怪物は、真面目な君に恋をした。   作:カブトムシの相棒

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誤字報告感想、大変ありがとう御座います。



お疲れ様です!遅れましたね、インフルです。ごめんなさい。


ここで、設定の改変を2つほど、述べます!!




1.城ヶ崎レンノスケの懸賞金を『7000万』から『7億』にします。

2.レンノスケの『触覚』が無いと言うのを、正しくは『そう勘違いしていた』にします。精神が擦れていき、何が感覚なのか何が温度なのか何が痛みなのか、よく分からなくなってしまったとします。



大変申し訳御座いませんが、今回はこういう認識で宜しくお願いします。




────城ヶ崎レンノスケのプロフィール(2)


武器;ベレッタM92・ポケットナイフ()


;武器の説明


ハンドガンは盗んだものであり、グリップ付近には血が付着している。
その付着した血は己の血である。洗っても次にはまた血が付着する為、洗わなかった結果ハンドガンにずっと付く羽目になってしまった。

ナイフは元々以来の時に拾い、2年ほど独学でナイフの腕を憶え、しかしある事がきっかけで壊れてしまう。

ハンドガンは満足に手入れが出来ていない為、所々に錆が目立っている。

元より、レンノスケはハンドガンよりも適した武器があるのだが、ハンドガンはナイフ自由に使用できる強点があり、弾の資源もあったが為に中々その適した武器は長続きはしなかった。




趣味:△△ノと一緒に□べ□き。中務キリノ。









では、本編です。



怪物、シャーレに行く。そして知りたかった自分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────………」

「……レンノスケ、大丈夫?」

 

 

 

現在────先生とレンノスケはシャーレの居住区、その一室の部屋に居る。

 

空き室とはいっても、時折シャーレには生徒が泊まりに来る為、部屋は全体的に整っている。

 

 

その綺麗さ、その広さ……彼にとって、全てが違っていた。

 

それ故の絶句なのか、レンノスケは口を閉じて喋らなくなってしまった。

 

元より……レンンスケはキリノと別行動をとってから、明らかに口数が減っていたのだが……。

 

……よく見れば、顔も赤い。

さっきからボォ--……っと、意識此処に在らずと云った感じで、呆ける時間が極端に増えた。

 

 

今日は彼にとって全てが変わった日……先生は、様々な変動もあって彼はもしかして体調が優れないのではと、そう思い一声かけた。

 

 

 

「レンノスケ?顔が熱いけど……熱とかある?お腹空いた?」

「あ……あぁ、うん……大丈夫だ。お腹は……空いたな」

「本当に?体調とかが悪いとかじゃない?」

「いや、体調は良いんだ……只、その、ちょっと……考え事を、してた」

「考え事?」

 

 

 

レンノスケが言うには、どうやら考え事をしていた様だった。

 

少し、先生は気になった。彼は思った事を口に出すタイプの子だから、こうやって顔を赤くしてまで一体何を考えていたのか。

 

 

 

「考え事って、どんな?悩みとかだったら、私が聞くよ?」

「悩み……ああ、ある意味、悩みかもな………先生、その……言っても、いいか?」

「っ!────うん、勿論!どんどん言っていいからね!」

「ありがとう、その────キリノさんの事で、少し……」

 

 

 

やはりキリノの事かと、そう思ってはいたが……先程の彼とは打って変わって、雰囲気が何やら違う事に、先生は気付いた。

 

一体、何を彼は悩んでいたのか……ゴクリと固唾を飲み、彼の言葉を待つ────そして、告げられた。

 

 

 

「その────キリノさんの『おっぱい』……意外と大きくて、跳ね返る様な、でも柔らかくて…ぷにゅんぷにゅん、してて……その感触が、忘れられなくて……さっきから、あの感触と蕩ける様な匂いが、頭から離れないんだ」

「ぶッフォンっっ!!???」

 

 

 

思わず吹き出してしまう。顔は赤いが、その単語を真顔で言うのは中々にヤバい奴だ。

 

先生はズッコケるのを耐えて、レンノスケを叱責する用意を始める。

 

 

 

「こらこらこらこらー!!全く君はすんごい事を考えてるね!?いや、あれを経験したらそう思うのは仕方ないのかも知れないけど!」

「確かに、これは良くない事、なのかもしれない……だが、きいてくれ。キリノさんは、おっぱいだけじゃないんだ……『太もも』と『お尻も』も、キリノさんはヤバいって感じで……あと、腕も────あ、まずい、ちんち○が、いつもより熱くかたk」

「まってまってまってまって、ストップストップストーーーーップ!!!これ以上は良くないからね本当にレンノスケェ!!?……ってか、何で私にそれを言うかなぁ!?」

「キリノさんが居ない内に、言っておこうと思ってな。キリノさんに言ったら、絶対に怒られるし」

「当たり前だよ!!いやてか、私相手なら何言ってもいいとかないから!後ちん○ん発言禁止!!!……わ、わあ!本当にもっこりしてるし……うわぁデッッッ!!?」

「いや、そうなんだよ。ああ、それと………先生に聞きたい事がある。いいか?」

「いや………ま、うん、なにかな??」

「先生から頂いたこのスーツ、本当に有難いし、心の底から嬉しいんだが………サイズがキツ過ぎて、俺のちん……は、だめか…………ああ、そうだ。俺の〈相“棒”〉のポジションが変な方向に向いて、中々気持ち悪い。直していいか?」

「いいよ!!一々そんな事聞かなくていいから!!勝手に直してよ!────あ!!でもそういう事は人目に付かない場所でする事ッ!!分かった!?」

「む?そうなのか、分かった。俺に任せろ、あっち向いてやるから」

「頼むよホントに………」

 

 

 

先生を襲う、羞恥の欠片もない無知なる口撃。

 

恥ずかしげもなく、正に威風堂々とした仁王立ちで且つ無表情でそれらを告げるレンノスケに、先生はツッコミが止まらない。

 

 

しかも、レンノスケはこれを真剣に言っている事、これがまた……悩みの種である。

 

先生は大人である自分だからまだ耐える事が出来ているが、いずれ他の生徒とも交流を重ねる彼にとって、この『失言癖』はかなりマイナスの印象を受けてしまう。

 

 

 

「────ふぅ、ああここだここ、此処が、俺の落ち着くポジションだ」

「口に出さなくてよろしいっ!!」

 

 

 

振り返り、己のチンポジを直せた事にとても満足そうな雰囲気を出すレンノスケ。

 

