっき、俺に夢とか、将来なりたい自分とか……それは、二人が居なければ考えた事も無かった。ありがとう……俺に、希望を見出してくれて。本当に嬉しかったし、楽しかった。これは、本当なんだ……」

「────ッ!」

「……さっき、シャーレの事を聞いていた時、少し冷静になった。俺が居たら先生の生徒さんは、きっと怖がると思うし、俺が居ると嫌だと思う。先生にも、キリノさんにも、もうこれ以上……俺の事で迷惑はかけたくないんだ」

「レンノスケ……」

「……じゃあ、先生の提案を断ったとして、レンノスケさんはどうやって生きていくつもり何ですか」

「分からない。まず、此処に居るあいつ等が、俺を外に出してくれるかも分らんが……まぁ、あいつ等如き、ぶっちゃけ何でもないが……そうだな、普通に此処を出れたのなら、またブラックマーケットに戻ろうかと、思っている」

 

 

 

そう発言したレンノスケさんの言葉に、明らかに怒気を露にしている4人方。

気持はわかります……本官も、正直イライラしています。(多分違う意味なのでしょうが)

 

 

 

そして在ろう事か、レンノスケさんはまたブラックマーケットに戻ると、言っています。

 

 

そんなの、そんなのッ………認められる筈がないでしょう!

 

 

 

「キリノさんの様な素敵な【警察】になるという夢は、絶対に叶えたいと思ってる。だからまずは、ブラックマーケットで何とか優しい感じの依頼をくれる人を探して、お金が溜まったらキリノさんにドーナツとカツ丼のお礼をして、そこから────」

「レンノスケさん」

「ん?どうした?キリノ……さ……ひ、ひえぇ……」

 

 

 

……さっきから、何やら言っていますが……ああ、もうこの人には、私から〈直接〉言うしか無いようですね!

 

 

 

「キ、キリノさん……ど、どうしたんだ?その、顔が、怖い……ぞ?」

「先生……ちょっと、声を荒げてしまうかもしれませんが、宜しいでしょうか…?」ピキピキ

「はぁ、まさかここまでなんて……うん、もう……存分に言ってあげて。監視室に居る皆も、手を出さないでね」

「え?え?な、なんだ?何が起ころうとして────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんのっっ────レンノスケさんのっっ!お馬鹿ーーーー!!」

「ぬっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、だめです。やはり感情が抑えられそうにありません。

ほんと、失格です。ヴァルキューレの生徒として、警察として恥じるべき行為です。

そんな事は分かっています……でも。

 

でも、これ以上は聞いていられません!

 

この人が、なんでシャーレに行かないか、とりあえず最後までその理由を聞いてやりましたが……もう、限界です!!

 

 

 

「レンノスケさん!」

「キ、キリにょさん!?ほ、ほっへが、ほっへが……」にょーん

 

 

動揺した隙を突いて、レンノスケさんの手から離れそのままほっぺたを摘まんでやります!

 

 

「このっ!貴方と云う人はッッ!!適当な事ばっか言ってーっ!」

「へ!?い、いやっ、結構、真面目に考えて……」

「どこが真面目ですかっ!!漸く普通の生活が出来るというのにっ、私達に対して迷惑とか!申し訳ないって気持ちが前のめりして、貴方はまた……またっ!あんな場所に戻ろうとしてるのですか!?」

「う、うん……だって、俺は此処でも怖い人みたいだし、これ以上此処に居ても、キリノさんと先生に迷惑しか掛からない気がして……」

「そんなの、一杯掛けたらいいんですよ!まず、誰も迷惑なんて思いません!!」

「で、でも……」

「でもじゃないですッッ!!確かに、貴方は此処でも怖がられてました。ですが、貴方が今まで行ってきたことは、只の賞金稼ぎです!多少(過剰)やり過ぎな場面はありますが、別に罪は犯していません!!」

「ぬぅぅ……」

 

 

 

そうです、彼はやり過ぎなだけで罪を犯したとか……此処の認識ではそういう事はしていないんです。

 

もしかしたら、何処かの場面で罪を犯しているのかもしれません。いえ、きっと止むを得ず犯してしまったのでしょうね。

 

ですが、先程の事情聴取で彼の口から出たのは今まで依頼された時、不良集団にトラウマを生ませる程の大きな怪我を負わせ、その他の自動オートマタは何万体か破壊と発言した事。

