汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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展開に詰まっているので、Ifルートの走り書き。




異章 紅き竜

「しかし、お父上を討つとは無茶をなさる。」

 

「…ふん。そうせねばマケドニアは何時までもアカネイアの走狗にしかならぬ。

それは貴様とて解っているだろう、ゲレタ。」

 

マケドニア城の国王の私室。

そこでは赤毛の美丈夫と黒髪の冴えない男が向き合って話をしていた。

 

 

「…お転婆姫(ミネルバ様)達も心を痛めておりますが。」

 

「それは貴様が話をしておけ。」

ゲレタ(臣下)のあんまりな物言いにも頓着する事なく、マケドニアの若き王ミシェイルはそう言い放つ。

 

 

「……はぁ。

いやまぁ理解はしますよ。陛下にとって、マリア様はともかくとして、ミネルバ様には格段の配慮を示されておりますからな。

にも関わらず、未だに陛下に不満を隠そうともしないとなれば、処置に困るのは。」

 

「……ふん、解っているだろうとは思っていたがな。

何ならミネルバを貴様が貰ってくれても構わんのだが。」

 

「ご無体な事を仰られる。

私はあくまでも一介の文官に過ぎませんよ。」

ミシェイルの言葉にゲレタは苦笑いをして答える。

 

「王族の伴侶となるには、私は余りにも身元が不審に過ぎましょう。

更に言えば、小言ばかりを言うせいでミネルバ様やその騎士達からも疎まれている様ですし。」

 

「自覚はあるか。だが、少なくとも俺はそうやって問題提起をする者を遠ざける気はないが。」

 

ミシェイルにとって、目の前の男は口喧しくはあっても不快に思うことはない人物。

そもそも、この男が相手が自分をどう受けとるか?に拘泥しないとは思えない。

 

少なくとも、マケドニアを思う気持ちについて偽りと断ずる事は出来ないのだから。

 

 

まぁ、ルーメルやリュッケから話を聞くに、寧ろミネルバの配下の騎士とは遠慮なく言い合っているらしい。もしかしたら、そちらに気があるのかも知れないが。

 

 

 

「もう少しおしとやかに育てておけば、或いは」

父はミネルバの武を気に入っていたが、もう少し嫁入りの事も考えて欲しかった。

そう嘆かずにはいられなかったミシェイルだった。

 

 

----

 

 

 

 

「そも、先の国王陛下の為さり様では何時まで経ってもマケドニアが豊かになることはありますまい。

本来なれば、ミシェイル陛下が御自ら手を汚すべきではなかったでしょうが。」

 

「…何れにせよ、父は討たれねばならなかったと?」

ミネルバは目の前の男の言葉に顔を顰める。

 

「マケドニアの民の事を真に考えるなれば、いつ芽吹くやも知れぬ大地を耕さねばならぬのは自明かと。

血と嘆きにより生き長らえたとて、未来は先細るだけかと。」

 

「マケドニアの未来は暗い。ゲレタさんはそう考えているんだね。」

マリアの言葉に

 

「左様にございますな。

現状、我等がマケドニアが主な収入は傭兵業によるもの。なれど、それ(傭兵業)とて好ましいものではありますまい。

常に火種が無くば、雇われる事なく。火種が多ければ雇われましょうが、その者の安全は担保されぬ。

仮に大陸全土を巻き込む大乱があれば、我等は国が傾く程の消耗を強いられるやも知れぬのです。」

ゲレタの言葉にミネルバとマリアの表情が引き締まる。

 

「故にこそ、マケドニアの食糧をアカネイアに依存するは危険なのです。

アカネイア無くしてマケドニアが成り立たねば、アカネイアの如何に理不尽な要求とて受け入れねばなりませぬ。自給自足とまでは申しませぬが、それに近い体制を築かねばならぬかと。」

 

「…そうか。」

兄の近習であり、兄がマケドニア王となって真っ先に文官として引き立てられた人物の言葉とあって、ミネルバとて兄の真意を多少なりとも知れた事に内心安堵した。

 

 

(…そうか、兄上はマケドニアの未来を真剣に考えておられたのか。)

未だ彼女の心の内には蟠りはある。

が、それは何れ解きほぐされる事になるのかも知れない。

そう彼女は内心苦笑した。

 

 

 

 

 

「それはそうとして、ミネルバ様にマリア様。

政務の勉強のお時間ですよ?

