汚泥の中で   作:アカネイアの雑兵

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明けぬ夜はなく、落ちぬ太陽はない。


時は動き続け、立ち止まる者達を置いてゆく


夜明けと夕暮れ

ミシェイルから話を聞いたチキとマリア。

 

 

チキはその優しすぎるゲレタの心がいつか壊れない事を何よりも心配し、ゲレタの側にいる事を願った。

 

 

ゲレタは最初チキを自分に縛る様な事になるのは好ましくないとしたが

 

 

「私は貴方の側に居たい。

貴方をもっと知って、私の事をもっと知って欲しい。

私にとって貴方は道標(ひかり)であり、心地良い居場所(やみ)

私は貴方と居たい。本当の貴方を見たい。」

 

その言葉にゲレタは折れ

 

「⋯どれだけ一緒に居られるか分からん。

それでも良ければ、一緒に生きよう。」

 

と告げる。

 

 

 

 

これには、事態の推移を見守っていたモーゼスもしたり顔で何度も頷き、二人を影から見守っていた竜人族も満面の笑み。

 

 

 

なお、ゲレタとチキが想いを交わし合った事が知られると、その護衛に就きたがる竜人族の希望者が激増。

 

 

メディウスの意を受けたショーゼン、ゼムセルの見守る中『次代の光を守る者トーナメント(第一回)』が挙行される事となり、爪を置いていた古強者達が多数参戦。

 

 

「⋯⋯お主ら。」

 

これにはメディウスやモーゼス。朗報を聞き、ワープで跳んできたガトーも閉口したとかなんとか。

 

 

 

 

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更にマリアもゲレタの側に居て、その心を守りたいと告げた。

 

 

現代日本(一夫一妻制)の考えが根幹にあるゲレタは答えに窮したが、他でもないチキによる後押しもあり、一先ずゆっくり時間をかけていく事で合意している。

 

 

正しく問題の先送りに他ならなかったが、流石にゲレタのメンタル的にも危ういと見てミシェイル(義兄)とメディウスも助け舟を出していた。

 

 

 

 

ミシェイルは自身の事もしっかり考えねばならぬと気を引き締めたが、なにぶん先王の負の遺産の影響は未だに残っている。

 

 

 

そもそも嫡男であり、その類稀なる才を有するミシェイル。

仮に先王がミシェイルを後継に望んでいたのであれば、次代のマケドニアの体制を強固なものとする為。ミシェイルの話を進めねばならなかった。

 

ところが、先王からはその様な話は一つとしてなく、ミシェイルが王位を簒奪してからレナに話を持っていっただけ。

 

 

 

不可解な話ではないか。

 

 

原作において、祖国アリティアを失ったマルスであってもシーダという婚約者を得ている。

 

タリス王が凡百の人物とは思えないが、辺境の蛮族とも揶揄されるタリスですらそれだけの配慮が出来ていた。

 

 

 

にも関わらず、アカネイアとの繋がりを維持せねばならなくなった先王が本来跡目を継ぐミシェイル。そして仮にミシェイルを廃嫡すればマケドニアを導く筈のミネルバ。

その何れにも婚約の話はなし。

 

 

いったいミシェイル達の父である先王は何を考えていたのか?些か以上に謎である。

  

 

 

 

 

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マリア王女のゲレタへの嫁入りがほぼ確定し、マケドニアの民は大きな喜びと少しの複雑な思いに戸惑っていた頃

 

 

「⋯マリアが?」

 

よりにもよって下の妹に先を越される事となったミネルバ。その心中は複雑なものとなっていた。

 

まだミネルバは自身の中の感情と折り合いを付けられて居らず、しかも最近ではゲレタの姿を見る事すら稀。

 

 

パオラも突然の朗報に喜ぶべきところだったが、戸惑うばかり。

カチュア(次女)エスト(末妹)としては姉の胸中を思うとかなり複雑だったが。

 

 

とは言え、彼女達の心情など事態はお構い無しに急速に動いており、それについていかねばならなかったが。

 

 

 

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事態がおおよそ好ましい方向に動き出しているマケドニアとドルーア。

 

それに対して

 

 

 

 

「マケドニア征伐を中止し、国内の治安回復に専念しようとしたが、まさか此処までとは。」

 

「一部の貴族はアカネイア騎士をあてにする事なく自身の兵で治安を維持しているのだが、まさか知らなかったのか?」

 

将軍は頭を抱えていた。

何せ、アカネイア騎士の決して少なくない数の者達は『己の任地』について余りにも無知だったのだから。

 

 

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アカネイア王国は広大であり、山岳地帯もそれなりにある。

だが、人口は平野部に集中しており、主要街道の巡回を果たせば治安は回復すると見ていた。

 

少なくとも、将軍となった人物は一介の騎士であった頃役目を果たし賊退治の経験もある。

 

 

だが、それは嘆かわしい事にアカネイア騎士としては本当に珍しい事だった。

 

 

任地を知らぬ者は論外だが、賊程度に負傷するのはまだマシ。賊退治の一つすら満足に熟せない者が騎士に多かった。

ジョルジュ率いる弓騎士隊。彼等は練度こそ高いものの、騎士達との連携に支障をきたし、実力を発揮出来ていない。

 

そもそも弓騎士隊という存在(もの)自体が戦力としての運用が非常に難しい。

 

 

ユグドラルにおけるユングヴィ騎士団、バイゲリッターであれば高い機動力を存分に発揮すれば山賊相手ならば問題となるまい。

だが、それも相手に騎兵が居ればその運用法が通じるかどうかは怪しくなる。それこそ指揮官の技量次第。

 

 

本来弓兵とは他の兵科と組み合わせてこそ、その真価を発揮出来る。

アストリア率いる歩兵隊は槍が中心の為に、斧を使う山賊相手となると懐に入られると損害が出るだろう。

 

重騎士はそもそも相手が攻め寄せる場合や、相手に向かっていく場合にこそ実力を発揮出来る。

山賊の様に敵わぬと見れば逃げをうつ者達とはそもそも戦いにもならぬときた。

 

 

前将軍が目をかけていた女性騎士。彼女も期待に応えているとは到底言い難く、頭を抱えるしかない。

 

しかも、女性騎士ミディアと弓騎士隊の隊長ジョルジュ。歩兵隊の隊長アストリア。この3名は今のアカネイアに不安があるのか、それを隠しているとも言えなかった。 

当然周囲の騎士からはよく思われているはずも無し

 

 

「⋯烏合の衆ではないか、これでは。」

 

仮にこの状態で精強と謳われるマケドニアと戦ったならば

 

 

 

しかも大した功績を挙げられていない騎士の中には

 

 

「賊退治など我等の役目ではない。」

 

などと宣う者がそれなりにいるときている。

 

 

 

「⋯抜本的な改革が必要か。」

 

将軍は覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、それから暫く後将軍は何者かに襲われ帰らぬ人となる。

 

 

 

 

エリスルート完結記念の外伝

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