汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
しかし、毎日更新はしたいというジレンマ
そろそろ大きな変化が立て続けに起きます
原作ルートがお好きな方は読まない方が良いかも?
「…なんということだ」
世間からは魔王などと仰々しい異名で恐れられているガーネフは頭を抱えた
アカネイア・パレスにおける戦闘はドルーア軍の敗北に終わり、忌々しくもアカネイア唯一の生き残りであるニーナが表舞台へ舞い戻った
パレスにおける戦闘はドルーア皇帝メディウスの意を受けたショーゼン率いる部隊が一時アリティア軍を圧倒するも、後方を撹乱された事による混乱がドルーア軍全体に拡大
結果統制を欠いたドルーア軍は各個撃破され、ショーゼンもまた敗れてしまう
更に頭の痛いのが、グラ攻略の為にメディウス自ら動かした筈のマムクートがその消息を絶っている事だ
勿論、ガーネフとしては彼等がどこかでのたれ死んでいるとは思っていない
寧ろ何処かで暴れている可能性の方が高いのではないか?とすらガーネフとしては思っている
何せ基本的にマムクート達は自分の指示など一切聞こうとしない
しかも、それをメディウスは良しとしている節があるのだ
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勿論、自分の考えの甘さがこの様な事態
つまり忌々しい
気に食わぬミロアを殺し
全くもって気に入らぬし、ああはなりたくないとすら思っているガトーの魔導書を盗み出したまでは良かったのだ
…まぁ、ミロアの持っていたオーラの書
あれは己には使えないものではあるが、それでも叶うならば処分しておきたかったと言うのが本音ではあるのだが
許してもらえるならば、ガーネフは言いたい
あの男、本当に世界を統べるつもりがあるのか!?と
自分でなければ、度重なる精神への負担とストレスからおかしくなっているところだろう
本当に
…ほんっっっとうに!
不愉快ではあるが、あの実力はあっても人としてどこかおかしい男に師事していた自分だからこそ、まだ耐えられる
「…よく考えるとアレとよく似ているのではないか?」
思い出したくも無い事が脳裏によぎり
「仮にアレが竜だとしても驚かぬわ
寧ろ似合いであろうな」
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「…ミネルバ達が裏切った、か」
マケドニアの第二王女であるマリア
彼女はマケドニアがドルーアから不審な視線を向けられていた為に人質としてディール要塞へと送らねばならなかった
父を殺したミシェイルとて、肉親への情がないわけでは無い
特に己が役目を全く理解していない猪の様な妹よりも、誰かを癒そうと真剣にシスターとしての修行の日々を過ごした下の妹に気を遣うのは兄として当然だった
「……ジューコフとやらには良く言って聞かせたのだがな」
ミシェイルは嘆息する
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「ドルーアの我等に対する疑念
それは甘んじて受け止める。…故に私は王女であるマリアを貴様等に預ける選択をした
……だが、もしもマリアの身に何かあってみろ
その時は我等の牙が貴様等の喉元を食い破ると知れ」
マリアを引き渡す際にミシェイルはそうジューコフに告げている
もしもの時は自身の率いる精鋭を以て、敵わぬまでもドルーアの心臓部を脅かすつもりだった
しかし
「配下の白騎士団の裏切りならば、まだどうにかなった
だが、アレすら敵に寝返るとなると
…ふっ、どうしようもないな」
仮にこれが露見したとなると、事の是非は置いておいて
『マケドニアの王女は部下を率いて裏切った』
と言う事実は残る
そしてそれは、基幹産業が傭兵業であるマケドニアにとって致命的なものとなる
言うまでもなく、傭兵とは戦場にあってこそのものだ
…最近は大陸全土が混乱している為か大きな街で有力者達が傭兵を雇う事もあると聞く
どちらにせよ、信用がなければ成り立つものでは無い
ドルーアに従ってアカネイアを滅ぼしたとしても、何れはドルーアが自分達をも滅ぼさんとするのは明白だろう
アカネイアや他国が滅ぶ前に自国を最大限強化し、ドルーアであろうとも手を出す事を躊躇する程度の軍を組織する
夢物語の類ではあるだろうが、その為にミシェイルはこれまで動いてきた
既に一部の他国に出ている国民から『依頼を断られた』との話も聞こえている
「さて、どうするか」
ミシェイルはそれでも諦めない
自分が諦めて、自身の命が失われるだけならば構いはしないが
この身にはマケドニアの国民の命が
生まれてくる者達の未来がかかっているのだから
