汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
時に戦争と言う大波で全てを飲み込み、時に恵みを与える。
その先に何があるのだろうか?
アカネイアによるマケドニア遠征の
それに対する各国の反応は緩慢であり、アカネイアの意に沿うものではなかった。
要請と言えば聞こえは良いが、実質命令の様なもの。その上、形式上は要請である為に、アカネイアからの物的支援はあって最小限。
これに対して好意的になれる国家は無いに等しかった。
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マケドニアは他国と海を隔てたところにある。
故にマケドニア戦となると他の地域の戦いとは大きく異なる様相を見せる。
何せ騎馬や兵は海を渡れないのだ。
確かに商人や国家でも多少は船を有するだろうが、その程度の物量でマケドニアが降せる。などとは思わない。
そもそもアカネイアの要請自体が無理筋とすら言える。
マケドニアの反発をかったのは間違いなくこれまでのアカネイアの行動によるもの。
「アカネイアの尻拭いを何故我等がせねばならないのか?」
と言うのが各国の本音。
仮に暗黒竜メディウスが復活し、アカネイアを滅ぼそうと宣言したのならばいざ知らず。
その上、小規模な戦闘ならば各国も経験しているが、国家同士の戦争となるとそれこそアカネイア再興の時まで遡らねばならない。
マケドニアが現状アカネイアに対して直接攻撃している訳でもない。その状況でマケドニアに攻め入ってそのまま終われば良いだろう。
しかし、仮にそれで終わらなかった場合。マケドニアが誇る竜騎士団が報復に出るのは予想出来る。
竜騎士とは維持が難しい部分こそあれど、それを遥かに上回る利点が存在した。
特に広大な国土を有するグルニア。
彼等は常に辺境の蛮族と戦わねばならない。しかし、相手もグルニア騎士団が動くと見れば姿を隠そうとする。
その為、グルニアでもマケドニアの竜騎士を斥候として雇入れ、敵の捕捉に活用していた。
敵対するとなれば、それが使えないばかりではない。
話によると、マケドニアは峻険な山岳地帯が国土の多くを占めると聞く。
勿論、グルニアの者でマケドニアに足を踏み入れた者は皆無に等しく、その国土の内情は知られていない。更にマケドニアの竜騎士団がどの程度の規模なのか?それ以外の戦力は?
その辺りの戦いを有利に進める為に必要である
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グルニアの騎士団が精強と言われているのは事実。黒騎士団の練度は大陸屈指のものではあるだろうし、それを率いるカミュの能力も非常に高い。
「⋯陛下が行け。そう申されるならば、我等がそれを拒む理由はありませぬ。
しかし、マケドニア相手となると退く事も難しくなるでしょう。」
国王の命で急遽召集された席でカミュは発言する。
「しかし、無傷とはいきません。必ず犠牲は出ると思っていただきたい。」
「⋯撤退するとしても、それにも船が必要となる。
最悪相手が船を壊してしまうと。⋯⋯そういう事ですかな?」
文官の言葉に
「そうなるのではないかと考えます。」
カミュはそう返答し、一同から声にならぬうめき声が上がる。
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如何に精強と自負している黒騎士団であっても、事前情報もなく、しかも相手が地形などお構いなしに展開出来る竜騎士団相手では分が悪い。
その上、相手は此方を翻弄しつつ、別働隊で上陸させた船艇を狙う事すら可能ときている。
千年以上後の覚醒においてすらも、火計がヴァルムの侵攻艦隊に有効に作用している。となれば、当然この時代においても船艇に対する火計は有効。
マケドニアは火を上空から落とせば良い。それに少しの油なりを用意すれば船艇に少なくない被害は出よう。竜騎士が空から投石しても良いだろう。
完全に破壊せずとも良い。
軽微な被害であっても、ソレが深刻な悲劇に繋がる事は多々ある。
海の上で浸水でもしようものなら、助からない可能性は非常に高くなろう。
船に乗れば満足に抵抗出来るかすら怪しい。
マケドニアに上陸した時点で、その軍勢は死地に立たされているも同義なのだ。
そんな大博打を誰が好んでやりたいというのか?
