汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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怒涛の更新。筆が滑ってたのし~



なお別シリーズからキャラ名を借りました。
まぁ、レイがいるから許されるでしょ?



感想を貰うとモチベーションが上がって筆が進む。


捧げるもの

「それは本当なのか?」

 

「ええ。ニーナ王女はアリティアのマルス王子やオレルアンの騎士ハーディンと共に(・・)アカネイアを解放するべく此方に向かっている。

そう私はワーレンの者から聞いておりますよ」

 

「…そうか」

アカネイアの王都の古びた酒場の奥で金髪の美丈夫と少し草臥れた格好をしている者。二人は声を潜めて会話していた。

 

「良い事を聞いた。

ならば、我々もニーナ様をお迎えする為の準備を早めねばならないな。

情報、感謝する」

金髪の美丈夫、ジョルジュは感極まった面持ちで、席を立った。

 

 

 

「何も見えねぇアレ(・・)が、大陸一ねぇ」

そんな嘲笑にも似た呟きを聞く事なく。

 

男、いや少年ジュルメは母と慕う人物の命により、この町に潜伏していた。

命令は単純(シンプル)

 

あの方(・・・)のいるアリティア軍』がアカネイアを解放する手伝い

だった。

 

 

彼や仲間達が母とも慕う女性。

その母と自分達を困窮から救い出してくれた顔も名すら定かではない人物(ゲレタ)

 

他ならぬ命を救ってくれたかの御仁こそが、母や自分達にとっての唯一無二の騎士。

 

先程まで話をしていた人物など、騎士などと名乗る事すら恥ずかしくなる程度のもの。

 

 

国を守る?

守れていない。

 

ニーナ様を助ける?

そのニーナ様はお前達に支えられる事なく、アカネイアを解放しようとしている。

 

 

「気楽なもんだな、名ばかりの騎士サマは」

ジュルメは侮蔑を隠す事なく、酒場を後にした。

 

 

少年の言葉は虚しく酒場の中に響く。

 

 

----

 

 

アカネイア、ノルダにて

 

 

「ありがとう、助けてくれて」

 

「いえいえ。私は私達の恩人に恥じぬ行動と選択をしたに過ぎません」

魔道士であるリンダは奴隷となった自分を助けてくれた恩人、ケネスに礼を言った。

 

「恩人?」

 

「ええ、私や仲間達。

そして母と慕う方。その総てを遠き地にありながら救ってくれた我等の光。

私達はその光に恥じぬ様、その光が(かげ)る事の無い様、陰からお支えするのですよ」

リンダの質問にケネスはそう心底嬉しそうに答える

 

「そんなに大きな恩を受けたの?」

ともすれば、常軌を逸した狂気とすら言える言葉にリンダは恐る恐る訊ねる。

 

「私達は孤児であり、母は女手ひとつで私達を育てようと、守ろうとしてくれました。

しかし、この忌まわしい戦争により、私達は明日をも知れぬ生活を送る事となったのです。

私達は飢え、母はそんな私達を見て心を壊しかけた。

そんな時にあの方(・・・)は私達を助けて下さった。私達にあの方へ出来る事など無いと言うのに」

リンダは耳を疑った。そして、そんな都合の良い聖人君子がいるのだろうか?と疑問にも思う。

 

「構わぬのですよ」

リンダの疑問を察したのか、ケネスは穏やかな顔で告げる。

 

「これは我等の誓い。あの方に斯くあれと望まれた訳でもない。

仮にあの方が我等を利用しようとしたとしても、我等は確かにあの時救われ、今私は此処にいる」

その姿は神への信仰を語る聖職者にリンダは見えた。

 

「…ねぇ、ケネス。少し話を聞いて欲しいのだけど」

その光に自分も惹かれたのだろうか?

