汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
本来交わる筈のない二人。
二人はどの様な道を選ぶのだろうか。
その日彼女は奇妙な夢を見た。
竜化した自分やモーゼス、メディウスよりも遥かに高いナニカ。
騎馬よりも速く走る奇妙な生き物らしきもの。
大きな音が頭上からして見上げれば、大きな影が。
ほんの一瞬
ごく僅かでしかないその景色。
しかし、彼女の心の内に不思議と残る事となる。
その何処か物悲しい光景が
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清濁併せ呑む、という言葉がある。
歴史ヲタとも言えるゲレタもそれには頷けるところは多々あった。が、ゲレタは自身がそこまで公明正大でも聖人君子でない事を良く理解していた。
ゲレタは何よりも、人の善性ではなく人の悪性にこそ向き合い、悪意があったとしてもそれ以上の利益を示す事で納得させる様に努めている。
何故か
ヒト、この大陸においては人と竜人族も含めた括りとしてのヒトとて自分が良く知る人と精神面においてはさして変わらない。そう判断しているからだ。
寧ろ武器が普通に流通している事を考えれば、命に対する価値観は自分の生きていた国に比べて明らかに異なる。
ましてや、命を焚き火に焚べる薪の様にせねばならなかったマケドニアであれば尚更。
マケドニアで戦い死んだ者ならその遺体は手厚く葬られる。
だが傭兵として国外で死んだ者達は遺体もなく、残された家族はただ戦死の話を聞き、立ち尽くすだけ。
竜騎士に遺すものはない。
とはアカネイアから食糧支援を受けていた頃の自嘲にも似た話である。
天馬騎士の者達は自分達もマケドニアの為に戦う。
そう意気を挙げていたが、傭兵としてのマケドニア竜騎士への扱いは酷いものだったという。
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弱き者は砂を噛み、泥を啜り
強き者は弱き者を踏みつけ、己に並び立つ事を許さない。⋯認めない。
その人間としての浅ましいとも言える性根は世界が違えど変わる事は無かったのだ。
ゲレタはマケドニアの者ではない。
縁者は居らず、マケドニアの常識にも疎い。
故にゲレタを文字通り拾い上げたミシェイルと傷の手当てをしたマリア。二人以外との折り合いは当初良くなかった。
紆余曲折あり、リュッケやルーメル等はゲレタを認め、ミネルバとその騎士達も複雑な思いを抱えながら認める事となる。
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己の知らない所で生活する。
その困難さをチキは良く知っている。
⋯しかし、それでも自分はまだ自分を知っている者がいたし、意思を尊重してくれる者がいた。
⋯仮に自分が
考えたくもない位の孤独に怯え
恐怖に震えるだろう。
孤独は何よりも恐ろしく、抗い難い事を彼女は身につまされて理解していた。
自分に優しくしてくれたあの人の瞳。
最初は気が付かなかったが、その奥に別の何かを感じ、それが以前バヌトゥと共に居た頃水面に映った自分の瞳。それと同じものであったと気が付いたのはいつだったか。
あの夢を見た後、マケドニアの大地を見れば現実感などあろう筈もない。
只の夢⋯⋯いや、違うのだろう。
何の根拠も無かったが、彼女は何となくそう確信していた。
あの人は誰かが死ぬ事を悼んでいた。
でも、守る為には力が無いとどうしようもない。
だから、あの人は
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この大陸の技術や知識はあちらの世界と違い、魔法という存在があるからか奇妙な形に発展している様に思える。
本来治療とは人体の構造をある程度理解していなければ難しい。⋯と言うのが、あちらの世界の常識だろう。
だが、此方ではそうではない。
下手をすれば騎士団や各国の軍、教会よりも猟師や教会のない寒村の方が人体について詳しい事もあると考える。
傷薬と
此等の存在とアカネイアの歪な騎士像により、人体について知られる機会はほぼ無く、其れ等が通用しない病気については無力に等しい。
瀕死であっても回復できるのに、だ。
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ガーネフ殿に魔法を学ぼうとしたが、どうやら魔法を使う素地がないらしく、それこそ命を削りかねないらしい。
ま、無理もない話ではあるだろう。
この大陸の人は竜から竜人族、そして人へと変遷した存在。
竜とは無縁のあちらの世界出身の身ではそれも仕方のない事。
仮にアカネイアとの戦争が不可避であれば、選択肢に入るが現状その様な事態にさせるつもりは毛頭ない。
急所を的確に魔法で攻撃出来れば、それこそ最少の労力で最大の効果を挙げれると思うのだが
流石にそれを伝えるのは憚られた。
どうにも彼女が変化したタイミングなどから考えるに、俺が魔法を使えない事を気に病んだ、のかも知れない。
気持ちは本当に有難いのだが、彼女に戦って欲しいとは思ってないし、思ってはならない。
別に彼女がナーガの娘だとか、神竜族最後の希望だとかはどうでも良い。
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ドルーアとはアカネイアやアリティアにとって相容れない存在。
仮にドルーアが再興され、その皇帝がメディウスとなればアカネイアはまず間違いなく暴発する。
暗黒竜メディウス、ドルーア帝国はアカネイアの歴史において決して許してはならぬ存在として語り継がれているだろうから。
別にアカネイアやアリティアがどうなろうと知った事ではないが、海上で迎撃し続けるとしても兵や騎竜、天馬の疲労は隠せない。
その上、これまでとまるで違う戦い方を強要するとなれば、現地の騎士達の不満も回数が増えれば嫌でも問題となる。
そして、天馬騎士にせよ竜騎士にせよ単騎でもやり方次第で脅威となろう。
いつまでも攻められるならば、いっそ相手を直接
そんな考えに突き動かされる可能性は決して拭い去れる話ではない。
例外とは認めた瞬間、その意味を失う。
マケドニアの者達が疲弊していれば、竜人族も行動を起こそうとするだろう。
好意からのものであろうとも、竜人族がアカネイア側に手を出せば嘗てのドルーア帝国の姿を想起するだろうし、少なくともアカネイアの正当性とマケドニアとドルーア攻めの大義を得る為に嬉々として利用するだろう事は想像に容易い。
