汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
残念ながら、世の中は信頼を裏切った者に冷たいのです。
「アホなのか?」
「否定出来ないところが辛いところだ」
弟子であるニーナからゲレタの元へある事が持ち込まれた。それを一読したゲレタは呆れた様に言い捨て、詳しい話を聞くために呼んだジョルジュも苦い顔。
内容はアカネイア軍歩兵隊隊長アストリアの助命嘆願。かの人物は人質を取られていたが故にドルーアへと降った。
その人質を解放したのであれば、アカネイアへ帰参するだろう。今までの功績を鑑み、寛大な処置をすべきではないか?
そんな内容だった。
しかも差出人が教会の総本山。
「泣きついたのか、ボア殿に」
完全に呆れ返ったゲレタに対して
「…なんと言えば良いのか」
とジョルジュも言葉を濁す他にない。
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ジョルジュとミディアは婚約者だった。しかし、ミディアの都合でこれは破談となっており、それもあってジョルジュとミディアは実家との折り合いが悪い。ミディアの恋人であるアストリア。
彼は元傭兵でありながら、その実力でアカネイア軍の歩兵隊隊長になった人物。
アストリアはその武勇から『勇者アストリア』と呼ばれアカネイアの武の象徴とさえ一部では言われていた。
「冗談だろう。兵にとっての良い指揮官は勝つ指揮官ではない。
如何に犠牲を出さないようにするか?だ。部隊を率いる人物が恋人の命惜しさに敵に降る?
ふむ、どうやらアカネイアの常識は私に理解できない様だな」
「従えませんね、その様な方には」
「味方としても信用ならぬかと」
ゲレタの言葉にカシムとエレミヤも呆れた様子だ。
3人とも家族を守るためなら、手段を惜しまない。その様な事にさせるつもりはないし、仮になったとしたら
あらゆる手段を用いて取り戻そうとするだろう
仮に降ったとしても、何年も無為に従う事はあり得ないし、救出を全く関与しない等となればどうなるか分かったものではない。
「帰参したとしても、アカネイアでは使えんな。
が、そんな人物を此方が引き取る義理も理由もない」
なまじアカネイアで有名なアストリアだ。彼がドルーアへ降った事は知られない訳がないだろう。知られてないとしても、アストリアの帰参は必ず衆目を集めるだろう。
「しかし、よりにもよって教会を頼るとは」
ジョルジュも友人の軽率な行動に嘆息する。
ミディアとしては苦渋の決断だったのだろうとは思う。何せ父親であるディール侯爵は頼れなかった。正確には頼ろうとしたが、相手にされなかった。という方が正確だろう。
虜囚の辱しめを受けたのはまだ良いとしても、アカネイア解放の立役者であるアリティア軍。
その中枢を担うであろうゲレタ。その騎士を知らぬとは言え、侮辱したのだ。助けられた上で。
助ける訳にはいかなかった。
しかも、ミディアの立場が更に悪い。
ミディアは罷免されたが、
今のアカネイア唯一の
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騎士の受勲。それは本来神聖な儀式であり、受勲される側にとっての晴れ舞台。
それと同時に、覚悟を見定められる場でもある。しかし、それも真っ当な話。
騎士ともなれば、その責は騎士個人のみに留まらず組織にも及ぶ事すらあるのだ。
先代国王の時代には受勲の儀は形骸化し、定型句によるやり取りのみとなっていたが。
ましてや聖騎士ともなれば、本来国家を守るべき剣の象徴。ラング達貴族は
それだけ
ニーナはその原点に立ち戻ったに過ぎない。
勿論、自分を師の命を受けたとしても守ってくれたカシムと恩師に対して無礼を働いたミディアに思う事が無かったとは言わないが。
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騎士としての最大の恥である罷免をされたミディア。
とは言え、ミディアはアカネイアで初めて聖騎士に受勲された人物だ。
女性として
そして、ニーナもまたアカネイアの歴史の中で初めて女性でありながら、国を治める立場となった。
此処でニーナがミディアに温い沙汰を言い渡そうものならば、一部の者は挙ってニーナを批判しよう。
「ニーナ王女は同じ女性であるミディアを贔屓になさるおつもりだ」
と。
ニーナの真意はどうでも良い。
第三者からどう受け取られるのか?
