汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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何かに押される様に指は動く。

しかし、クオリティが保証出来ない不具合。



メンテ、したいねぇ。


変わる強さ

「こんな日が来るとはなぁ。」

 

「⋯そうだな。この様にヒトとまた共に在れる日が来るとは思わなかったぞ、俺も。」

 

ドルーアで

 

 

 

「いやぁ、疲れるなぁ。」

 

「けど、聞いたか?

あっちでは芽が出たってよ。」 

 

「本当か!

そりゃあ楽しみだなぁ。」

 

そして、マケドニアで明るい声が響き渡っていた。

 

 

 

 

 

ドルーアには大陸全土からヒトの目を避けて暮らしていた竜人族が次々と集い始めていた。

彼等は戦いを忌避する者も居るが、竜石によって竜の姿を取れる者達ばかり。彼等とて思想の違いはあれど、同じ時代を必死に生きた同胞。メディウス達の変化という異常を受けて半信半疑のままに動き出した。

最悪メディウス達に一矢報いるのも一興と考えた上で。

 

 

人目を忍んで夜間に各地から空を飛び、ドルーアへと向かう事位は造作もない。

戦いを忌避していると言っても、彼等は皆旧き世にあってナーガやメディウスと共に大陸の未来の為に戦った者達。

 

 

言わばヒトの世の為に戦う事を選んだ。そして、時代の変化を受け入れた者達なのだ。

まぁその時代の担い手のあんまりなやり方に失望して半ば世捨て人の様になっていたが。

 

 

だからこそ、嘗て見た理想(ゆめ)の欠片たる今のドルーアとマケドニアには期待するところが非常に大きい。

 

 

 

マケドニアの者達も近しい者達を喪う恐怖から解放され、そして明確な豊かさへの希望が見えてきたのだ。

これで発奮しない訳がない。

 

 

そしてマケドニアとドルーアの者達は互いの奮闘を見て、更に奮起する。

好循環が生まれつつあった。

 

 

更に竜人族達にとっての朗報は続く。

彼等にとって偉大なる神竜ナーガの娘たるチキ。彼女もまたこの地で未来を拓かんとしている。

 

 

なお、チキの詳しい状態を知る者や神殿での長すぎる封印を知る者はガトーやバヌトゥに対する怒りを密かに高めつつあったりする。

 

ガトーはともかくバヌトゥについては、メディウスがある程度フォローする事で隔意は収まっているが、ガトーについてはどうしようもなかった。

 

 

何せ、ガトーはチキを封印している最中、カダインの成立に関与しているのはそれなりに知られていたのだから。

 

 

要するに

 

 

は?姫の事を放置して何やってんだ?

と言うわけだ。

 

 

戦いから身を退いた者の中には、それでも竜石を持つ選択をした者もいる。

 

 

「一回、奴は焼く。」

と言うのが彼等の総意らしい。

 

これはメディウスやモーゼス達も同意するところなので、止められる筈もない。

寧ろモーゼスは回復役を用意して、一人一回はブレスを叩きつけるべきではないか?と密かにゲレタと回復役の確保に奔走しようとしていた。

 

なお、この件で魔道士の確保が見込まれるガーネフとの繋がりも確保する事となり、ゲレタによる悪巧みの参加メンバーが増える事となっている。

 

 

 

 

余談となるが、チキとゲレタ(変革者)の事を間近で見られるモーゼス。彼と交代したいと名乗り出る者が多くメディウスの元に詰めかけたのは此処だけの話。

 

 

----

 

 

 

 

「⋯あれだけ険しい山々が、こうもあっさりと崩れ去るか。」

 

竜人族達による地均し。その絶大な効果を目の当たりにした竜騎士団のルーメルは思わず口に出していた。

最初はルーメルの騎竜も含めて、土運びや樹木の輸送などやりたくなかったらしく、ごねた。

 

しかし、竜に姿を変えた竜人族が一斉に咆哮すると騎竜達はそれまでの反抗が嘘であったかの様に従順になった。

 

 

なお言語化すると以下の通りとなる。(通訳済み)

 

 

 

 

 

ごちゃごちゃ言わんとさっさと運べ!

 

働かぬならば、その命は無用よな?

