汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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マケドニアばかり虐めてもなんだし、ね?(ニッコリ)


誇り(驕り)

「貴殿がゲレタ殿か」

 

「そうだが?

…確かジョルジュ殿だったか」

パレスの城門を守るショーゼンを倒したマルス達アリティア軍。

 

マルスはドルーアによる反攻の可能性を危惧。最も頼りになり、敵にとって『全く読めない』であろう義兄ゲレタとその部下達を城外に残し、後顧の憂いを排除。

パレス内にいるであろうドルーア軍を倒し、アカネイアを解放する為に城内へと突入した。

 

 

ゲレタはカシムをマルス達に同行させ、エレミヤとエリスを中心とした者達で警戒と共にパレス付近の片付けを行うべく動き出した。

 

そんな中、ジョルジュはゲレタに声を掛けてきたのだ。

 

 

----

 

 

「随分と険しい顔の様だが?」

 

「今後、あのような戦いをして貰っては困る。

事はマルス王子の風評のみの問題ではない。ニーナ様やアカネイアへの悪影響となる」

ジョルジュは険しい表情のまま言い放った。

それは明らかにゲレタを見下した態度であり、傍にいたアイネは思わず魔法を使うべきか悩む程

 

「それはそれは

大変ですな。体裁以外に誇るものがないと。

いやはや、得心がいった。貴殿程度の人物が優秀と持て囃されるなら、アカネイアは滅ぶべくして滅んだのでしょうな」

 

「なに?」

ゲレタの慇懃無礼という言葉をそのまま言動にて示した事にジョルジュの眉間に皺が寄る

 

「口だけ立派な騎士もどきサマが宣うな。

武力もなく、教養もなく、恥すらない。それがアカネイアの騎士道とやらか?

貴殿やその部下はこの場に突っ立っているが、うちの連中はすべき事をしているぞ?」

 

「…死体処理など」

ジョルジュの言葉に

 

「恥知らずのものも知らぬ青二才が、偉そうにものを語るなよ。ジョルジュ隊?名前だけは立派だが、所詮前に自分達を守る者がいなければ、逃げるだけの腰抜けだろうが」

 

「距離をとらねば弓は戦えぬ」

 

「そして無様を晒した訳だ。此方はきっちりやるべき事は果たした。

そもそも、何様のつもりだ。後で聞いたが連携について何一つ話がなかった。自分達に合わせるとでも、思ったか?

二年間あった。その間何をしてたよ?

あの醜態からして、鍛練一つマトモにしていた様には思えん」

ゲレタの言葉にジョルジュの口数が目に見えて少なくなる。

 

「ああ、心配しなくても良い。

貴殿らの働きは正確に報告させて貰う。ニーナ様やこれから集まってくるであろう貴族達にも、な?」

 

「それで、騎士ジョルジュとやら

その誇り()とやらで何がしたいんだ?何ならマルス王子やニーナ様に上奏しても良い」

ジョルジュは唇を噛み締めるのみ

 

吐いた唾は飲み込めぬ。その大言壮語、確かにアリティア軍軍師ゲレタが聞き届けた

茫然自失となったジョルジュ隊を尻目にゲレタは町からやって来た民へと指示を出すべく動き出した。

 

 

 

 

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「と、こんな事がありましてな」

ゲレタの報告にパレスの一室に居並ぶ者達は顔をしかめた。

彼等はパレスがマルス達によって解放された事を聞き、戦勝の祝いと共に遅参をニーナに詫びに来た貴族達。

 

その中でも特に顔色の悪い人物がいた。

 

 

ジョルジュの父ミニディ侯爵ノア。

彼はアカネイア解放の立役者となったマルス達アリティア軍について詳しくはなかったが、調べてパレスへと遅参している。

 

故に目の前の人物について、他の貴族や坊主などより遥かに理解している。その危険性も

 

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アカネイア解放の先駆けとなったワーレン付近におけるグルニアとの大規模な戦闘。

この場に居るはずのない勢力が参戦していた。

タリス王国軍の海上戦力。

 

確かにマルス王子はタリスのシーダ王女と婚姻関係にあるとは聞いている。

しかし、辺境の国家タリスにその様な戦力が用意出来るものだろうか?

 

彼は他の事は後回しとして、タリス王国についての調べを進めさせた。そこで判明したのがタリス王国において盛大に執り行われたアリティアの王女エリスの婚約祝いだったのだ。

別にそれは不思議ではないだろう。

 

タリス王の娘であるシーダ王女とマルス王子の婚約の際にも同じ事が行なわれていたならば

しかし、そうではない。

 

 

となれば、エリス王女の相手はタリス王でも粗忽に扱えない者なのではないか?彼はそう考えた。

 

 

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(馬鹿者が!下らぬ見栄の為に家を潰すつもりか!)