子どものちょっとした下ネタ。先生からすれば可愛いものなのだが、レンノスケのその下ネタには無縁そうな厳つい顔立ちに、高校生とは思えない身長に筋肉質な体躯。

それもあって、中々どうして、先生は変に赤面を見せてしまう。

 

 

 

「こうなった時、中々落ち着かないし、何故か身体が熱くなる。困ったものだ、俺の相“棒”は……」

「し、仕方ないとはいえさ……その、何とか抑える事とかできない?」

「ん?ああ、出来るぞ。依頼の時とか、結構困りモンだったから、俺はコイツの対処法を知っている」

 

 

 

どうやら、レンノスケは勃○の対処法を独自で編み出していた様だ。

 

果たしてそれは一体?先生が次の言葉待つ。

 

 

 

「それは────『想像』だ」

「そ、想像……?」

「そうだ、相棒が元気な時は、大抵スケベな雑誌とかを見た時の、気持ちが昂る様な、そんな時だ」

「(そういえば、レンノスケは雑誌で色々学んだって言っていたな……う~ん、よくは無いんだけど、色々と仕方なかったからな~……)」

「だが、相棒が元気な時、流石の俺でも集中は出来ん。それで依頼を遂行しようとした事があるし、何なら結果として失敗しそうになった。後元気になった俺の相棒がクズ共の弾丸に当たると、余り痛みを感じない俺でも泣くほど痛い。いやマジで。だからどうにか抑えなければいけないな………そんな時、閃いたんだ────男の裸を想像すればいいと」

「………うん?なんて??」

「俺以外の男の裸、ってか、俺以外で人型の男子生徒を見た事がないから、かなり苦労したが……最近会った大人(黒服)をベースにして、俺は想像したんだ……そう、こうやって、全身を見せてくる感じで想像して────────おえぇぇぇええッッ!!!!」

「え、え、え、え!!???ちょっ、ちょっと!?」

 

 

 

唐突に想像すると言い出し、唐突に吐き気を催すレンノスケ。

 

先生から見ても最高に情緒が不安定である。最早恐怖である。

 

 

 

「ちょっと、大丈夫!?誰を想像したのか分からないけど、そんなに嫌なんだね!?」

「ま、まあな……っ……ふぅ、あぶねぇ、意識が飛びかけた……あー気持ちわりぃ……お、ホラ、見ろ先生。俺の、大人しくなったろ?」

「え?わ……ほ、ホントだ……」

 

 

 

先生が下に視線を向ければ、そこには先程の膨張は見られない。

本当に想像で抑えたのだ、彼は……先生は女性である為、男の身体の構造は理解できても仕組みまでは疎い。

 

 

そしてふと、レンノスケがハッと、そんな感じで気づきの声を出しながら、先生に向け発語する。

 

 

 

「……そういえば、俺の愛しのキリノさんは何時頃来るんだ?別れた時、大丈夫って言ったはいいんだが、何て言えばいいか、やっぱちょっと寂しい」

「ええ……まあでも、もう来ていい頃合いだと思うけど────」

 

 

「────お、お待たせいたしましたーーーっ!!」

 

 

 

部屋の外側、廊下の方から聞こえる元気な声。

 

声を聴いた瞬間、レンノスケが意の一番に部屋を後にし、その姿を確認する。

 

廊下の奥、其処に居たのは────。

 

 

 

「すみません!ちょっと荷物が多くなっちゃって……向かうのが遅れてしまいましたー!」

「────キリノさん!」

「あ!レンノスケさん!よかった、大人しく待機ができましたね────きゃわあっ!?」

「なッ、えぇ……!?」

 

 

 

 

 

“ドゴォンッッ────”

 

 

 

 

 

踏み込む……その力によって廊下に足跡が残る。

 

独特な音を作って刻まれるその足跡は、綺麗な型を其処に作っていた。

 

 

 

音をも置き去りにする程の俊足を披露し、キリノに急接近するレンノスケ。

 

それはキリノのみならず、先生ですら視認が不可能な程の速さだった。

 

 

そんなレンノスケに驚きを見せるキリノの隙を突き、レンノスケはキリノの目の前まで接近。

 

 

 

「は、はやっ────レンノスケさッ!?」

「キリノさん、俺、大人しく待っていたぞ」

「え、え?……あ、ああ!そうですかそうですか!そうですね、え、えっと、とっても偉いですよレンノスケさん!」

「ふっ……頭も、撫でてくれ」

「はへぇ!?え、えっとぉ………も、もう!…一回だけですよ?」

 

 

よしよし…と腕を伸ばし頭を撫でるキリノに、腰を曲げ少しでもキリノの負担にならない様に頭を向けるレンノスケ。

 

幸せそうに、硬い表情を少し綻ばせる。

レンノスケは、今この瞬間が────何よりも変えられないご褒美になっていたのだ。

 

 

キリノは最早、レンノスケのこの突発的な行動に、若干慣れつつあった。

未だに、この直接的な行為を向けるレンノスケに対して……キリノは顔を赤くして、ずっと慣れないでいた。

 

 

 

彼の好意に慣れる日は来るのだろうか…?────そんな事を考えてしまう自分が、キリノは只々、恥ずかしかった。

 

 

 

「あははは……はは、あ~~、怖いなぁ……先に保健体育の勉強かなぁ……」

 

 

 

先生はそんなレンノスケとキリノに、微笑ましいと思いながらも、先程のレンノスケの思春期(勃○)があったので正直今も気が気じゃなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリノside

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────す、すっげぇ……お……おいしそう、だ」

 

 

 

こんにちわ、中務キリノです。

 

 

………今日は本当に、濃い一日だったと思います。

 

 

第一として、レンノスケさんがブラックマーケットから出た、それだけでも大事件なのに……。

 

 

怪物と謳われた城ヶ崎レンノスケさんが、まさかこんな方だったとは……誰が想像出来ますか?

