汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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欧州情勢は複雑怪奇

そうある人物はかつて口にした




利敵行為と
売国であると

謗られ、詰られる事もあろう






しかし、それこそが戦争なのだ





(まつりごと)の意味

「やはり海上戦力は必要か」

 

「必要なのは事実でしょう

しかし、余りにも急ぎ過ぎたが故に危険性から目を背けるのは如何なものかと」

 

タリス王は重臣達を同席させたゲレタとの話し合いの中で、自らの考えを示す

これに対してゲレタは賛同する事はなく、寧ろ危険ではないか?との懸念を示した

 

「問題となるか?」

 

「なり得る要素が多過ぎるかと

確かにタリスは島国であります。故に他国等との交易を行なう場合、海上輸送が必要

それを考えれば、海上戦力を整備するというのも1つの手段ではありましょう」

 

居並ぶタリスの重臣達にも分かる様に話を組み立てる

 

「資金、資源、人材

それらの面の問題もありましょう

⋅⋅⋅⋅ガルダの海賊の懐柔。確かに良い話に思えますが」

 

ゲレタは一呼吸入れると

 

 

「それによりタリスを取り巻く情勢が悪化する事を覚悟した上での話ならば、と」

そう言いきった

 

 

 

 

----

 

 

「ゲレタ殿、失礼ながら存念を聞かせていただきたい」

 

「無論

仮にガルダの海賊を味方に引き入れたとしましょう

確かにタリスは強力な海上戦力を有する事になり、加えてタリス~ガルダ間の交易路も安定しましょう。更に治安も向上する事かと」

 

ゲレタの発言に皆が頷く

 

「⋅⋅⋅しかし、それにより割りを食う場所が必ず出てきます」

 

 

 

 

「彼等は山賊とは異なり、船を動かさねばなりません

となれば消費する物資や労力は山賊の比ではない

仮にタリスが懐柔したとして、彼等が満足出来るだけのものを用意するとなれば

民の反発を招かぬとは思えません」

 

「彼等は満足しないとなれば、容易に略奪へと走るでしょう

⋅⋅⋅⋅タリスやガルダか

或いは他の地域か」

 

息を飲む音が聞こえた気がした

 

「何せ彼等はタリス王国という大きな後ろ楯があるのです。何に憚る事なく悪逆に手を染めるでしょう

当然それに対する全ての怨嗟はタリスへと向けられる

そうなれば、たとえ彼等を切り捨てたとしてももう遅い」

 

「勿論、これは最悪の想定でしかありませぬが

この危険性を理解してなお懐柔されると言われるならばお止めしようがありませんな」

 

ゲレタの言葉にタリス王も

 

「⋅⋅⋅⋅それを聞かされると躊躇してしまうな」

と苦い表情を浮かべる

 

「信用とは積み重ねにございます

されど、失うは一瞬。これを忘れるべきではないかと」

 

声にならない声が周囲に拡がる

 

「国あっての民に非ず

民あっての国

それを忘れた瞬間から国は腐り落ち始めましょう

タリスはそうあって欲しい、私はそう願う次第です」

 

ゲレタはそう結んだ

 

 

 

 

 

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マルス達アリティアの者達はゲレタの勧めもあり、課題に挑んでいた

 

 

ゲレタはただ一人一人に鉢植えを渡し

 

「育ててみな」

とだけ口にした

 

 

 

これにどの様な意味があるのか?

