汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
まぁチキをメインヒロインにする時点でアレですが。
許して下さい、ゲレタが何でも(以下略)
ゲレタの話を聞いた事で自分の中にある想いを自覚したチキ。
強くなりたい。
この人を守りたいから。
一緒に生きてゆきたいから。
それは今まで受動的であった彼女にとって大いなる変化を齎した。
いつもの様にゲレタと共に寝た翌日
「⋯チキ、か?」
「?
そうだけど、どうしたの?」
先に目を醒ましたのだろうゲレタに声をかけられ、チキは不思議そうに返す。
「いや、成長したのか?身長伸びているのだが。」
「⋯そうなの?」
ゲレタの言葉に小首を傾げるだけだった。
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「⋯驚いたものだ。まさか姫がこうも成長しようとは。」
いつもの様にゲレタの家へ顔を出したモーゼス。
彼は昨日まで幼き姿であったチキの驚くべき変化⋯いや、成長に目を見張った。
昨日までは童女の様であったというのに、今の彼女は年頃の娘の様な姿となっていたのである。
「⋯なる程な。姫はこの者を守りたい。共に生きたいと願ったのだな。」
「うん。ゲレタさんと昨日話をして、そう思ったの。
私はいつまでも守られてばかりではダメなんだって。」
「⋯いや、何というか無茶苦茶複雑なんだが。」
「そんな事ないよ。
ゲレタさんが頑張ったから私は貴方に会えたんだよ?」
モーゼスは目の前のやり取りに穏やかな笑みを浮かべる。
「守りたいものを見つけたから、姫は強くなった。
礼を言おう、ゲレタ。」
「それで礼を言われても素直に喜べないのですが、それは。」
照れ隠しを含めたゲレタの言葉にチキとモーゼスは笑い声を上げた。
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「確かに我等竜人族の成長とは精神に左右される事が多いとは聞いた事があるが、よもや実例を目にする事となろうとは。」
メディウスでさえも、思わず目頭を熱くさせるに足る事態。
チキの成長。
竜人族にとってそれはあまりにも大き過ぎる報せとなった。
童女であった彼女が
「やはり愛情よ。想いが無ければ虚しいもの。」
「姫様も佳き相手を選ばれたものだ。
これから我等は新たな世代の為にも励まねばならん。」
一部の者達は常に無い程に舞い上がり(物理的にも)、気の早い者は
「姫様とあの者の御子が楽しみではないか。」
と心を弾ませていた。⋯なお竜化して大地を弾ませていた為に、ゼムセルが制圧。
「⋯⋯はしゃぎすぎであろうが、バカモノ。」
と呟いたとか何とか。
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正直なところ、ゲレタはまるでこの事態についていけなかった。
確かにチキと一緒に寝るのがライフワークとなっていた。その時点でアレなのかも知れない事は何となく分かっていた。
⋯いや、分かっていたつもり取ったのだろう。
昨日、ガーネフと魔法などの話をしていたら、いきなりチキを連れてこられ、あまり話をした⋯いや、するつもりすらなかった事を話していた。
正直に言えば、ドルーアとの関係構築やその深化はともかくとして対アカネイアについては洒落にならない程度には精神的な負担になっていたのは認めざるを得ない。
アカネイアシンパを始末したのは、心を痛めようがやらねばならなかった事。
⋯しかし、どうやら理屈では納得出来たとしても、長年生きて培った価値観と言うのは中々に根強いものらしい。
情けない話、それを自分ですら理解出来ていなかったと言うのだから笑い話にもならないが。
この歪な価値観は彼女の言う通り、俺しか持ち得ないものなのだろう。
『たとえ鎧を纏おうと、心の弱さは隠せない』
とは以前見ていた作品の劇場版で敵方のキャラが口にしていたが、確かにその通りなのだろう。
孤独は嫌だった。独りは怖く、寒い。
それは他ならぬ自分が身をもって理解している。
⋯だからこそ、彼女を孤独の中に押し込めようとしたガトーを許せなかった。
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この世界に気が付けばいた。
そして山の中で孤独に震え、闇に怯え、物音にすら意識を回さねばならなかった。
彼女の孤独とはまた種類の違うものであるのだろう。
「冷たい石の世界。
それが私の全てだった。⋯バヌトゥが私を連れ出して、はぐれた私は手を引かれ、貴方に出逢えた。
貴方は私に沢山のものをくれた。
ものを育てる喜び。人と一緒に暮らす暖かさ。私を
貴方は私が平穏な日々を送れたらそれで良いと言ってくれる。
でも、貴方は見えない傷を沢山抱えて苦しんでいる。私はそんな貴方を見ているだけなのが辛い。
貴方を手伝いたい、貴方の側に居て支えたい。
