汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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後片付けパート。

グルニア編。
かなり厳しい内容なので注意。


後日談 理想(憧憬)の果て

グルニア王国

 

 

所謂、人竜戦役と後世から呼ばれる事となる大陸の歴史の転換点。

後世において、如何なる歴史家であろうとも、その是非はともかくとして、歴史における大きな転換点である。そう認めさせる事になった文字通り、歴史を変えた一大決戦。

 

 

戦場に立ったアリティア、マケドニア両軍は勿論の事、決戦における決め手のひとつとなったストーンヘッジ。これはアカネイアとマケドニアからその資材は供出され、その技術はタリスのもの。

 

戦場において必要不可欠な傷薬や兵糧はオレルアン。回復の要となるライブはカダインから。

それぞれ供出されている。

 

 

「戦場に立つ者を支える者達。

彼等もまた形こそ違えど、戦っている事に違いはない」

とは『暗黒宰相』と後世から評される事となる人物の言葉である。その意味通りならば、大陸の殆どの国家や勢力が協力してなし得た功績であろう。

 

 

が、この中にグルニアの名前は無い。

同じく名前のなかったグラ王国。グラは国内が不安定である。との理由からその参戦を断られていた。

 

 

 

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しかし、グルニアとは異なり大度(※誤字ではない)つまりグラに対してはかなりグラへの気遣いの感じられるものであった。

 

 

グラは明確な唾棄すべき裏切りをしたにも関わらず。

更にグルニア国内には未だにメリクルとグラディウスを不当に(・・・)取り上げられた。との意見が騎士達の中に根強く残っていた。

 

 

…それこそ、グルニアが信用されない理由であると理解しないままに。

 

本来、国王が他国の

しかも一介の使者に直接謝罪する。と言うのは様々な問題を引き起こす切っ掛けとなり得るもの。

 

 

それこそ、国王の力量に疑問を持たれかねない事。

何せ、国王が謝罪せねばならない程に臣下のやらかしが酷い事の証明となるのだから。

にも関わらず、グルニア王は

 

誰にも責任を問わなかった

 

 

その上、グルニアの将軍でしかないカミュが他国の。しかも少し前に醜態を晒した人物に参戦の希望を求めた。

 

 

これは酷い

ゲレタはカミュ(グルニア)のあり方に眩暈すら覚えた。

 

はっきり言って、グルニアは外に目を向ける余裕はない。

戦争は終わるだろう。どちらが勝利したとしても。

 

 

メディウス側が勝てば、グルニアに未来(さき)はない。

人類が勝利したとしても、グルニアは内側から崩れ落ちるだろうから。

 

 

信用できるのであれば、変わる気があるのならば助けもしよう。…だが、変わらない。

他者を変えるよりも、自分を変える方が遥かに容易い筈なのに。

 

 

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ゲレタにより、戦争は敵味方が入れ替わる複雑極まる状況へと変化した。

 

これにより、各国の指導者やその部下達は目まぐるしい変化に適応せねばならなくなった。

 

 

教育や見識の比較的高い筈の彼等ですら、この有り様。…では、情報を殆ど持たない民衆から見ればどうなるだろうか?

 

 

 

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グルニアはドルーアに与し、当時の大陸の体制の象徴たるアカネイアを滅ぼした。

 

人命が喪われたかは定かではないが、グルニアとてアカネイアパレス攻略に兵を出しただろう。

そして、それは帰国した兵や騎士から民に伝わる。

 

 

この時点で、大衆目線ではドルーアに与し、アカネイアを滅ぼした。という事実が共有されるだろう。

 

 

しかし、カミュがニーナを助けた事は勿論秘事である。ドルーアにそれが発覚すれば、グルニアは終わる。

 

その認識があったからこそ、カミュは自分の手元でニーナを匿った筈だ。

でなければ、ドルーアへ露見する可能性の低いグルニア本国へ送るのが妥当な判断となろう。

 

 

当然、その様な事をグルニアの民が知れる筈もない。国王やその側近ですら知り得ない事なのだから。

 

 

 

アカネイアを滅ぼしたが、ドルーアにとって看過し得ない人物と組織がまだ残っていた。

 

アリティアのマルス王子。そして、ドルーアへの抵抗を見せるオレルアン。

 

 

故にグルニアは国外に戦力を残さねばならなかった。それがワーレン近くに駐留していた騎士カナリスの軍勢。

 

そのグルニア軍はマルス王子率いるアリティア軍に撃破される。…死んでいたと思われたアカネイアのニーナ王女を旗印とした軍勢に。

 

 

 

当然、それは何時までも誤魔化しきれるものではない。

何せその軍勢は国外へ置き続けるには余りにも大きなものであったから。

 

 

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暫くは隠し通せた。

しかし、規模が規模である。

 

家族が、恋人が、知人が何時までも国に帰ってこない事に民の中で疑問を持つ者が現れるだろう。

 

 

何せ、アカネイア(最大の脅威)が滅んで二年以上経つのだから。

 

疑問や不安を持つ者は行動するだろう。

余りにも不自然に思えるのだから。

 

 

 

勿論、軍や国は答えられない。

故に民のそれを否定する。…それしか無かったのだから。

 

 

そして、そんな事を受け入れられようか?

