汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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おはようの投稿


兄という存在

タリスに来て憂鬱な日々を過ごしていたマルス

 

しかし、今はそうでもない

安否の分からなかった姉と再会出来、そして

 

新しく兄をマルスは得る事が出来たのだから

 

 

 

 

 

 

 

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「どうよ?カシム」

 

「少し取り扱いが難しいかもしれません

でも、訓練すれば皆使えるようになると思います」

 

「なら、運用面は何とかなるな

⋅⋅⋅仮にこれを複数配備するとなると、負担はどうなりそう?」

 

「多少負担は増えましょうが、民の生活には影響の出ない範囲かと」

 

兄さんがカシムとタリスの人達と集まって何かをしているのを見かけた

 

「兄さん、何をしておられるのですか?」

 

「マルスか

実はシューターをタリスにも導入出来ないかと考えて、な?

やはり命中率に難があるとしても、攻撃手段はあるに越したことはないからな」

 

「⋅⋅⋅やれやれ

マルス王子もとんだ人物を身内にされたものですね」

 

タリス側の役人が苦笑まじりで話す

 

 

 

 

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カシムはガルダの近くに住む若者だ

 

彼は狩猟で生計を立てていたのだが、常に生活は苦しかった

父の行方は知れず、長年の苦労から身体の弱った母や妹リーンや弟たちをカシムは支えねばならない。猟師の収入では生活が良くなる事は難しく、傭兵をすべきか悩んでいた

 

 

そんな彼に声をかけたのが、ゲレタである

 

 

「今の生活環境では、悪くなる事はあっても良くなる事は難しい

タリスなら、お前さんの家族も受け入れられるが」

そうカシムは言われたのである

 

 

この先に不安を感じていた彼は家族を説得し、そのままタリスに移住してきた

 

食欲のなかった母にゲレタは食事の改善策や話し相手などをする事で、少しずつだが回復に向かい

 

リーンを始めとした妹や弟達にも簡単な収穫等の仕事をゲレタは紹介した

 

 

「どうして、ここまでして下さるんですか?」

カシムはゲレタに尋ねた事がある

 

「⋅⋅⋅⋅家族ってのは大切なもんだろ

ついお節介をしちまっただけさ」

そう少しだけ寂しそうに笑うゲレタを彼は見た

 

 

 

だから、カシムはタリスでもアリティアでもない

ゲレタの力になりたいと願ったのだ

 

 

 

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「足の早い作物、か」

 

「そういうものがあれば、今よりも食糧事情は改善しましょう

無論、味については諦めねばならないかと思いますが」

 

「でも、それでは」

 

タリス王と兄を交えての話し合いは頻繁に行われる

 

 

兄は豊富な知識を持っている

が、それよりもそれを相手に受け入れさせる方法を知っている事の方が凄いと思える

 

 

「そこは料理する奴の腕の見せどころだろ?」

 

「うむ。食べられるならば、そこから工夫していけば良いだろうな」

 

そう兄は楽しそうに笑う

そんな兄を見ると、マルスも自然と口元が緩むのだ

 

 

 

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「いいか、マルスにシーダ

人には向き不向きがある。無能なんて思ってくれるな

寧ろそう口にする者を笑い飛ばしてやれ

「この者には、これが出来ますよ?」ってな」

 

「はい」

 

「分かりました」

 

 

 

「『人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり』」

 

「それは?」

 

「俺がある意味尊敬する人物の遺した言葉さ

国や組織は人が集まって出来るもの

決して粗末に扱って良いものでも、無駄にして良いものでもないんだ

無くしたものはどうにかなったとしても、喪った命は戻ってこないからな」

 

兄の真剣な言葉に

 

「「はい」」

 

私とシーダは強く頷いた

 

 

「特にマルスは上に立つ人間だ

その様な立場の人間が部下を無能となじるなら、部下に適切な場所を用意出来ない己こそが真の無能

そのくらい思ってくれんとな」

 

「まぁ、人は意思を持つから

必ずしも活躍できる事が幸せとは限らんのだが」

 

 

 

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「⋅⋅⋅では、サムスーフの山賊と商人が結び付いていると?」

 

「そう逸ってくれるなって、ジェイガン殿」

 

「しかし」

 

私達のこれからについてジェイガンと兄上に姉上を交えて話をしていた

兄上の言葉にジェイガンは少し苛立った様だったが

 

 

「力が無いって事はそのまま選択肢を奪われる事に繋がる

ましてや、国レベルの話が出来る自分達の視点からものを考えたところで一生理解出来ねぇよ

 

⋅⋅⋅⋅間違えてくれるなよ、騎士ジェイガン

騎士とは国を守るのみに非ず

民と国を守るからこそ、人々から敬意を持たれる存在になるんだ」

 

「⋅⋅⋅⋅はっ」

 

ジェイガンは兄上の言葉に感じるものがあったのだろう。重々しく頭を下げた

 

 

 

 

「さて、話が逸れたな

此処タリスからアリティアへの最短経路はガルダ~オレルアン~アリティアとなるだろう

海路はおすすめ出来ん。各地の海賊もそうだが、マケドニアに捕捉された場合かなり不利になるからな」

 

「その場合の障害は?」

 

「先に触れたガルダ~オレルアン間にあるサムスーフ山。此処を根城とするサムシアンという山賊

オレルアン以西となれば、グラは勿論マケドニアやグルニア。果てはドルーアも兵力をぶつけてくるだろうな」

 

「⋅⋅⋅⋅厄介だね」

 

兄上の言葉に思わず言葉が出る

 

「はっきり言うが、エリスと共に逃げられたのは本当に運が良かっただけだ

幸運は何度も起きるものではないし、それを前提に作戦を立てるなぞあり得ん」

 

「そうですな」

 

「不確定要素は可能な限り排除して、その上で策を講じるべきだ

楽観論で戦争するなんざ阿呆のやる事だ」

 

「となると、独力でアリティアを解放するのは考えない方が良いかな?」

 

それは私達にとって辛い話

だが、それと向き合わねば先に進めない

それを兄上は教えてくれた

 

 

「だな

一応オレルアン公と公の弟であるハーディン殿とは細いながらも繋がりを作っておいた

後々活用出来るとは思う」

 

「⋅⋅⋅⋅その為でもあったのですね」

 

兄上の言葉に姉上は感嘆のため息をもらす

無理もないとは思う

 

自分達の目的を果たす事でも精一杯なのに、未来に向けての布石も兼ねているなんて

 

「やるからには徹底的に

且つ効率良く、だ」

 

淡々と兄上は口にする

 

「となりますと、オレルアンとの協力関係が築けるか否かでかなり状況は変わりますな」

 

「叶うならば戦力を整える間にオレルアンとの繋がりを確かなものにしたい

これはタリス王とも共有した共通の認識だ」

 

「オレルアンは大丈夫なのだろうか?」

 

私の懸念に

 

「さてな

ドルーアがどれだけオレルアンを評価しているのか?でかなり変わるだろうさ」

 

「では我等は引き続き訓練を重ね」

 

「俺はタリスの防衛力強化などを」

 

「私と姉上は様々な事を学ぶ」

 

私達は頷き合った

 

 

 

 

 

 

 

----

 

 

 

 

「ところで姉上」

 

「何かしら、マルス」

 

「ゲレタさんとの間に子供はつくらないのですか?」

 

「マルス!」

 

姉上を応援したのですが、怒られてしまいました




途中まで書いていたから筆が進む進む


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