が、次のゲレタの一言に思わず身を竦める事となる。

 

 

「…私も?」

 

「はい、マリア様もですよ?」

恐る恐るゲレタに確認するマリアだったが、ゲレタは満面の笑みでマリアの問い掛けに応じる。

 

「…いや、鍛練の時間なのだが。」

 

「ご心配には及びませぬ。ルーメル将軍にミネルバ様の騎士達の鍛練はお願いしております。」

ミネルバの言葉にもまるで動じないゲレタ。

 

「有事の際にはミネルバ様も前線に赴く事もありましょう。その時に大陸の情勢や各国の事情に詳しくなければ、判断を誤る事も考えられますからな。

なぁに、他国の人間である私でも大陸の情勢に今は多少明るくなり申した。」

満面の笑みのゲレタに肩を掴まれ、ミネルバはゲレタの執務室へと連行される。

マリアも自分の侍女にゲレタが手を回しているだろう事を確信した為、

 

「…仕方ないかぁ。」

ため息を吐くと、ゲレタと姉の後に続いていった。

 

 

 

----

 

 

 

「これはゲレタ様、ようこそお出で下さいました。」

 

翌日、ゲレタの姿はとあるマケドニア貴族の私邸にあった。

 

「ご息女についての話がありましてな。忙しいとは思いましたが、こうして時間を取らせて頂いた次第。」

 

「……ミシェイル陛下との話を我が娘は断りました。娘については、マケドニアから離れさせるつもりです。

それでご堪忍頂けませぬか?」

貴族の男はそう使者であるゲレタに頭を深々と下げる。

 

男はマケドニア貴族の中でもそれなりに影響力のある人物。

先王を排したミシェイルは国内の有力者を纏める為に自身の婚姻を利用しようとした。

が、男の娘は国王自らの縁談をその場で断ってしまう。

 

結果、男はマケドニア貴族の中で反ミシェイルと見なされる事となり、ミシェイルは足場を固める事に失敗した。

 

 

まぁ、それについてはミシェイルの近習上がりの男、ゲレタが上手いこと鎮めたのだが。

 

流石に愛娘であろうとも、国王の意に背いた者を何の処分もせずに放置する事は許されなかった。跡取りの息子は納得していない様だったが、これは仕方のない事。

そう男も自分に言い聞かせていたのだった。

 

「それには及びませぬ。

その代わり、ご息女であるレナ嬢。彼女をマリア王女の侍女として引き立てたい。

さすれば、貴殿も他の者への面目も立ちましょうし、家族が離れ離れになる事もありますまい。」

 

「…それは、宜しいのでしょうか?」

ゲレタの言葉に男は恐る恐る訊ねる。

確かに願ってもない事ではあろう。が、それは逆に厚遇に過ぎるのではないか?と。

 

「侍女としてマケドニア城に置けば、人質と見られる事もありましょう。マリア王女の側には同年代の娘が居りませぬ。陛下からも許しは得ております故。」

 

「陛下は我等を許されると?」

 

「立場により事情も異なりましょう。あの時はミシェイル陛下の立場を固めるが急務。されど、最善ではありましたが、次善を取りました故。」

目の前の人物が大鉈を振るった事は男も知っている。にも関わらず、己や娘に対する負の感情は見られない。

 

 

「娘を出仕させます故、何卒宜しくお願い申し上げる。」

愛する家族と今生の別れとならぬならば、それを越した事はない。男はゲレタに深く頭を下げたのだった。

 

 

 

 

 

----

 

 

 

「戦地に出さないのは本音を言えば嬉しく思います。

ですが、ミネルバ様を無理矢理拘束するのはどうかと思うのですが。」

白騎士団のパオラは目の前の男に口を開く。

 

「パオラ殿。貴殿の個人的感傷とマケドニアの未来を天秤にかけられるとお思いか?

