汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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強さとは?


強さの意味

「っし、ここまでにするか」

 

「は、はい。ありがとうございました」

 

「」

レナが安全靴を手に入れた翌日。

彼女の姿はゲレタとエリスと共にオレルアン城の南にある山の麓にあった。

 

確かにレナに護身の術を教えるとゲレタは言った。

が、先ずは基礎体力の向上をせねばならない。

 

加えて、足技とは槍は勿論剣よりも射程において劣る。実戦で運用するとなれば、決して好ましいものではない。

あくまでも、『抜かずの刀』(最後の切り札)との認識を忘れてはならないのだ。

 

ゲレタの様に相手を視線や動きで誘導して、相手の武器を奪い取る。などと言うのはかなりの危険が伴う。

ゲレタの場合、今後『アリティア王子の義兄』という相手の冷静さを奪い取る材料があるから成立し得るものなのだ。

 

 

間合いが詰まれば詰まる程、相手の攻撃が当たるまでの時間は短くなる。当然思考時間もなくなるわけで、相手の心理の読み合いが発生するのだ。

先のゲレタとビラクによる模擬戦闘において、ビラクが動き以上の消耗を強いられた理由はここにある。

現にレナは言葉すら話せない程に消耗していた。

 

 

対策をされたならば、効果はかなり落ちるのだ。

 

 

まぁそれは相手を根絶やしにすれば何の問題も無いわけなのだが。

 

 

 

原作において、メディウスの復活の生け贄として選ばれた4人。

エリス、ニーナ、マリア、レナ。

勿論、そんな事をさせるつもりは更々ないが、物事に絶対は存在しない以上は何らかの手段は講じておかねばならないだろう。

 

正直なところ、個人の感情を吐露しても良いならばメディウスやミシェイル王の味方をしたいとは思う。

が、既に自分はアリティアの人間となったのだ。ならば、自分の思想よりも守るべきものがある。

 

 

メディウス。アンタの嘆きや悲しみ。怒りが理解できるなんて宣う気はない。

が、アンタを倒したならばせめて、あの神殿にあの武器は返す様に尽力する。

 

 

息を切らしたレナと此方を見て微笑むエリスを見て、俺はそう誓った。

 

 

----

 

 

 

「そうか、ニーナ王女が」

 

「はっ、どうやらアリティアのマルス王子の軍とオレルアン騎士団が合流したと」

 

「……」

男は思案する。

この戦争にドルーアの義はないだろう。

 

男の心情としてはドルーアと即刻手を切り、アカネイアと共にドルーアを打倒すべきではないか?と考えてはいる。

が、それを自分が口に出したとしても国王陛下には届かないだろう。

仮に陛下に届いたとしても、大臣たちは猛反発するのは目に見えていた。

 

 

男は悩み続ける。

 

 

----

 

 

「ごめんなさいね。時間がかかってしまったけど、物資は集まったわ」

 

「各地の民や組織に反発されない程度で物資を集めてくれ。そう頼んだのは此方だからな。

謝る理由はないだろうよ」

アンナの報告にゲレタは問題ない旨を伝える。

 

 

 

珍しい人物

それがアンナがゲレタに最初に抱いた感想だった。

目の前の人物はエリス王女の寵愛を受けて成り上がった人物の筈だ。

となれば、今は何がなんでも功績が欲しいだろう。此処で活躍すればマルス王子の覚えも良くなり、アカネイアを解放すれば

或いはアリティアを取り戻すまで存在をアピール出来たならば、この人物の栄達は間違いないものとなる。

 

にも関わらず、自分に対して

 

 

「先方に無理させない程度で構わない。

その代わり件数はこなして貰う事になるが、各地の商人や有力者に顔を売れるなら利益になるだろ」

と指示をした。

確かに私の商人としての名前と顔は覚えられた。それは間違いなく自分にとっての利益になるだろう。

 

 

 

成り上がった人物と言うのは往々にして、自分よりも下の立場の人間に対して威圧的になる事が多い。

才覚はあっても、上手くいかない者は幾らでもいる。

 

折角得た好機とは思わないのだろうか?

 

 

 

「ねぇ、あなたは何を目指しているの?」

 

「平和だな。休戦期間じゃねぇ。

明日を誰もが迎えられる」

 

「理想論ね」

ゲレタの言葉に思わずアンナは語気を強める。

 

「ドルーアの侵攻前は確かに戦争は無かったわ。

それでも平和とは到底言えない緊張状態。出来ると思えない」

 

「そうだな」

あっさりとゲレタは認めた。

 

「少しずつでも変えていかなければならない。変わらないから、時間が掛かりすぎるから。

それでは何も変わらない。それどころか、悪化し続けるだろうな」

 

「そうしたら、商売もやりづらくなるんじゃないか?」

変わり者だが、此方の事情もある程度考慮してくれるのだから、下手に対応できない。

 

「マルス王子やニーナ王女にハーディン殿とも話し合い、輸送隊を任せる事を承知して貰った。

経歴としても、功績としても不足はないと思うが、どうする?」

ゲレタの言葉にアンナは苦笑して

 

「それで断れるなら此処に居ないわよ」

とゲレタの手を取った。

 

(長い付き合いになるかも知れないわね)

そんな確信めいた予感を感じながら。

 

 

 

 

 

なお、エリスは何時もの様にアンナと仲良くしていた事で膨れっ面となり、これから先も床を共にする事を受け入れさせた。

 

 

----

 

 

 

「お待たせして申し訳無い。ウェンデル司祭」

ゲレタはオレルアン城の牢に捕らえられていたウェンデルと話をする事となる。

 

 

 

若い。しかし、油断できない人物。

それがウェンデルが受けた印象だった。

 

「…些か思う事がありますか?私に対して」

その言葉を自分に向ける時点で相手がある程度自分の事を理解しているのだと、ウェンデルは察する。

 

「そうですな。確かに思う事が無いとは言いません。

私の弟子マリクはアリティアのエリス王女を守る為、修行を重ねておりましたから」

 

「…マルス王子から話は聞いております。

が、謝るつもりも必要もないと思っていますよ」

ただ事実のみを淡々と語る。

そこにマリクへの蔑みなどは見て取れない。

 

「マリク殿の行く先に心当たりはありますか?」

 

「…いや、私はマルス王子の元に駆けつけているとばかり」

 

「そうですか」

深いため息を吐く。

無理もないだろうとは思う。下手をすれば、面倒な事になるのは明白なのだから。

 

 

 

 

 

「ウェンデル殿。

私は少し気になる事がありまして、宜しければお聞きしても?」

私は少し戸惑いながら

 

「構いません。知っている事ならば」

そう応じた。

 

「カダインの魔道士の教育とは、どの様なものなのでしょうか?」

それは私の予想とまるで違う問い掛けだった。

 

 

それが私の人生の岐路となるとは思いもせずに

 

 

 




と言うわけでマリクは合流しておりません。
魔法の戦力が居ないけど、なんとかします。

エリスルートのイチャイチャ(努力目標)

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