汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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守りたいものがあり、守る為にそれぞれが動く。


掬い上げた砂も隙間から溢れゆく。
それでも皆足掻くのだろうか?







いつもよりも乱文になっていると思われるので注意。


守りたい(譲れぬ)もの

「そもそも、闘技場という文化がある時点でその国の民心が乱れている証拠だと思うのですよ。」

 

「⋯⋯ほう?」

 

ゲレタがミシェイルの元を訪れた時、ゲレタにアカネイアを掻き回す必要はないのか?との疑問に対して、ゲレタは忌々しそうに答えた。

 

 

 

闘技場

それはアカネイアを始めとした国家にある施設。が、マケドニアにそれはない。

 

必要がない。と言うよりも、そんな無駄な事にかける程に人が居ないのだ。

 

 

 

闘技場は選手同士で金を出し合い、勝利した者がそれを得る事が出来る場所。

しかし、それでは闘技場の運営費用が捻出出来ない。

 

その資金は領主⋯正確には国から出ている。

 

 

闘技場とは命を賭けた殺し合いが繰り返し行なわれる場。にも関わらず、それをひと目見ようとする者、観客が多い。

娯楽なのだ、観客にとっては。

 

挑戦者が居なければ、闘技場側が用意した人員。奴隷同士による戦いが行なわれる。

奴隷剣士でありながら、タリス王に見出されたオグマの様な人物は稀⋯どころか唯一無二の存在であろう。

 

あくまでも闘技場にとって奴隷は消耗品であり、観客を楽しませる為の道具。

極稀に己の実力向上の為に闘技場を利用する者もいるが、その様な事が頻繁に起きる訳もない。

 

 

人の生死を賭けた戦い(殺し合い)を娯楽とする。その時点で何処かおかしいのだ。

 

その様な娯楽を用意せねばならない程に民は不満を抱えている。不満の吐け口として闘技場というものの需要がある。

果たしてそれが正常な形なのだろうか?

 

 

 

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「喪われた命は戻りません。であれば、真に命を賭けるに値するものの為にこそ使うべきでしょう。

⋯本心を言えば、その様な状況となる時点で国を動かす者は失格と思いますが。」

 

それは自嘲だった。

もう少し他のやり方が無かったのか?

 

それは常にゲレタの中で燻り続けている。

 

 

だが、ひとたび動き出せばその様な弱音を吐く事は許されない。誰に強制されたでもない。己が選んだ道なのだから。

 

 

 

「⋯耳の痛い話だ。俺とて確かに父と上手くやれた可能性が無かったとは言えぬ。」

 

 

ミシェイルにも父を排した事に悔いがなかった訳では無い。

が、どれだけ言葉を尽くしても現状を変える事を望まなかった父。勿論、アカネイアに服属し続ければ楽ではあったのかも知れない。

新たな道を切り拓くよりも、元々ある道を歩む方が楽なのだから。あくまでも己の代のみを考えるならば、それも方法としてあるのだろう。

が、王が変わろうが国は続くし、国が無くなろうともそこに生きる民はいる。

 

であれば、せめて自分達の次の世代の事くらいは考えて動かねばならないのだろう。

 

 

⋯⋯まぁ、ドルーアと結ぶ事を初めて聞いた時にはゲレタの正気を疑いはしたが。

 

 

 

「何かが育つ。その過程を見るのだけでも満たされるのです。

親は子を慈しむ育む様に。ありふれた、しかしかけがえのない小さな幸せに気付けなくなったならば、それはどうかと思うのですよ、私は。」

 

チキは日を追うごとに成長していく作物に目を輝かせ、モーゼスも目を細めている。

 

心の余裕があるのならば、感受性も育つのだろう。

今のマケドニアやドルーアの民は変わりゆくものに思いを馳せ、未来への希望を持っている。

 

 

だが、アカネイアの民の多くはその希望がないのだろうか?

