汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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賛否両論あると思いますが、突き通します。



皆さんにひと言









ゲレタは戦場の外でこそ本領を発揮します


力と心

「カダインの魔道士の教育とは、どの様なものなのでしょうか?」

ゲレタ殿の言葉に私は息をのんだ。

 

「ああ、別にカダインの教育のノウハウを此方の参考にしようとは思っておりませんので、ご心配なく」

 

「では、その質問の意味はなんでしょうか?」

私は息を整えて、ゲレタ殿に問う。

しかし、私は理解していなかったのだ、この人物の事を

 

 

「魔王ガーネフ。

彼の者はミロア司祭を害したと聞き及びます。

話によると、ガーネフと亡くなったミロア殿は同門だったと。

古の大賢者、白き賢者ガトーの、ね?

その時私が受けた衝撃は恐らく誰にも理解できないだろう。

 

「カダインの師弟関係とはどの様なものだったのでしょうか?」

目の前の人物は言葉を変えて私に問いかける。

 

「何故、それを」

それはカダインに属する魔道士の中でも口外してはならぬ話。

仮にこれが世の中に広まれば、カダインの魔道士は周囲から憎悪の視線を浴びせられよう。

 

 

かの『白き賢者』ガトー。

アリティアの勇者アンリに道を示し、暗黒竜メディウスを打ち倒す為の武器、ファルシオンを授けた伝説の人物。

しかし、彼の人物は存命であり、アカネイアの司祭であったミロアの師である。

 

が、ドルーアによるアカネイア侵攻により全てが変わった。大賢者ガトーの弟子でありながら、闇を抱えていた事でミロアにカダイン一の魔道士としての立場を奪われ、ガトーの後継者の証たる光魔法オーラ。

その継承すら認められなかったガーネフ。彼の者がドルーアに与し、ミロア司祭を殺害。現在のカダインはガーネフの支配下にある。

 

これはこれ以上ない醜聞であり、カダインの象徴たる大賢者ガトーに対する明確な裏切りだ。

私のようにある程度の事情を知るカダインの魔道士には箝口令。つまり口を閉ざす事を余儀なくされた。

 

私はその罪の意識に耐えられず、マケドニアに捕まる事を選んだ。

 

 

 

 

「さて、現実逃避の時間もそろそろ良いでしょう?」

ゲレタ殿は先程までと全く異なる感情を全く感じさせない瞳で私を見ていた。

 

「…はい」

 

「ああ、ご心配なく。これを積極的に喧伝してカダインの評価を落とそうとは考えておりません。

申し訳ないですが、そこまでの労力を割く理由もありませんので」

 

「…ただ一つだけ伺いたい」

断る事は出来ない。間違いなく

 

「なんでしょうか?」

 

「力を授ける意味。

それをカダインの方々は理解しておいででしょうか?」

私はそれに答える事が出来なかった。

 

 

 

 

 

----

 

 

「予想通り、か。

嫌になるねぇ。あれが大陸唯一の魔道士育成機関とは」

自室に戻ったゲレタは心底不愉快そうに吐き捨てる。

 

「ま、あの超越者気取りの御老人にはそれ相応の最期を遂げて貰うとして」

ゲレタは引き出しから黒い手紙(・・・・)を取り出すと、その中身を流し読む。

 

「原作知識なんてもんに頼るのは不本意極まるが、そうも言ってられん。

魔王ガーネフ。(白痴の)賢者ガトー。

弱者の戦い方ってのを見せてやるぜ」

 

ゲレタは不敵に笑った。

 

 

----

 

 

アンナが戻り、補給体制も磐石となった事を受けて、マルスはハーディンとニーナ王女、そしてオレルアン公と話し合いの場を設け、アカネイア奪還の為にオレルアンを出る事を決定。

 

その席でニーナはアリティア軍の後方要員として戦う事を初めて口にする。

 

 

これはニーナの我が儘であり、相談したゲレタは烈火の如く怒りを露にした。

 

気持ちは理解できる。が、それは多くの者に苦労をかける事だ。

アカネイアを解放したとしても、まず間違いなくマルスはそれについて非難される、と。

 

それでもニーナは譲らなかった。

その結果、心から信頼している師ゲレタに見放されたとしても

 

ゲレタも彼女の決意の固さを知り

 

「後方で兵の治療に専念。その条件でマルス達と話をつけろ」

それだけ言い残し、彼女の部屋を去った。

 

あの日以降、ゲレタは一度としてニーナの部屋を訪れる事はなかった。

ニーナは孤独で心が押し潰される様な感覚に襲われていた。

 

それでも、彼女はこの場で発言したのである。

 

 

----

 

マルスとしては、ニーナ王女の気持ちは痛い程理解できた。

仮にアリティアを取り戻そうと言う時に、前線から外されたとなれば、同じ事をするだろう、と。

 