 

………そんな彼に慣れつつある自分が居て、ちょっと怖いです。

 

 

 

「キリノさん、キリノさん!これ、凄く、美味そうだ!匂いも、とても良い!」

「そ、そうですか?その、本官なりに頑張って作ってみたのですが……あ、こーらっ!料理中は危ないですから、もう少しで出来上がりますから、少しは落ち着いて下さい!」

「ああ、分かった!」

 

 

 

────現在、レンノスケさんと本官はシャーレのカフェに居ます。先生は執務室に用事があるらしく、今は席を外しています。

 

 

カフェのキッチンを借りて、今は本官が料理を作っています。

 

本官の手作りの料理で、お肉と野菜を入れた普通の、簡単なクリームシチューを作っているのですが………ふふっ、まだ食べていないのに、こんなに喜んでもらえると、やっぱり嬉しいですね。

 

 

時刻は既に8時を迎えており、夕食には少し遅い時間になってしまいました。

 

 

レンノスケさんの部屋の移動や本官の荷物の事もあり、特にレンノスケさんが出現した事によって起きた混乱の後始末や説明があったのが主な理由ですね。

 

 

ここで少し……お浚いをしましょう。

 

 

最終的に連邦生徒会や各自治区の代表の方々、シャーレの先生によるレンノスケさんの『危険性』、彼は自分達にとって安全なのか、そう言った3年前からあった恐怖心を取り除く為に皆さんが弁明の声明を提示いたしました。

 

 

結果的に、その混乱は収まりつつあります。

 

表向きには城ヶ崎レンノスケをヴァルキューレと三大校の主戦力が牽制に成功し、取調室で彼は【無害】であったと報道されました。

 

 

キヴォトス全土で轟く彼の名は恐怖の存在として知れ渡っていましたが、その実績を見れば彼は【悪】の組織や企業、人を傷つけそれで快楽を得る者達を倒していたのです。

 

 

 

ヴァルキューレに編入……恐らく、この情報が一番騒がれたと思います。

 

彼が居た場所は(彼のせいで)無法地帯と化したブラックマーケット、謂わば悪の巣窟です。

 

これがあり、市民の皆さんは不信感を抱きました。

 

彼が起こして来た事件は全てが破壊的、無害の主張、レンノスケさんがヴァルキューレへの編入を望んだ、それが信じられるかと言われれば難しい話です。

 

 

そこで、連邦生徒会が発語した事、それは────そ、その……名は伏せたのですが、彼が極限の飢餓の時、ヴァルキューレの【生徒】に食料を分け与えられ、彼がそれに〈恩義〉を感じ、その人みたいに立派な【警察】を望んだ事をそのまま丸々報道したんです。

 

 

正直に言わせて下さい、もっと何か、こう、あったと思うんですが!

 

 

その、私別に恩義とか感じて貰わなくても、普通の事をしたまでで……困ってる人を助けるのは警察として当然だったから、レンノスケさんがそれで私に、その、えっと……こ、好意を抱くのはまだしも、あの、ああもう!自分が何を想っているのか、分かんなくなってきました……っ!

 

 

これも、全部レンノスケさんのせいです……。

 

全部全部、レンノスケさんの────。

 

 

「────キリノさん、大丈夫か?顔赤いけど……」

「ひゃぁっっ!!?……よ、呼んでいません!」

「あ、そう…?そっか……じゃ、戻ります…」

「……ちょっと、味見してみますか?」

「ッッ!!ああ、する!」

 

 

 

いつの間にか私の隣に移動し、顔を覗き込ませそう告げるレンノスケさん。

 

私の顔が赤くなっているのを心配しています……誰のせいで、こうなっていると思っているのですかっ!

 

 

それもあってか、つい強く返答しちゃいましたが、思っていたよりもしょぼんとしてしまい、流石に申し訳ないと感じたので今作っているクリームシチューの味見を促したら凄く喜びました。

 

 

こういう所は、とても可愛いんですけどね……。

 

小皿の中に少量のシチューを入れ、彼に渡して反応を待ちます。

 

スゥ……と、口に小皿を運んで啜る様に飲みました。そして────。

 

 

 

「────ッッッ!!!な、なんだこれは!うま、うまうま、美味すぎる!!」

 

 

 

硬い表情のまま、笑顔とは言えなくとも驚愕の顔付きを作ってそう告げるレンノスケさん。

 

思っていた以上の反応を頂いてしまい、何といえば良いのでしょう、その……ちょっと恥ずかしいです。

 

 

 

「そ、そんな、大げさな……」

「大げさだと!?いや、いやいや!何言ってんだキリノさん!これ本当に美味しいぞ!」

「あ、ありがとう、御座います……え、えへへ!頑張った甲斐がありますね!」

「すごい、凄いなぁキリノさん、料理も、出来る何て……抱きしめていいか?」

「そんな、私なんて……ん!?ば、れん、なに言って……も、もう!駄目ですよ!」

「む、だめか……だけど、このくりーむしちゅー、と云うやつ、凄く美味しいな!流石、キリノさんだ」

「く、うぅぅ…………レンノスケさんのおばか」

 

 

 

そう言って、レンノスケさんはまた私に純粋な好意を向けてきます。

 

今は私と彼の二人っきりですから、彼はこうして私に色々と言ってくるのですが……やっぱり、恥ずかしいです…。

 

 

 

 

 

 

────今の幸せそうな彼を見て、正直なところ今まで恐れられてきた存在とは思えませんね。

 

 

 

 

【裏社会最悪の怪物】

 

 

 

本官は、今までの彼の実績や考えを見聞し、こう捉えました。

 

 

 

────彼の異名は……正しくは、裏社会〈にとって〉最悪の怪物なのだ……と。

 

 

 

本官は……私は、レンノスケさんの今までの行いを【正しかった】と思う事は、出来ません。

 

 

 

 

『この手を、血で赤く染めた……取り返しの付かない事を沢山してきた』

 

 

 

 

あの発言は、きっと色んな意味が込められた言葉なのでしょう。

 

 

一体、どれほどの地獄を体験すれば、あんな発言が出るのですか?

どうしてあんな表情が……死んでいる、生気のない淀んだ瞳が出来るですか……?