中々のグレーゾーンですが、意識があるロボ市民や獣人、生徒さんを確かな死に追いやったとは発言しませんでした。

彼は人殺しになったとかではありません。

 

それに、信じたいんです。彼を────レンンスケさんを。

 

今まで、その手を血で汚してきたと、彼は仰いました。

 

ですがそれは……彼が生き残るために足搔いてきた結果に過ぎません。

 

 

 

「今まで、頼る人も居なくて、非道い事をたくさん受けてきたっ!たった一人で頑張ってきた貴方をっ!!そんな訳の分からない理由で、『じゃあ仕方ない』って言って、私達が頷く訳がないでしょう!?」

「……むう」

「第一!ブラックマーケットにそんな、優しい依頼を出してる人なんか居る訳が無いじゃないですか!!そんな事、貴方が一番分かっているんじゃないんですか!?」

「い、言われてみれば……で、でもぉ……」

 

 

 

 

ああ、そうですか……そっちがその気なら、此方も考えがありますよ……っ!

 

 

 

 

「────レンノスケさん!貴方がこれだけ言ってもそんな可笑しな事を口にするのならッ!私はもう────貴方と幸せになろうなんて思いません!!」

「!!!!!???!!!??!!??」←めちゃくちゃ動揺してるレンノスケ

「……WOW」

 

 

 

「それでも良いんですか!?」

「い、いいっい、い、いやだ、それは……いやだ……わ、分かった……もう、こんな事言わない!だ、だから、その……これから、迷惑かけるかも、いや、極力かけないけど……その、宜しく、頼……んでも、いいか?」

 

 

 

漸く、彼に響いたようです。

本官らしくない、荒い口調を使ってしまったかもしれません。

 

ですが、この人には……レンノスケさんには、これくらい言わないと!

 

 

 

「ふぅーー……はい、勿論です!……レンノスケさん、それで良いんです。さっきも言いましたが誰も迷惑なんて思いません」

「……うん、分かった」

「それと……すみません、声を荒げてしまって……これは、反省しなくてはですね」

「い、いや!そんな事ない!……お陰で、またキリノさんから、色々教えてもらったから……」

「……レンノスケさん。これからは、たくさん人に頼って良いんです。もう自分だけで何とかしようなんて思わないで下さい」

「……キリノさん」

 

 

いけませんね。こうやって叱ってしまうと、彼はしょぼんと分かり易く落ち込むので、つい頭を撫でてしまいます。

 

 

 

「もう、そんな事言わないで下さいね?」

「うん、もう言わない」

「分かれば良いんです!貴方は右も左も分からない方なんですから、これからは色んな方が貴方を助けてくれます。あ、本官にもたくさん頼っても良いんですよ?………まあ、本官もまだ1年生の未熟者で、先生や尾刃カンナ局長の様な、そんな頼れるほどの人間ではないのですが……あはは」

「???……え?いや?全然そんな事ないぞ?キリノさんはとても凄い方で、頼れる素敵な人だ」

「……隙を見せた私が悪かったですね、これは」

「キ、キリノさん……今、俺の事、好きって……」

「……はい?」

「嬉しいな。キリノさんから何て……ああ、俺もキリノさんの事が心の底から好────」

「せいやーーーーッッ!!!」

「むぐぅっっ、もごもご?」

 

 

 

あ、あぶなかったです!!この人がとんでもない事を言う前に口を押えて正解でしたっ!!

え!?こ、この人、今……好……あぁ、うううう~~~!!!

 

……本当に、油断も隙もないですね……この人はっ!

だからそういうのは、ちゃんと順序を踏んでからって……~~~っ!

 

はぁ、もう……彼には、また1からそういう事について説明しなくてはいけませんね……。

 

 

 

「違いますからっ!さっきお友達になったばかりですよ!もう一回言いますけど、こういうのはちゃんと順序を積んでですね────」

「むぐ、むぐむぐ、むぐっ!」(キ、キリノさんの手が、俺の口にっ!)