その上、アカネイアを始めとした国家はマケドニアの国王がミシェイルに代わった事すら未だに掴めていない状況。
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「⋯陛下。我等は動くべきではありませぬ。
マケドニアに手を出すは、我等にとって益と成り得ません。」
マケドニアを倒せねば、報復が
マケドニアを倒したとしても、多大な犠牲。更に増すであろうアカネイアの権勢。
どちらにせよ、グルニアにとって好ましい未来には繋がらないだろう。
グルニアにとって、強力な騎士団は辺境の蛮族達を封じる抑止力でもある。
蛮族達は此方が弱ったとなれば、まず間違いなく活動を活発にする。それを抑止出来ないとなれば、グルニアの民も不信を抱くのは避けられまい。
マケドニアを滅ぼすなり、アカネイアの傀儡とした場合
今までよりもアカネイアは更に横暴となるのはあり得る。そうなってから反応したとして、果たしてグルニアは勝ち得るだろうか?
グルニアもまた道を選ばねばならなかった。
生き残る為の、細い道を
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「時間は此方の味方。何せ、今のアカネイアではグルニアを動かすに足るものを出せぬでしょう。」
「長年築き上げた価値観は消せない、か。
難儀な事だな。」
「加えて、アカネイア王が他国に使者を出したとしても、その人選もまた難しいでしょう。」
ゲレタは黒い笑みを浮かべる。
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三國志において、動乱の端緒となった黄巾の乱。
漢王朝の軍勢、漢軍は常に劣勢に立たされ、後の群雄が功を挙げた。と思われがちだが、実際には漢軍の中にも黄巾党相手に奮戦した者達もいた。
漢軍の将盧植。
この人物は黄巾党の将帥であった張角の軍に対して痛撃を与え、漢王朝の威光を示したと言える功績を挙げた。
ところが、洛陽から軍の監察として派遣された左豊。この人物に対して礼を欠き、左豊は皇帝である霊帝に『盧植は戦おうとせず』との報告を行なった。
礼を失する行為とは、賄賂を渡さなかった事である。
左豊の
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強大な権力。それは必ずそれに阿る者を生み出し、その者達は権力という傘の下で我欲を満たそうとする。
アカネイアにおいて
事実、先王の代にはその様な人物がアカネイアには多い事をミシェイルは知る事となる。
故に、ミシェイルはアカネイアから離れる事を選んだ、とさえ言えるだろう。
一方水面下にて、腹心の話を進めているミシェイル。勿論、それを目の前の腹心に話すことは無いが。
(あれで、この男は情が深い所もある。
本当にどうでも良いと思うならば、相応の扱いしかしないだろう。)
「アカネイアは各国に使者を出しておりましょうが、難色を示すでしょうな。マケドニア攻めなど、どの国にとっても負担にしかなり得ませぬ。」
「各国との連絡を取るのとて、楽ではないだろうな。
苦労な事だ。」
アカネイアからアリティア、グラ、グルニアに至るには決して楽とは言えない道のりを進まねばならない。
海賊の活動もあるとなれば、船を出すのも躊躇われよう。
「その苦労に見合った扱いをアカネイアの使者が求めなければ良いのですがね。
自分達で敵意を作り、それを煽ってくれるならば我等にとってこれ以上ない味方となりましょう。」
「要らんぞ、そんな連中は。」
ゲレタの言葉に顔を顰めるミシェイル。
「無論ですとも。
敵味方の区別すら出来ぬ者を味方とするなぞ、あり得ませんよ。」
ゲレタも皮肉げに笑う。
「ところで陛下。
度量衡についてや貨幣についての話をしてもよろしいでしょうか?」
「⋯話せ。」
また妙な事を言い出したな。
ミシェイルは内心そう思いながら、話を聞く事とした。
次回以降、動きます。
エリスルート完結記念の外伝
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いらない
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そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
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そんなことよりチキを出せ
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