 

 

 

「……キリノさん?」

「……いいえ、何でもありません」

 

 

 

────彼の過去は、きっと今日話した事が全てじゃありません。

 

……辛い出来事があった筈なんです。今日話して下さった事を含めて、本官にもまだ言えない何かが……。

 

言えない、言いたくない秘密なのかもしれません。ですが……私は、貴方をもっと知りたいんです。

 

 

いつでもいい、貴方が話せるその時まで私は待ち続けます。

 

 

 

────いつか教えて下さいね。

 

 

 

貴方の事を……骨の髄まで理解してやるんですから。

 

 

 

 

「……シチューはもう少し温めたら出来上がるので、それまで少しお話しましょう?レンノスケさん」

「っ!ああ、お話ししよう!」

 

 

 

そして、私とレンノスケさんはグツグツと耳に良い煮込み音を奏でる鍋の前で、先生が来る間ずっとお喋りをしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

先生が来て、3人でシチューを食べました。

 

 

 

「わあ美味しそう!ありがとうねキリノ────じゃあ早速、いただきます!」

「?……なんだ、それ?」

「レンノスケさん、ご飯を食べる時は手を合わせて〈いただきます〉って言うんです」

「い、いただきます……?えっと、なんで、それを言うんだ?」

 

「ふふっ、それはですね?レンノスケさん────〈いただきます〉は食事に対する敬意、謂わば食事に感謝を込める事です。このシチューに入ってる肉や野菜といった食材は全て〈命〉が宿っていたものですから、食事と言うのはそれらの〈命〉を『頂く』という行為になります。これらの食材は職人さんが頑張って獲って来た、頑張って育てた豚さんや鶏さん、お魚の命を〈頂いて〉加工して下さった方々が、この世界には沢山居るんです。そう言った方々に対する感謝を伝える意味でも────この〈いただきます〉はとても大事なんです」

 

「そう、なんだ……────ああ……そうだよ、な。今日食べた、キリノさんから頂いた、あのカツ丼も、命、だったんだ……」

 

 

 

レンノスケさんは、しみじみとした様子でシチューを覗きます。

 

 

 

「────命って……どうしてこんなに、重いんだろうなぁ……」

 

 

 

ボソッと、そう呟きます。

 

無意識の内に出たと思われるその独り言は、しかし本官と先生の耳に確りと入りました。

 

 

 

「それが『生きる』って云う事何だと、私は思うよ」

「あ………っ、そう、だな……ああ、そうだ。俺が……一番、分かっている事じゃないか」

「っ……レンノスケさん………」

 

 

 

目を瞑り、何かを思い出したのか……レンノスケさんは苦いモノを嚙み締めたかのような表情を浮かべます。

 

数秒後……彼は目を開き、もう一度シチューに目を向け、そして……前に座る本官と先生に視線を寄越し、発語します。

 

 

 

「────なぁ、先生、キリノさん」

「なんだい?」

「なんでしょうか?レンノスケさん」

「二人に、聞きたい事がある。少し……変な話、なんだが……」

 

 

レンノスケさんの眼付が鋭くなり、そして────告げられます。

 

 

 

 

「クズで、どうしようもない、暗闇に居た人間は……だが、そんな人間でも………人は────変われると思うか?」

 

 

 

 

それは、余りにも重い言葉でした。

 

私が肯定的な言葉を並べようとも、何を言えば良いのか、分からなくなってしまいました。

 

 

 

「────変われるさ」

 

 

 

しかし、先生が少しの間を開けた後、こう告げました。

 

 

 

「……なんで、そう、言い切れる?俺は……」

「自分が成りたい自分に成ればいいんだ。それが遠くとも、自分を変える〈機会〉や〈チャンス〉は皆〈平等〉に持っているんだから」

「────っ!!」

 

 

 

レンノスケさんが顔を上げ、先生を視認します。

 

影を落としていた表情から一変、淀んだ瞳に……少しの光が差し込みます。

 

 

 

「自分が……成りたい自分……」

 

 

 

先生の言葉をそのままオウム返しで紡ぎ、レンノスケさんはもう一度目を瞑ります。

 

 

数秒……彼が目を開き、そして────。

 

 

 

「……何となく、理解出来た……変わるも変わらないも、結局は自分次第、なんだな……」

「うん、そうだね────レンノスケ、君は、何に成りたい?」

 

「ああ、そうだな────俺は………かけがえのない存在を護り、人に優しく出来て、悪を根絶やしにする警察に成りたい!」

 

 

 

レンノスケさんが微笑し、その目標をまた作ります。

 

 

先生が伝えた言葉に、レンノスケさんのみならず本官も身に染みる言葉でした。

 

流石、シャーレの先生です……カッコいいです!

 

 

………最後の言葉は、中々物騒だったので、彼には目が離せないですね。

 

 

 

「先生……やっぱ、あんたは凄い大人だ。やはり俺の目に、狂いはなかった」

「あはは。そんな事ないさ、私もまだまだ未熟の身、皆よりも少し長く生きているに過ぎないさ」

「長く生きている……だからこそ、あんたには学ぶものがある。先生、俺は……あんたを尊敬する」

「お……おぉぉ。あ、あはは!何だか、そう言われると照れるなぁ!レンノスケにそう言われると、尚更ね」

「ふふ、なんだ、先生……あんたもか。俺も、ちょっと照れてしまう」

 

 

 

レンノスケさんの尊敬という発言に、先生は嬉しそうに顔を綻ばせます。

 

 

 

 

 

“もやぁ………”

 

 

 

 

……………?

 

 

 

なんでしょう?何だか……もや?

 

 

 

「ん~~~………?」

「キリノさん、大丈夫か?」

「ん~~……ん?────は!?ああ、すみません!何だか、ボーッっとしちゃって……だ、大丈夫です!」

「本当か?なんか、渋い顔をしていたから、ちょっと不安だが……体調が悪いとかじゃないんだよな?」

「な、ないですよ!本当に大丈夫です!何でもないんですぅ!」

「そ、そうか……?むぅ、そんなに、怒んなくとも……」

「あ……ご、ごめんなさい……その、言い過ぎました…」

 

 

 

レンノスケさんの言葉に、何故か少し……荒い言動をとってしまいました。

 

 

へ、変です………なんか、もや…?っとしたような気が…。

 

 

なんで……なんでこんなに、落ち着かないんですか……?

 

 

 

「……えっと、ごめんね?キリノ……私にそういう意思はないからさ」

「な、なんの話ですか!?」

「いやー……まさかキリノがねーー……先生、ちょっと心配だよ」

「先生!?本当に何の話ですか!?……あ!どうして目を逸らすのですか!教えて下さいよぉ!」

「いやぁこれは~、教えるのは野暮ってモンじゃないかなぁ~……ま、いつか分かる日が来るよ」

「そ、そんなぁ……」

「ん?まずい、二人の会話に、全く着いていけん」

 

 

 

本官と先生が話して、レンノスケさんが困惑の様子を見せます。

 

結局、先生は私のこの変な感じ?が、何なのか分かっている様でした。

 

 

なのに……教えてくれません。何ででしょう?

