汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
仕方ないね
稀に勝手に筆が動くことはあるから、許して?
「思えば遠くに来たもんだ」
ゲレタは遠くを見つめながら、そう呟いた
「ゲレタ殿
此処におられたのですか
⋅⋅⋅⋅このジェイガン、エリス様を助けて頂き感謝の言葉もない」
「いや、まぁ
流石に放置出来なかっただけなんで」
ジェイガンの言葉にゲレタは顔をひきつらせる事となった
此処はタリス王国
辺境の地と大陸にある国家からは云われている国
ゲレタは今、其処にいる
ガルダで別れる事も考えはしたが、ガルダ~タリス間には悪名高いガルダ海賊が跋扈しているとあっては
「お疲れ~
じゃあね」
とはいかない
が、タリスまで行くとなると不安があった
(あれ?何か沼ってるのか、俺?)
手遅れなのに、それを未だに理解しようとしない
人はそれを
往生際が悪い
と云うのだ
ゲレタとしては、マルスにエリスを会わせたら早々にお暇するつもりだった
何せ、武力の全くない自分ではお荷物にしかならないだろうと確信しているのだから
更に言えば、騎士道と自分ではすこぶる相性が悪いとも自覚している
ゲレタの柱となる教えは幾つかあるが
武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝つ事が本にて
を殊更気に入っていたりする
どちらにせよ、騎士道からすれば気に入られる要素は皆無だろう
ある種の
厳格な
水と油もビックリなレベルで混じり合うことはない
そうゲレタは感じているのだ
⋅⋅⋅⋅まぁ少しばかりエリスに幻滅されたくない
という気持ちもあったりするのだが
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「挨拶とお礼が遅れてしまい、申し訳ありません
僕はマルス。姉上を助けて下さりありがとうございます」
タリス城の王の間で、マルスは深々とゲレタに頭を下げる
ジェイガンを始めとしたアリティア騎士団やエリスもまた
「どういたしまして?
いやエリス様から聞いたと思うんですけど」
「エリス」
ゲレタの慌てた様な言葉に被せる声があった
「ゲレタさん
別にそんな事を誰も気にしていないの
貴方は私の命の恩人。⋅⋅⋅⋅いつも通り呼んで?」
「⋅⋅⋅⋅⋅⋅えー」
エリスの言葉にゲレタは思わず周囲を見渡す
マルス達は頭を下げたまま
タリス王はにこやかな笑顔
エリスは少し悲しそうな顔
「と、とにかく頭を上げてくれませんかねぇ!?
それじゃあ話も出来んでしょうに」
ゲレタからすれば、この様な場所にいること自体場違い感が凄いのだ
「⋅⋅⋅ゲレタさん」
それに加えて涙目のエリスときた
(ちくしょう、どうにでもなれ!)
ゲレタは半ば自棄になって
「エ、エリス」
と彼女を呼んだ
「はい」
それに対してエリスは満面の笑顔で答えたのである
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「私からも礼を言わせてはしい
アリティアは我がタリスにとっての同盟国
本来なればアリティアに兵を出すのが筋。だが、それは叶わなかった
エリス王女を助けて貰い、感謝する」
「いや、ほら
色々上手くいったからでして」
「エリス王女から話は少し聞かせてもらった
アリティアからオレルアン。そしてかの悪名高いサムスーフを越えたと聞く
決して軽いものではなかったのではないかな?」
(何処まで話をしたのか分からんから否定出来ん奴やんか、これ)
流石は二度の大陸全土を巻き込む大乱にありながらも、その国体が揺らぎもしないタリス王国の国王
ガルダ海賊?
まぁアレはチュートリアルだから、セーフ
「光栄です」
「今夜はエリス王女との再会を祝してささやかではあるが宴を開こうと思う
⋅⋅⋅⋅ゲレタ殿。是非参加してもらいたい」
「アッハイ」
もうムリ
マジ勘弁
そう思いつつも、口はキチンと動くものだなぁ
ゲレタは半ば現実逃避しつつ応えた
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「ゲレタさん」
タリス王主催の宴が開かれた
ゲレタとしては、出来る限り
招かれた席にはエリスとマルスにシーダと思われる少女。そして空席がひとつあった
(此処に座れと?
⋅⋅⋅⋅あのさぁ、身分の違いとか考えな
いや、そんな事を気にする訳ないか)
ゲレタはその席に座る
「改めまして、ゲレタさん。本当にありがとうございます。姉上とこうしてまた再会出来たのは貴方のお陰です」
「気にしなくていい
なんて言っても気がすまないよな。大丈夫
その気持ちだけで満足さ」
「あの、私はシーダと言います
ゲレタさん、宜しくお願いします」
「これはご丁寧に
ゲレタと言います。出身は出来れば聞かないでくれると助かります
此方こそ宜しくお願い致します」
(マテ、此処で宜しくされるって不味くないか?)
