汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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一部不快になる表現があります。

ご注意ください








まぁ、本編のパオラとカチュアと山賊の話くらいと思って貰えれば。




人は誰しも特別を求める。

 

力を求め、手を伸ばし続ける。

 

 

 

 

それはさながら大地に水を撒くが如く。

その渇きが満たされる事はない。

 

 

多くの者はその渇きを、渇望を己の中で上手く折り合いをつけるだろう。

その先に果てがない事を

 

過ぎれば己の破滅を招く事を知っているから。

 

 

 

 

しかし、その一方である程度の権力や財力、武力(ちから)を持つ者は己の渇きを満たさんと周囲を巻き込み、動き出す。

 

 

その果てに己の望む景色があると信じて

 

 

 

----

 

 

 

 

「マケドニア征伐が中止された、と?」

 

「それでは困る。

マケドニアにしか居らぬ天馬騎士。それを手に入れる手筈も整えていたと言うのに。」

 

アカネイアのとある貴族の邸宅。

そこに人目を避けながら、複数の者達が集まっていた。

 

 

「天馬騎士も良いが、マケドニアへの食糧支援が打ち切られたのが私からすれば問題だ。

⋯何とかせねばならんと言うに。」

 

 

彼等からすれば、アカネイアの権威などに然程関心はない。

アカネイアの政策に便乗し、自分達の影響力を。権力を高めようとしているに過ぎない。

 

しかしそれは彼等が無意識のうちに、たかがマケドニア風情(・・・・・・・)にアカネイアの権威を揺らがす事など出来はしない。そう思っているからこそのもの。

 

 

前者はマケドニアにしか居ない天馬騎士を己の手に

後者はマケドニアへの食糧支援における正当な報酬(・・・・・)

それぞれ求めており、その為に罷免された前将軍に力を貸していた。

 

 

 

 

----

 

 

 

 

「それにしても忌々しい。たかだか船を造る事すらも満足に出来ぬとは。」

 

「そちらはそれで良いだろうがな。

此方からすれば、船が沈んだ際に職人を失っているのだぞ。⋯そのせいで他の貴族に頭を下げて職人を確保せねばならなくなったのだぞ!」

 

 

 

マケドニア征伐の為に建造した試験艦の沈没。

それは進水式を行なった港の使用を不能としただけに留まらなかった。

 

船を動かす為の人夫。己の成果を実感したかった為に乗船していた職人や騎士。

其れ等の命を奪っていた。

 

体力に優れる騎士は一部助かったが、職人と漕ぎ手である人夫は全員死亡。

 

 

アカネイア各地から集められた人夫は元々農村の農民を中心として集められていた者達。

当然、その喪失は決して軽いものではなく、その上畑違いとは言え熟練の職人を少なからず失っている。

 

それは自領から労力として出した領主、即ち貴族から詰められる事態に発展していた。

 

 

マケドニア征伐の中心人物であり、発起人である前将軍は勿論協力した者達から見限られ、結果命を落とす事になった。

だが、それで収まる話では到底なく、軍船の建造に人員を出した貴族達はマケドニア征伐を主張していた貴族にもその損害の補填を求めている。

 

 

本来ならば、文官に丸投げすれば良い話であったが文官側としてはマケドニア征伐についての責任を負う理由はない。

とし、アカネイア王に対してマケドニア征伐の無期限延期を上奏。

 

王は然程マケドニア征伐に対する関心はなく、あくまでも『自分に良くしてくれた』前将軍からの提案だから頷いたに過ぎない。

 

 

その為

 

 

「⋯任せる。」

 

と口にしただけであった。

 

 

 

 

 

まぁ、これもマケドニアに対する企みをアカネイア王が知らなかったが為の事であり、仮にその企みを王が聞いていればマケドニア征伐を強行させただろうが。

 

 

 

----

 

 

 

 

 

「⋯せめて国王に話をしておくべきであったか。」

 

「気持ちは分かるが、それは叶うまい。

廷臣達に阻まれて終わりよ。」

 

マケドニアの天馬騎士を己の手の内に置きたかった者達は、それを突破口としてある話を計画していた。

彼等はアカネイア貴族の中でそれなりの立場にあったが、さりとてアカネイア王に直接陳情出来る立場ではない。故に彼等が陳情するとなれば、王の側に居る廷臣達がそれを受け、その内容を知られた上で王の耳に入れるべきか判断される。

 

 

例え王妃だろうが、寵姫だろうが、国政に対して王に意見する事は認められておらず、然るべき所を通さねば献策出来ないのがアカネイアの体制である。

 

 

⋯まぁ、その変わりアカネイア国王の権限は絶大であり、寵姫を推挙した人物を将軍に据える事も出来てしまうのだが。

 

その結果、『アカネイア王は聡明に非ず』という評価を下される事となったが、それはそれ。

 

 

 

 

 

「⋯マケドニア初の女性竜騎士。そしてマケドニアの王女ともなれば陛下にもご満足頂けたであろうに。」

 

「その配下の天馬騎士も容姿の整った者達と聞く。

使い道は幾らでもあるだろうが。」

 

 

そう、最終的に彼等はミネルバとその騎士であるパオラ、カチュア、エストをアカネイアの手に収めようとしていたのだ。

そして国王にミネルバを差し出し、己の栄達を目論んだ。

 

 

国王がミネルバを気に入れば最善。

仮に気に入られなくとも、マケドニア王のお気に入りであろうミネルバなればアカネイアからのマケドニアへの影響力を高める事も出来よう。

 

使い途は幾らでもあるというもの。

 

 

 

ゲレタがマケドニアの有力者を粛清したのは、この企みをゲレタが掴んだからに他ならぬ。

勿論、その証拠はゲレタの手元にあり、対アカネイアにおける切り札のひとつとなっている。

 

 

 

 

 

「どうにかせねばならぬが、直ぐには動けぬ。

せめて教会の連中が主張しているカダイン誅伐も上手くいかんときた。」

 

「だが、諦める訳にはいかぬ。」

 

「うむ。先ずは邪魔な将軍を除かねばなるまいて。」

 

 

彼等は諦めない。

いつか望むものを掴むために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と言う訳である意味不屈なアカネイア貴族でした。



組織が大きくなれば制御は難しくなる。
ましてや、国王が全く機能していないアカネイアともなれば尚更。


 










ミネルバやパオラ達のルートを解放するには、この話を彼女達が知る必要があるでしょうね。

なので、各々のルートは短編としてどこかに挟みます。
異章の後日談を追加しました。







マケドニアルートとは?(混乱)

エリスルート完結記念の外伝

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