 

 

 

「まぁ!取り合えず今はシチューを食べよっか!折角キリノが作ってくれたんだ、冷ましちゃいけないからね」

「ッ!!!ああ、そうだな!キリノさんの、手作りだ!味見であんな美味しかったんだ、ああ、楽しみだ!」

「む、何だか釈然としませんが……うーん、まあ、そうですね!食べちゃいましょうか!それじゃあ、レンノスケさん」

「ああ!えっと、いっ────いただきます!」

 

 

 

 

“いただきます”

 

 

 

 

 

レンノスケさんの合掌から、夕飯がスタートしました。

 

 

 

 

 

レンノスケさんがシチューを食べた瞬間顔が破顔しました。

 

 

彼は、泣きそうになりながら私に向けて美味しいって言ってくれました。

 

 

パクパクと、頬張りながら幸せそうな表情で食べる姿に……私も少し、泣きそうになってしまいました。

 

気付けば彼のお皿は空っぽになっていました。

 

 

彼が食べ終えると、私に向け感謝の意を伝えます。

 

 

本当に美味しかった、今日だけで、俺は幸せだ……と、嬉しそうに告げる姿は正にこども。

 

 

……念のため、聞きました。おかわりは一杯ある、と。

 

 

そしたら……『いいのか!?』って、吃驚した形相で問いかけて来ました。

 

 

もう、あれです。ずっと言いたかったのですが……貴方はこれからは沢山……たっくさん食べていいんです。

 

虫とか雑草とか、生ゴミとかじゃない。美味しいものを沢山食べていいんです。

 

 

シチューを一杯入れたお皿を彼に渡し、彼はそれを受け取ってスプーンで掬って食べます。

 

箸よりもスプーンは持つのが簡単なので、今回はシチューにしてみたのですが……彼の様子を見るに正解でしたね。

 

 

 

結果、彼は5回ほどのおかわりをしました。

 

 

 

『その、美味しすぎて、食べ過ぎてしまって、二人の分も食べてしまった……すまない……』

 

 

 

と、彼はもじもじしながらそう告げてきます。

 

本官は元々一皿だけでお腹が一杯だったので全く問題なかったですし、それは先生も同様だったので私は気にしないでと伝えました。

 

 

此処だけの話ですが……顔を破顔して幸せそうにシチューを頬張るレンノスケさんを見る先生の視線が、こう……凄くウルウルしていました。

 

 

 

 

 

 

 

「ご馳走様でした、美味しかったよキリノ、ありがとうね」

「ご馳走様でした!いえ、少しでもお力になりたいですから」

「??えっと……ご、ごちそう、さまでした……?」

「ふふっ、はい。合っていますよ────〈いただきます〉をして、食べ終えたら最後は〈ご馳走様でした〉を言うんです。これは、食材の〈生産者〉の方々や〈料理を作ってくれた〉方々に向けて言う言葉です……これも、とても大事な事ですよ、レンノスケさん」

「なるほど……良いな、凄く……いただきますに、ごちそうさまでした……とても素敵な、事だ……キリノさん、もう一度────ごちそうさまでした」

「はい、お粗末様でした!」

 

 

 

ぺこりと、頭を下げて感謝の言葉を私に向けて伝えるレンノスケさんに……ええ、とても嬉しい気持ちになります。

 

誰かに食事を作った記憶何て、本官には余りない事……それもこうして面と向かって感謝を伝えられるなんて、初めてです。

 

彼が食に恵まれなかった、それも大きいのでしょう……でも、それでも────こんなに喜んでもらえると、心から嬉しいんです。

 

 

 

「また明日から、朝と夕方に作りますからね」

「────え……あ、朝も、ご飯が食べれるのか……?」

「っ……はい!明日からは朝、昼、晩!一日三食の生活をレンノスケさんには送ってもらいますからね!」

「……、……っ!そう、か……うん、とっても、楽しみだ」

 

 

 

彼には、知らない事がまだ一杯あります。

 

食に勉学、人間関係……得なければいけない事がたっくさんあります。

 

 

────本官が……私が支えるんです。

 

 

彼が人と普通に接する事が出来る様に、彼が今までの事を負い目に感じない……これからを幸せと感じる為に、ずっと傍で支えるんです!

 

 

 

「────もう夜も遅いから、今日は歯磨きして寝よっか」

 

 

 

先生の言葉に、私とレンノスケさんが了承の意を唱えます。

 

そして食器と空になった鍋をレンノスケさんと洗い(手伝う!と言ってくれた為)、私とレンノスケさんで自室へ、先生は後は本官に任せるとまた執務室に向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャーレに設立されている浴場を交互に使い、疲れを落とします。

 

因みにですが……彼にはコンディショナーの使い方を『確り』と教えましたッ!

 

ホント、今日あった出来事でトップ5には入る衝撃でしたよ、あの事は……もう。

 

教えた時、レンノスケさんが非常に吃驚した顔になっていました。

なんか、面白かったからまたやってみたいと、そんなふざけた事を仰っていたので確りとお説教もしました。本当にもう。

 

 

 

そして、お風呂も入って歯を磨き終わった、現在────。

 

 

 

 

 

“ゴォォォォォ……”

 

 

 

 

 

「────良い髪質してますねー、レンノスケさん……硬いけど……でも滑らかで、羨ましいですねぇ~……」

「そ、そうか?俺にはよく、分からないが……それにしても、その『ドライヤー』と云うやつ、凄いな……気持ちいいし」

 

 

 

私は、髪が濡れに濡れていたレンノスケさんをドライヤーで乾かしています。

 

正直なところ、今日の会議の時も全然濡れていたんですよね……気になって仕方がなかったのですがあの時はもうどうしようもなかったので考える事も難しかったのですが。

 

 

なので、レンノスケさんが上がった後に本官が『自室』に連れて、彼をベットに座らせ髪を乾かしているのです!

 

後ろに本官が膝立ちの状態になって、彼の髪を、その……ちょっとだけ触ってみたりしています……えへへ!

 

 

 

「……はい!乾きましたよ、レンノスケさん!」

「おー!ありがとう、キリノさん。凄く、気持ちよかった」

「ふふーん!こういう事は女子である本官にお任せください!得意ですから!」

 

 

ちょっとだけ、調子に乗っちゃいました。

 

でも、彼が持ち上げ過ぎな位に私を褒めるんですもん……つい嬉しくなっちゃいました。

 

 

そうして、少し会話をした後────レンノスケさんが一言。

 

 

 

「………あ、なぁ、キリノさん────今、俺とキリノさん、二人っきり、だな?」

「────へ?……ふぁ!?」

 

 

 

とんでもない事をしている事に気付きました。

 

思い返せば、本官はレンノスケさんを自分の部屋に連れ込んでいますね!?

