汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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背後からの一撃。
それはどんな時代においても、必殺の一撃


狂乱への道

(面倒な事よ)

ドルーア皇帝メディウスは不機嫌の中にあった。

 

パレスを守らせていたショーゼンが敗れたのは、間違いなく予想外ではあった。が、それだけ。

 

 

手足(・・)が動かぬであれば、別に構わぬ。

滅ぼす対象が増えただけの事。

 

らしくなく、慈悲をかけたがそれも一度限り。

 

 

「ガーネフ」

 

「はっ」

 

「もう良かろう。所詮信用ならぬ者共に従っていた者達の末裔。

一度は機会を与えた。二度はない、良いな?」

 

「承知しました。直ぐに手配を」

 

「…そう言えば不釣り合いなもの(・・・・・・・・)を持って此方に降った者がいたな」

メディウスは目を細めると、

 

「力のみに囚われた愚物には、それ相応の末路が相応しかろう」

そう言い捨てた。

 

 

 

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物事には表の部分と裏の部分が存在する。

それは歴史であっても、変わらない。

 

アカネイアが所有していた絶大な力を持つ武器。パルティア、メリクル、グラディウス。

これ等は浅ましき盗賊によって奪われた竜族の秘宝。

 

 

竜族とは高い知性と戦闘力を兼ね備えたものだった。故に竜の秘宝は絶大な強さを持つが、対価を所有者に求める。

己を使うに値するもの(心の強さ)が汝にはあるか?と。

 

相応しいならば、その絶大な力を預けよう。

相応しからぬ者なれば、その対価を与えよう。

 

 

故にこそ、竜族が力を与える時には試練を必要とし、それとて血脈による継承を良しとしない。

聞くところによれば、遥か彼方の大陸にフォルセテイ達(変わり者共)がナーガと共に向かい力を授けたそうだが。恐らく向こうは碌な事にならないだろう。

 

 

力とは強靭な精神あってこそ、制御可能なものなのだ。

それが叶わなかったものの一つが、デビルアクス(魔に魅いられた呪物)

あれは無念の中で殺された者達の負の感情により高い殺傷力を得ている。

その代償に使用者が心を鍛えていなければ、それは使用者へと牙を剥く。

 

生者への怨念や憎悪が。

 

 

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「何れ滅びるならば、今滅びたとしても変わるまい。

己の掲げたものすらも守れぬなら、いっそ我等が滅ぼしてくれる」

この日、ドルーア帝国は同盟関係にあるマケドニア、グラ、グルニアの各国に使者を出し、その覚悟を示すように通告。

 

マケドニアに対してはミネルバ、マリア両王女。そしてミネルバ配下の三姉妹の裏切りを、

 

グラに対しては遅々として進まない軍の再編を、

 

 

そして、グルニアに対しては

 

黒騎士カミュとその配下の騎士の卑劣なる裏切りについて

 

それぞれ強い口調で詰問したのである。

グルニアに対して使者は更に続ける。

 

この事実を速やかにグルニア全土へ布告せよと。

 

 

 

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ドルーアはニーナを匿い、そしてアカネイアから逃がした者の素性を知っていた(・・・・・)。当然だろう、カミュやミネルバ達が蹴散らしたのはドルーア軍。つまり本来ならば友軍である筈の軍に襲われたのだ。

 

これは明確な裏切りであり、圧倒的少数であるカミュ達やミネルバ達がその全てを殺しきれる筈もない。

 

裏切りともなれば、ドルーアにとっては見過ごせるものではない。その為、ドルーア軍の一部は自軍(本来死ぬ必要のない者達)を見殺しにしてでも、真実を持ち帰る事を優先した。

 

 

それを知っていたからこそ、ドルーアはパレスを守るだけで動かなかった。

ドルーアは冷酷な瞳で見つめていたのだ。

 

彼等は真に信用足り得る者なのかと。

 

 

ワーレンにおける大敗を受けても、グルニアは動かず。

オレルアンを奪還され、ディールでの失態があったマケドニアも動けず

 

結果、アカネイアはマルス達により解放された。

 

 

ならば、その様な者達をいつまでも生かす理由はドルーアにあるだろうか?