 

 

「少なくともマケドニアやドルーアには無用な施設だな。闘技場とやらは。」

 

「鍛錬ならば軍の調練がありますし、ドルーアの竜人族達も協力してくれるでしょう。」

 

生きる為に必要なものを何かを犠牲にして手に入れる事を今のマケドニアは認めない。

 

 

生きる事が当たり前に

 

 

それが今のマケドニアが掲げるべき国是なのだから。

 

 

 

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「⋯何やら面倒な事になってるわね。」

 

行商人アンナはとある町の酒場で重々しく溜め息をつく。

 

 

数日前の事だった。

アンナも知っているアカネイアでそれなりに名の知られていた貴族が取り潰しとなり、その貴族と取り引きのあった中堅の商人が何名か処罰されている。

 

 

その理由は明らかとなっていないが、過去に例の見ない苛烈な仕置きにアンナを始めとした商人達は震え上がった。

 

 

何せ処分された理由すら明らかとされていないのだ。今のアカネイア王家や王国軍相手に商売をしようにも出来ない。

 

王家や有力貴族に近しい大商人達は動揺するアンナ達を尻目に取り引きを続け、利益を得ている。

 

 

それは立身出世を目論むアンナ達にとって苦い存在(もの)でしかない。

 

 

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「でも、機会が無いとねぇ。」

 

何せ彼女とていつまでも行商人のままで居たいとは思っていない。

が、細々とした商いで有力者と繋ぎを作るのは不可能に近かった。

 

アカネイアを離れたならば、或いはそんな機会に巡り会えるのかも知れない。しかし、大陸の経済の中心はアカネイアであり、物資や金もやはりアカネイアに集まる。

 

仮にグルニアへ向かい商いをしたとして、それで機会が得られたならば良いが、そうでなければ徒労。アカネイア以外の国についてあまり知識が無いのも大きい。

 

アカネイア国内で物資を集めようにも、はっきり言ってそこまで余裕のある所は無いに等しく、明らかに住民達の表情も暗い。

 

 

農村などで食糧を買い込もうものなら、それこそ親の仇を見る様な目で見られる事すらある。

 

 

王家や貴族、平民全てに余裕がないのだろう。

それが精神的なものか、金銭的なものかの違いはあるだろうが。

 

 

 

 

「話に聞いてた造船計画も聞かなくなったし、どうしようかしら。」

 

一応彼女もそれなりには戦える。戦えはするが、戦いを生業とする傭兵や騎士には及ばない。精々が破落戸(ごろつき)や山賊相手ならば勝ち得る程度。

しかも、それとて相手が複数となれば覆される恐れのあるもの。

 

 

別にアカネイアの治安が他国より良い。などとはアンナは微塵も思っていない。

寧ろ、アカネイアの領主(貴族)や騎士、役人に至るまで他国のそれと比べて性質(たち)が悪い。そう商人仲間は口にしているのを知っている。

 

「⋯それに面倒なのよねぇ。」

 

造船計画に利を見出した者達。彼等は互いに監視し合い、抜け駆けを防いでいた。

その一方で必要となるであろう様々な物を用意している。

 

 

森の利権は領主にある。であれば、人夫つまり作業員を手配したり、造船を行なう予定の場所の近くに作業員目当ての露店を用意しようとしていた。

 

アンナは造船計画を聞いても直ぐに動かなかった為に損と言える程の被害を受けていない。

しかし、計画を絶好の好機と捉えていた者の中には既に資金を使い動いていた者達がそれなりにいる。

彼等はアンナの様に損をしていないのに、造船計画で儲けようとしている者達を敵視していた。

 

 

勿論、そんな商人達の都合など斟酌する筈もなく、寧ろ「⋯勝手な事を」と苛立っている者がアカネイア側には多いのだが、幸か不幸かそれを知る者は大商人達だけ。

 

 

アンナの様に軽率に動かなかった商人の中には理不尽な報復を恐れてアカネイアから離れる事を選ぶ者もいた。

 

 

 

 

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商人と言うのは実のところ、成るのは難しくない。

アンナの様な行商人ならば、少しの金と自衛手段さえあればやれなくはない。

 

が、行商人から『店持ち』つまり一般的に言われるところの商人となるのは非常に難しいものだ。

 

 

何せ、武器にせよ道具にせよ、基本的に作り手がそのまま販売するのが大陸における常識であり、そこに仲介人(商人)の入る隙間は無いに等しいのだから。

 

職人(生産者)であるが故に、その在庫調整も原材料の確保についても自分でやる。無論、第三者に頼む事があるとしても、気心知れた人物にしか頼まない。

 

