汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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チキの話を書くのです。 

そんな夢を見たので投稿。





変な怪電波出てませんかねぇ(白目)


ゆめ

「⋯どういう事だ。」

 

紅衣を纏った人物は己の目の前に広がる光景を信じられなかった。

 

 

 

かの者を祀る神聖な地。にも関わらず、そこには何も残されていなかった。

 

此処には少なからず宝もあった筈。しかし、それすら持ち去られていたのだ。

 

 

 

----

 

 

 

チキにとって、マケドニアでの暮らしは夢の中の様。

それと比べたならば、神殿の中にいた頃は悪夢と言えるだろう。

 

 

モーゼスは基本的にチキと話す事はない。ないが、かと言って彼女が不快にならない程度には気を配っている。

 

 

チキにとって最大の関心を向けるのはゲレタ。

別に目を見張るばかりの美形ではないし、寧ろ顔つきで言えば悪い方。

だが、彼女からすればその様な事は些事にもならない。

 

 

チキは何も知らない。

彼女自身、マケドニアに来て自分のこれまでの数年間の経験が役に立っているとは思えないのだ。

 

 

樹木を抜き、巨岩を砕き、山の土砂を掘り返す。

 

だが、それだけではない。

布を編み込み、火を起こし、ご飯を作る。

 

 

 

ゲレタは必ず、チキが竜として作業をした後、ヒトとして何かをさせた。

 

 

「竜人族というのは、竜となる事もあるだろう。だが、ヒトとして生活する。どちらもチキ。お前さんなんだ。」

 

私の力は誰かの役に立てる。⋯笑顔にする事が出来る。

細やかな幸せを忘れないでくれ。

 

そんなあの人の気持ちが伝わってきた。

 

 

嬉しかった。

 

私はいつも思っていたから。私はどうして、眠っていなければならないのか?

 

 

 

私の手を引いて歩いてくれたのはこの人とバヌトゥだけ。

 

 

「チキは大きな力を持っている。

それが不幸か幸運なのか。それはチキ自身のこれから次第。

知らなきゃならない事は沢山ある。⋯少しずつでも覚えて行こう。間違った選択をしない為に。」

 

そう言って色んな事を話してくれる。

マケドニアやドルーア。他の国の事も。

 

 

 

夜、神殿で眠りにつかされた時の事を夢に見て取り乱した私に

 

 

「⋯大丈夫だ、チキ。お前は此処にいる。

お前が眠りたくないなら眠らなくて良いんだ。誰かの意思じゃなく、チキ。お前の意思で生きて良いんだ。

⋯⋯チキ、生まれてくれて。生きてくれて、ありがとう。」

 

そう優しく抱きしめて言ってくれた。

 

 

 

 

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幼い精神に最も悪影響を及ぼすのは、自分の存在を否定される事だと俺は思っている。

 

別にドラマや小説などで偶に見られる様に

 

 

「アンタなんて生まれて来なければよかったのに!」

 

と言った直截な物言いだけではない。

忙しさのあまり、その子を見てやれなかったり、必要とは言え他の事に注力していたり。

 

あくまで受け取り手がどう捉えるかが重要であって、実際にどう思われているのかは然程に関係ない事が多い様に思う。

 

 

 

必要と思われない(自分を見てくれない)。それは自分の存在そのものの否定となる。

 

一度その考えに囚われれば、その呪縛から逃れるのは不可能に近い。

 

 

 

動物に例えれば分かりやすいだろう。

親が居て、子に食事を与える。しかし、その親が子に食事を与えなければどうなるか?

 

己で食事を手に入れられない以上、飢えて死ぬ以外に道はない。

 

 

巣から追い出された。

身を守る術を持たぬ者は容易くその命を落とす。

 

 

強靭な力を持つ者ならば、生きてゆく事は出来るだろう。

が、その精神は間違いなく歪なものとなるのは避けられない。

 

 

 

ガトーが懸念する事は、本来与えられるべきもの(愛情)を与えらないからこそ起きうるもの。

俺にはそう思えてならない。

 

 

長命種の弱点なのだろう。

長い時を生きてきたからこそ、己が弱かった頃。誰かに護ってもらっていた頃の事を忘れる。

 

竜人族よりも遥かに短命なヒトですらそうなるのだ。竜人族がそうなるとしても不思議ではない。

 

 

 

隣りにいて欲しい者は好きな者。嫌いな者と共にいるのは苦痛で、長続きしない。

そんな当たり前の事なのに、大人になるにつれてそれを押し付ける様になる。

 

 

子供は大人に憧れ

大人は子供の頃を忘れてしまう。

 

 

⋯だからこそ、メディウスやモーゼス達はチキを育てる自信がなかったのだろうか?

 

マリア王女に任せる事も考えたが、流石にそれは憚られた。

 

 

 

正しくあって欲しいが、間違えても構わない。

それを正してくれる者がいれば。

 

 

⋯ガトー、アンタに心を許せる友人はいたのか?

居なかったのだろうな。独りよがりが過ぎるアンタに、そう言った者がいたのなら。

 

 

 

 

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神竜ナーガの娘たるチキ。

 

 

彼女がマケドニア国王の信厚いゲレタの元にて養育される。

それはドルーアの竜人族達にとって歓迎出来る事だった。

 

何せゲレタはマケドニア王ミシェイルと共に竜人族との共存を目指している。それはドルーアとの同盟。竜人族との共同作業などで示されていた。

 

 

マケドニア王ミシェイルは国内に対して、『竜人族に対する乱暴、狼藉を禁止』する事を徹底させた。

当初は反発よりも戸惑いが大きかったが、魔竜族の長たるモーゼス。彼がゲレタの補佐役としてドルーアから派遣され、彼の指揮下にある魔竜族はドルーアの者達の中で最初にマケドニアの国土改造計画に参加している。

 

彼等の心中は定かでないが、少なくとも魔竜族はモーゼスの元に統率されており、結果としてその姿はマケドニアの民の意識改革に大きく寄与した。

これがショーゼンやゼムセルでは此処まで上手くはいかなかっただろう。

 

個としての実力は高くとも、その影響力はモーゼスとは比べるまでもなく小さいのだから。

 

 

 

言葉で示されたとしても、説得する材料としては弱い。

しかし、実際に物事が動いたとなれば納得するに足るものに変じる。

 

 

 

小さな波紋は反射を繰り返し、やがて大きなうねりへと至る。

 

その仕掛人たるミシェイルやゲレタに竜人族達の期待が寄せられるのはある意味では当然の事と言えた。

 

 

戦いを忌避する者やチキに時代の変化を見た彼等は行動を起こす。

 

自らの持つ力、つまり竜石を彼女に託す事にしたのだ

 

 

 

竜石とは単なる力の結晶ではない。

竜人族達にとっては、自らが生きた証であり、志半ばで倒れた同胞達から託された夢の欠片。

 

それをチキに託す。

その意味は竜人族達でなければ分からないのかも知れない。

 

 

そして、同時に

 

此処で自分達は生きて、そして地に還る。その決意を示した事でもあった。

 

 

 

 

 

 

理想(ゆめ)を現実に引き寄せる。

それが今、この地で始まっていた。

 




と言う訳でヘイトの対象が動き始めます?


まぁ、下手に突っ込むと多少腕に自信があっても即死するのが今のマケドニアとドルーアなんですけどね。



アレをどうするか?悩みどころ

エリスルート完結記念の外伝

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  • そんなことよりチキを出せ
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