 

しかも、髪を乾かす為にベットに座らせている……わ、わわ、ど、どうしましょ!?

 

 

……そ、それに、レンノスケさん、今────二人きりだなって……~~~~ッッッ/////!?

 

 

 

「だ、だめ!だめだめだめ!!だめですよぉっ!そ、そそそ、そういう、そういう事は!ほ、本当に、ちゃんと……こ、こいび……こいび、にぃぃ…っ!」

「む?????えっと……なんの、話だ?俺はただ、今キリノさんと二人っきりだから、キリノさんに色々言えるなって、事だったんだが……」

 

 

 

しかし……当のレンノスケさんは、全くそういう【意思】はなく、ただ単に本官の勘違いでした……。

 

い、いや……これで良いんです、これで。

 

普通に考えて、レンノスケさんが……そ、その────【そういう事】を知っているのかどうかと聞かれれば……まぁ、知らない気がしますし。

 

 

 

「ちょ、キリノさん?果てしなく顔が赤いぞ?さっきから大丈夫か?」

「だ、だだ、大丈夫です!で、でも、今は……何も言わないでぇ……」

「大丈夫なら、それは出来ないな。俺はな、キリノさん。今貴方と二人っきりの時間を良い時間にしたい。つまり、お互いをしる好い機会なんだ」

「そ、それぇ、今じゃなきゃ……だめなんですか……?」

「ああ、今が良い。だが、キリノさんが本当に体調が優れないなら、言って欲しい。俺は、キリノさんが本調子じゃないなら、無理せず、今すぐに休んでほしい。だから、もう一度聞く……大丈夫なんだな?」

「だ、大丈夫です!本当に何処も悪い場所はないですから………あうぅ……か、顔が近いぃぃ……ばかぁ…」

「む?……ふっ……そうか、なら良いんだ」

 

 

 

そう言って、顔を遠ざけ安堵の表情を浮かべるレンノスケさん。

 

本当に……狡い人です。

 

 

 

「さて、お互いを知っていくという事だが……キリノさん、貴女の事を教えてほしいな」

「わ、私からですか?……う、うーん……そうですね……えっと、何でもですか?」

「ああ、何でも。例えば……趣味とか、あるのか?」

「趣味ですか?それならあります!私は『食べ歩き』が好きですね」

「食べ歩きか……いいな、それ。凄く楽しそうだ」

「はい!屋台とかカーディーラーとかで売っている食べ物を歩きながら街を見渡す!平和で、とっても気分が良くなりますね!」

「へぇ……キリノさんがそんなに言うほどなんだな、食べ歩きと言うのは。俺も、いつかやってみたいものだ」

「……じゃ、じゃあ!いつか!貴方とパトロールする時、一緒に食べ歩きをしましょう!」

「え?……いいのか?」

「勿論です!私も時折『フブキ』って同期の子と一緒に食べ歩きをしたりするのですが、誰かと食べる食事は一人の時とはまた違う美味しさがあるんです!だから、レンノスケさんといつか────……一緒に食べ歩きをして、街を歩きたいです!」

「ッ……うん、ありがとう……ああ、楽しみだな。凄く、すごく……楽しみだ」

「ふふっ!私も楽しみです!私、美味しいところを一杯知っているんです!だから────約束です!一緒に色んな自治区を回る、食べ歩きをする約束っ!です!」

「やく、そく……────ああ、約束だ、キリノさん。俺も、貴方を食べるのが、楽しみだ」

「本官は食べないで下さいね!?」

 

 

 

────その後も、私の趣味とか、最近あった出来事の話になって、結構盛り上がっちゃいました。

 

 

そして、彼と食べ歩きの約束をしました。

 

私と隣に座る彼が喜色の雰囲気を出して、とても楽しみにしていると言いました。

 

 

 

全くもう………貴方は恥ずかしげもなく言うのですから……しかも……話の節々に私への好意を汲み取れる言葉が漏れ出て、いつの間にか肩と肩がくっ付いていますし……。

 

 

 

 

でも、一つ、言わなきゃ………いけない。

 

 

 

────この人には……言わなきゃいけない事がある。

 

 

 

 

 

 

「……レンノスケさん」

「ん?どうした?可愛いキリノさん」

「ぐっ!……もう……ううん、違う。私……貴方に、言わなきゃいけない事があります」

「え?な、何だ……?」

 

「────私の、駄目で弱い部分の、話です」

 

 

 

 

 

 

 

▼キリノが話した、数分後……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────キリノさん、射撃が苦手だったのか」

「は、はいぃ……どうしてか、放った銃弾が在らぬ方向に捻じ曲がっちゃって……」

 

 

 

キリノは自分の事を話していた。

 

それは、大体が自慢できる話ではなかった。

 

 

・よくミスを起こし、トラブルを巻き起こしてしまう事。

・捕えた犯人をミスで逃がしたり、捕まえられなかったりする事。

・何故か自分に手錠を掛けて、先生に迷惑を掛けてしまった事。

 

 

そして、先程述べた射撃の腕が壊滅的な事。

 

 

 

まだあるが、今はこれくらい話したのだ。

 

 

 

「今日レンノスケさんが言ってくれた、本官が『頼りになる警察』等の言葉は全てまやかしで、実は駄目な警察なんです……その、ごめんなさい……レンノスケさんには間違った解釈をさせてしまって……」

「む!?おいおい、それマジで言ってんのかよ、キリノさん」

「え?……ふぇぇ?」

 

 

 

キリノが今日薄々思っていた事、それはレンノスケが自分を持ち上げ過ぎなんじゃないか。

 

だからキリノは自分の悪い所を包み隠さず言って、レンノスケに謝る……が、キリノが想像していた反応とは、全く異なる反応だった。

 

 

 

「それを知って、この俺がキリノさんを軽視なんて、死んでもする訳ない。余り俺を舐めるな、キリノさん」

「で、でもっ!本官が多くミスをしてしまうもは、本当で……」

「だからなんだ?俺が貴女に惚れたのは、その『人間性』だ。貴女がミスをして、だから私は頼りにならない警察、だと?貴女が自分を貶すのは、俺が許さん」

「あ………レ、レンノスケ、さん」

「いいか?俺が言う『頼りになる』ってのは、確かにミスとか射撃が上手い、誰よりも【強い人】なのかもしれない。だがな……それだけじゃ人は護れねぇ……強い人間は、それだけじゃ頼りにはされない」