ノアは思慮の足らぬ息子に心底腹を立てていた。

 

「申し訳ない」

ノアが頭を下げると貴族達はざわめいた。

だが、そんな事に構っている暇はない。

 

「頭を上げて貰いたい。

ミニディ侯の息子の不始末だとしても、既に彼は騎士としての叙勲を受けている。

…そうではありませんか?」

ゲレタの言葉に貴族達は一様に頷く。

 

「まさか成人した、しかも畏れ多くも騎士として受勲した者の不始末をその親に問う。

これこそ、笑い種となりましょう」

 

「しかし、大言壮語の責任は取っていただく。

マルス様より伺ったが、何でも牢に繋がれていた騎士の一人が威勢の良い事を口にしていたと

…そうですな?ボア司祭殿」

 

「た、確かにそうだが」

口ごもるボアに

 

「おや?私は複数の者に確認を取ったうえで、この場で質問しているつもりなのですが。何か認識や事実に相違でもありましたか?」

ゲレタは穏やかに言葉を重ねる。

 

「ミディア殿は少し冷静ではなく」

 

「…なるほど。

冷静さを欠いた挙げ句、救出に来た私の騎士を侮辱した。そう仰るのですね」

そう。ミディアはパレス内での戦闘中にカシムを侮辱したのだ。

 

 

「ただの平民が私に指示すると言うのですか!」

 

 

カシムはマルス達がタリスで鍛練に励んでいた2年の間共に鍛え、そして今まで頼れる仲間として数多くの功績を挙げてきた。

そして、アカネイアの軍師たるゲレタ唯一の騎士でもある。

 

知らなかったで通る話でもないし、そもそも捕らえられていた彼女は弱っており、その状態での戦闘は彼女のみならず彼女をサポートせねばならなくなる者達をも危険に晒す愚行。

 

ゲレタの言葉を聞いた貴族達はボアに白い目を向ける。

元々ボアはアカネイアの宮廷における祭事などを取り仕切る司祭。

教会の代弁者としての発言など前国王が見逃していたから問題とならなかったに過ぎないのだ。

 

 

----

 

「我が娘が申し訳ない」

ミディアの父ディール侯爵シャロンは土下座をせんばかりの勢いで謝罪した。

確かに目の前の人物はミニディ侯を許した。

 

しかし、己の騎士に対する侮辱は貴族社会において最大級のそれにあたる。

あのバカ娘は知らぬだろうが。

 

 

そしてノアとシャロンが何より恐れるのが、ニーナ王女の不興を買うことだった。

 

ジョルジュにせよ、ミディアにせよ何も解っていない。

アカネイアの騎士は国王により叙勲されるもの。

 

それは間違いない。

しかし、騎士は犯した罪によっては騎士としての立場を罷免される事があるのだ。

それが殆ど起きないのは、叙勲した国王が罷免したとなると、国王の権威に傷がつくから。

 

しかし、ニーナ王女は今までその様な事とは無縁だった。つまり、叙勲させた事はなく、今のアカネイア騎士にその資格なしと断ずれば。

 

 

特にアカネイア唯一の聖騎士であるミディア。彼女は騎士を束ねる立場となる身分。

であるならば、その責任もまた重い。

 

 

----

 

ボアもようやくミニディ、ディール両侯爵の異常とも思える行動から危険なものを感じたらしく。

 

「ミディア殿には必ず騎士カシムとその主君であるゲレタ様に謝罪するように説得しますので」

と言葉を翻した。

 

彼もまたニーナによって罷免される危険がある事に思い至ったのだ。

 

「いえいえ、その様な事は無用。

心の籠らぬ謝罪など川のせせらぎより遥かに聞くに堪えませぬ。

それにその謝罪は私の騎士カシムに向けたものではありますまい?」

 

「強者に阿り、弱者はいたぶる。

これがアカネイアの騎士たる証なのですね。田舎者故に学ばせて頂いた

ミニディ侯、ディール侯。安心されよ。貴殿らに罪はないのだから」

ゲレタはこれ以上の話し合いは無用。と話を打ち切った

 

 

 

 




と言うわけで感想の意見を一部採用しました。
この場を借りてお礼申し上げます。

叙勲と罷免の話は勿論オリ設定です。
でも普通にあると思うのですが。



今日の更新は此処まで
皆様おやすみなさい。

エリスルートのイチャイチャ(努力目標)

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