汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
これは武器を取らぬ戦い
弱者の戦い
とくと御覧あれ
前話の設定を少し変更しました
ご了承下さい
投稿位置を間違えた為、緊急措置として一時完全非公開としておりました
申し訳ありません
(くそがっ!)
男は内心今の状況を呪いたかった
彼はオレルアンの商人
数少ないオレルアン~ガルダ間の交易を成功させている人物だ
それはオレルアンの地において、彼が商人の中でも一目置かれる理由となっている
彼は自身で商隊を編成し、『腕の良い護衛』を多数雇っている
その為危険極まるサムスーフを経由した交易を可能としていた
⋅⋅⋅⋅と世間では見られている
事実は異なり
彼はオレルアン側のサムシアンとの商売相手なのだ
その為、彼の商隊は襲われる事は『滅多にない』
流石に被害が皆無となれば、同業者や下手をすればオレルアンからも疑念を抱かれるだろう
故に軽微な被害をしばしば演出する事により、サムシアンとの関係を悟らせない様に努めてきたのだ
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そんな彼の元に1人の人物が訪れる
「ガルダに向かいたいのですが、何か方法はありませんか?」
と
彼は男1人なら断ろうとしたのだが
「実はもう1人女性がおりまして、どうにかならないかと探したところ
貴方がガルダとの交易を盛んに行なっているとの話を聞き、こうしてやってきた次第です」
との言葉に彼は心を動かされた
どうせもうすぐ仕入れをせねばならない時期
目の前の冴えない男はいざ知らず、女となればいくらでも利用価値はある
そう考え
「⋅⋅⋅⋅それはそれは
でしたらもうすぐ私共はガルダに行く用事がありましてな?
もしよろしかったら、ご一緒に如何ですかな?」
と笑顔の仮面をつけて誘った
「ありがとうございます
助かります」
(馬鹿な奴だ)
男は目の前の愚かな男を内心せせら笑った
そしてガルダに向かう当日、男が連れてきたのは
(⋅⋅⋅⋅ほほぅ)
目の冴える様な美少女だった
格好こそ少し貧相ではあるが、その所作には隠しきれない気品が漂っているのを彼は見逃さない
これならば、高く売れる
彼はそう確信しつつも、それを表に出す事なく2人を伴い出発した
全てを奪い去る旅へと
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最初の数日は問題なかった
確かに男も少女も多少武装していたが、さしたる問題にもならない
ところが
「大丈夫か?エリス」
「はい。ありがとうございます
ゲレタ、その良かったのですか?」
何とも暢気なものだ
もうすぐ自分達の人生が終わるとも知らないで
2人の会話を盗み聞きしていた男は笑っていた
少なくとも、この瞬間までは
「オレルアン公はもう少し滞在しても良いと仰っていたのに」
⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅待て
今のこの小娘は何と言った?
女の一言を聞いた彼は、一瞬頭の中が真っ白になった
「そうだなぁ
確かにハーディン殿もそう言われていたな
でも、急がんとならないからな」
男、ゲレタとやらの言葉に彼は混乱した
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オレルアン公?
ハーディン?
なんだ、それは?
この2人、まさかそんな重要人物だったのか?
疑問が頭の中をぐるぐる回る
嘘である可能性は高い
そう思いたかったが、小娘エリスの所作がそれを否定しようとする
仮にオレルアン公と見知った相手だとすれば?
もしも、その様な人物がガルダに着いていないと発覚すれば、どうなる?
無論しらばっくれる事は出来るだろう
しかし、この商隊の出発はオレルアンの住民に見られていた
この2人が同行している事も
となれば
そこまで考えた瞬間、背筋が凍る様な凄まじい悪寒を感じた
(不味い。これでこの2人に手を出せば)
元々販路としてはサムシアンが跋扈しているオレルアン~ガルダの交易路は安定する筈もないもの
それが安定しているのは、自分がサムシアンと繋がっているから
彼は急ぎ、伝令を走らせる
襲撃させ、この2人に何かあれば
自分はただではすまない
そう感じたのだから
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「中止、だとぉ!?」
「は、はい
物資については必ず近いうちに届けるので」
サムシアンの頭領ハイマンは突然の報せに怒りを隠さない
「ふざけんな!