カインは疑問に思ったが、ゲレタは自分達に様々な事を教えてくれている言わば教官とも言える人物

 

 

であるならば、これにもまた意味がある

そう考え、この鉢植えを育てる事にした

 

 

 

 

 

 

「⋅⋅⋅⋅枯れた」

 

カインとアベル。そしてゴードンのそれは枯れ果ててしまった

 

ドーガのそれは小さな花を咲かせたが

 

 

 

「この様に植物を育てると言うのは俺達が考える以上に難しい

この小さな鉢植えですら、そうなんだ

当然農家の苦労は察して余りあるだろう」

 

それは若い騎士達に衝撃を与えた

 

「更に言えば、作物を育てるにはそれぞれ適した時期がある

それを戦争などで逃せば、その年の収入が見込めなくなる事もあるだろうな

そうして食えなくなった者が賊に身を落とす」

 

「忘れるな

戦いによって命を落とす者の事を

それと同様に人生を狂わされる者達が大勢いる事を」

 

 

 

 

 

 

 

 

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「さて、意趣返しはせねばなりませんな

タリス王?」

 

「うむ。既にグラやグルニアには人を送っておる

少しずつで良い。だったな?」

 

「ええ

人は大きな怪我をすれば慌てて治療しましょう

しかし、得てして人は小さな傷に頓着しませぬ

その傷からも血が流れておりましょうに」

 

タリス王とゲレタは密談を行なっている

 

「『事実は小説より奇なり』

綺麗事で国が

民が守れるかね?」

 

「グラのジオルは長くあるまいな」

 

「元よりグラは政情が安定していないと聞きます

攪乱にはなるかと」

 

タリス王とゲレタは口元を歪め

 

「どうやら我等を蛮族と蔑む者達の中では素晴らしい考えがあると見える」

 

「で、あれば

その理屈で民を納得させられるのか?

見ものですなぁ」

 

そう嗤った

 

 

 

 

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エリスは悩んでいた

 

 

元々ゲレタへの想いは胸に秘めたままにするつもりだった(約一名以外にはバレバレの模様)

それが弟の後押しを受けて、想いを告げた

 

それ自体は弟に感謝せねばならないと思う

恐らく自分だけならゲレタとの別れを受け入れ、長い事枕を涙で濡らし続けていただろうから

 

 

 

しかし、弟の言葉

 

「ゲレタさんとの間にこどもを作らないのか?」

 

 

実はこの言葉にエリスはかなり揺れた

婚約者

実質夫婦となったのだ

 

考えなかった訳ではない

 

 

その事をゲレタに素直に言ってみたところ

 

「⋅⋅⋅⋅色々言いたいことはあるが

一先ず俺やエリスの感情を抜きにしての話をしよう」

と言われた

 

 

 

 

 

「エリスとマルスはアリティア王家の生き残りだ

となれば、どちらかが国のトップとなる。そうしなければアリティアの再建も覚束無いだろうな

ファルシオンだったな。アリティアに伝わるそれの使い手に優先継承権が与えられるならば、マルスが後継者となり、自然アリティアの次代はマルスとシーダの子供になる」

 

「そうです」

 

「が、此処でエリスと俺が子供を作ると非常に面倒な事態が発生するよな?」

 

「それは、確かに」

 

「エリスの子供となればアリティア王家の血を受け継ぐ事になる

しかし、アリティアの正当後継者はマルスとシーダの子供だ

生まれてすらいない、な」

 

その言葉を聞いて背筋がゾッとしました

ゲレタさんは私をゆっくり抱き締めて、落ち着かせます

 

 

 

「どれだけ俺やエリスが教育しようとも、まず間違いなくこっちを担ごうとする者は出てくる

何せ、次代としては自分の方が早く生まれたのだからな

マルスとシーダの子が生まれれば、自分は王族とはいえ本流ではなく庶流の者として扱われる

自分より年下で、しかも自分よりも劣る者。それに素直に従えるか?

勿論、それは早く生まれたからこそのものであったとしてもな?」

 

「だから、エリス

悪いとは思うが、まだ子は作るつもりはない

それがアリティアの未来の為となるからな」

 

「⋅⋅⋅⋅ゲレタさんは、私との子供が欲しくない

と言うわけではないのですね?」

 

「率直に言えば、まぁ欲しいが」

 

「なら、それで良いです」

 

私はゲレタさんの胸の中で目を閉じました




そろそろ年代スキップした方がいい気がしてくる





気がつけばもうすぐ100話
たまげたなぁ

エリスルートのイチャイチャ(努力目標)

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