⋯貴方を好きでいたい。」
昨晩彼女が寝床で俺に言ってくれた言葉だ。
出来ない事を誰かに任せるのは当たり前の事。
荷物を善意で背負い続けても潰れては意味がない。
だが、俺は答えを返せなかった。
覚悟がなかったからだろう。
それでも彼女は
「大丈夫だよ。
直ぐに答えを貰えるとは思っていないから。でも、側に居させて欲しい。」
と笑ってくれた。
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「⋯姫、いやチキよ。
その道は辛く苦しい道となろう。
それでも構わぬというか?」
「うん。それでも私はゲレタさんが好きだから。
⋯昨日の晩に夢を見たの。」
「夢、か?」
ドルーアにてメディウスと成長したチキは話をしていた。
メディウスにとっては喜ばしい話ともいえる。
確かにマケドニアとドルーア、竜人族とヒトの未来を考えるならばこれ以上望むものがない程に良き話であろう。
が、ゲレタは異界のもの。
次代へ繋ぐ事が出来るかどうかなど分かろう筈もなし。
竜と分かたれしこの大陸の者であれば、可能性はあろうが。
チキとゲレタの間に確かな想いはあるだろう。
それが慕情や愛情かは定かではないが。
仮に子が出来ぬとなれば、チキもゲレタも悲しもう。
ゲレタがヒトとしての生を全うすれば、残される事となるチキは悲しみに打ちひしがれるのではないか?
ゲレタがヒトとしての生を捨てれば、その
メディウスは長命種である竜人族の中でも取り分け長く生きている。更に圧倒的強者とでも言うべき存在。
誠に残念な話だが、ゲレタの心の内を推察するには難しいところ。それはチキにも当て嵌まるところが多い。
それは絶対者とも言えるメディウスであってもどうにもならぬ話と言えるのだ。
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ゲレタへの想いを自覚し、それを伝えたチキ。
その切っ掛けは間違いなく想いを寄せていたゲレタの力への渇望と絶望を彼の瞳の奥に見たから。
その苦悩はゲレタという人物に抱いていた彼女の勘違いを理解させる事となり、だからこそ彼女は自身の心の奥底にあった想いと向き合えたと言えるだろう。
彼女は眠りにつくその直前まで、隣に居る想い人への想いと自分の力の無さを痛感していた。
だからだろうか?
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『その想いは貴女を苦しめる事になるだろう。
それでも貴女はその道を往くと?』
何処か懐かしく、それでいて切なくなる様な穏やかな声が彼女には妙にはっきりと聞こえた気がした。
彼女は
「それでも、私はゲレタさんと一緒に行ける
と己の中にある想いを口にする。
「私はチキ。
⋯あなたも私と一緒なの?」
ゲレタと初めて会った時私は感じた。
自分と同じだと。
悲しみや恐怖、苦しんでいたのだ。
それを知っていたのに
『⋯⋯そうか。
貴女の止まっていた時を彼の者は動かしたのだな。
であれば、その道に幸あらん事を。』
その言葉は何処か嬉しそうに、でも少しだけ悲しそうに聞こえた。
意識が遠のく。
『我が娘よ。その果てに貴女の幸せが訪れる事を』
最後に何か聞こえた気がしたけども。
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「そして目が覚めたらこの姿になっていた。」
チキの話を聞き終えたメディウスは感慨深そうに目を細め、
「そなたの想いを我等は否定せぬ。
あの者と共に在れる様に我等も尽力するとしよう。」
「ありがとう。」
チキはメディウスに頭を下げ、その場を後にする。
「⋯不器用なものよな。
親として、その最期の力で娘の明日の為に背を押したか。」
と言う訳でチキの見た目は今後、覚醒時代のチキとなります。
彼女の衣装にも赤があるので、ヨシッ!(アカネイア猫)
雑話
今回の超展開になった理由として、夢にチキが出てきたからだったりします。
冗談半分だった世界線の収束論。あり得ないと言い切れなくなってきましたわね。
エリスルート完結記念の外伝
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いる
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いらない
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そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
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そんなことよりチキを出せ
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その他