「え?……そ、それって、どういう……」

 

 

 

ベットで隣に座るレンノスケを、キリノは見上げる形で見る。

 

その瞳を、キリノはジッと見た………淀みはある、けど底には燃える様な熱を持った赤色の瞳が、キリノに語る様に見下ろしていた。

 

 

そして、レンノスケが発語尾する。弱弱しくなっている、大切な人に。

 

 

 

「本当に【強い人間】ってのは───誰に対してでも、どんな時でも【人に優しく出来る人】だ。今日俺が、貴女と会った時、確かに貴女は俺に銃を向けて来た、だがそれだけで、その後の行動は、全てが優しさの塊だった。俺は見た目は怖い筈なのに、俺の正体を知って、一瞬、恐ろしいと感じてしまっても、キリノさんは俺の事を一度も────【敵意の視線】では見なかった」

「レンノ……スケ、さん……」

 

 

 

キリノを見下ろすレンノスケの表情は、今日の中で一番……綻んでいた。

 

 

 

「それに、どれだけ俺が救われたか……俺は、あの空間で、貴女に【護られていた】んだ。貴女の存在がなければ、俺は────誰かを≪殺していた≫かもしれない」

「っ…………」

「……すまないな、変な事を言って、だが……これだけは言いたかったんだ。護るにも【形】がある。強さにも色んな【意味】がある。そう、思わないか?」

「はい…………ありがとう御座います、レンノスケさん。少し、いえ……とても励みになりました!」

 

 

 

“ポスっ……”

 

 

 

「────へ?」

「そうか、いや、良かった……唐突に可笑しな事を言うんだから、吃驚したぞ?」

「す、すみません……ん!?い、いや!え、そ、え……な、なんで、頭を、撫でて……?」

「……可愛いからだよ、そして、よく頑張ったから……諦めないのは凄く【カッコいい】んだよ」

 

 

 

顔に【笑み】を浮かべ、キリノの頭を撫でるレンノスケ。

 

そんなレンノスケに、キリノは固まってしまう。

 

 

 

「えらい、えらい………今までめげずに頑張って来たキリノさん、俺を助けてくれたキリノさんは、凄くえらい。特にその【警備局】って場所の編入を諦めないキリノさんは……カッコよくて、素敵で、偉い」

「や……そん、や……やだぁ……やめ、やめてぇ……」

「やめない。そんな事を言ったキリノさんが悪い。大人しく俺の【本音】に付き合え……ホラ、こっちおいで」

「きゃっ!」

 

 

 

“ポスンッ……………”

 

 

 

レンノスケは、顔を赤くして俯くキリノを無理やり自分の胸元にキリノの顔を寄せる。

 

 

 

「ごめんな、人を褒める何て、マジ一回もないから上手くやれんが、許せ…………ほら、失敗が何だって言うんだ。俺だって失敗する。だが、射撃とかなら、俺でも教えれる。だから、キリノさんは俺に優しさと云う強さを、教えてくれ」

「っ…………!」

「一緒に頑張ろう、キリノさん。俺とキリノさんで、お互いの弱点を克服していこうよ」

「────……ずるい」

 

 

 

“ぎゅぅぅぅ……”

 

 

 

「おっ……っ、温かいな……優しい、人の温もりだ……顔は大丈夫か?俺の胸は硬いぞ?」

「良いです、硬い方が【頼り】になりますし……カッコいいですし……」

「っっっ!?………ふぅ、恐ろしい子だ、キリノさんは」

 

 

 

キリノは、どうしてこの瞬間に自分の〈弱さ〉を吐いてしまったのか、余りよく分からなかった。

 

レンノスケに、勘違いされたままでは、嫌だったのは分かる。だけど、どうしてここまで『落ち込んで』しまったのか……ずっと、諦めずに頑張って来たのに。

 

 

 

「………なぁ、キリノさん」

「………なんですか?」

「────貴女に……言いたい事がある、良いか?」

「────っ…はい、聞きます。聞かせて下さい……レンノスケさん」

 

 

 

キリノはもう、レンノスケしか目に入って無かった。

 

既に、この雰囲気、お決まりだ。

 

キリノは、まだ早い、早すぎると内心思っている。

 

だけど……先程のレンノスケに、キリノは心が揺らいでいた。

 

だから………もう、良いのかなって、想っているんだ。

 

 

 

レンノスケの言った通り…『付き合って』から始まる『恋』も、あるのかもしれないから……。

 

 

 

 

「キリノさん、俺………」

「はい、はい……私は…」

「────凄く、良い匂いだよなぁ……キリノさん」

「────はぁ?」

 

 

 

しかし、キリノが思っていたモノではなく、レンノスケが言い放ったのは自身の『匂い』だった。

 

 

 

「すぅぅぅ………ああ、やっぱり、凄く癖になるぜ、キリノさんの、濃厚な匂い……っ、まずい、俺、この匂い、興奮してしまうな……っ、ふぅ……危ないあぶない」

「……………………………………………」

「すんっ、すんっ、お!頭も良いが、首とか、おっぱい辺りも、良いな……凄い、これ凄いぞ………スゥゥ……ふぅ………幸せだな」

「……………………………レンノスケさん」

「ん?すまんが、待ってくれ。今、キリノさんのスケベな匂いを堪能していr」

「────────レンノスケ」

「はい」

「……そこに、正座」

「ゑ……?な、何故でしょうk」

「早くしなさい………正座、早く────」

「はい」

 

 

 

ゴゴゴ………こんな効果音が鳴りそうなほど、キリノはブちぎれていた。

 

あんな、キリノ自身がレンノスケに対して好意を向けてしまう程の言葉を言った後に……この男は、自分の匂いとか何とかを吸って、興奮していたんだ。

 

 

キレるな、と云う方が無理な話だった。

 

 

 

「キ、キキ、キリノさん……取り合えず、俺の言い訳を聞いてくれ!あ、あと、俺に『さん付け』しないの、良いなぁ……」

「言い訳なんて誰が言って良いと言いました?あと余計な事も喋らないで下さい」

「言ってません……もう喋りません……」

「静かに、出来ますよね?」

「ひえっ!は……はい……」

「はい、良い子です」

 

 

 