 

これが最後の慈悲。

これでも動かないならば、ドルーア皇帝メディウスの名の下に全てを焼き払えば良いのだから。

 

 

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マケドニア王ミシェイルは即座に兵を集めると、アカネイアパレスを攻略すべく動く。

グラ国王ジオルはグラ国内における徴兵を強行。王女シーマの意見など聞くわけにはいかず、彼女を牢獄へと送り、軍の再編に取りかかる。

 

 

動きを見せる二国に対して、グルニア王国の動きは緩慢そのものだった。

国王からの問いにカミュは己のした事を認めた。

 

居並ぶ文官達はカミュに対して怒り

…いや、憎悪の籠った視線と言葉をぶつける。本来であれば、国王の臨席する場に相応しくない行動であった。しかし、ドルーアとの同盟締結の為に命をかけて交渉した彼等からすれば、あり得ない裏切りなのだ。

 

 

が、カミュを擁護する声が武官から挙がるとその場は殺気だった。

 

「…ドルーアと戦うとして、勝ち目はあるか?ロレンス」

国王のその言葉に場は凍りつく。

 

 

 

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「へ、陛下。何を言われますか」

 

「最悪ドルーアと袂を分かつ事もあるのではないか?」

慌てる文官に武官はせせら笑いを浮かべた。

 

「それはつまり

我等グルニア単独でドルーアと戦う。そう仰られるか」

 

「その様な事にはなるまい。ドルーアは敵を抱えている。アカネイアやオレルアン、アリティアのマルス王子率いるアリティア軍もそうだろう」

沈黙するカミュやロレンスをよそに文官と武官は半ば言い合いにも見える話し合いをしていた。

 

「それは我々の都合に過ぎないと何故分からぬ!

我等はアカネイアを一度ドルーアに与して滅ぼしているのだぞ!

その我等が今一度ドルーアを裏切り、アカネイアに与すると言って信じられようか!」

 

「だが、カミュ殿はニーナ王女の命を救っておられる。まさか、その恩を忘れるなど出来る筈もない」

 

 

 

激論を繰り広げる両者。それを見ているロレンスはカミュに声をかける。

 

 

「貴殿が如何なる心算でその様な事をしたのか、それは私に分からぬ事。

だが、貴殿のその選択が今こうしてグルニアを追い詰めている事は理解されよ」

 

「…ええ」

暗い表情で彼は答えた。

 

 

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グルニア王国中枢()激発直前でありながらも、踏みとどまれた。

それの良し悪しは置いておいて

 

 

だが、言うまでもないが喪われた命は戻らない。

カミュ率いる黒騎士団やグルニア国内の戦力は大した損害を受ける事はなかった。

 

しかし、そうでない者達も存在する。

ガルダへ派遣されたグルニア遠征軍と騎士カナリスが率いたグルニア軍だ。

 

 

彼等の家族達は悲しみに暮れ、嘆いた。

それでもそれを呑み込み前を向こうとする。

 

 

しかし

その死が全くの無意味であり、本来ならば出る必要のないものであれば、果たしてどうだろうか?

 

 

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タリス王とゲレタにより送り込まれた者は、周囲の者達に溢した。

 

「…なぁ、カミュ様がニーナ王女を助けたならこの国は何と戦ってたんだよ

と。

 

 

 

「人は辛いものや見たくないものから目を逸らそうとします。

それは決して責められる事ではないのかも知れません。

が、敵対する相手ならば、それはそのまま隙となります。あなたは何もしなくて良い。

彼等が目を背けようとするもの、それをあなたの言葉で突きつければ良い」

詳しい話は聞かなかったし、聞くつもりもなかった。

男にとって、タリスを変えたゲレタは恩人。それだけで命を張るに足る理由なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「騎士カミュ。貴方は思い違いをしておられる。

国は絶対であろうとも、国王は絶対ではない。貴方が剣を捧げたのは国王だとすれば

貴方はその為に民を手に掛けられますか?

 

遠き地から

過去から送り込まれた刃。その凶刃が振るわれた。

 

 

 

 

 

 

 




ニーナはカミュへの淡い想いと別れを告げております。
なので、ゲレタは思う存分かき回す事でしょう。


抑圧された感情。それは世界すら焼きつくす切っ掛けとなり得るもの。



















アカネイアの雑兵ひとくちメモ


実はかなり前から聖戦の系譜の作品を考えており、その中でライブと暴力を併用した拷問術を考えていた。

複数人の前で、1人を徹底的に痛め付け、回復し、心を折る。
なお、この際にリンダルートの『局部を魔法で焼く』事を思い付く。我ながら良い思い付きと自画自賛している

因みに解放軍ルートではなく、帝国ルートだった模様
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