不思議とリンダはケネスに話をしようと思った。

 

 

 

----

 

 

アカネイア解放に向けてマルス達アリティア軍はその歩みを進めていた。

 

「さて、どうなるかね?」

 

「ゲレタ様。私も多少手を打っております。

あの子達なら、ゲレタ様のお力になるかと」

ゲレタの言葉に傍に控えるエレミヤは口を開く。

 

「頼りになるねぇ。

策は幾らあっても良い。それが下手に干渉しないなら」

 

「…ゲレタさん。恐らくアカネイア貴族や騎士は

………当てにならない。そう考えた方が良いと」

ニーナは控え目に、だがそう主張する。

 

因みに師弟関係にあるゲレタとニーナだが、公的な身分においてはニーナが上となる。その為、ニーナは不本意だが、この様な話し方となっていた。

 

 

「上に立つ者が己の為に壊して良いものと許されないものの区別はしろ。

そろそろアカネイアの騎士やら貴族やらも合流するだろうからな」

ディール要塞を出る時、そうニーナは話をされた。

 

それは彼女にとって、好ましいものと言えない。

しかし、彼の期待を裏切るのは、彼に教わったものや彼。そして自分を助け、支えてくれる者への最大の裏切りに他ならない。

 

 

心の奥底で確かに感じる痛み。

それでも彼女はその道を往くと決めた。

 

 

 

----

 

 

「先に言っておく。

俺がマリア。お前さんに物事を教える理由も義理も、ましてや義務もない。

それでもお前は俺から学ぶ事を選んだ。止める気も、権利もない。好きにしろ」

私はあの人物、ゲレタさんから様々な事を学ぶ事を選んだ。彼に対する苦手意識は間違いなく、ある。

でも、マルス王子やニーナ王女などの教育を任されており、その結果を出し続けている。それをマチスから聞いた。

 

彼はマケドニアの人間に辛く当たるのではなかった。聞けば、護身の師として鍛えられているシスターレナ。彼女はマチスの妹であり、マケドニアの人間。

彼女にも話を聞いたが、初めて出会った時はそれはもう驚く程冷淡に色々と言われたらしい。

 

「でも、ゲレタさんは努力し続ける人はキチンと見ています。

分かりづらいですけど」

と言われ、私は決心した。

 

多分、私の方がまだマシに見られているのだろうから。

 

 

 

心を決めた私はその足でマルス王子に願い出た。

敵国の王女であり、自覚も覚悟もなかった。

 

それでも、マケドニアの民の未来だけは守りたい、と。

 

マルス王子は私の言葉を聞いて、暫くの間目を瞑り考え込むと

 

「ゲレタは私の大切な家族であり、これ以上の負担をかけたくはない。

それでも、マリア王女。貴女がゲレタの教えを必要とするなら、私の姉エリスと話をして欲しい」

と話をしてくれた。

 

 

 

 

エリス王女との話は本当に殺されるか、とすら思わされるものだった。

 

そして私は改めて兄や国に守られていた事を痛感。

 

 

それでも、私は進まないといけない。

マケドニアの為にも

 

 

 

----

 

 

「ミネルバ様」

 

「すまない、パオラ、カチュア」

 

「いえ、その様な事は」

私達はマルス王子から先行偵察を命じられた。

 

 

 

----

 

 

ディールで私と姉。そしてミネルバ様とマリア様は己の見識のなさを突きつけられた

 

 

あの日、私も姉も食事すら喉を通らなかった。

私達の行動がマリア様を。そしてミシェイル王やマケドニアを追い詰める事になるなんて、思いもしなかったのだ。

 

「そうして悲嘆に暮れても生きていける。

貴女達は恵まれていますよ。…それこそ憎らしい程に」

私と姉に食事を運んできた金髪の少女はそう言って食器を置いて立ち去った。

私達を一度も見ようともせずに。

 

 

翌日、私と姉。そしてミネルバ様は先日私達に様々な事を話した人物。ゲレタ殿にもう一度話を聞きたいと願い出た。

勿論、私達の勝手でしかない。

 

しかし、私と姉にミネルバ様は何が出来るのか?何をして良いのかすら分からなくなっていた。

 

 

だが、それに対する返答は簡素で

そして、冷淡なものだった。

 

「時間の無駄だ。俺はそんな暇など無い」

私達の方を一切見る事なくそう告げるだけ。

 

 

立ち尽くす私達に

「戦闘のセンスはあっても、政治や外交のセンスは壊滅的だな。

まぁ一介の指揮官なら、それでも許される。

が、お前達はなんだ?」

視線を手元の書面に向けたまま、私達に問いかけた、

 

 

「…王女、だ」

 

「国の重鎮達やミシェイル王に言われんかったか?

