汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
更新再開の進物に御座る
「どうしたものですかな、陛下」
「悩ましい話だな、これは」
タリス城内では国王と重臣達が集まって頭を悩ませていた。珍しく
彼等が頭を悩ませている重大な案件、それは。
「ゲレタ殿の身寄りが居らぬとは」
そう、先日アリティア王女エリスとの
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なんだ、そんな事か。
そう思われるやも知れないが、かなり重要な話である。
ゲレタの人柄は様々なところで話し合いや政策などの提案などでタリスの重臣達も理解している。
若干、ひねくれた部分もある様に思えるが、それは単に自己評価が低いのではなく、その様な性格由来のもの。そう受け取っているし、場に合わせた立ち振舞いも出来る事から問題視する者はいない。
タリスの中で最もゲレタとの関わりの多い国王からすれば、手のかかる息子というよりも同年代の者と接しているような気分にさえなる程。
であるからこそ、王や重臣達はエリスとの婚約を祝福するし、事情が許すならば盛大な婚儀を開いても良い。とさえ思っていたのである。
「親族が居らぬとなると、面倒な事になる。か」
「ですな。アリティアが再興すれば、マルス王子が国王となります。となれば、その姉君であるエリス王女の夫ともなれば」
タリス王の深いため息と共に吐き出された言葉。それに誰もが表情を暗くする。
無論、彼等もゲレタの強かさは知っている。早々言質を取られる様な事も、マルス王子の立場を危うくする事もないだろうとも。
が、この場にいる者の中には組織や国のゴタゴタに嫌気がさしてタリスに移住してきた者もいる。
組織の中には『他者を乏し、蹴落とす事でのしあがる』者も存在する。そして、その手の人間は往々にして、周囲を囲い込んだりする術にたけている。
ゲレタの出自について、タリス王やこの場に居る者達は本人の口から知らされていた。
曰く、この大陸の人間ではない事を。
狂人とゲレタを断ずるには、余りにも理性的な言動が目立つ。更にゲレタの纏う衣服は異常にすぎる。
その上豊富な知識や高い知見を持っているのに、大陸では当たり前の常識を知らない事も多々あった。
…まぁ、明らかに女馴れしていない事については彼等も
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「しかし、それを公言する訳にもいかぬ」
タリス王の言葉に皆深く頷く。
この大陸の人間ではないとした場合、それを問題としてエリスとの婚約を認めない者が出てくるだろう事は予想出来るのだから。
王族の伴侶ともなれば、権限はともかく影響力を王家に持つ事も不可能ではない。
特にゲレタはマルスやシーダに様々な知識を渡し、経験もさせている。
それこそ、マルスにとっては義兄であり、師でもあるとすら言えるだろう。アリティアを再建するとなれば、その知識などが大いに役に立つ筈だ。
そうなれば、嫌でもゲレタが影響力を持つのは避けられまい。
仮に出自が定かでなければ、それを名目にエリスと引き離すか。それとも
「私が名乗り出ても。
…上手くはゆくまいな」
「シーダ様の事があります故、それは難しいかと」
仮にタリス王がゲレタの義父となれば、ゲレタの身の回りの事はある程度解決しよう。
その代わりに
今度はタリスがアリティアを支配しようとしているなどという荒唐無稽な話が出てくる事になるだろうが。
「ままならぬな」
タリス王達の悩みは尽きなかった。
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「あ、おじちゃんとお姉ちゃんだ!」
「こ、こら、お前達なんて事を」
その頃、ゲレタとエリスはカシムの家を訪れていた。
カシムとしては、命の恩人でありアリティアの王女であるエリスの婚約者でもあるゲレタ。彼の時間を自分の為に使わせるのは憚られたのだが、未だ病床の身である母の体調の事を言われると断りきれない。
カシムや弟妹達も何とかゲレタの作る料理を真似しようとしてはいる。のだが、やはりゲレタの作るソレに比べると怪しいところもあった。
更にカシムは家族の生活を支える為に基本日中は狩りに出ていた事もあって、妹はともかく幼い弟達からよく思われていなかった。
ゲレタは面倒見が良く、弟達とも良く話し、時に遊びにも付き合ってくれている。弟達は親しみからなのだろうが、『おじちゃん』とゲレタを呼び、ゲレタもそれを笑って受け入れている。
当の本人は
「まぁ、ちとばかり老け顔で強面なのも事実だからなぁ」
と笑って、エリスも楽しそうに微笑んでいる。
その為、カシムとしても怒ろうに怒れないのだった。
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「いつもありがとうございます。
それにカシムを取り立てていただいて」
「まぁまぁ、今は御自身の体調を戻すことだけを考えて下さい」
母の謝罪を笑って受け入れ、妹と共に母の為の食事を作っている。
…個人的には、少し寂しそうな顔をなさっているエリス様を思いやって欲しいのだが、妹が出来るようになるべきなのもあって、言い出せない。
「おじちゃん、畑行かないの?」
「これを作り終わったら、カシムお兄ちゃんとおじちゃん。それにお姉さんと一緒に収穫しような?」
「はーい!」
弟達はゲレタ様の言葉にそう笑い、はしゃいでいる。
「おっきい!」
「すごーい!」
裏手の畑で弟達は土だらけになりながら、それでも楽しそうに作物を地面から抜いていた。
「おじちゃん!見て見てー」
「おっ、良く獲れたなぁ。偉いぞ」
「お姉ちゃん、これあげる!」
「貰っても良いの?
ありがとう」
弟達はゲレタ様やエリス様に自分で収穫した作物を見せたり渡したりしている。
…本当に御二人には何度感謝してもしきれないと思う。
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「やっぱりカシムの弟達は元気で良いな。
あれだけ元気だとこっちも元気になる」
「そうね。楽しかったわ」
カシムの家から城へと戻る私とゲレタ。
私の手元にはカシムの弟さんから貰った野菜がある。
本当に今までした事も、見た事さえない事を私は体験している。
最初はカシムの家にはゲレタだけで行っていたのだけど、私が我が儘を言ってこうなっていた。
子供達の笑顔も見て嬉しい。けど、私はあんな風に子供達と楽しく過ごしている彼の姿が本当に好きだ。
まだ先の話だけど、私との子供が出来たなら
あんな風になれるのか?
そう
マルスと私。それにシーダさんにジェイガン。
私達に色々な事を話して聞かせる時の真剣な顔
タリス王や重臣達と話をする時に見せる、真剣で何処か差し貫く様な鋭さのある顔。
子供達と楽しく過ごしている時の楽しそうな顔。
そして
私と2人きりの時にだけ見せてくれる優しそうな顔。辛そうな顔。
私はそんな貴方を愛しています。
…ゲレタ
貴方との子が出来た時、貴方はどんな顔を見せてくれるのでしょうか?
ゲレタ回でした。
アンケートを取るので宜しければ御協力下さいませ(五体投地)
エリスルートのイチャイチャ(努力目標)
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いる
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いらない