汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
ゲレタが諸国を回っている間、マルス達とて安穏としている訳にはいかなかった。
アリティアの復興は勿論のこと、隣国グラへの対応やアカネイア、オレルアンそしてタリスとの貿易や各種支援の取り決め。国内、特にグラとの国境付近に多い賊の討伐。
アリティアの未来の、民の為にすべき事は山の様にあったのである。
書類などが苦手な者がいたとしても、アリティア軍に籍を置いていたものならば、それから逃げるべきではない。その事は理解している。
「苦手なのは仕方ない。が、逃げるな。
無知であれば、そこを上手く突こうとする者も出てこよう」
そう教わっているのだから。
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「カダイン、ですか?」
「ええ。そうなの、マルス」
マルスとエリスはお互いの持つ情報の交換と、認識の共有をいっそ過剰とすら思える程に重視して行なっていた。
アリティア軍において、エリスはゲレタの教えを最も多く受け、また実践している人物でもある。
大陸でも唯一無二とされるゲレタの考えから生まれた『ゲレタ式蹴撃術』。その使い手であり、女性に教導する立場でもあった。
ゲレタのそれと違い、女性特有のしなやかな筋肉を活用した高い技量を必要とする、されど一撃必殺の可能性を秘めた破壊の技。
ゲレタが教えるには彼が多忙である事など
勿論、鍛練中は無駄話を戒めているが、自然と雑談にも興じる機会も増えていく。そこで各々の持つ悩み等を聞く事があるのもまた道理といえよう。
その中にはカダイン出身の魔道士であるリンダの姿もあり、彼女がカダインを気にかけている事をエリスは知った。
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カダイン。それは一組織の名前であるが、エリスとマルスにはそれ以上の意味を持つ。
自分達の力になりたいと、そう決意してカダインへ向かった
マルスは彼が姉に抱いている気持ちを薄々察していた。
だが、マルスは姉を彼に託す事を選ばない。
それは彼にとっては悲しく、また怒りを覚えるものかも知れないだろう。
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マルスはある時、マチスに話をした事があった。
妹に好意を寄せている
「認めたくない。と言うのが本音でしょうね。
ですが、今は妹の気持ちを認めて良いのでは?と考える様になりました。勿論、妹やアイツには黙っていて下さいよ?」
その答えにマルスは失礼を承知の上で問いを重ねる。
何故なのか?と
「アイツは妹を、レナを守ろうと必死にやっている。
流石にそれくらいは分かりますよ。
傍らにいて、守る。肉体的なものだけではない、心を。だから、認めるしかないでしょう?」
マチスはそう笑った。
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そうなのだ。
マルスは確かに姉を、エリスを守って欲しいと願っている。だが、身辺を守るのは何も恋人でなければならない訳でもない。
しかし、心は違う。心だけは、心を通い合わせた者だけが守れるのだと。
その後、マルスは兄と慕うゲレタに聞いてみた。
力とはなにか?と
「力、ねぇ。
目的を達成する為の手段のひとつ、だと俺は思っているな」
兄はそう答えた。
「勿論、力がある方が好ましくはあるだろうさ。
が、力のみを追い求める事になればそれこそ本末転倒だろう。過ぎた力は容易く人を歪ませる事もある」
兄は続け
「と言うより、俺は聞きたいんだが。
守る為の力とやらに明確な指標はあるのか?」
と不思議そうに訊ねたのだ。
だからマルスは親友の事を応援出来ない。
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マルスはカダインへと兵を向ける事とした。
リンダから聞いた話と
マルスは過去と向き合う事となる
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カダインの魔道士エルレーンは呆れていた。
「…マリク、お前はいつまで
「まだ、まだ足りない。
力が、あの方を守る力が」
エルレーンの言葉にも耳を傾けないままに鍛練を続けるマリク。
エルレーンは認めたくはないが、兄弟弟子であるマリク。師であるウェンデル司祭から、その才を認められた天才。
風の超魔法『エクスカリバー』を与えられ、アリティアのマルス王子達を助けるべく、カダインを離れた。
しかし、何故かマリクはカダインへと戻って来た。
それ以降、何かに取り憑かれたかの様に鍛練に励む日々を送っている。
元々マリクの出自からして、多くのカダインの魔道士はマリクの事を好ましく思っていない。
そのひた向きな姿勢は好感を持てるものではあったものの、エクスカリバーを与えられた事もあり彼への不満は高まりつつあった。
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魔法の鍛練は簡単ではなく、その技術はカダインの為に使うべきである。
と言うのがカダインにおける一般的な考え方。
生涯そうあれ、とまでは言わないものの秘匿された魔法の力を与えれたのであれば、それをカダインの為に使う。
その恩を返したならば、好きにすれば良い。
と言う者もいる。
が、マリクは違う。
魔法を求めるのは『守りたい者を守るため。正確にはアリティアのマルス王子とエリス王女を守るため』と意思を示した。
示してしまったのだ。
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ウェンデル先生はそれなりにカダインでも立場のある人物。だから気にされなかったのかも知れない。
しかし、後にカダインは中立的立場を失いドルーアへと与さねばならなくなった。
となれば、敵国の人間であり、しかもマルス王子の力になる。そう宣言した人物をカダインが何時までも置いておける筈もなかった。
反対したウェンデル先生は敵に通じたとしてカダインから追放され、恐らく捕らわれただろう。
当然師であるウェンデル先生ですらそうなのだ。カダインにマリクの居場所などあろう筈もない。
生きてカダインを出られたばかりか、エクスカリバーの所持すら許されたのは破格の待遇であったと言えよう。
にも関わらず、マリクはカダインへ戻って来た。
エルレーンが必死になって周りを説得しなければ、どうなっていた事やら。
当たり前だが、マリクに魔法を指導する者が現れる筈もない。
こうしてやんわりとマリクに何度となくカダインを出る様にすすめているが、まるで理解していないらしい。
(やれやれ、此方の苦労を知る訳もないだろうが)
エルレーンは嘆息した。
マリクをカダインに受け入れるにあたって、エルレーンは1つ言われている。
あの者が
つまり、そういうことなのだ。
改めて考えるとマリクってエルレーンのみならず、カダインの魔道士から殺したい程に恨まれても仕方ないと思うの。
寧ろ、原作二部では『あの程度』で済んだまであるのではなかろうか?
エリスルート完結記念の外伝
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いらない
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そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
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そんなことよりチキを出せ
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