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故にこそ、竜人族の参戦は可能な限り避けねばならず、チキもまた例外ではない。
⋯と言うよりも、こんなくだらない事に巻き込みたくない。
と言うのが偽らざる本音。
一プレイヤーとして覚醒をプレイした時、成長した彼女の再登場に喜んだものだ。
だが、いざプレイすると彼女は明らかに厭世的な雰囲気を纏い、その時の流れの残酷さと
彼女が背負わねばならなかった役目の重さに素直に喜べなくなった。
そして、神剣と裏剣
二振りのファルシオン。
何のことはない。メディウスや多くの竜人族を倒しておきながら、大陸は未だにナーガの遺産を頼りにせねばならなかったのだ。
商業作品としては理解出来る。
⋯しかし
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ゲレタはいつまでもこの大陸がナーガに囚われ続けている様な未来を認めない。
確かにナーガの成した事は恐らく余人には成し得なかった事であるだろう。
だが、仮にも人の世と言うのであれば、
竜や竜人族から大陸の未来を託されたというのならば、
ギムレーを生み出したのは人であり、それを封じたのもまたマルスの子孫即ち人。
ギムレーに対抗しうるはファルシオンのみ
ファルシオンの封印を解くには、真の力を発揮させるにはチキの力が必要。
「⋯テーベのフォルネウス、だったか。
随分と舐めた真似をしてくれるものだ。」
フォルネウスの凶行を止められなかったテーベの者達。仮に制止しようとするのならば、それは最早敵でしかない。
そこで初めて大陸は本当の意味で人の世とならねばならない。
窮地に陥れば、都合良く助けてくれる。
等というのはあってはならないのだ。
頼れる者がいれば、人は容易く堕落する。
絶望の未来を否定したルキナ達の気持ちは真に理解出来るとは言わない。
が、結果として良い未来を拓けたとしても、本当の意味で彼女達の居場所はあったのだろうか?
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まるで異なる世界だからこそ、まだ俺はマシだろう。
しかし、彼女達は自分の両親と自分のあり得たかも知れない姿を見せ続けられる事となる。
耐えられるとしても、その姿に憧憬などの複雑な感情を抱かざるを得ないのではないか?
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ふとした時に違和感を感じ
夢であちらの世界の事を見れば、現実感を失いそうになり
その強さに
優しさに
気高さに
憧れ、羨み
二律背反に苦しむ日々。
これは俺が弱いからだろう。未だに強さなど俺からすれば無縁のものであり、手を伸ばしたとしても届く事ないもの。
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そんな俺が気を休められる様になったのは、彼女に様々な事を教える中で土を弄ったりしている時だろう。
彼女に教えると言いながら、その純粋さと素直さに確かに俺は救われていた。
彼女はガトーにより1000年以上もの間、あの神殿の中で眠りにつかされている。
何も知らないのではなく、何も教わる機会すら奪われていたと言う方が正しいだろう。
勝手な話ではあるが、彼女もまた孤独の中にあり、それにシンパシーを感じていたのも事実。
⋯でも、彼女は楽しそうに
嬉しそうに笑えるのだ。
その笑顔に力を貰い
その力に焦がれ
その純粋さを護りたいと願う。
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人を殺すのはゲレタのいた世界では禁忌であり、この世界との大き過ぎる差異と言える。
勿論、無闇矢鱈と殺したいとは欠片程にも思わないし、思ってはならないだろう。
血に酔い、力に溺れた者の末路など碌なものではないのだから。
さりとて、力を示さねばならぬ時もある。
己の覚悟を示さねば、人はついていかぬ。
やってみせ言って聞かせてさせて見て褒めてやらねば人は動かじ
とは太平洋戦争開戦時の聯合艦隊司令長官である山本五十六の言葉である。
上に立つ者、先をゆく者こそが規範となり、それを見て倣ってもらう。そして褒める時にはしっかりとして初めて人は動かせる。
と言った意味だ。
異邦人である事は伏せねばならぬ為、マケドニアにおいての己は他国人という事になっている。
他国人と言うのは、あちらの世界と違い此方の世界において大きなハンデとなる。
ましてや、家族も出身国すら定かではないときている。
次期国王であるミシェイル王子に拾われ、引き立てられた。となれば、ミネルバ王女やパオラ達が疑念を持つのも仕方のない事。
だからこそ、己を律しこの身をマケドニアの為に捧げる事で報いねばならなかった。
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あの人は私と話をする時は柔らかい
でもあの人は変わっていくマケドニアやドルーアの大地や親しそうに話をするマケドニアの人と竜人族のみんなの姿を見ると満足そうに頷いていた。
あの人が以前人を殺した。
そう聞いた時、信じられなかった。
昏い瞳で、それでも強い光が見える。
あの人らしくない事だとは思う。
人を傷付けるよりも活かす事を選ぶだろうあの人なら。
でも、だからこそ何か理由があったのだと思う。
「理由はあるが、話すべき内容ではないんだが。」
それでも理由を知りたかった。
あの人の荷物を少しでも減らしたかったから。
男は現実を守る為に夢を見る事を止め
少女は想い人の為に夢から覚める事を選ぶ
試行錯誤中(なお話数)
あっさり結ばせるべきではない。
そんな電波を最近受信している気がしてならない。
エリスルート完結記念の外伝
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いる
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いらない
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そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
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そんなことよりチキを出せ
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その他