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「陛下、お考え直しくだされ
最早我々に選択肢は残されておらぬのです」
ガーネフとミシェイルが苦悩している頃、グルニア国王もまた苦悩していた
アカネイア・パレス解放
その報がグルニアにも伝えられたからだ
…ただし、ドルーアの使者によって、だが
使者はその事実だけを伝えるとグルニアを後にしている
グルニアの文官達はこれを『ドルーアからの最終警告』と受け止めた
何せグルニアはレフカンディ以降、ドルーアに対する戦力派遣の規模を縮小していたのだから
更にパレスでの戦闘において、マムクートの存在が確認されている
つまり、ドルーアはマムクートを前線に投入する事を辞さない体制になったのだ
その事実を理解して、それを脅威に思わないものは
少なくともこの大陸の人間にはいないだろう
故に彼等は国王に直訴せねばならなかった
手遅れとなる前に
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グルニア王とて凡庸な人物ではない
故に文官達の危惧するところは理解出来る
…だが、既に状況は己にも読めぬ程に混迷を深めている
パレス奪還の報を受けて、アカネイア国内において反ドルーア勢力が決起したと聞くが
それ等はメディウスの怒りに触れ、メディウス直参のマムクートにより壊滅させられているとも聞いた
確かにニーナ王女という旗手がその存在を示した事により、一時的にではあるがドルーアの影響力は低下していると言えるだろう
…しかし、このままドルーアが座視する事は絶対にあり得ない
現在ニーナ王女を強力に支援しているのはアリティアのマルス王子と聞く
…そう、
彼はこれから恐らく起きるであろう事を考えると、どうしてもドルーアにつく事もアカネイアにつく事も躊躇われた
本音を言えば、マケドニアと共闘する事が出来たならば
或いは
とも考えるのだが
残念な事だが、レフカンディやディール要塞の件を踏まえると此方の胸中を話す事は出来ないだろう
しかし、文官達の言う事もまた理解出来る
それ故にグルニアは身動きが取れなかった
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グラ王国の王女シーマは自国の置かれている状況を理解すると頭を抱えた
何せ長年の同盟国であるアリティアをよりにもよって背後から刺したのだ。大陸全土の国家から白眼視されるのも無理もない話だ
国王ジオルはドルーアの勝利に貢献する事で事態を打開できると思っている様だが
そもそもアリティアの主力騎士団との戦闘により、グラもまた深手を負っているのだ
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同盟国であるグラの突然の裏切り
しかし、アリティア騎士団の者達はそれに抗った
王を守る為に
国を
家族を守る為に
そして
と彼等は奮起した
怒りは冷静さを奪い去り、実力を発揮させなくなる事がある
…しかし、時にその怒りによって普段よりも高い実力を発揮する事もまたあり得るのだ
この時のアリティア騎士団は後者であり
自分達は此処で死ぬだろう
…だが、奴等を生かしておけば大切な者達が奪われかねない
との正しく決死の覚悟をもって、グラの兵士達に抗った
突然の同盟国に対する攻撃
それは騎士として最も恥ずべき事の一つであり、彼等の誇りや名誉を傷付けるもの
故にアリティア騎士団へと攻撃するグラの兵士達の士気は控え目に言って高くなかった
…勿論国王であり、この決断をしたジオルからすれば
これはやらねばならぬ事であり、仮にアリティアを攻撃せぬままにドルーアへ攻撃を仕掛けたとなれば破滅を意味していると理解していた
が、その危機感は共有される事なく、結果としてグラ王国軍の中に明らかな温度差が生まれてしまう
そこを決死の覚悟で抗ったアリティア騎士団は見事に突き、結果としてグラ王国軍も甚大な被害を受ける事となったのだ
そして、兵士というのは基本的に働き盛りの男性である事が多く
結果としてグラ王国にて社会構造の崩壊の兆しが出てきてしまう
騎士は専任であるが、兵士達は常に軍の指揮下にあるのではなく臨時に軍へと編入される形であったが故の問題だった
救えないのが国王ジオルは更なるドルーアからの支援を求めんが為に兵の徴用をやめていない
それはアリティアの生き残りであるマルス王子がアカネイアのニーナ王女を奉じてアカネイア解放の兵を挙げたときから更に酷くなっている
何せ、自分はマルスの父を手にかけた上にアリティアを滅ぼしたのだ
恨まれていないはずがない
そう考えているのだろう
シーマはこの国の王女として、何もしない訳にはいかない
…だが、しかし
いったい何が出来ると言うのか?