更に武器はともかくとして、農具や道具などは日常に必要不可欠なものであり、彼等が販売する相手とは大抵決まっている。

行商人が来たからと言って、彼等は在庫全てを見せる事はない。在庫を切らせる事は自分達の立場を危うくしかねない事であると理解しているから。

 

 

 

 

一概に行商人と言えど、その質は勿論多種多様。穏当な取り引きを求める者も入れば、武力をチラつかせて半ば強引に安く仕入れようとする者もいる。

 

特に農作物については、その傾向が強い。

何せ町ならばある程度の腕利きが居る事もあるが、農村⋯特に辺鄙な所にある所ともなれば

 

 

多少(・・)強引な事をしたとしても、露見する可能性は低いのだから。

 

加えて、村の者は余程の事が無い限り村から離れる事はない。つまり、その村に自分から関わろうとしない限り報復される可能性も極めて低いと言えるだろう。

 

 

ある意味では危険(リスク)管理がしっかり出来ている、とも言えるだろう。

⋯それが好ましいのかはさておくとすれば。

 

 

 

店を構えると言っても、当然店で利益を出さねばならない。

アカネイアの有力者に近い大商人ともなれば、その傘下にそれなりの人員がいる為、仕入れも出来る。その上懇意にしている有力者の人脈(コネ)も使えるので、その活動圏は広い。

 

が、勿論店を構えたばかりの者にその様な事が出来る筈もなく、店を構えるとなれば近隣住民との良好な関係。そして理解が必要となる。

が、利益を出さねばならない以上、それは難しい。

 

 

 

故にこそ、行商人達は可能な限り有力者と誼を通じ、大規模な事業などに己を関与させたいと考えるのだ。

 

はっきり言って、アカネイア大陸の体制下において行商人は多過ぎるのだった。

 

 

が、行商人達は『物を動かす事』で稼ぐ事に慣れきっていた。

今更農具を自ら振るって農作業をしたり、自ら剣を取って戦う事が馬鹿らしい。

それでは稼げないのだから。

 

 

そして、行商人と言うのは国家にとって好ましいものとは言えない。

何せ店を構えている者や職人達には『価格の統一』を徹底させている。その一部は税として徴収。国の財源となっている。

 

が、一箇所に留まらない行商人の中には税を払わない者や、統一価格を無視して売ろうとする者も少なからず存在。

更に農村の農作物とて、税として納めるべき物の中から行商人に流れる。歓迎する筈がなかった。

 

それこそ、国や領主が認知していない様な辺境にある農村でもなければ。

 

 

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故にアカネイアは今回の事を奇貨として、情報を洩らした貴族は言うまでもなく、その貴族から情報を得ていた商人⋯正確には行商人を締め上げる名分とするつもりなのだ。

 

 

体制側からすれば、自分達の目も手も及ばない所で好き勝手やる者の存在は勿論、活動も認める道理はないのだから。

 

 

何せ行商人とは利を求めて大陸中を流離う渡り鳥。

その活動は平気で国境を越えて行なわれる。彼等からすれば良いだろう。

が、それにより得られるべき税収が減るのは困る。

 

教会やカダインの様にアカネイアが権利や立場を保証しているならば、やむを得ないと諦めもするが、その様な事はない。

 

 

アカネイアの有力者に近い商人達。所謂大商人(豪商)とも呼ばれる者達は各地にある職人達の価値を理解している。

その職人達の領域を侵さんとする行商人の存在は彼等にとって鬱陶しく、自分達の立場を脅かさんとする敵。

 

 

芽は早いうちに摘んでおく。

の言葉通り、彼等は行商人に対する締め付けを強化しようとするアカネイアの動きに積極的に協力していく事になる。

 

 

 

 

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「我々としては、マケドニアへの派兵を認める訳にはいかぬ。

⋯仮にマケドニアへ兵を送るとして、輸送手段はどう確保する?その費用を誰が出すのだ?造る数は?

何もかも不透明な状況で国内に負担をかけるマケドニア征伐など認められる筈もない。」

 

アカネイアパレスではアカネイアの今後を決める会議が開かれていた。

口火を切ったのは、外征に反対の意思を改めて示した大臣。

 

それに不快さを隠そうともしない武官や将軍。

 

「そうは言われるが、マケドニアが我等アカネイアに反逆したのは間違いないのであろう?