その場で目を瞑り沈黙している兄を見るが、何もなかった。

 

軍議前に兄から

 

「俺の仕事は此処までの手配だ。指揮官はマルス、お前なのだから」

と言われていた。

 

兄がニーナ王女の教育係的な役割を果たしている事は知っている。

ニーナ王女と会うたびに姉が兄に色々条件をのませている事も

マルスがそんな現実逃避にも似た思考に逸れていた時

 

 

「少々宜しいか?」

とハーディンから声がかかった。

 

 

 

----

 

 

「ハーディン、何かあるのか?」

オレルアン公がハーディンに問い掛ける。

それは明らかに彼を咎める響きを持っていた。

 

アカネイア解放に伴う軍事行動。その指揮権はマルス王子にあり、あくまでもハーディンはアリティア軍の一指揮官として動く。

 

それはマルス達とハーディン等が協力してアカネイア解放に当たると合意した時に定められたもの。

そして、今回の話は『ニーナ王女がアリティア軍の一員として従軍したい』と言う内容。

 

となれば、その決定権を有するのはマルス王子をおいて他にない。ハーディンに発言する権利はないのだ。

他にあるとすれば、ニーナ王女の教育係であるゲレタ殿だが、ゲレタ殿は沈黙を保っていた。

 

 

(これもまたニーナ王女とマルス王子の学びとされるか)

 

これからニーナ王女とマルス王子には様々な問題が立ち塞がるだろう。それを思うと、その選択も確かに無くはないのだろうと公は思う。

 

そして、その問題に明確な答えはない。

自分の選択が正しくなる様に様々な所と協議し、調整するのが必要となる。

その最終決定はトップの仕事であり、それが出来ない者は家臣たちから軽んじられるのだ。

 

地位や血に従う者もいるが、真剣に民の事を考え行動する者も確かにいるのもまた事実。

 

 

まだニーナ王女もマルス王子も間違える事を許される立場。

 

 

失敗する事もまた経験。

本人達は真面目で善良な人物だからこそ、なのだろう。

 

心もまた鍛えねばならないのだ。

 

(本当に得難い人物を身内とされたな、マルス王子)

公は少し羨ましく思った。

 

 

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「あなたって容赦のない人間って言われないかしら?」

アンナはゲレタに苦笑混じりでそう訊ねる。

 

アカネイア解放の為の兵を動かす事がマルス王子の口からされた。

それにより、アリティア軍輸送隊を指揮するアンナは忙しくなる。

 

事はなかった。

その辺の見通しについては、ゲレタから聞いており、混乱や遅滞なく準備出来る様に整えていたのだから。

 

 

「別働隊なんて、何時から用意していたのよ」

アンナの言葉にゲレタは不敵そうな笑みを返す。

 

 

アンナは各地を回って物資を調達する事になったのだが、ゲレタからもうひとつ頼み事をされていた。

 

その返答がゲレタに渡した黒い手紙。

その人物の使者からは

 

「母からの物です。

ゲレタ様にお伝えして下さい。総て貴方の指示のままに」

と言われた。

その表情には嫌悪感も疑心も見られなかった。

 

 

「そりゃあ、腐っても大陸最大の国家だったアカネイアを滅ぼしたドルーアとその威に従う選択をした国家群。タリスの全面協力を取り付けていたとしても、戦力的な不利は否めない。

有象無象だとしても、その数は脅威。なのに、メディウスを始めとしてガーネフ、ミシェイル、カミュと強敵揃いだ。そんな状況で正面から戦いを挑む必要も理由もない」

 

「…それはそうでしょうけど」

アンナは言葉を濁す。正論ではあるのだから。

 

「『謀多きは勝ち、少なきは負ける』

彼等の統治政策が巧みなら通じない話だが、そうではない。これは戦争だ。騎士の戦いとは違う事を未だ理解しない者が少なからず存在する」

この言葉を聞いて、ゾッとした。

目の前の人物は根本的にドルーアやマケドニアなどの指導者と違うのだと。

 

「俺は戦働きが苦手でな。

他のところで活躍する。それだけさ」

 

(とんでもない人物と誼を通じちゃったわね)

そう思うアンナ。しかし、彼女の口元は楽しそうに弧を描いていた。




魔法とは武器を使って戦う以上に精神を鍛えねばならないと思うのです。


歴代FEにおいて、黒幕として動く者に魔道士が多いのも自らの心の闇に囚われたのではないか?と

力を求める事が悪いとは思いません。
しかし、そうであるからこそ、それを制御する心もまた鍛えねば、と。







余談となりますが、本ルートのタリスでは恐らく戦後サッカーに似たものが出来るのではないかと思う次第。

エリスルートのイチャイチャ(努力目標)

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