汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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歩み続ける者と足を停める者

それは必ず別たれる時が訪れる


成長

オレルアンより発したマルス王子率いるアリティア軍。

 

彼等は様々な者達の協力や支援を受け、遂にアカネイアの中心。アカネイア・パレスに辿り着こうとしていた。

 

 

アカネイア国内のグルニア軍はワーレンにおける敗戦のダメージから未だ立ち直っておらず、マケドニアもまた王女ミネルバとマリア。そしてミネルバ配下のパオラ、カチュアまでもアリティア軍に合流。

ペガサス三姉妹の末妹エストが率いるマケドニア軍もアカネイアの辺境。アカネイア解放の障害となり得るのはパレス付近に展開しているドルーア軍とパレス内にて守備についているドルーア軍のみ。

 

 

此処にアカネイア解放の為の戦闘が始まろうとしていた。

 

 

 

----

 

 

「ようやく、ですな」

 

「そうだね。

でも珍しい地形だ。三方を山に囲まれ、東側以外の進軍経路はないみたいだね」

ジェイガンは安堵のため息を

マルスはその異質とも言える地形に、進軍計画を頭の中で組み直している。

 

「流石は名の知れたマケドニアの竜騎士と天馬騎士、か」

詳細な地形の情報を持ち帰ったミネルバ達の活躍を複雑な面持ちで認めるハーディン。

 

「先ずは体勢を整えるのですね?」

 

「それが肝要かと」

祖国解放を目の前にして、逸る気持ちを抑えるニーナ。そんな彼女の姿にハーディンは確かな彼女の成長を感じていた。

 

 

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「初めてお目にかかります、我等が光。

私の名はケネス。母エレミヤに育てられた者にございます」

 

「…まぁ呼び方について、細かい事を言うつもりはない。公的な場でそれを口にしない。

その分別はあるみたいだからな」

嘘である。本音を言えば、そんな仰々しい呼び方は謹んで辞退したい。が、それが彼等の士気向上に繋がるのであれば、飲み干す他ないだろう。

 

少しのやり取りで解った。確かに彼は『使える』人間なのだと。

あのエレミヤが人選して潜伏させるだけの事はある。そう感心させられる。

 

「ゲレタだ。

今後お前達の母エレミヤと共に俺の指揮下で働いて貰う。構わないか?」

 

「願ってもない事にございます。

我等が光の為に働けるとは」

…どうやら異存はないらしい。だが

 

「ケネス。最優先で守って貰う命令がある

……決して命を粗末にするな。お前にもしもの事があれば、エレミヤだけでなく悲しむ者がいる。

それを約束できるな?」

 

「しかとその御言葉賜りました。

…ではグラ、ですな?」

 

「話が早いな。そう、グラへ向かってくれ。

ジオルの地盤を崩せ。徹底的に、容赦なく」

下手に温情をかける事は許されない。

 

「では、現在動いているジュルメも共に?」

 

「そうです。

ケネス、貴方はジュルメと共にグラ王国へ向かい、ジオルに対する不信感を煽りなさい。

手を汚す必要はありません」

 

「わかりました、必ずや」

 

「それと、ケネス。

『特徴的な靴』を履いている男がグラにはいる。

今俺が履いているこれだ」

エレミヤの話に俺は続ける。

 

「…確かに余り見ないものですな」

 

「その靴を履いている者が居れば、まずさりげなく靴の甲の部分を踏め。そして、こう呟け

「海と山」」

俺の言葉にケネスは無言で頷き、そのまま北へと去っていった。

 

「潜ませていたのですか?」

 

「折角のエレミヤからの提案だったからな。

便乗させて貰った」

 

「油断のない人」

俺とエレミヤは愉快そうに笑いあった。

グラのジオル。別にアンタを恨みはしない。

が、裏切りがお前だけの専売特許ではない事を教えてやるさ。

 

 

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「ニーナ様、ご無事でしたか」

 

「ジョルジュ。生きていたのですね」

ゲレタがケネスと話をしている頃、マルス達の所へ到着した集団があった。

大陸一の弓使いの異名を持つアカネイアの騎士ジョルジュとその部隊。

 

「は。恥を忍んで生きておりました。

我々もパレス奪還の為に協力させて頂きたく」

ジョルジュのその言葉にニーナは

 

「それはこの軍の指揮を任されているマルス王子に伝えるべきでしょう」

と返した。

 

「し、しかし。

…いえ、承知しました」

一瞬不満そうな表情を浮かべたが、その表情は直ぐ消える。

 

 

「弓兵ばかり集めた集団で戦えるの?」

 

「まぁ、私達の様な特殊な例でなければ無理ではないでしょうか?」

ジョルジュの去った後、ニーナは思わず自分の護衛をしているカシムに問いかけ、その答えを聞くと

 

「…つまりマルス王子達を盾にする。

そういう事ですか」

憂鬱そうに溜め息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

同時刻、パレス付近

 

 

「どうした!」

 

「シュ、シューターが破壊されております!」

 

「馬鹿な!まだ敵はこちらまで来てない筈!」

 

ドルーア軍は混乱の最中にあった。

南の山の向こう側、つまりマルス達アリティア軍の進軍ルートへ一方的に攻撃すべく配置していたシューター三基。その全てが破壊されていたのだ。

 

これでは相手の戦力を削れないばかりか、唯一の進軍ルートである東側からの攻撃の足すら止められなくなった。

 

 

 

 

「流石は我等が騎士」

山を越えながら、少年ジュルメは自分に向けた指示の内容を思い返し、ドルーアの不甲斐なさを嗤っていた。

 

彼は夜中、闇に紛れてシューターの基幹部分を破壊。そのまま悠々と撤退したのである。

 

「俺達が接近したとなるとあちらも警戒を強める。

なら、俺達がパレス付近に布陣する前に破壊して欲しい」

仮にも寂れた修道院にて生活していたジュルメだ。

山の中に入っては獲物を狩る日々を過ごしていた彼は夜目がきく。

 

 

「終わったのか、ジュルメ」

 

「楽なもんさ。で、どうした?ケネス」

 

「我等が光からの指示だ

グラへ向かう」

ジュルメは笑って

 

「なら食糧の調達は任せな」

とケネスと共にアカネイアを離れるべく歩きだした。




リンダは次回。


そろそろ彼も出番

エリスルートのイチャイチャ(努力目標)

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