その感情は自分と同じ境遇の者を探す行動に変わる。

 

 

自分はそうでも、他の者は違うのではないか?

と。

 

 

それは悲痛な祈りにも、叫びにも似た感情。

だが、それは残酷な可能性を彼等に突きつけるだけに終わる。

 

 

 

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誰も帰って来ていないのだ。

国外へ派遣された彼等の家族は誰一人として。

 

帰ってきたのは黒騎士カミュとその配下の騎士のみ。それも不自然に思える時期に。

 

 

 

その異常そのものの事態に直面した彼等は勿論、カミュ達に聞かねばならぬと思うだろう。

が、それは認められなかった。

 

そうすれば、全てが民に伝わる可能性は高かったから。

皮肉にもカミュの名声が民からの言葉を届かなくした、と言えるだろう。

 

グルニア城を守る兵は民の声よりも、自分達の理想とする騎士(黒騎士カミュという虚像)を信じたのだから。

 

 

そして民の中から出てきた疑惑。

黒騎士カミュがニーナをアカネイアから逃がした。と言うものが。

 

 

それに対して、王国は沈黙以外の選択肢を持たない。

肯定すれば、民の怒りが爆発。最悪国の中で血みどろの内乱にも繋がりかねない。

 

否定すれば、その場は収まろう。

勿論、真実が露見すれば民の信頼は永遠に失われるだろうが。

 

 

文官達は猛反発した。

 

「その様な状況で何が出来ると言うか!」と。

 

 

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そんな中でゲレタがグルニアを訪れた。

 

武官や騎士はメリクルとグラディウスという絶大な力を以てドルーアに一撃を加え、その事実をもってアカネイア側との交渉材料としよう。と考えた。

 

 

実に自分勝手で、いっそ憐れにすら思える考えだ。

 

 

彼等の中ではドルーアが敵となっていたとしても、民にとっての敵は未だアカネイアのままである事を理解してもいないのだから。

 

 

故にゲレタはグルニアの参戦を認めない。

 

 

それだけなのだ。

 

 

 

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そして、グルニアの民からすれば理解の出来ない形で戦争は終わった。

ドルーア帝国(同盟国)の敗北という形をもって。

 

 

理解出来る筈がない。納得など不可能だ。

…では何故、家族達は死なねばならなかったのか?

 

 

グルニアが大陸に誇る精鋭、黒騎士団。

それに被害も出ていない。

 

なのに、自分達の家族は死んだ。帰ってこないのだ

 

 

 

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グルニア王は日に日に弱りつつあった。

必死に延命を試みるが、既にグルニア王は老齢にある。

 

同じ年代のタリス王は闊達としているが、これは日課となっている鍛練(ゲレタ式蹴撃術)もあるが、それ以上に未来への展望が拓けている事もあるだろう。

精神の状態は、時に体調に影響を与えるものなのだから

 

 

日々鬱屈として生活を送る武官や騎士とは異なり、文官達はそれこそ、怒りのあまり血管が切れそうな程になってもやる事はやらねばならない。

 

 

文官達としては、黒騎士団(無駄飯喰らい達)の規模縮小なり、武官や騎士の整理。つまるところの解職(リストラ)を円滑に進めるべきだと主張している。

言うまでもなく、平時においても一定の戦力は必要ではある。

 

しかし、この度の戦争において、グルニアの主力たる黒騎士団はその役割を果たしたとはお世辞にも言えない。

加えて、黒騎士団は黒騎士カミュに心酔しており、文官達から見れば、カミュの私兵にしか思えなかった。

 

 

国王のお気に入りであろうとも、職責を果たしているならば文句を言うつもりはない。

が、そうでなければいっそ害悪ですらあったのだから。

 

 

 

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カミュは動きが取れない。下手に騎士や兵達からの支持が高いが故に、暴走する恐れがある為に。

 

それをカミュが咎めたとしても、一部のものはこう返すだろう。

 

「何を仰います。カミュ様とて、国王のご意志に反したではありませんか!」

と。

 

 

カミュは己の行動により、他者を咎める事が出来なくなっているのだ。

勿論、それはベルフ達も同じ。

 

つまりグルニア騎士の統制力は崩壊の兆しを見せていたのである。

 

 

ロレンスとて、それは同じ。

カミュの無法を止められず、処罰も言い出さなかった時点で、それは追認したも同じこと。

これは武官達全てにも当てはまる事であり、唯一カミュを声高に非難していた文官達くらいだろうか?

 

その文官達とて、武力はないに等しい。

 

 

 

 

地獄の蓋が開く。

 

 

 




カミュの事は本ルートの覚悟と責任。という意味において、実はかなり重要だったりする。

とは言え、彼も泥にまみれて貰いますが。


綺麗なだけでは、騎士も務まらない。
そう思うので。

















なお人理修復の為、1日1話投稿くらいになると思われます。
悪しからず

エリスルート完結記念の外伝

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