汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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暗躍無双。


(理想)を求めし者

「改めまして、ゲレタ様。エレミヤにございます

貴方のお陰で私や子供達は道を誤る事なく生きていけます。

ついては、私どもをゲレタ様の幕下に加えて頂きたいと」

 

グルニア軍との激戦を終えたマルス達アリティア軍。

沖合いから支援射撃を行なっていたタリス王率いるタリス軍とは既に挨拶を終えており、タリス軍は帰途に着いた。

 

 

因みにマルス達は知らないが、タリスにマルス達が滞在していた頃、ゲレタはタリスの国力増強に勤しんでいる。

それに対してタリス王はゲレタに報酬を払っており、そこからエレミヤ達への支援を行なっていた。

 

 

エレミヤの子供達は全て行き場を失った孤児であり、幾度か書面での交流を行ない、彼女はゲレタの目的が恋人と義弟の故郷アリティアの解放にあると察した。

 

そこで度重なる支援への恩返しとして、ゲレタに各国での煽動や諜報の為の人員派遣を提案。

その提案をゲレタはタリス王と協議し、タリスは人員を派遣した。

 

その一方で、この時期からエレミヤはゲレタへの返しきれない大恩。それに報いる為に狩猟などを行なっていた子供達を中心として戦闘教育を実施。

更に頭の回転の早い子供を各国に潜伏させたのである。

 

仮にゲレタに伴侶が居なければ、それこそエレミヤはその人生全てをゲレタに捧げただろう。

それが叶わぬとしても、子供達と共にゲレタの為に働く事を彼女はこの時点で思い定めていた。

 

 

幸か不幸か、目的であるアリティア解放。

それが果たされたとしても、民が居なければ話にならない。

ならば、自分達の居場所を解放されたアリティアに移す事でゲレタへの恩返しと子供達の健やかな生活。その二つを両立出来るのではないか?との考えに至った。

 

 

そして彼女達は此処にいるのである。

 

 

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マジかよ。

ゲレタはエレミヤからの重すぎるそれに内心では顔をひきつらせていた。

 

確かにエレミヤの子供達。そのなかでもローロー、クライネそしてアイネの実力は決して低くない。

エレミヤに至っては数少ない杖による回復と魔道士としての高い能力を持つ。

この時期においてならば、それこそ大陸最強格と言っても過言ではない。

 

 

確かにそういう邪心がなかったとは言わないが、エレミヤとその部下達がガーネフの手駒とならない為に行なった策のひとつに過ぎない。

 

 

いやまぁ、本音を言えば彼女達の協力を受ければ、それこそ出来る事の範囲は格段に広がるのは確実。

 

最近ニーナ王女もかの者のあり方にかなり疑問を抱いているらしく、あの時の事を思い返しては苦い表情をする事が増えている。

あの様子だと、かの騎士達の行なった事がどれだけ国の為を思うならばすべきでなかった。と感じている事だろう。

 

となれば、彼女次第でかの者にとっては最悪の方法で排除する事も可能となる。

かの者を除いて、それでも尚戦意を維持出来るのならば、あらゆる手管手段を用いて封殺しよう。

 

 

残酷な話だが、大陸全土を巻き込む大戦なぞ一度で充分なのだから。

 

 

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結局、ゲレタはエレミヤの願いを受け入れる事となり、彼女達はアリティア軍へと編入。戦いの得意ではない者についてはアンナの指揮する輸送隊に組み込んだ。

 

 

 

 

「兄上はやはり狙っていたのですか?」

マルスの確認とも取れる言葉に

 

「そうだな。

タリス王からの返信。それが決め手となった」

ゲレタはあっさりと認めたのである。

 

 

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「狙った、とは?」

ワーレンからマルス達アリティア軍への協力として派遣されているシーザは口を開く。

 

「…やはりそうでしたか

ゲレタ殿はタリスで我々に言っておられましたから、可能性は高いと私も感じてはおりましたが」

オグマは得心がいった。とばかりに頷いた。

 

「…まさか、誘い込んだのか?」

ハーディンは思わず口に出す。

 

「そうだ。

これから我々はアカネイアの各地でマケドニアやグルニア。或いはドルーアと戦闘を繰り返さねばならない。

しかし、戦闘になれば敵は拠点を有し、我々はその拠点と敵軍を倒さねばならぬ」

 

「攻める側は守る側の3倍の兵力が必要。

という奴ですな」

ジェイガンも深く頷き発言する。

 

「多少大袈裟ではあるが、本来攻め込む側はそれくらいの不利を強いられる。そう思って良い筈だろう。

更にこの地のグルニア軍を撃破したとて、敵の脅威は下がろうが後方と遮断される危険は残り続ける。

そこで、オレルアン公や重臣の方々にもお願いして一芝居うった」

ゲレタの言葉にあちらこちらから感心した様な声が漏れる。

 

「当初ハーディン殿はオレルアンを解放した以上、敵の体勢が整う前に戦うべき。そう仰った」

 

「故に時間を置いた訳か。

間違いなく我等を脅威と見なしたグルニアが兵を集めさせる為に」

 

「そう。

これがマケドニア相手ならば、寧ろ悪手だった。

マケドニアは天馬騎士や竜騎士を多数擁する以上、情報伝達の速度や部隊の展開力において我々を凌駕するからな。

最悪なのは、グルニアにマケドニアが助力する事だったが」

 

「それを否定される何かをゲレタ様はお持ちだったのですね?」

エレミヤは確信している様子で訊ねる。

 

「幾つかある。

第一にマケドニアの前線指揮官『紅い竜騎士』ミネルバ

彼女がこの戦争に対して懐疑的と判断できるからだ」

 

