汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
それがゲレタの教育方針。
「さて、お集まり頂けた様で何より」
部屋の主であるゲレタはこう口を開く。
この部屋にはミニディ、ディール両侯爵。アドリア伯ラング。マケドニアの王女ミネルバ。彼女の直属の騎士パオラ、カチュア。そしてミネルバの妹でマケドニアの王女マリア。
そしてゲレタの騎士たるカシムと腹心のエレミヤ。妻となるエリスが揃っていた。
その顔ぶれに疑問を持つ者もいるが、ゲレタの纏う空気はそれを許さない。
「エレミヤ」
「はい」
ゲレタは言葉短くエレミヤに指示を出し、彼女はそれを手早く行なう。
それは大きな壺だった。
この壺は今回ゲレタのする事に必要である為に、マルスやニーナに頼んで調達してもらったもの。
そこにエレミヤは水を注ぎ込む。
ゲレタはエレミヤにそれを任せ、口を開いた。
「これから皆様には見てもらう」
と
カシムはゲレタの視線を受け、部屋の隅にあった布を取り外す。
「石?」
誰かがそう呟いた。
それは確かに石だった。
大小様々な、同じ形がひとつとてない石。
「これをこれからひとりひとり積み上げて貰う」
その言葉に誰もが困惑したのである。
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「さて、これで一通り皆したわけだが、ミネルバ王女はどう感じたか?」
「難しい。まずそれに尽きる。
それに積み上げれば積み上げる程、安定感は失われる。
私は比較的最初の方にやったのだが、土台となる下を丁寧に積むのが効果的ではないだろうか?」
私は声に出さない様に必死で内心の歓喜を抑え込んでいます。
ゲレタ様の考えが何となく見えてきたから。
視線をカシムやエリス様に向けると、御二人は懐かしそうにそれを見つめていました。
…嗚呼、やはり貴方は
身体は歓喜に震え、私はこの方の為にこれからもたゆまぬ努力と献身を捧げる事を改めて誓いました。
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「ディール侯は?」
「情けない事ではあるのだが、ミネルバ王女の言われた事以上の考えは私に浮かばなかった」
ゲレタの問いにノアは恐縮した面持ちで答える。
ゲレタは皆を見回した後、壺に目を向けた。
その壺にはエレミヤの手により溢れるギリギリのところまで水が注がれていた。
そして、ゲレタはその壺の側面を軽くその足で小突く。
「何を」
思わずパオラが声をかけるが、時既に遅く
壺はゲレタの蹴りにより
そして、程なくその罅を中心に砕け、水が先程とはまるで違う勢いで流れ始めたのだ。
「これがこのままだと迎えるだろうアカネイアやマケドニアの未来だ」
ゲレタはそう告げ、皆が表情を凍りつかせた。
「先程皆にやってもらった石積み。
これは分かりやすく民と国や貴族との関係性を示したものとなる」
その言葉にラングは目を見開く。
「先程ミネルバ王女が口にした通り、土台なくば国と言うものは成り立たない。そして民はこの石の様にひとつとして同じ価値観を持つ者はいない」
「…民を軽んじれば、国はいつか崩壊する。
そういう事、なんだ」
マリアは少し掠れた声で呟く
「中々面白い積み方をしていたのがカチュアだったな。崩れない様に近くに支えとなるものを作ろうとした」
「…はい」
「確かにそれで国は延命出来るかもしれん
だが、今見た通りだ。
不満と言う水は捌け口が無ければ人々の中に溜まり続ける。それが溢れるのか?或いは何処かからその不満が爆発するのかは分からんが」
「…我等にはそれが足らなかったのですな?ゲレタ殿」
「それは各々の自覚と良識に任せる」
ラングの言葉にゲレタは足下に目を向けた。
その視線の先には濡れた石造りの床。
「そして吹き出した水や壊れた器は戻らない
器を直して使おうとも、以前程の固さはなかろうさ」
「何の為に我々は生き、そして戦うのか?
守るべきものを見失わない様にしたいものだ」
ゲレタは最後にそう結んだ。
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「さて、色々と遅れてしまってすまないとは思う」
「…いいえ。ケネスから聞いていたけど、貴方は忙しいのでしょ?
会ってくれるだけでも嬉しく思うわ」
ゲレタは話を終えると足早にその場を離れ、パレスの外でゲレタを待っていたアイネとクライネと合流。彼女達が用意していた馬に乗り、近くの村へと向かった。
そこでゲレタを待っていたのは、
栗色の美しい髪の少女。しかし、その表情は暗いものだった。
「私はカダインのリンダ。
貴方にお願いがあるの。私に父の仇を討てるだけの力を下さい」
そう必死に感情を抑え、震える声で懇願したのだった
感想まさかの1200件突破。
いや本当に嬉しいですわぁ。思えば此処まで良く続いたものと自分でも驚いております。
拙い物語ではありますが、付き合って頂けたなら、幸甚にございます。
最近、エリス様とのイチャイチャ少なくない?
と電波を受信したので、そろそろ書こうかと思います。
エリスルートのイチャイチャ(努力目標)
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いる
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いらない