であるならば、それを咎めねばアカネイアの権威に傷が付くのではないか?」

 

「別に我等だけが兵を出す必要もない。

今一度各国に使者を出し、兵を出させれば良いだろう。」

 

武官と将軍の言葉に外交を担当する者は

 

「簡単に言っておられるが、各国にも事情がある。

それに渡海する為の戦力を輸送する為の軍船が必要なのだろう?

ただでさえ不本意なマケドニア征伐に参加させると言うのに、その上兵糧や軍船の建造費まで負担させよ、と?」

その様なアカネイアの都合だけで動かせる筈がないと発言する。

 

 

「⋯陛下に御聖断を仰げば良いのではないか?」

 

武官や将軍からすれば、耳障りの良い事を主張すれば国王を動かせると思っている。

今のアカネイア王は政治にさして興味はなく、政治にまるで知識のない末姫であるニーナ王女ですら不安を感じる程。

 

勿論、それでも構わないのだがアカネイア王国は国王が有する絶対性がある為、臣下が幾ら必死になっていたとしても国王の決定一つで全てが覆る。

 

これは建国王アドラ一世やアカネイアを再興したカルタス王と言った能力と実行力のある人物がアカネイアを良くしてきたから。

 

 

「勿論、最終的には陛下に御聖断を仰がねばならぬだろう。

が、今のアカネイアの状況を理解して頂かなくては判断を誤る事もあろう。」

 

その言葉に武官や将軍は顔を顰める。

現在アカネイア王が寵愛している女性は将軍が推挙した人物。故にアカネイア王は将軍や武官達の言葉を鵜呑みにする傾向が強かった。

 

別に血を遺す事を非難するつもりはない。⋯ないのだが、アカネイア王家の血を継ぐ者はかなり多くなっており、水面下では壮絶な継承者争いが起きつつある。

 

 

 

 

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武官や将軍達の本音は「戦争がしたい(武功を挙げる機会が欲しい)」というもの。

 

何せ彼等は華々しく戦場で活躍出来る事を願っており、その為には明確な敵が必要。⋯賊程度ではなく、誰もがその功績を讃える様な相手の。

 

 

平時において、騎士は治安維持を担っているが彼等からすれば地味であり、つまらない役割。

日々の鍛錬もおざなりとなり、口にこそしないが不満は高まっていた。

 

その点文官達は平時にこそ活躍の場が多くあり、必然的に影響力も大きくなる。

 

 

「武すら振るえぬ臆病者に何故気を遣わねばならんのだ。」

 

 

というのが武官や将軍達の偽らざる本音。

 

 

が、常に文官達はそれ(彼等の願い)を否定する。

自分達の影響力が増えるのを邪魔しているのではないか?

 

そんな猜疑心が彼等の中に芽生えるのも仕方ないのかも知れない。

 

 

 

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この日の会議でも、マケドニア征伐について国王への上奏を行うべきではない。との話になり、いよいよ武官達の不満は危険な水準へ高まった。

 

 

幸いと言うべきか、アカネイア王の側に使える廷臣達は己の責務を自覚しており、例え将軍であろうともその意を王に伝える事をしなかった。

 

「然るべき場で出された結論ならばいざ知らず、そうでない話を陛下の耳に届ける理由はない。」

と。

 

 

廷臣達からすれば、アカネイア王とは軽々に動く者ではない。

右往左往するのは臣下の役目であり、ひとたび王が動くなれば大陸全てを動かす事態ともなり得る。

 

お前達の個人的な感情や都合で陛下を振り回すなどあってはならない。

 

と言うのが本音。

 

そもそも自分達は王の側にありて、些事を片付ける為にいる。

多少我欲に溺れていたとしても、その程度(・・・・)で国が揺らぐ事などあってはならない。

 

 

 

アカネイア国王、廷臣、文官達、武官と将軍。そして民

 

その全てが違う方向を向いているのが今のアカネイアだった。

 

 

 

 

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「⋯困ったものだ。」

 

カダインの最高司祭であるミロア。彼は度重なるアカネイアの軍部からの参戦の誘いに困り果てていた。

 

カダインの魔道士、カダインマージは確かに強力な戦力となる。しかし、魔道士とはそもそも前面に立って戦える程に耐久力がある訳でもない。

多少魔力で障壁を張る事は出来るが、それとて術者の体調によって変化するもの。

 

「海を渡ってマケドニアへ向かう?