ミネルバ様は貴殿ら白騎士団の指揮官である前に、マケドニア王国の王族なのだ。一介の騎士と同じ見地で物事を判断されては困る。」

パオラに対してゲレタは反論する。

 

「そも、本来なればとうの前に身に付けておられねばならぬもの。それをミネルバ様は何時までも逃げて居られたから、この様な事になったに過ぎぬ。

…本音を言えば、ミネルバ様の騎士であり補佐を務める貴殿や貴殿の妹達にも最低限の教育をすべきと考えるが」

ゲレタのその言葉にパオラとゲレタの様子を見守っていたカチュアとエストは焦り始める。

 

「ルーメル、リュッケ両将軍にもその辺りの話は既にしている。…まぁ、両将軍は国内での指揮を任せているので優先度は低いのだが。」

 

「ゲレタさん。それって難しい、よね?」

エストが恐る恐る訊ねると

 

「そこまで難しくはありませんよ。

大陸全土の国家や主要な組織の関係性や歴史などを学んで貰い、我等マケドニアとどの様な繋がりがあり、影響を及ぼすのか。それを学んで頂くだけの事。」

 

嘘だ、それぇ!

 

 

内心でエストは絶叫した。

姉であるパオラは少し気勢を削がれたらしいが、まだ言い合うつもりらしい。

もうひとりの姉カチュアは表情を変えていないものの、口元が震えている。明らかに動揺している時の癖だった。

 

 

 

----

 

 

エストの上の姉であるパオラ。

常に下の姉であるカチュアや自分を気にかけ、常に無理をしている様に思えた。

 

が、姉は意地っ張りであり、幾ら自分やカチュア姉さんが止めようとも無理を止めなかった。

それはマケドニア騎士となり、ミネルバ様の騎士となってからも変わる事はなく、自分やカチュア姉さんは無力感に苛まれていた。

 

 

ところが、今も姉と言い合っているゲレタさん。

彼が現れてから、姉は感情を素直に現す事が増えている。

ミネルバ様に対してゲレタさんは割と遠慮がない。…どうにもミシェイル陛下から色々と頼まれているらしい。

となれば、本来ミネルバ様の騎士である姉が異論を唱える事自体あってはならないのだろうが。不思議と周囲の騎士は何も言わない。

それに、他ならぬゲレタさんがそれを問題にした事はなかった。

 

…もしかしたら、姉の事を気にかけてくれたのかな?

と私はふと思う。

 

 

 

「…まぁそこまでミネルバ様を気にかけるなら、いっそパオラ殿達も纏めて教育しましょうか。」

 

「えっ。」

 

「私達も、ですか?」

 

 

………気のせいかも知れない。

 

 

 

その後、ミネルバ様やマリア様と共に私達は大陸の歴史や経済について学ぶ事になりました。

 

 

 

 

 




なおこのルートで想定される分岐は主にふたつ。

大筋として、パレス攻略後速やかに撤退。カミュ達によるニーナ逃亡に手を貸さないルートと原作通りのルート。


想定されるヒロインは確率の高い順にパオラ、マリア、ミネルバ、カチュア、エストにレナ。
このルートの場合、ゲレタが前線に赴く事はまずあり得ないのでエリスルートよりも暗躍する事になる。

逆に個人としての脅威度はリンダ、エリス両ルートに比べると格段に落ちそう。







選択次第では、ミシェイルを幽閉しゲレタが贄となるルートもありそう。
勿論、みんな曇る。

エリスルート完結記念の外伝

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  • いらない
  • そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
  • そんなことよりチキを出せ
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