床に正座するレンノスケを見下ろし、怒気を含ませて牽制するキリノ。

 

レンノスケは、今日見た中で『一番怒っている』キリノの表情とオーラを確認し、完全に委縮していた。

 

 

 

「レンノスケ」

「………はい」

「なんですか?今のは……貴方は変態さん何ですか?」

「ち、ちがう……今のは、キリノさんが、良い匂いだから……」

「わ、私が良い匂いだから、あんな感じで吸って良いと?」

「だ、だめです……だめな、ことです……」

「そうですよね?駄目だと分かって、何故私の匂いを吸っていたのですか?」

「あ、あの……なんか、その……我慢、出来なくって……キリノさんだと、おれ、我慢が、出来なくって……」

「なっ…………はぁ、もう……本当に貴方と云う人は」

「お、おこってる、よな?ご、ごめ、ごめんなさい……」

「………いいえ、もう良いですよ。怒っていません」

「ほ、ほんとか?」

「本当ですよ。そんな嘘つきませんよ……でーも!」

「ぶにゅ!」

 

 

 

キリノは正座するレンノスケと同様に正座をして、腕を伸ばしレンノスケの頬を両手でプレスの様に潰して、目を強制的に合わせる。

 

 

 

「こういう行為は、本来は犯罪行為に当たるんです!私と貴女の仲だから、こうしてお説教の形で済んでいますが、これを他の人にやったら立派な犯罪者の仲間入りになるんですよ!」

「う、うん!ふぁかってりゅ!」

「分かっていないから、こうしてお説教しているんですよ!このっ、この!!」

「うりゅりゅる!!ふぁ、ふぁってくれ、きりにゅ、さん!」

 

 

 

レンノスケは何か言いたい感じで、キリノの腕を優しく掴む。

 

キリノはレンノスケの何か言いたいんだろうなって雰囲気に、一先ずは従う。

 

 

 

「ふぅ……なんです?言い訳はききませんよ?」

「ち、違う!キリノさんは、勘違いをしている!」

「はい?勘違いですか?」

「ああ、俺は別に、キリノさん【以外】にそんな事しない!キリノさんの事しか【目に見えない】から、こんな事をしてしまうんだ!」

「っ!?な、なに……~~~~/////!!!そ、そんな事言って!貴方はまだこのキヴォトスの全土を知らないから、そう言えるんです!だって、キヴォトスの女の子たちは皆、可愛いし綺麗で、それでっ!」

 

「そんなの関係ねぇよ(!??)それに!俺は他の女に興奮なんか、マジでしない!ってかした事ない!!直に見て興奮したのは、キリノさんが初めてだ!見ろ!俺の────ちん○んをッ!!」

 

 

 

 

“むくむくむく!!”

 

 

 

 

そこには……もっこりちんスケくんが、テントを張っていた。

 

 

 

 

「は?は?は?……はへぇ?????」

「これは、俺がスケベな雑誌でしか起きん(偶に自然と成るが)ぞ!これは、紛れもなく貴女にしか【興奮】しないという事!」

「────────」

「良いか!これが何よりの証拠で、俺がキリノさんしか見ないし興奮しない理由────ん?」

「────────……」チーン

「あれ?なんで正座のまま、急に寝たんだ?おーい、キリノさーん??」

 

 

 

レンノスケの熱弁に、キリノは耐えられなかった。

 

キリノとて、年頃の女の子。今日起きた事でさえ彼女には刺激が強かったのに、今こうして男の証ともいえる【勃○】を、ズボンの上からとは云え、間近で見てしまったのだ。

 

 

今日の疲れと重なり、キャパオーバー、要するに失神してしまったのだ。

 

 

 

「凄いな……一瞬で寝れる特技を、何の前触れもなく魅せるなんて……流石キリノさん」

 

 

 

しかし、この男はこれがキリノの特技と勘違い。

 

馬鹿である。

 

 

 

「だが、床だとキリノさんは辛いだろうから────よいしょっと」

 

 

 

さりげなくお姫様抱っこをして、キリノをベットに寝かせる。

 

布団を肩まで掛け、キリノの頬を撫でる。

 

 

 

「ありがとうな、キリノさん………好きだぞ……本当に」

「うーん………おば、かぁ……」

「ふふ、いいぞ……夢の中でも俺をみている。その調子だ…」

 

 

 

人が見れば、一種の洗脳か、呪術の類かと思うだろう。

 

 

 

「………………勿体ねえなぁ」

 

 

 

ここで、レンノスケに悪魔の囁きが襲う。

 

 

 

“一緒に寝ても、いいんじゃねーか?”

 

 

 

しかし、ここで天使が囁く。

 

 

 

“これ以上、キリノを困らせてはいけない”

 

 

 

「馬鹿か、寝る一択だろ。よし……そうと決まれば────お隣、失礼するぞ、キリノさん」

 

 

 

天使の完全敗北である。彼は悪魔だった。

 

 

 

「……あったけえなキリノさん。好き……あ、眠い」

 

 

 

電気をリモコンで消し、キリノの方を向いて、想う。

 

 

 

「────幸せだ……温かいし、瞼も……こんなにも重い……キリノさん、貴女のお陰だよ」

 

 

 

今、こうして生きているのは彼女のお陰であると、レンノスケは全力で感謝をしている。

 

 

 

「こういう時、何て言えば良いのか……分からない、いただきますに、似た何かがあるんだろうか……明日、聞こう……明日も、よろしく…な………好き……────」

 

 

 

遂に、レンノスケも瞼を完全に落とし、キリノと添い寝。

 

明日、起きたらびっくりするだろうな……『レンノスケさん!?』って、驚くだろうな……。

 

 

眠る。久しぶりに……よく眠れそうだと、感じながら。

 

 

彼はそういう、イタズラ心と好意が混ぜ合わさった『感情』を胸に抱いて────意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、一つの部屋から叫び声が響いた。

 

 

 

 






やっと執筆出来る身体に慣れました。インフル逝ね。


続きは直ぐに出せる様、頑張りますね。


ってか、これ……まだ1日の話なんですよね(恐怖)


本当は夢精したレンノスケをキリノが発見する流れを作ったのですが、流石に展開がイカれていたので辞めました(英断)


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  • レンノスケ、配信者に成る。
  • 16歳組によるバレーボール同盟
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  • 提示版(レンノスケだけど、質問ある?)
  • レンノスケの過去編
  • 本編:カルバノグの兎編
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