そうシーマは自問自答する
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1番手っ取り早いのは父を説得して、ドルーアよりの方針を改めさせる事だろう
こうすれば、少なくとも
そこまで考えて彼女はそれが無理であると思い至り、絶望する
一度
今一度
…では、グラの戦力を立て直す?
それも難しい
何せ戦える兵は払底している上に、先のアリティア本国攻略においても甚大な被害を出している
最早この国に戦える兵士と呼べる者は残っていると思えない
彼女は自身も戦場に立つしかないと思い定めている
しかし、戦場に不慣れな自分では兵が安心してついてくると思っていない
いったいどうすれば良いのだ
彼女は苦悩の中にいた
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そして、ある意味では戦乱の渦中にいるマルス達も困っていた
「…ジェイガン。彼等の合流は嬉しい
けど」
「…ええ」
アカネイアの象徴であるパレスをドルーアの手から解放したマルス達であったが、彼等は身動きが取れない状況にある
と言うのも、パレス奪還の報を聞きつけたのかアカネイアの有力貴族達が挙ってニーナの元へと馳せ参じたのだ
本来ならば喜ぶべきところなのだろうが、彼等はドルーアの侵攻に際して国王や決死の抵抗を試みていたアカネイア軍を見捨てて我先にパレスから離れていた者達だとジョルジュから聞いたのだ
ドルーアによりパレスの牢獄に捕らえられていたミディアも彼等の姿を見ると顔を背け、その端正な顔を嫌悪に歪めてしまう程
つまり彼等はドルーアの支配に対して何ら抵抗する事なく、主家であるはずの王族を見捨てた者達なのだ
その様な者達がニーナを支えると言って、誰が信用してアカネイアを離れられようか
その中では
彼はアカネイア軍の再編を速やかに終える事がマルス達の目的にもニーナ様の意にも沿うものだとして、速やかなアカネイア軍再建をニーナに進言
ニーナとしても、未だドルーアや彼の国と共にアカネイアを滅ぼさんとする国家があるとして、ラングの進言を聞き入れる
ラングは
「我等はニーナ様を
今は亡き国王陛下達をお守りする事が出来なかった
…ならばこそ、今度こそ我等がお守りせねばならんのだ!」
と軍再建に乗り気ではない貴族達を説得して回ったという
何せ、パレス内の宝物はマルス達の今後の為にニーナは所有権を放棄している
軍再建を行なう原資は貴族達が負担せねばならなかったのだ
しかし、マルスの目から見て再建途上にあるアカネイア軍の練度は勿論の事、軍律も
「…あれで本当にいざとなればドルーアと戦うのか」
そうハーディンが嘆息する程に酷かった
勿論、マルスの心情としては姉であるエリスこそ取り戻せたものの、今なおグラの圧政下にあるアリティアを1日でも早く取り戻したく思っている
だが、その結果アカネイアやニーナ王女がまた危険に晒されるとなると動くに動けない
加えてラングはそうでなかったが、多くのアカネイア貴族達は明らかに自分達を邪魔に思っている事が分かる
ジョルジュやミディアなどのアカネイア軍の者達が積極的に何とかしようと動いているが、どちらかと言えば彼等は少数派
何せマトモな者達は殆どがドルーアとの戦いの中で命を落としているのだから
僅かに残っていた心ある者達はアカネイア北部におけるドルーアに対する一大反抗作戦(なおニーナやマルス達への連絡はなし)を実施。これに対するメディウス麾下ゼムセル以下のマムクート部隊により全滅している
倒さねばならぬ敵は居ても、マルス達は動く事が出来ないままに時間を浪費していく事になる
激動の世界の中で、それぞれが自身の望む結末の為に翻弄されながらも進む
その先にあるものは光か闇か?
それはまだ誰にも分からない
という訳で各勢力それぞれ悩みを抱えながら戦っているという話
因みに原作の様にこの状況で誰かさんがグラに行った場合
彼の居場所がなくなります
流石に国王も庇いきれなくなりますので
出来ればで良いので、感想ください
割と方向性に悩んでいるので