「あっ!そうです!!さっきの発言もそうですが、提案の事!ちゃんと反省してくださいね!!本官は、まだ怒ってるんですよ!」

「むぐ、むぐぅ……」(うん、ごめんなさい……)

「何ずっとむぐむぐ言ってるんで……────あっ!!そうでした!わ、私のせいですね!?ご、ごめんなさい!その、ずっと口を押さえてしまって……だ、大丈夫ですか?」

「────ふぅ、ああ、キリノさんの手、小さくて柔らかくて可愛くて素敵で最高だった。それに加えて、体調の様子も心配してくれるなんて、キリノさんは本当に可愛くて優しいな。素敵だ。もちろん俺は大丈夫だ、ありがとう、キリノさん」

「は……な、なに、なに言って………あ、あなた、貴方と云う人はっ!!!ちっとも反省してません!!やっぱり逮捕ですっ!!セクハラでたいほです!!このーッッ!!!」

「ぬお!?す、すまない……せ、せくはらの基準が、分からないんだ……すまない、キリノさん」

「……色々とテンポが速いね~、君たちは」

 

 

 

……なんだか、今日は怒ってばっかな気がします。

 

 

 

「おーい二人共ー、イチャイチャが過ぎるぞー」

「い、イチャイチャなんて、してません!!からかわないで下さい!先生!」

「キリノさん、いちゃいちゃって、何だ?俺とキリノさんが、いちゃいちゃ?」

「レンノスケさんはもう静かにしててください!」

「ぬうぅ、わ、分かった……」

「あはは……そ、それで、レンノスケは結局シャーレが引き取る形で良いのかな」

 

 

 

先生がレンノスケさんに優しく問いかけます。

 

 

 

「……ああ、そういう事になるな。その……今更何だが、良いのか?俺は……」

「君が誰であれ何であれ、私の大切な生徒に変わりはないよ」

「先、生……」

「キリノが大体言いたい事言ってくれたから、私からは特に何もないよ……まだ数時間しか経ってないのに、えらくお熱いね!ふたりともっ!」

「ちっ、ちがうんですぅ……だって、レンノスケさんが……あぅぅ……あと、そんな事言ったら」

「そう見えるなら、やはり嬉しいな。これからも、俺はキリノさんとこれ以上に熱くなるから、よろしくな、先生」

「ほら、こうなります……もう」

「これはごめん」

 

 

 

これからは、この人をどうにか常識人にしなくてはいけませんね。

……骨が折れそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……/////』

『かーっ!ぺっ!ぺぺっ!』

『はぁ……頭が痛い』

『……そ、そろそろ、宜しいでしょうか?』

「あ、ごめんね皆!聞いてたと思うけど、話は纏まったよ。今のやり取りを見て、皆からは何か異論とかある?」

『シャーレに城ヶ崎レンノスケを移住させる事、ですか……しかし我々としては、やはり不安です。彼が今まで起こして来た戦跡や事件は、決して看過できるものではありません……そんな存在を、シャーレの────銃弾一つが命取りである先生の元に置く事は、我々としても恐ろしいのです』

「カ、カンナ局長……で、ですが彼は!」

『分かっている、キリノ………しかしそれ以上に、城ヶ崎をこのまま放置という訳にもいきません。そのままブラックマーケットに戻られても、またいつ何を起こすか分かったもんじゃないですし……』

『まず現状として、そいつを扱えんのがお前と先生しか居ないんだよ。特にお前、確か……キリノっつたか?お前がそいつにとって最強のストッパーだ。それは分かるな?』

 

 

 

カンナ局長、そしてネルさんが私に言を発します。

 

 

 

「は、はい!その、それは……色んな意味で、よく、分かりました……」

『そ、そうだな……いや、ホントにあたしらは何を見せられてたんだよ……マジでよ』

「う、うぅぅ……」

『……いつもあれくらい実力が発揮出来れば良いんだがな』

「あぅぅ……が、頑張ります!」

 

 

 

カンナ局長から、中々痛い所を突かれてしまいました……。

 

でも、これでめげてしまう本官ではありません!

 

 

 

『中務キリノ、さっき尾刃局長が言った事だけど』

「あ、は、はい!」

『……私としても、やっぱり彼が先生の傍に居る事になるというのは、どうしても拭えない最上の不安要素なの。それは、どうか理解してほしい』

 

 

 

これは、本官も仕方ないと思います。

今まで彼が恐れられてきたのは、先程まで上げて来たその色々と凄まじい逸話や異名から来ています。

彼が頭角を現したのが大体3年前、つまり3年間以上、彼はキヴォトス全土の情報網に引っかからず、その身一つで今まで伸し上がってきた方です。

 

そんな存在が……先生の元に行くとなれば、空崎ヒナさんの思いも理解できます。

 