「それは?」

 

「オレルアンにおけるマケドニア軍の動き。

ハーディン殿の話では当初ミネルバ王女とその配下の騎士もオレルアン攻撃に参加していた。そうだな?」

 

「うむ、相違ない」

 

「オレルアン城を陥落させておきながら、彼女は砦に逃れたハーディン殿達を追撃しなかった。

オレルアン攻めはニーナ王女の命を奪うか、その居場所を失くす為のものだっただろう。

にも関わらず、彼女は退いた。直ぐ目の前に戦争を終わらせるものがあったのに」

 

「…それは、ミネルバ王女が兄であるミシェイル王に反発しているからではないでしょうか?」

ニーナは自分の考えを整理しながらも、意見を出す。

 

「可能性は否定するべきではない。

が、そうなると何故アカネイアを滅ぼし、敵対勢力の殆どを打倒し自国の安全を守ったミシェイル王に反発するのか?」

 

「となれば、グルニアと協力するとは考えにくい、か」

 

「ドルーアと共にアカネイアを滅ぼしたマケドニアとグルニア。

しかし、各地の戦闘の報告などを読むと両軍が協力して敵と戦う。というのは調べた限りでは見つからなかった。ドルーア軍がいる時は両軍同じ戦場に居たらしいが」

 

「確かにそこまで聞くとグルニアの軍勢を集めて叩くのは有効そうに思えてくるな」

ナバールも唸る。

 

「グルニアの指揮官は無能ではなかった。

寧ろ有能と言えるだろう。だからこそ、これからアカネイアの中心地に向かうまでのグルニア軍の戦力は相当減じたと見て良い。

マケドニアのミネルバ王女。彼女はこれから戦いに集中出来るのか、それさえ怪しくなるだろう。

マルス、彼女達が此方に降ってくる可能性も考えられる。その場合どうするか考えておくように」

 

「降る、とは?」

ゲレタの言葉にハーディンは訝しむ。

 

「ドルーアにとっては、ようやく追い詰めたニーナ王女。それを戦力を出し惜しんでむざむざと逃がした挙げ句、アカネイアにその者達が戻ってきた。

ドルーアはそんな失態を許すかな?」

 

 

 

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「では、我々にお預けいただけると?」

 

「ええ。占領した拠点内にあった物資。聞けばこの周辺の民やワーレンから徴収したものだと

なら、少なくなったとは言え戻すべきではないでしょうか?」

マルスの言葉にワーレンをまとめている人物は相好を崩し

 

「ありがとうございます。

これについては、私が責任を持って民に分配致しますぞ」

と恭しく頭を下げた。

 

 

ドルーア軍を撃破したマルス達は敵の指揮官カナリスの守っていた拠点を捜索。そこで軍の食料を発見。ゲレタの助言を受け、マルスはニーナ王女と共にワーレンに足を伸ばした。

 

「ニーナ様、マルス王子。我々は1日も早いアカネイアとアリティア再興を心よりお待ちしております。

ご武運をお祈りしておりますぞ」

 

 

 

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「これも食える。少し時間をかけて煮込む事になるけど」

 

「そうなんか?」

マルスとニーナがワーレンの代表と話をしている時、ワーレンの町中ではエレミヤの子供達が住民に食べれるものについて説明していた。

 

マルス達も全力で取り組むとは言えども、アカネイアの解放は先の話。

となれば、その間アカネイアの民は困窮に喘ぐ事になるのは避けられない。

 

ならば、少しでも食べるものについての知識を広めておく事により、民の不安と不満を和らげる。

そして、エレミヤの子供達もまた特殊な環境で生きるしかなかった。その為、自己肯定感や周囲と溶け込む事が難しい者もいた。

 

そこでゲレタはそれらの解消の一手として、エレミヤの子供達による野草などの知識の拡散をエレミヤに提案したのである。

 

 

現在マルス達は行軍ルートの選定とその地域の偵察の為に留まらねばならない。

そこで、戦闘後の後始末を民と共に行なう事をマルスとハーディン。そしてニーナへ提案。

 

死体は放置し続ければ腐敗し、その土壌を汚す。更にその死体を獣などが狙って群がる事も避けねばならない。

数が少なければ、狩人や猟師が獲物を狩る狩り場にもなるが、限度があるのも事実なのだ。

 

寄ってきた獣はカシムやクライネ達により仕留められ、それがワーレンの町へと卸される。

 

この一連のマルス達の行動はワーレンやその周辺の民に好意的に受け止められる事となった。

 

 

「戦争ってのは勝てば良い話にはならんよ。

勝ったとしてもグラの様に国内が乱れる事もあり得る」

勿論、これらは全てマルスとニーナに向けて行なったものであり、二人もそれを良く理解し、学び取るべく必死になった。

 

ニーナへの座学もゲレタは再開しており、そのひた向きな姿は新たなアカネイアに希望を抱かせるものに映った。

 

 

 

 

言うまでもなく、エリスは物凄く拗ねた。

それはもう過去一番で、マルスをして

 

「あんな姉上を私は見たことがない」

と言わせる程に。

 

 

それも無理はない。

エリスからすれば、ニーナに対する教育だけでも少し(エリス基準)心配なのに、その上容姿の整ったエレミヤがゲレタに心酔しているのだから。

 

勿論、エレミヤはゲレタの為になることならば喜んで行なうが、エリスを悲しませるつもりはなかったのだが。

 

 

なおエレミヤとカシムは意気投合する事となり、ゲレタの側近として活躍していく事になる。




今日の更新は此処まで。

いやぁ、ノリと勢いで走っている割には中々愉快な事になってて嬉しい限り。

エリスルートのイチャイチャ(努力目標)

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