汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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手札が無い(ため息)


分岐点(ターニングポイント)

カダインの魔道士ガーネフ。

彼は白き賢者、或いは大賢者ガトーの弟子だった。

 

その才を磨き上げ、その力を高めんと魔法の研鑽に励む日々を送り、同門であるミロアと比べても劣る事ない実力を身につけた。

 

 

そう、思っていたしカダイン魔道士達もそれを疑っていなかった。

 

ところが、ガトーは己の心に闇があるとし、オーラの魔道書をミロアに授ける。それは即ち、カダインの導き手はミロアである明確な意思表示。

 

 

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嫉妬、羨望、渇望

それら負の心とて、心持ちひとつで向上心などに変わるもの。

闇が悪いのではない。己の闇と向き合い、それも己のものとする事が出来ない精神(こころ)の弱さこそが問題なのだ。

 

真水に生物は生きれぬ。

真空は生命を許さない。

 

 

光と闇は表裏一体。どちらが欠けても人は生きてゆけぬのだ。

 

 

それを理解せぬと分かった時点で、ガーネフはガトーの元を離れる事とした。

これ以上、カダインにいた所で己の心の闇が強まるばかりであると思ったから。

 

 

紆余曲折あって、いつの間にか古の国家、ドルーア帝国を築き上げた暗黒竜メディウスの復活を助け、ドルーア帝国を再興。ガーネフはドルーアの重要な地位に就く事となった。

 

この時点でガーネフは有史以来誰も成し得なかった偉業を果たしたと言えよう。

 

 

ガーネフは魔道士であるが、素人ながらにドルーアの南方に位置するマケドニア王国の重要性を理解していた。

 

 

そこでメディウスの許しを得て、マケドニアの新たな王ミシェイルとの話し合いを求めるのだった。

 

 

 

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反アカネイアのドルーア帝国に対して、マケドニア王ミシェイルは理解を示した。

 

元々アカネイアによる体制はアカネイアによる大陸各国に対する搾取の歴史、とも言い換える事が出来るからだ。

 

 

アカネイアはその国土を広くは持たぬものの、当時としては豊かな地を占有し、辺境や治めにくいところに独立国家の成立を許している。

加えて大陸全土に汎く影響力を持つ教会と密接に連携する事で、王族や貴族の子女と言った次代に影響を与える者達にアカネイアの正統性を教え込む。

 

その様な教育を受けた人物が子を育てるとなれば、自然とアカネイアへの敬意(という名の従属意識)が刷り込まれる事となる。そして無意識の内にアカネイアに対する反発自体が悪徳であると思う様になるだろう。

 

 

 

その積み重ねが今の大陸の情勢だ。

アカネイアは最早腐りきっており、国王が奮闘したとしても本質は変わるまい。

 

民や他国から富を集め、権威と武力で圧殺する。

その象徴とも言えるのが

 

 

ノルダの奴隷市場だろう。

 

 

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奴隷制度。

それは貧しい者、持たざる者にとって縋るべき制度(もの)

 

貧しい農村などでは口減らしとして、奴隷商人に売るのはありふれた話。

 

 

しかし、奴隷を売って糊口を凌いだとしても、同じ事が繰り返されては意味が無い。

勿論、売る側も理解してなお、苦渋の決断である事は間違いないだろう。

 

好ましくない表現だが、集団の中で孤立している者を

或いは集団の和を乱す者を奴隷として売るのならば、遺恨もそこまで残るまい。

が、そうでない場合やそうだとしても『奴隷として売った』という事実は変わらない。変えようが無い。

 

 

人とは常に正しく生きていたいと考えるもの。

故に心の何処かでこう思うだろう。

 

 

自分は、或いは身近な者は大丈夫か?と。

 

一度だけならば、耐える事が出来るだろう。

それが習慣となってしまえば諦めもつこう。

 

 

そうでなければ?

そして、奴隷を買う側も一度でも奴隷を買い付けられた所ならば、また買い付けられるだろうと目算を立てるのではないか?

 

 

苦しくとも耐えようとする者達に商人達はこう囁く。

 

「以前は売ったではありませんか。」と

 

 

 

奴隷が発生する要件としてあり得るのは、戦いにおける成果。

しかし、大陸では幸運な事にドルーア帝国が滅んで以降、大きな戦いは起きていない。

 

勿論、小競り合い程度ならばあっただろうが。

 

 

 

権威や権力(ちから)を盾に対等な関係を認めないアカネイア。

 

故に財力(ちから)で未来を摘み取るノルダが影響力を持つのは必然と言えるのかも知れない。

 

 

 

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「我等マケドニアはアカネイアに義理立てするつもりなど毛頭ない。

寧ろ古の国家ドルーア帝国が復活したのであれば、マケドニアとしては歩調を合わせて良いとさえ考える。」

 

マケドニアの若き王の言葉にガーネフは内心驚いた。

確かにマケドニアはアカネイアに不満を抱いているのは知っているつもりだったが、それを公言するとは予想だにしていなかった。

 

「⋯ほう、ではマケドニアは我等ドルーアに従うと?」

 

「従う、か。

ならば、マケドニアの食糧問題の解決を手伝って貰いたい。

どうせアカネイア(海の向こうの連中)が此方を注視している筈もない。アカネイアを滅ぼすならばそれでも構わん。

が、その後もマケドニアの民は生きねばならない。⋯その為の時間が欲しい。」

 

「⋯⋯ふむ。」

 

ミシェイルの言葉にガーネフも考え込む事とした。

 

確かにマケドニアからすれば、ドルーアに従わねばどうにもならないのは事実。アカネイアに義理立てしたところで、時間稼ぎの捨て駒にされるのは明白だろう。

だが、今のドルーアの考えでやるのならばマケドニアが苦しくなるのも理解出来る。

 

「その様に言われるならば、何かしらの腹案があると考えるが如何に?」

 

ガーネフの言葉に

 

「これはドルーア皇帝にも話をすべき事と考える。

その場にひとり同席させたいが、どうか?」

 

ミシェイルはそう返した。

 

「⋯日を改めるとしよう。

流石に儂の一存では決められぬ。」

 

「であれば、ひとつ。

我等としては、『姫を探し出して保護すべきと考える。』そう伝えて貰いたい。」

 

「⋯分かった。」

 

ミシェイルの言葉の真意は理解できなかったが、メディウスにそれを伝える事とした。

 

 

 

 

 

その数日後、ドルーア皇帝メディウス。ドルーアの司祭ガーネフ。マケドニアの若き王ミシェイルとその腹心が一堂に介して話し合いを行なう事となった。

 

 

 

 

 




ネタ被りは自重したいので、まさかの



チキフラグが立ちました。(意気消沈)




予定を組み直すので、暫く更新が止まると思われます。

エリスルート完結記念の外伝

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