テメェ等から言い出した事だろうがよ」
「その、下手をすると
オレルアン軍が動きかねない、との事でして」
「⋅⋅⋅⋅んだと?」
思わす掴みかからんとしたハイマンの動きが止まる
流石のハイマンも名高きオレルアン騎士団が動くとなれば下手に動けない
何せハイマンには役に立つ腹心はいないのだから
「さっさと物を持ってこい!
そう伝えろ!」
ハイマンはそう怒鳴ると部下達に撤収命令を出した
誰も好き好んで藪をつつきたくはないのだから
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(やれやれ、上手くいったか)
ゲレタは商隊のリーダーの男が急いで何処かへと人を走らせたのを確認すると、安堵の溜め息をついた
金はそれなりに払った
が、悪名高いサムシアンの跋扈するサムスーフを不自然な回数往復し、利益を出しているこの商隊を信用していなかった
しかし、悲しい事に此処以外でガルダへの道筋を知っている者がいるとも思えなかったのも事実
その為、少し企んだのである
軽く聞き回っただけでも、此処の商人に良い噂はなかった
つまり、周囲から孤立していながらも、ガルダとの交易ルートを持つが故に立場は保たれているのではないか?
そうゲレタは推察する
雇っている護衛も形ばかりの者が多く、素行も決して良いものではない、との事
となれば、十中八九サムシアンと繋がっているのではないか?と考えるのは別に不思議ではない
そもそも倫理観が長期出張している感の強いアカネイア大陸
その上戦時ともなれば、その危険性は控え目に言っても『倍率ドン!』であろう
人の善意は先ず疑ってかかるべし
悲しいが、力も組織のバックアップもないこの状況ではそうせざるを得なかった
此処で、エリスの名前を使ってオレルアン公やハーディンに謁見した事実が役に立つ
更に大事なのは、己ではなくエリスにそれを口にしてもらう、と言うこと
何せ彼女は歴としたアリティアの王女であり、悪い奴のせいで多少スレたかも知れないが、その佇まいや所作には未だ気品がある
その彼女がオレルアン公、或いはハーディンの名前を出したとして
それを嘘と断じる事がどれだけの人間に出来るだろうか?
ましてや、後ろ暗い事をやっていて
周囲から孤立している事を自覚しているならば、尚更
その手の人間は往々にして、リスクを避けようとする傾向が強い
しかも相手は国なのだ
国を相手にしてまで、少しの利益を求めるならば
態々小規模とは言え被害を演出するとも考えにくい
慎重か
或いは臆病か
それは定かではないが、少なくともハイリスク・ローリターンを実行するような人物とは思えない
そして、ゲレタの予想は当たり
明らかに周囲を気にした風に隊列を離れた
(峠は越えたか)
ゲレタは内心胸を撫で下ろし、エリスの元に戻った
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「助かりました
ありがとうございます。⋅⋅⋅⋅こちらはお礼です」
「いえいえ
何事もなかったのは何よりです
⋅⋅⋅⋅⋅おや?少しばかり多い様ですが?」
「色々苦労をされたと思いまして
僅かばかりのお礼ですよ」
ガルダの港町に着いた商隊
ゲレタは商人と話をし、報酬を渡し
エリスと共にその場を後にした
「⋅⋅⋅⋅やってくれる」
ゲレタの会話の中にある皮肉を理解したのか、商人は屈辱に顔を歪めた
しかし、彼は理解していなかった
契約の変更
彼は自分のした事をそう捉えているだろう
だが、山賊達にとっての其れは
裏切り
と言うことを
その商隊はオレルアンに戻ってくる事は二度となかった
これが本ルートのゲレタの真骨頂
相手を罠に嵌めましょう
言葉で
態度で
相手を惑わし、隙を作りましょう
別キャラルート ヒロイン
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パオラ
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エリス
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ミネルバ
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シーマ
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ニーナ
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ミディア
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マリア
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クライネ
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カタリナ
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その他