 

 

「はい、もちろん……理解しております」

『流石ね……聡い子ね、貴女は』

「い、いえ!そんな事はありません!!ほんとに……」

「凄いな、キリノさん」

「レンノスケ、今は静かにね」

『────キリノ、そんなお前に……皆さんを代表して頼みがある』

「……へ?頼み、ですか?」

 

 

 

……何でしょう、嫌な予感がします。

 

 

 

『……いや、やはりこれは命令だ────キリノ、少しの間……お前もシャーレに住んでこい』

「────へ?」

『先生も、それでよろしいでしょうか?』

「うん、全然いいよ」

「ちょっまっ……っ!」

 

 

 

すみません。それは理解が出来ません。

え?どういう事、ですか?ほ、わ、私が?シャーレに住む?

 

 

え?レ、レンノスケさんが住むんですよね?なんで本官まで?

 

 

 

────────っ!!?ま、まさか!!

 

 

 

『気付いた、ようだな』

「も、もし、もしかしてっ!レ、レンノスケさんの〈監視〉って事、ですか!??」

『……そういう事だ』

「いや!ま、待ってください!まず第一として、ほ、本官にはヴァルキューレ警察学校としての仕事が────」

『無論、その仕事はそのまま行ってもらう』

「────え?」

 

 

 

つまり、どういうことですか。

私が普段日課である街のパトロールに、その報告書作成の処理仕事など……です。

 

 

 

『キリノ、お前が全力で街でパトロールをしているのを、私は知っている。書類仕事もお前は優秀な部類で、(射撃を除けば)お前は成績も中々優秀だ』

「あ、ありがとうございます!ち、因みに何故今その事を……?」

『そして……城ヶ崎レンノスケ』

「……なんだ?」

『貴様が警察になりたい……それは、本当か?』

「ああ、本当だ。嘘じゃないぞ」

『……そうか、分かった────その事については、後で我々が上の人間と先生ときっちり話し合いで決めて……城ヶ崎、お前にはこれからシャーレにキリノと出向してもらう』

「ボス犬…いや、尾刃、お前……実は良い奴だったんだな」

『(イラァ……)キ、キリノ……お前にも後でちゃんと説明するが、これまでの仕事はそのまま持続してほしい。そして────城ヶ崎レンノスケを、監視兼〈教育〉してほしいんだ』

 

 

 

漸く、皆さんの言いたい事が分かりました。

 

つまり、本官はそのままレンノスケさんとシャーレに行って、本官が今までしてきた仕事はそのまま持続で、本命はレンノスケさんの監視と教育、こういう事ですね。

 

それに、よく考えればカンナ局長からのご命令!これは光栄なことです!

 

 

 

「な、中務キリノ!尾刃カンナ局長の期待に添えるよう、誠心誠意努めて参ります!」

「まさか、キリノさんも来てくれるなんて……なるほど、これが同棲というやつか」

「んなっ!?……レンノスケさん~~っ!!」

「あ、す、すまない……嬉しすぎて、思わず口から出てしまったんだ……」

『……ふぅ、いいかキリノ?飽く迄も監視だ。さっきの様に仕事中に〈異性関連〉のあれこれは無しだからな』

「へ?!あ、当たり前です!カンナ局長まで、な、何を言っているのですか!」

『さっきもだが、あんなモノ見せられたら小言の一つや二つは言いたくもなる、馬鹿者』

「な、何も言い返せない……あぅぅ……も、申し訳御座いません……」

「大丈夫だ、キリノさん。よく分からんが、一緒に頑張ろうな」

「何度も言いますけどあなたの事ですからね!?」

『……もう駄目そうなんだけど』

 

 

 

……とりあえず、皆さんがレンノスケさんに対して、もう敵意の圧をかけてはいませんでした。

彼の危険性が、少しでも収める事が出来たのなら……やはり、嬉しいですね。

 

 

 

レンノスケさん。

やっと、やっと……一歩進む事が出来ましたね。

これからですよ、貴方の────もう一つの人生は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







誤字脱字、コメント評価ホントにありがとう御座います。とても励みになります。


宜しければ……ここすき、もして頂ければ幸いです。見ると結構この辺りがウケが良いんだなと研究にもなりますし、何より俺私が喜んじゃいまちゅ ()すみませんよろしくお願いします。


早く、もっと早く、執筆出来るようになりたいです。





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