それは流石に。」

 

カダインの魔道士は基本的にカダインで学び、その後それぞれの道に進む。

外に出る選択をする者はそれなりに体力もあるが、そうでなければ体力はかなり乏しい。

 

ミロア自身もカダインとアカネイアはワープで行き来しており、過酷な遠征に耐え得る体力があるか?と問われれば頷けるものではなかった。

その上、相手が空を駆けるマケドニア騎士となれば容易く間合いを詰められるのは危険としか言いようがない。

更に騎士だけではなく、騎竜や天馬の爪や脚での攻撃ひとつで魔道士は致命傷を受けかねないのだ。

 

 

「⋯しかし、教会がマケドニア征伐に前向きとは。」

 

頭の痛い話だ。

 

 

 

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マケドニア王女マリア。マケドニアの有力者の子女レナ。

教会はこの二人を足掛かりとして、マケドニアでも教会の立場を強化しようと目論んでいた。

 

ところが、その目論見は外れる。今のマケドニアにアカネイアの目となる存在がいない。

 

アカネイアも未だにマケドニアから連絡の一つもない事で、マケドニアに何かしらの変化があったと察している。

 

 

アカネイアもマケドニアの有力者を懐柔していたし、マケドニア王もアカネイア寄りの姿勢を示していた。⋯にも関わらず、全く音沙汰がない。

不自然であり、アカネイアもマケドニアへの食糧支援は打ち切っていた。となれば、マケドニアは音を上げる筈だった。

 

その内情を知る為に教会にも声が掛けられたのだが、教会もマケドニアの内情を知り得なかった。

 

 

 

『大陸秩序はアカネイア(政治)教会(思想、信仰)により成り立つ』

 

 

そう主張していたものが崩れつつあったのだ。

 

 

教会としては何としてもマケドニアで勢力を拡げねばならない。⋯その為にはアカネイアとの連携は不可欠であり、マケドニア征伐は格好の口実となっている。

 

 

 

更に言えば、現在アカネイアの司祭長を務めているミロア。彼はカダインの人間であり、教会に属している訳では無い。

 

「アカネイアの司祭長はアカネイアと長く共に在った教会の人間が務めるべき。」

 

との意見は教会のみならず、アカネイアでも根強かった。

にも関わらず、ミロアがその席にあるのは偏に大賢者ガトーの弟子である事が大きい。

 

 

その為、教会はアカネイアへの貢献を目に見える形で果たし、教会から司祭長を出したかったのだ。

 

 

要するに、教会はマケドニア征伐を勢力争いの道具と見做している。

それ故に、マケドニア征伐について教会は回復役やその纏め役を派遣する意思を示していた。

 

それは結果として、マケドニア征伐に慎重な姿勢を見せているミロアに対する圧力となっている。

 

 

----

 

 

 

「必要とされるのは嬉しく思うが、しかし。」

 

ミロアにも娘がいる。娘も魔道士として高い素養を持ち、自分と同じ道を歩もうとカダインで学んでいた。

仮にカダインが戦力を出すとなれば、年若い魔道士も戦場に出さねばならない可能性もあり得る。

 

自分の娘を戦場に送り出したいと思う親がいるだろうか?

少なくとも、ミロアはそう思えない。

 

 

「⋯ガーネフが居たならば、今の我等をどう思うだろうな。」

 

師ガトーの元で共に学んだライバル。

向上心が強く、常に切磋琢磨した間柄。ある日、師と話をした後にカダインを去った。

 

実力において、ミロアはガーネフに劣るとは思っていない。が、勝っているとも思えない。

仮にガーネフが居たならば、或いは。

 

 

「⋯⋯何とかせねばならない、か。」

 

ミロアの苦悩は続く事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マケドニア征伐は非常に多くの思惑が絡んでいます。

なので、しないとなればそれはそれで大火事になるでしょうね。⋯⋯しなかったら大火事が防げるとも言い切れませんが。









雑兵の秘密

既に百話近く没にした話が積み上げられている。

エリスルート完結記念の外伝

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  • そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
  • そんなことよりチキを出せ
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