少しは(まつりごと)について学べ、と」

 

「…」

ミネルバ様は答えられない。それは事実なのだから。

 

「笑い種にもならん。

好きな事、得意な事だけをやって王族としての責務を果たしたと思っていたのか?

しかも、己が望んだ前線指揮官としての任務すら満足にこなせないときた」

それでもミネルバ様や私達を見ない。

 

「分からないから間違いを平気で犯せる。

この際だから言っておくが、グルニアの黒騎士。知っているだろう?」

 

「ええ」

 

「実に下らない人物だ。

アレがグルニアの誇る理想の騎士と言うのなら、余程グルニアの民や国王達の目は曇っていると見える。

俺にはワーレンで戦ったグルニアの指揮官の方が余程立派に見えたがな」

何も言えない?

 

「アレはニーナ王女を助けた。

…それで?」

その声色は冷ややかだった。

 

「あの時点でアレもお前達もドルーアに従ってアカネイアと戦った筈だ。

ドルーアはアカネイアを滅ぼし、王家の全てを根絶やしにするつもりだった。ミシェイル王やグルニア王はドルーアの暴威から国と民を守る為に全てを飲み干してその道を選んだ。

しかし、下らない情に流された名ばかりの騎士どもに全ては引っくり返される」

その淡々とした感情を感じさせない口調が何よりも恐ろしかった。

 

「そして、これを俺が口にする。

その意味が分かるか?」

 

「ま、まさか」

 

「空を駆ける天馬騎士や竜騎士には地を歩く者の気持ちが理解できないらしい。

国王に信頼され、グルニア一の騎士サマにも。

だからな?

教えてやろうと言うのさ。お前達が何に支えられているのか?その恐ろしさを

動けなかった。それだけは止めねばならない。そう思っているのに、足が動かない。

 

「騎士や戦士、剣士でも良い。

殺せるのは精々数人程度。政治とは、情報とは時に100を超える人間を殺せる猛毒」

その言葉に私は我慢出来なくなった。

 

「カチュア!?」

 

「やめなさい!」

ミネルバ様と姉さんが制止しようと声をかけるが、もう止まれなかった。

 

 

しかし

 

「アホか」

(おもむろ)に立ち上がった相手は

 

「泥臭い戦い方ひとつ知らん小娘に獲られる命はねぇよ」

その言葉の直後、私は腹部に強い衝撃を受け

 

 

 

 

「ガハッ、ゴホッ」

 

「今のは不問としてやる。

力の意味も理解してないお前達には、やはり掛ける時間も情けも要らんな」

必死に呼吸を整えようとする私にそう告げたのだった。

 

 

 

 

----

 

 

 

その言葉通り、私達はあの人物。ゲレタ殿と関わる機会を失った。

 

マルス王子は私達にも丁寧に接してくれるし、アリティア軍の人達も他の者と変わらず接してくれた。

ただ、私達姉妹とミネルバ様は軍の方針を決める話し合いに参加は出来るが、発言する事は許されなかった。

 

それは奇しくもオレルアンのハーディン殿の口から私達に伝えられる。

マリア様はゲレタ殿の傍に居られたが、ゲレタ殿は一度としてマリア様に声を掛けようとしなかった。

 

 

 

そうして、私達は偵察任務を言い渡される。

本来ならば、複数人による偵察は無駄と言われているのに。

 

武器も道具も用意される。

だが、それ以上のものはなかった

 

 

 

 

 




というわけでエレミヤの子供達としてジュルメとケネスを採用しました。
ちょい役だし、ええやろの精神。


因みにケネスの一人称が変わっているのは仕様です。
狂信者っぽくしたかったので。





政治にも外交にも振り回されず戦える。良かったね、ミネルバ?(微笑み)

エリスルートのイチャイチャ(努力目標)

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