 

 

 

彼等飛竜も強力な生物だ。

しかし、竜とはその存在そのものが理不尽の権化とも言える生命。

その上相手もまた空を駆ける事が出来るとなれば、飛竜達は本能(恐怖)のままに従うしかなかった。

 

 

 

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「アカネイアが攻め寄せねば、我等はただ国力を高め続けるのみ。

陛下も大臣殿も腰の据わったやり方をなさる。」

 

それで良いと思う。

戦いになり、勝ったとしても民が苦しめば意味がない。

 

 

若い者は勢いがある。

そしてそのまま命を落としかねない。

 

だが、亡くなった命は戻らないのだ。

 

 

ならば国内の整備に回すのは道理だと、今となっては思える。

 

 

ルーメルは部下と共に今日も物を運ぶ。

それがマケドニアの未来の為になると知っているから。

 

 

 

 

 

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昨日の失敗。

それを意識しながら、チキは慎重に木を掴む。

 

 

ゲレタの方を見るが、ゲレタは肩を竦めるだけ。

そもそも、その感覚は人でしかないゲレタには理解出来ないものなのだから当然なのだが。

 

チキはゆっくりと木を引き抜こうとする。

 

 

 

 

 

「力の制御と言うのは難しいのですね。」

 

「そうでもない。

大抵生まれて数年の内に身につけるべきものだ。」

 

少し離れた所ではゲレタとモーゼスがチキの方を見ながら話をしている。

 

「それすら満足に覚えさせていないとか、ガトーは何をしたかったのやら。」

 

「同胞達も頭にきておるらしい。

メディウスの所にガトーを探し出し、その身を引き裂くべき。そう主張しておる者もいるそうだ。」

 

「血の気の多い事で。」

 

んな事よりやる事は幾らでもあろうに。

チキの教育にドルーアの開発。ラーマン神殿に代わるナーガを祀る神殿の建設。

あのジジイを殺したところで憂さ晴らし以上の意味もあるまいに。

しかも、アレでもアンリを導きカダインの設立にも関わっている。殺したとなれば人類の脅威と見なされる可能性もあるときた。

 

 

「どうせチキが此処にいる以上、何れは此処に来るでしょうよ。ほっときましょうや。」

 

 

態々時代遅れとなりつつある人物を探す手間をかける理由はない。

そんな事(些事)に割けるものは有りはしないのだから。

 

 

 

----

 

 

 

「どうせチキが此処にいる以上、何れは此処に来るでしょうよ。ほっときましょうや。」

 

怒りはあろうに、それでも放置するか。

モーゼスはゲレタの言葉や態度からガトーに対しては無関心ではないものの、それ以上に姫を気にかけている事を改めて理解した。

 

 

そして、姫もまた自分の名をゲレタが口にした時此方を見た事からゲレタを気にしているのだろう。

 

 

微笑ましい事よ。

 

 

 

「もう少しで抜けそうですね。」

 

「そうだな。」

 

そう口にしつつ、ゲレタは持参してきた鍋に水を入れて火を起こそうとしていた。

 

「私達にとっての当たり前でも、彼女にとっては初めての経験となりますからね。

せめて、その記憶が良いものとなって欲しい。⋯そう願うのですよ。」

 

「戦わねばならぬ事もあるのでしょう。

ですが、それだけに拘泥したくはない。」

 

 

遠い目だった。

この男は戦いの意味を理解しているのだろう。

 

 

 

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我等竜人族や竜族がこの大陸の支配者だった頃、戦いと言うのは殺し合いとなっていた。

 

 

強き者が力を用いて我を通す。

負けた者は勝者の糧となった。

 

 

だが、結果として竜族。そして危機感を覚えた筈の竜人族も行き詰まった。

 

故にヒトがこの大陸の次代の担い手とナーガやメディウス等は思ったのだろう。

 

 

誇りある戦いとは命を賭けた殺し合い。

決して今のアカネイア等が宣う様なものではない。

 

牙を

爪を振るうとはそういうものだ。

 

 

故にこそ、アドラにより同胞を無惨に殺されたメディウスとて五百年近く待った。

アドラは許せぬが、その過ちをヒトが正すと信じて。

しかし、同胞への仕打ちは変わる事なく行なわれ、その意味すらも理解せぬ者ばかりとなった。

 

 

故に、メディウスは起った。

そして敵対するあらゆる存在(もの)を殺し尽くした。⋯下手な情けなど寧ろ侮辱でしかないのだから。

殺しきれなかったが故に負けたのだが、その結果今があるのだから分からぬものよ。

 

 

真に強者足り得る者は容易に牙を剥く事はない。

剥くなれば、相手を殺し切る。

 

 

 

誇りとは命を賭けた神聖なもの。

誇りを賭けて命を賭けぬなど理解出来ぬわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲレタ、出来たよ。」

 

「よしよし。なら次は何をするかねぇ。」

 

 

我等はこの光景を守る。

それが我等が生きてきた意味となろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回とセット
多分明日には投下する

エリスルート完結記念の外伝

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  • そんなことよりチキを出せ
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