現代日本人らしく、反射的に挨拶を返したゲレタであったがいよいよ内堀を埋められている様な感覚が強くなっている
しかもエリスはにこにこ笑っているし、マルスも笑顔
(そう言えば、まだ14だったっけ?
そんな歳からこれじゃあなぁ)
ゲレタは非情な人間であると自覚している
が、流石に
「ゲレタさん」
「はいな」
ゲレタの思考を切る様にマルスが声をかけてくる
「姉上と何時婚儀を挙げられるのでしょうか?」
マルスの言葉に場が凍りついた
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マルスにとって、姉であるエリスは大切な家族だ
その姉を失うかも知れなかった
アリティアからタリスへと逃されたマルスは母と姉エリスの身を案じた
当然だろう。父は非道なるグラの裏切りにより、無念の死を遂げている
ならせめて、残った家族をマルスが守りたい
そう思ったとして、おかしいだろうか?
だが、マルスの想いと事態は真逆に進みアリティアはドルーアとグラにより滅ぼされた
母はドルーアに捕らえられ、姉の生死は不明
自分は遠くタリスに逃げおおせたのに、姉が死んだのではないか?
その考えはマルスを次第に追い詰めていく
そんなマルスを案じたタリス王は娘であるシーダを側につけてくれたが、それでもマルスの中にある自責の念は日々強くなるばかり
そこにガルダの港町から急報が飛び込んで来たのだ
エリス王女と名乗る人物がガルダにあり
と
居ても立ってもいられなくなったマルスだったが、彼はタリスに匿われている立場
好き勝手にする訳にはいかない
死んでしまったのかも知れない姉との再会
それはまだ少し幼いマルスにとっての救いだったのだ
そうなると、当然姉の命の恩人であるゲレタに対して大きすぎる恩を感じるし、姉を守ってくれたなら
姉を任せても良いのではないだろうか?
と思ったとしても仕方のない話かも知れない
しかも、再会して暫く2人きりで話をしたのだが、明らかに姉はそのゲレタという人物に対して好意を抱いているのがマルスにも分かった
こう考えるのも不謹慎だとは思うが、自分は献身的に支えてくれるシーダに好意を持っている
彼女もそうであるとマルスは嬉しく思う
だが、姉はどうだろう?
と考えた
確かに親友のマリクが姉の事を好きなのは知っているが、果たして姉はそうなのだろうか?
今の姉にとって必要なのは、いつか現れる支えとなる
今支えてくれるゲレタさんではないのだろうか?
そう思えたのだ
それに
いくら姉の為と言っても、姉の側を離れたマリクに少しばかり不満があったのも確か
なら、楽しそうに話をしている人物にこそ姉を任せるべきではないのか?
そう彼は考えたのだ
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マ、マルス!
そ、そんな事をゲレタさんに言っては
エリスは突然の弟からの奇襲(弟的には援護)に顔から火が出てしまう程の羞恥を覚える
しかし
でも、確かに短かったがゲレタとの生活を楽しんでいた
父を
母を
故郷を失いながらも、エリスは笑顔になれた
それは
(ゲレタさん)
あの時感情を受け止めてくれた人がいたからなのだと
だから
怖くても踏み出そう
あの人の様に、少しでも強く
彼女は自身を叱咤したのである
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こんぎ?
ゲレタはマルスの突然の言葉にパニックのあまり冷静になっていた
元々ゲレタが策を巡らせたりするのは、本人の対応力が低い自覚があったからに過ぎない
突然足元に岩や石
或いは落とし穴があっても、ゲレタは即座に反応出来ない
だからこそ、常に先手を打ち続ける
そうすればどうにかなるのだから
こんぎ?
誰と?
ゲレタの中でその言葉だけが、回り続ける
「⋅⋅⋅⋅⋅ゲレタさん」
そんな思考を打ち切ったのは優しい
しかし、芯のある声
彼はその声のする方へ視線を向けた
其処には
エリスが真剣な
しかし真っ赤な顔をして自分を見つめていた
突拍子ないと思った?
私も思った!
でも家族や祖国を失って、死んだかどうか分からない姉が無事に戻ってきたらこうなってもおかしくないかなって
ご都合主義?
そうやねぇ。否定できん
エリスルートのイチャイチャ(努力目標)
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いる
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いらない