それが重要なのだから。
それをゲレタから学んだからこそ、ニーナは苛烈で、ともすればやりすぎとも言われかねない判断を下した。
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その様な事情を知らないミディアは頼るべき人物に声をかけた。
それがボアだった。
しかしそのボアがパレスを離れ、教会の本拠地である総本山に戻った事を彼女は聞き、総本山へと向かう。
総本山でボアと話をした彼女は、同じく虜囚となっていたボアもまた苛烈な沙汰を受けた事を聞かされる。
ボアとの話の席に同席していた教会の人物から
勿論、そんな事はない。ミディアもボアも責められるところがあったから、責任を取らされたに過ぎない。
事実、同じく虜囚の身となっていたトムス、ミシェランにトーマス。彼等はアカネイア騎士団から追われること無く今も在籍している。
肩身はかなり狭いが。
ボアはそれを叶うならばミディアに伝えたかったが、それは許されない。
何せボアはアカネイアにおける教会の立場を悪化させた人物。
本来ならば、アカネイア再建において教会は更にその地位を更に高め、アカネイアの政治にも影響力を強められる。そう総本山は考えていた。
にも関わらず、ボアの軽率極まりない行動がそれを全て夢に終わらせた。
その上、パレスに典礼を司る司祭の常駐。それすら認められない沙汰を受けたとなれば、ボアに対する教会の者達が好意を持てる筈もない。
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そんな中でミディアの訪問だ。
正直なところ、聖騎士としてどころか、騎士としての立場を失った
確かに小娘に立場はないし、ニーナ王女の信を失っている。が、だからといって教会の立場が良くなった訳でもないのだから。
まぁそれはミディアの相談の内容を聞いて吹き飛ぶ事となったのだが。
相談を受ける立場となったボアも困り果てていた。
ニーナ様の信を失ったのは、自分達の軽挙によるもの。となれば、地道に信用される為に働く以外に道はない。筈なのだが、彼女にはそれが分からないらしい。
信を失った者が自分の意見を主張したとしても、それが受け入れられる筈はないというのに。
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しかし、教会の上層部はボアと全く別の結論を出した。
騎士ミディアの願いは正当なものであり、勇者アストリアの帰参を認めるのは『神の御心』に沿うものである。
と。
故に教会はこの書状をニーナへと送った。
何せ彼等の言う所の神、『建国王アドラ一世』は神竜から神託を受け、アカネイア聖王国を建国した。
大義はこれ以上ないものであると確信していたのだから。
それが、彼等にとっての最悪の判断となるとも知らないで
書状を受けたニーナは内心首を傾げ、自身の補佐をする事となったハーディンと話をした上で判断をくだす。
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そしてゲレタの元へソレが届く。
内容を読んでゲレタは冷笑を浮かべた。それはタリスからゲレタに仕え続けてきたカシムでも見たことのない。
心からの侮蔑が籠ったもの
「此処まで問題を大きくしたとなれば、いっそ焼き払うか」
ゲレタの物騒な発言に思わず
「焼き払う、とは」
ジョルジュは口を出してしまう。
が、控えているカシムとエレミヤはまるで動じない。
二人はゲレタの判断を信じている事もあるが、それだけではない。
ゲレタの判断の真意を読み取るには余りにも自分達の持つ
「ジョルジュ」
「はっ」
ゲレタの強い視線にジョルジュも緊張を隠せない。
「組織を作り替えるのは難しい。
ならいっそ叩き壊して、一から作る方が良い事もあると思うのだよ、私は」
ゲレタはニヤリと笑った。
作中でさほど役に立って無かった感の強い教会。
なら、別に要らないよね?
後で別の組織を作るから、『まともな人物』はそっちで活動して貰いたいと思うのです。
エリスルート完結記念の外伝
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いる
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いらない
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そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
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そんなことよりチキを出せ
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その他